Tag Archives: TSD15

EMT XSD15

瀬川冬樹

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「’81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 EMTのカートリッジTSDシリーズは、ほんらい、同社のプレーヤーデッキに組合わされるいわばプレーヤーシステムの系の中のパーツであり、単売のカートリッジだと考えないほうがいいが、それでもTSDの魅力の半面なりを味わいたいという向きのために、オルトフォン/SME型のコネクターに代えたXSDが用意されている。この音の魅力を生かすには、アームやプレーヤーシステムの選び方が相当に制限される。

EMT TSD15

菅野沖彦

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「’81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 このカートリッジでは、EMT独自のコネクター規格によるものだから、一般のトーンアームには取付けて使うことが出来ない。その場合にはXSD15を選ぶようになっている。同社のトーンアーム929か997と共に使うカートリッジだ。豊潤剛健な音質で、バランスは重厚で安定したものだ。デリカシーや透明度といった、軽量のコンプライアンス型では得られない充実したサウンドが好みの分れるところだろう。高貴な風格だ。

EMT 927Dst, TSD15, XSD15, KEF Model 105, Model 104aB, UREI Model 813, K+H OL10, スチューダー A68, B67

EMTのアナログプレーヤー927Dst、カートリッジTSD15、XSD15、KEFのスピーカーシステムModel 105、Model 104aB、UREIのスピーカーシステムModel 813、K+HのスピーカーシステムOL10、スチューダーのパワーアンプA68、オープンリールデッキB67の広告(輸入元:河村電気研究所)
(ステレオ 1979年2月号掲載)

Kawamura

EMT XSD15

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

ディスクの音ながらテープの感覚を感じさせる業務用独特の貫禄。

EMT XSD15

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 オルトフォンと並んで、MC型カートリッジとして、音楽の豊かな表情を、味わいをもって再現することで人気のあるEMTの製品。もともとプロフェッショナルな機器で、特性もよく、それでいて単なる物理特性の信頼性以上の充実さを聴くものに感じさせるのが外国一流品の底力のようだ。

EMT XSD15

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 TSDでさえ、勝手なアダプターを作って適当なアームやトランスと組み合わせてかえって誤解をまき散らしているというのに、SMEと互換性を持たせたXSDなど作るものだから、心ない人の非難をいっそう浴びる結果になってしまった。EMTに惚れ込んだ一人として、こうした見当外れの誤解はとても残念だ。

EMT TSD15

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 ずいぶん誤解されているらしいので愛用者のひとりとしてぜとひも弁護したいが、だいたいTSD15というのは、EMTのスタジオプレーヤー930または928stのパーツの一部、みたいな存在で、本当は、プレーヤー内蔵のヘッドアンプを通したライン送りの音になったものを評価すべきものなのだ。

EMT TSD15, XSD15

瀬川冬樹

ステレオサウンド 41号(1976年12月発行)
特集・「世界の一流品」より

 オルトフォンSPUの音の渋い豊かさに加えて、レコードの溝のすみずみまで拾い起こすようなシャープな解像力の良さ、音の艶と立体感の表現力の幅の広さ、これ以上のカートリッジは他にない。TSDはEMTのプレーヤー専用で、日本で広く普及しているSME型コネクターつきのアームにとりつけられるようにしたものがXSDだが、そのことでEMTの真価を誤解する人もまた増えてしまった。このカートリッジは昨今の一般的水準の製品よりもコンプライアンスが低いため、アームを極度に選ぶし、高域にかけて上昇気味の特性は、下手に使うと手ひどい音を聴かせる。トランスやプリアンプを選ばないと、その表現力の深さが全く聴きとれない。難しい製品だ。

EMT XSD15

井上卓也

ステレオサウンド 39号(1976年6月発行)
特集・「世界のカートリッジ123機種の総試聴記」より

 本来は業務用に開発されたEMTの製品は、コンシュマー用としては特殊な存在で、独得なキャラクターをもっている音は標準的な音とはいえないが、オーディオ的な魅力は充分に持っていると思う。
 XSD15は、アダプターを使わずに一般のアームに取付可能となった、TSD15の変種製品である。今回は出力電圧がかなりあるためトランスなしで使用することにした。このカートリッジは音の密度が高く、重厚で力強い音をもっている。全体の音の傾向は進歩がいちじるしい現代のカートリッジのなかにあると、やはり古典的で粒立ちが粗く、細やかな表現は不得手なタイプである。音の輪郭をクッキリとコントラストをつけて聴かせる点では比較するものがないが、表情が硬く弾力的ではないために、リズミックに音が決まらないもどかしさがある。

