Category Archives: アクセサリー類

オーレックス FM-2000

岩崎千明

週刊FM No.8(1976年発行)
「私の手にした新製品」より

 アンテナなんていうものは特殊なんで今まで専門も専門、アンテナだけ作ってるメーカーの独占商品だと思ってたらなんと東芝が出したってわけ。なんでまた、というなかれキミ。オーレックスのチューナーは、国内製品はおろか世界中を見渡してもちょっと例の少ないシンセサイザー・チューナー。それも周波数デジタル標示だよ。スゴイネ。これだけのチューナーを出してりゃどんなアンテナをつけたとき本領を発揮してくれるんだい、とユーザーからいわれるにきまってる。だからFM2000なのだ。つまり、このアンテナをつけさえすれば、スゴイチューナーが一層スゴイ性能を出せるっていうものさ。
 しかし、FM2000、いままでのがらばかり馬鹿でかいFMアンテナとは違って、キミの手を拡げた時よりもひとまわり小さいくらいだ。だからといって、テレビ用を代用してるのと違って、ちゃんとしたFM専用なのである。つまりFMバンドの全域に対してほぼ同じような感度を得られるように作られている。確実にひとまわりは小さくまとめてあって、全体がすごく軽い。だから今までのように大げさにならず、どんな場所にも取り付けられるっていうわけだ。ちょっとやってみたけど、天井近くブームの一方を片持ち式に取り付けても軽いからビクともしない。チューナー付属のフィーダー・アンテナの時に苦労するステレオ放送でのノイズっぽさが驚くほど直る。

フィデリックス SH-20K

菅野沖彦

ステレオサウンド 130号(1999年3月発行)
「いま聴きたい魅惑のコンポーネント特選70機種」より

 数年前に本機SH20KをSS編集部から借用して試用した経験があったが、その効果が忘れられず、今回あらためて使ってみた。結果として現在のCD再生にとっては「レコード演奏家」のツールとして有効なものであることを確認したので、ここで取り上げることにしたものである。これを使ってみると、楽音に含まれる音響成分の周波数帯域として、20kHz以上の成分が、われわれ人間の耳と脳の感じる自然感、あるいは快感にとって重要であることが認識されるであろう。このことはここ数年実験しているスーパーCDの聴感テストでも明白な事実である。DVDオーディオやSACDは、周波数帯域を従来の20kHzの録音限界を大幅に拡張するだけではなく、ダイナミックレンジやレゾリューションをも飛躍的に向上し得るものであるから、その効果は高域にとどまらない。低域の解像度及が上がることによる音質改善も私自身、実際に録音再生を通して確認している。しかし、ハードとのバランスでスーパーCDがプログラムソースとして豊富に提供されるには、未だかなりの時間が必要と思われるし、現行CDの豊富なレパートリーは、永遠に貴重な音楽の宝庫である。したがって、デリケートな耳の持ち主は、それらをよりよい音で聴きたいのは当然であろう。20kHz以上の高域ノイズ成分を加えるというと、ノイズという言葉に知的拒絶感を起こす人が多いようだが、音を知性だけで聴いてはいけない。第一、それらの超高域成分は、まったく同じとは言わないが、自然音響に含まれるものも、人間の聴感能力からしてみても、もはや、限りなくノイズに近い成分と考えられる。先入観は禍いのもとである。そして、ここでも音楽と絵画にとっては音と色自体には、優劣、正邪はないと言えるのである。感じて欲しい。