EMT XSD15

岩崎千明

ステレオサウンド 39号(1976年6月発行)
特集・「世界のカートリッジ123機種の総試聴記」より

 現代の高級カートリッジのおびただしい優秀品の中にあって、このEMTのプロ用に日本のファンが目をつけた理由は何なのだろう。おそらくその根底にオルトフォンSPUへのノスタルジックな要望と軽針圧カートリッジとの融合があるのだろうと思われる。事実、XSD15は、アームとのコネクター以外プロフェッショナル型のTSDと変らず、その音はどっしりして力強い低音に支えられた中低域の厚さと中域以上でのすばらしい例えようのないきめのこまかさと鮮鋭な分解能力とにあろう。それはまるで西独の観光用カラー写真にでもみられるようなすみずみまであくまで克明な本物以上のスーパーリアリズムにある。だからリアルを通り越して悪いというのはないし、この超現実感の魅力は一度接したが最後、ふり切ることはできなくなる、妖しい魅力でもある。ステレオ音像の驚くべき確かさ、やや中央に集りがちなスケール感さえも再生音楽をいっそう本物らしくしてしまうのだ。

EMT TSD15

瀬川冬樹

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 このカートリッジの音質を本当に生かすには、専用のアームとトランスをなるべく併用することが望ましい。一方では、スピーカーのレベル調整さえ、やり直す必要がある。

EMT XSD15

瀬川冬樹

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 日本で普及しているSME型のコネクターに合うよう供給された製品だが、SMEを含む軽質量アームを避けて、ダイナミックバランスやオイルダンプと組み合わせること。

EMT TSD15

岩崎千明

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 業務用ということで入手し難い点が、ますます評判を高める。MC型ながら軽針圧かつ出力もかなり高く入力トランスなしでもまず使える所が嬉しい。繊細感プラス鮮明な迫力。

EMT XSD15

菅野沖彦

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 TSD15を一般のヨーロッパ規格のコネクター寸法にしたものだ。MC型で肉の太い音質とシャープな切れこみを合わせ持つ。繊細、明るさという面より重厚明確な音が魅力。

EMT XSD15

井上卓也

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 古典型のMCカートリッジの代表製品ともいえる存在である。明快で緻密であり、かつ重厚な音は、近代的カートリッジとは明らかに異質なものであり、現在では貴重な製品だ。

KEF Concerto, Choral, Cadenza, LS5/1A, B110, B139, T27, K2, EMT TSD15, 929

KEFのスピーカーシステムConcerto、Choral、Cadenza、LS5/1A、スピーカーユニットB110、B139、T27、K2、EMTのカートリッジTSD15、トーンアーム929の広告(輸入元:河村電気研究所)
(ステレオ 1972年12月号掲載)

kef

EMT 930st, TSD15, 929, KEF Concerto, スチューダー B62

EMTのアナログプレーヤー930st、カートリッジTSD15、トーンアーム929、KEFのスピーカーシステムConcerto、スチューダーのオープンリールデッキB62の広告(輸入元:河村電気研究所)
(ステレオ 1972年11月号掲載)

EMT

EMT 930st, TSD15, 929, K+H OY MONITOR, スチューダー B62

EMTのアナログプレーヤー930st、カートリッジTSD15、トーンアーム929、K+HのスピーカーシステムOY MONITOR、スチューダーのオープンリールデッキB62の広告(輸入元:河村電気研究所)
(ステレオ 1972年10月号掲載)

EMT

EMT TSD15

瀬川冬樹

ステレオサウンド 12号(1969年9月発行)
特集・「最新カートリッジ40機種のブラインド試聴」より

 いくらブラインド・テストでも、自分が毎日常用しているカートリッジぐらいは、見当がつこうというものだ。最初のスクラッチノイズを聴いただけで、これはEMTだと判ってしまったので、試聴記にも先入観が入ってしまうし、なにしろ目下惚れっぱなしの製品だけに欠点が書きにくい。まあ強いて難点をあげれば効果だし入手しにくいし、割合に寿命が短いし、しかも針交換が高価につくということで、決して万人にすすめるべき製品ではないし、いささか深情けの過ぎるような音質は、もっとリラックスして、カラリとドライに楽しみたいという人には毛嫌いされるにちがいない。つまり決して万能型のカートリッジでもなく無色でもない、かなりアクの強い音質だと思う。

オーケストラ:☆☆☆☆☆
ピアノ:☆☆☆☆☆
弦楽器:☆☆☆☆☆
声楽:☆☆☆☆☆
コーラス:☆☆☆☆☆
ジャズ:☆☆☆☆☆
ムード:☆☆☆☆☆
打楽器:☆☆☆☆☆
総合評価:100
コストパフォーマンス:85