ダイナベクター SS-Adp

菅野沖彦

ステレオサウンド 130号(1999年3月発行)
「いま聴きたい魅惑のコンポーネント特選70機種」より

 ダイナベクターのSS−Adpは本誌でも試用記事をご紹介した製品で、同社の社長で、波動工学の専門家でもある富成博士の独自の新しい音響波動理論に基づく、SSS再生のためのプロセッサーである。詳しくは、本誌127号の記事を参照していただきたいが、富成博士はホール空間における演奏が創成する複雑な音響成分の解析の結果、従来、立体感の要素として知られてきた位相差や時間差とはまったく別の、異なる音速現象に着目され、これが空間感はもちろんのこと、人間の耳による音響体験のリアリティに重要な効果を持つことに注目された。これは今日までまったく無視されてきた未解析の要素と言ってよぃであろう。したがって、これは今日広く普及しているDSPによるアンビエンス・プロセッサーとは別物なのである。このプロセッサーを、音楽音響再生の総合的な理解とセンスで上手に使えば、アンビエンス効果が表現上必要な性格を持つカテゴリーの音楽にとっては、素晴らしい効果が得られると同時に、顕著な音質改善にもつながる「レコード演奏家」のためのツールである。音楽は音による無限のイメージ表現であるから、空間感を拒否する音楽もあるし、音楽にとっては素材である音の美しさというものは、画家にとっての色彩と同じであって、音や響き自体、そして色自体には優劣、正邪はない。音楽によっては間接音や残響感を拒否するものもあることはいまさら言うまでもないことである。録音コンセプトにもよるが、ホール音響の響きが大切なクラシック音楽の多くにあっては、現在の2チャンネル・ステレオ録音には極めて豊かな音響成分が収録されているソースが少なくない。このプロセッサーは、そこからリアリティに重要な成分を創成するもので、それはマルチチャンネルでは不可能なアンビエンス成分が得られるものなのである。

パーフェクトサウンド CD CONTROL, GP-224

パーフェクトサウンドのCDクリーナーCD CONTROL、アクセサリーGP224の広告(輸入元:東志)
(サウンドステージ 26号掲載)

perfectsound

オーディオテクニカ AT-NF122, AT-NF103

オーディオテクニカのアクセサリーAT-NF122、AT-NF103の広告
(サウンドレコパル 1994年夏号掲載)

オーディオテクニカ

アクロテック 8N-S1000, 8N-A2090, etc

アクロテックのケーブル8N-S1080、8N-A2090などの広告
(サウンドレコパル 1994年夏号掲載)

アクロテック

オーディオ・フィジック Brilon1.0, アディトン OPERA, パワー・ウェッジ Power Wedge 116

オーディオ・フィジックのスピーカーシステムBrilon1.0、アディトンのプリメインアンプOPERA、パワー・ウェッジのアクセサリーPower Wedge 116、Power Linkなどの広告(輸入元:スキャンテック)
(サウンドレコパル 1994年夏号掲載)

Brilon

ネイム・オーディオ Nac63, Nac72, Nap90, Nap140, Hi-Cap

早瀬文雄

ステレオサウンド 95号(1990年6月発行)
「BEST PRODUCTS 話題の新製品を徹底試聴する」より

 1974年、ジュリアン・ベリカーという一人のオーディオマニアの手によって設立されたネイムオーディオ社は、現在英国のソールズベリーに64名のスタッフを擁する工場を持つに至っている。
 かつてコンパクトでこざっぱりしたデザインを持つプリメインアンプのNAIT2を目にした時、新鮮な驚きを覚えたことを思い出す。スリムなアルミ引き抜き材を使った堅牢なシャーシは、新しいプリアンプ/NAC62及びNAC72にも継承されている。目をひくのはフロントパネルのネイムのロゴで、バックライトによって文字の厚み部分が鮮やかなグリーンで照明され、文字そのものが黒いパネルから薄く浮き上がったように見える。ファンクションの文字が同様に見えるとなおよかったのだが、残念ながらブラックのままなので、逆にこの部分はかなり見にくく、しっかりと光りをあてたいと、何が何処にあるのかさっぱりわからない。
 入力はフォノ(MM、MC、およびリンKarmaとTroika専用のモジュールがある)、AUX(入力感度調整可能)、テープ(NAC72はテープ二系統)、チューナーの4回路をもち、一般的なRCAピンプラグではなく、以前のクォードの製品のようにDINプラグを採用している。
 プリアンプは両者とも内部にパワーサプライを装備していないため、実際の使用にあたっては、今回同時にご紹介するパワーアンプ/NAP90およびNAP140から専用の接続ケーブルで電源の供給を受ける。これは4ピンのDINプラグを持つケーブルでシグナルラインもその中に含まれ、電源と音楽信号は同一ケーブル内に同居する格好である。
 一方、オプションの電源ユニットHI-CAPを追加すれば、より一般的なプリアンプとしても使用可能だ。
 さて、価格順にNAC62とNAP90のペア、次にNAC72とNAP140、そして最後にプリアンプを単体電源のHI-CAPで駆動した音を順番に聴いていった。スピーカーは本誌リファレンスのJBL4344とはせず、この組合せでより一般的なものとして考えられる製品を選んで行なった。
 やや硬質の質感をもつ真面目な音作りで洒落た感じというよりは、見た目のとおり沈思黙考型の響きとでもいいたくなるような、無駄な光沢感を抑制した地味な印象を受ける。上級機ではさすがにスケール感の拡大を示し、音像にも立体感が徐々につきはじめる。別電源の使用では、さらに音場の広がりがぐっと奥行きを増し、このクラスとしては標準的なまとまりを見せてくれた。

「台」抜きでは考えられないアナログプレーヤーの性格づけ

早瀬文雄

ステレオサウンド 90号(1989年3月発行)
「アナログプレーヤー徹底試聴 アナログ再生を楽しむプレーヤー4機種を自在に使いこなす」より

 ひとつの結論めくが、繊細微妙な音の入り口たるアナログプレーヤーは、その置き台込みで音を考えたほうがよさそうだ。
 まだ想像の域を出ないが、置き大とプレーヤーの質量の関係に一つのポイントがありそうで、それは、スピーカーユニットにおける振動板とフレームの関係、あるいは、カートリッジとシェルの関係にも似たことが言えると思う。妙な例えだが、重量級プレーヤーと重量級ラックの組合せは、がっしりとしたダイキャスト製のフレームと、重く、質量のある、Qの高いハイテク振動板を組み合わせたユニットの響きに共通したものを感じることがある。
 いずれにせよ、床を含めたひとつのクローズドループのなかで、はじめて振動モードが規定される以上、使い手の工夫、アクセサリー類の併用によるカットアンドトライが、システム全体の響きの内面性、性格づけに必須の要件となるだろう。そうしたチューニングのピントがあってくると、いまだにCDでは聴き得ない、ハーモニー豊かな、自然な響き、立体的な音場に遊ぶことができるのだ。
 けして、ここでデジタル否定の隠れた主張をやんわり押しつけようというのではない。たしかに、アナログに怨みはいくらでもあるだろう。裏切られ、逃げ込むようにCDに走った人も大勢いるに違いない。そんな痛切な経験とCD体験を経て、今の時代を生き抜いてるアナログシステムに、もういちどつき合って、一からやり直してみてはどうだろう。今さら、初恋のアナログにたち戻って、純愛路線なんて……、と思うかもしれないが、危なっかしく積み上げてきた思いの向こうにこそ、夢と懐疑の先へ続く道が見えるのかもしれず、「失われし時」をみつめなおす過程で、すくなくともぼくにとっては、これはどうしても必要な作業なのだ。

ラスク R-5430AL

早瀬文雄

ステレオサウンド 90号(1989年3月発行)
「アナログプレーヤー徹底試聴 アナログ再生を楽しむプレーヤー4機種を自在に使いこなす」より

 サーフェイスノイズは、粒子が細かく、軽く、さらっとしたタッチとなる。音場の空気はあたかも清浄器を通したごとく、あるいは紫外線殺菌燈を照射したごとく透明感が増し、クリーンで静かな感じだ……つまり、やや人工的なニュアンスを伴う。高域もすっきりして、響きの表面もよく磨かれ、毳立ちも少ない。が、艶やかで質感ゆたかな、あるいは、色彩感豊かな、といった表現は、なぜか思い浮かんでこない。どちらかといえば、やや半艶消的な印象があった。
 総じて醒めた感じの演奏となるのは、アンプの物理特性が一桁良くなったような、高いS/N感によるものだろうか。各パートの動きは、おそろしくよく見え、ピークでも音がからまることもない。バスドラムのアタックの迫力も充分。シンバルのディスパージョンも、その方向が見えるほどだ。
 しかし、しいて言えば、向かってくる響きの勢いよりは、むしろマイナスのエネルギー感とでもいうべきか、スーッとひいていく感じが際立つ。そのせいか、制動感、フラット感はある反面、スピード感、ドライブ感がやや弱まる印象を受けた。全体の機械的強度はヤマハに軍配があがる。個人的には、この漂白されたような清潔な響きは好きだが、いかにして響きに、生命感を注ぎこむかが、使いこなしのひとつのポイントになりそうだ。いっそのこと、スタティックで、ストイックな、ひっそりとした響きを強調して、独特の世界を演出してみたくもなる。

ヤマハ GTR-1B

早瀬文雄

ステレオサウンド 90号(1989年3月発行)
「アナログプレーヤー徹底試聴 アナログ再生を楽しむプレーヤー4機種を自在に使いこなす」より

 ヤマハのGTR1Bは、オーディオファイルのスタンダードのラックとして、その使用実績は相当に高いはずだ。しかし、これとて「完璧」ではありえない。盲信しては前進はない。ステレオサウンドの試聴室に常備されたGTR1Bは原則として、試聴時、ラック内には何も収納せず、天板上に試聴機を置くのみとしている。なぜ?
 それは、ラックを含んだ全体の振動モードをできるだけ単純化しようという考えからである。現実の使用では物を入れる。そのとき、いかなる工夫をすべきか、どうしたら効果的な共振の整理ができるか(あるいは響きのコントロールの一手段として「振動」をどう取り込んでしまうか)、そういった、ケースバイケースの思考のヒントを導くためにも、とりあえずラック1台に対して試聴機は1つ、つまり1対1の関係を崩さないことを原則として守る。
 ある程度音量をあげていくと、音圧の影響を受けやすいボックス状の、このラックは見た目以上に共振していることが、手を触れてみるとよくわかる。天板の裏や側板は、音楽の複雑な空気の振動を受けて、あるいは床を伝わってくる振動によってあおられ、驚くほど共振している。こうした分厚く堅い、つまりQ(共振峰)の高い材質は、相対的に「カンカン」したピッチの高い共鳴、共振を起こしやすい。事実、このラックは、機器にそういった付帯音をのせる傾向がある(したがって、本誌の通常の試聴時には、その対策を独自に施している)。

サウンドオーガナイゼーション Z021

早瀬文雄

ステレオサウンド 90号(1989年3月発行)
「アナログプレーヤー徹底試聴 アナログ再生を楽しむプレーヤー4機種を自在に使いこなす」より

 細いスチールパイプで組み上げられている構造上、音圧の影響は受けにくいだろう。しかし、けして皆無ではあり得ない。叩けば結構金属的な「鳴き」がある(当然ではあるが)。ひとつ不思議なのは、肝心のプレーヤーを直接置くトップパネルの材質で、とても薄く、とても軽いのだ。これはリンの主張で、LP12はとにかく軽い台に設置したほうがベターだという。なぜだろう。これまでの常識とは逆行する理論だ。堅くて重い物質がもつ、払拭し難い鋭い共振を嫌ってのことだろうか。真偽のほどは不明であり、謎として残った。たとえば異種金属をあわせたときにダンプ効果があるように、Qの異なった素材をうまく組み合わせ、しかもそれぞれが大きな質量を持たなければ、共振のエネルギー自体も弱く、コントローラブルになるのかもしれない。
 その音だが、たしかに音の輪郭にメリハリはつくし、中高域の分解能が向上したかのように聴こえるときもある。音楽的な抑揚もよくついて、弾みのある表情豊かな響きにはなる。他に、変化として、まず低域はやや軽くなる傾向をみせ、総じて響きの密度がわずかに「疎」になるような印象。弦の響きの表面に、わずかに金属的な響きがつく。音場のスケールがやや小さくなる。聴感上、音の反応がシャープになり、ハイエンドの伸びが増したようになる。サーフェイスノイズのピッチが上がる。強い響きに強引さがなくなる反面、求心力がやや後退する。冷たい響きの温度感が、やや上昇する。低域のリズム楽器の輪郭はつくが、実体感、押し出しがやや希薄化する。音像はふやけず、フォーカシングはシャープ。しかし、神経質な感じは全くない。以上のような傾向が、ミクロ的ではあるが聴取し得た。

ターゲット・オーディオ TT4

早瀬文雄

ステレオサウンド 90号(1989年3月発行)
「アナログプレーヤー徹底試聴 アナログ再生を楽しむプレーヤー4機種を自在に使いこなす」より

 リン指定の台と、基本的には似た構造だが、ノイズのピッチをわずかに下がる印象がある。音場の空気感もいい。響きの輪郭に、ごく僅かに、華麗な輝きがつくようで、音楽がよく歌う。あるいは、表情の変化がよくつくような印象。響きに腰高感もなく、低域の骨格は結構しっかりしている。毎日出てくる、いわばプラスのエネルギーをもった響きの直進性もいい。スチールパイプに、薄く軽い化粧板を乗せた(ピンポイントで支持)だけなので、叩くと、ちょっとしたスラップスティックがはじまるが、きたない共振は意外に少なかった。
 ラスクのように、「負」のエネルギー感が醸し出す静寂感を出にくいが、反面、はつらつとした生命感を感じさせる良さがある。充分に明るさがありながら、陰影感の表現は、リン指定の台より深みがつく印象がある。全体にリンよりダークな雰囲気。これはリン同様、良い意味で響きに味をつけて、楽しく音楽を聴かせてくれる、いわば楽器的なラックといえるかもしれない。
 ちなみに、ヘイブロックのプレーヤーを設置して聴いてみたが、音楽に明るい表情がついて、根暗の少女がふっと、穏やかな微笑みをみせたような、いわくいいがたい雰囲気となった。

その他のジャンルのベストバイ

菅野沖彦

ステレオサウンド 77号(1985年12月発行)

特集・「ジャンル別価格別ベストバイ・362選コンポーネント」より

 その他というジャンルは複雑だ。アクセサリーということになるのだろうが、その必要性、重要性は各人のオーディオ観に関わることだろう。グラフィックイコライザーを嫌う人々に、いくら優れた製品だといっても始まらない。その必要性や重要性の説得をしている余裕はここにはない。僕が選んだアクセサリーはグラフィックイコライザー3機種、デジタルディレーを使った音場プロセッサー1機種、そして、PCMプロセッサー1機種がある。いずれも僕自身使ってみてよかったもの、あるいは便利だったもの、そして面白かったもので、選ばなかったものにも、使ってみれば選びたくなるものが多いと思う。
 アキュフェーズG18は、現在一般に入手し得るグラフィックイコライザーの中で最も優れたものだろう。テクニクスSH8075もそれに準じるものである。サンスイSE99はもっとも多機能で面白い製品だが、イコライザーとしての分割周波数は12バンドなので、精度の点では普及モデルということになる。ソニーPCM553ESDは、オーディオインターフェイスとして、多機能で優れたPCMプロセッサーである。ハイクォリティのデジタル録音をしたい人には推めたい製品。ローランドDSP1000はデジタルディレーとマトリクス・クロス・フィードバックの音場プロセッサーとして現状ではたいへんよく出来た製品だと思う。将来は、デジタル信号を直接コントロールして最終段階でDAコンバーターを介してアナログ出力する方式が望ましいが、現状ではADコンバーター、デジタル処理、DAコンバーター、アナログ出力という、このシステムが十分使えるレベルに達した。詳しく述べる余裕はないが、これからのオーディオの音質改善策として、いたずらに効果を追うのではなく、豊かな音楽空間に溶け込むことが可能なこの種のシステムに対して僕は積極的にその効用を認めるものである。

その他のジャンルのベストバイ

井上卓也

ステレオサウンド 77号(1985年12月発行)

特集・「ジャンル別価格別ベストバイ・362選コンポーネント」より

 その他のジャンルでは、かなり幅ひろい商品が存在しているため、他のジャンルの製品とは、ベストバイの選出そのものが、相当に異なるといった印象が強い。
 今年の新しい傾向として、デジタル技術をベースとしたオーディオ製品の実用化がトピックス的である。その第一は、デジタルディレーや、デジタルリバーブの製品化があげられる。ローランドのDSP1000ユニットと、パワーアンプをもつマランツRV55がその2機種だ。
 DSP1000のセミプロ用といった機能優先の簡潔な設計は、それだけにかなり魅力的な存在で、プリアウト機能、左右独立のディレーアウト、あるいは基本的原音賀、デジタルノイズの少なさなど、大変に優れた製品である。ただしボリュウムと同軸型のディレーミキシング調整は、初期変化がやや急激で、少しの慣れが必要だ。
 RV55は、デジタルリバーブも使えるのが最大の魅力であり、グラフィックイコライザーはパワーアンプが組みあわされているのが実用上で便利なシステムである。試聴用に借用した製品は、サンプル品で、やや不可解なマトリックススイッチの効果や、グラフィックイコライザー使用時のSN比の劣化、さらに、デジタルノイズなどの問題点もあったが、実際の製品では当然のことながら改良されていると思う。DSP1000との基本的な違いは、ローランドでは既存のスピーカーと同じ、聴取位置前方にディレイ出力用スピーカーを壁に向けて設置する前面型を推賞することにくらべて、マランツの方式は、ディレー/リバーブ出力用スピーカーをかつての4チャンネル方式と同様に後面にむいて、サラウンド的に使う構想であるのが対照的である。いわば、純粋な2チャンネルステレオのハイプレゼンス化とAVサラウンド的な使い方の違いといってよいだろう。
 同様にデジタル技術を駆使した分野にPCMプロセッサーがある。締切り時点では、サンスイPC−X11を選択し、生産品の試聴テストを行う予定でいたが、現在までに現実の製品が約束に反して届かず、PC−X11の選出は取下げる他はない。これに変わり、締切後に試聴したソニーPCM553ESDは、単体使用でもPCM701をしのぎ、デジタルノイズの皆無といってよい見事な力感と厚みのあるデジタルサウンドを聴くことができた。さらに、DAS703ESと組み合わせて、より高元のシステム化が可能なことも楽しい。
 ティアックAV−P25は、ノイズフィルター付ACテーブルタップといえる製品だが、デジタル機器やAV製品と同居が強要されるアナログ機器への干渉を減らす意義は大きい。
 ヤマハGTR1Bは、板厚の部分にある材料を使ったオーディオBOXである。予想以上に振動に弱いCDプレーヤーに好適である。

その他のベストバイ

井上卓也

ステレオサウンド 73号(1984年12月発行)
特集・「ジャンル別価格別ベストバイ・435選コンポーネント」より

 LDプレーヤーとCDプレーヤーを同じ筐体にまとめ、さらに、LDの音声をデジタル化したLDDにも対応可能なパイオニアCLD9000は、LD、CDともに、低域の厚み、安定感で、質的な向上があり、価格的にも文字どおりベストバイのトップランク商品だ。これに、CDのユーザーズビットのディスプレイが加われば完全だ。
 PCMプロセッサー関係はEIAJフォーマットが14ビットであること、長時間録音可能に対応する選曲や頭出し機能の問題などもあって、特殊なオープンリール的需要の域を出ないようだが、βIIIで使用可能なプロセッサー、ソニーPCM501ESは、リーゾナブルな価格も魅力的である。サウンドプロセッサー関係のdbx4BXはエキスパンダーとして最高のモデルで、この威力は、まさに、麻薬的な恐しい魅力とでもいえよう。待たれるのは、デジタルディレイユニットなどの登場である。

マクセル LR

マクセルの乾電池LRの広告
(オーディオアクセサリー 27号掲載)

Maxell1

ハイテック DS7004A, MUSIC’N, SC-5, LH, LN

ハイテックのアクセサリーDS7004A、MUSIC’N、SC5、カセットテープLH、LNの広告
(オーディオアクセサリー 27号掲載)

HITEC

オーディオテクニカ AT160ML/G, AT150E/G, AT140E/G, AT130E/G, AT120E/G, AT37E, AT34EII, AT33E, AT32EII, AT31E/G, ATH-0.1, ATH-0.2, ATH-0.2F, ATH-0.4, ATH-0.6, AT666EX, etc…

オーディオテクニカのカートリッジAT160ML/G、AT150E/G、AT140E/G、AT130E/G、AT120E/G、AT37E、AT34EII、AT33E、AT32EII、AT31E/G、ヘッドフォンATH0.1、ATH0.2、ATH0.2F、ATH0.4、ATH0.6、アクセサリーAT666EXなどの広告
(オーディオアクセサリー 27号掲載)

AudioTechnica

マクセル SC-441, NF-112

マクセルのスタイラスクリーナーSC441、ノイズフィルターNF112の広告
(オーディオアクセサリー 27号掲載)

maxell

テクニクス SH-8000, SH-8065

テクニクスの測定器SH8000、グラフィックイコライザーSH8065の広告
(オーディオアクセサリー 27号掲載)

SH8000

日立電線 OFC AUDIO CABLES

日立電線のケーブルOFC AUDIO CABLESの広告
(オーディオアクセサリー 27号掲載)

Hitachi

オラソニック SR-831S, DF-100, LT-5, DS-200G, DS-250, DS-500G, GT-1000, SG-2E, AV-1, AV-11, AV-101, RC-1, SP-7, BC-1, BC-1B, NC-1

オラソニックのケーブルSR831S、アクセサリーDF100、LT5、スタビライザーDS200G、DS250、DS500G、スタイラスタイマーGT1000、インサイドフォースチェッカーSG2E、ヘッドシェルAV1、AV11、AV101、クリーナーRC1、SP7、BC1、BC1B、シェルリードNC1の広告
(オーディオアクセサリー 27号掲載)

Orsonic

ノリタケ NC-02, Ceramic Base

ノリタケのスタビライザーNC02、スピーカースタンドCeramic Baseの広告
(オーディオアクセサリー 27号掲載)

Noritake

ジェルマックス JPC, CL-10EX, ALW-30, CHA-1

ジェルマックスのケーブルJPC、シェルリードCL10EX、配線材ALW30、ヘッドシェルCHA1の広告
(オーディオアクセサリー 27号掲載)

Jelmax