瀬川冬樹
ステレオサウンド 3号(1967年6月発行)
「内外アンプ65機種の総試聴記と組合せ」より
コロムビアの二機種の、共に高域を甘く丸めたソフトな音に対して、パイオニアと日本サウンドは、シャープさの強調された幾分硬質な音と、それぞれ対照的であった。
●MA20/中〜低域を盛り上げたふくらみのある音質。これはラウドネスコントロールが入りぱなしのためだが、このクラスに組み合わせるプレイアーやスピーカーの特性から、概して小造りな痩せた音になりやすいことを考えれば、これは仲々うまい作りかただと思った。高域が適度に甘いため音源がやや遠のく感じで、多少むーど音楽的傾向が無いわけではないが、トーンでハイを強調してみても、音のひずみをうまく抑えた素姓の良さが感じられた。
●MA30/MA20にフィデリティを加えたという印象。四機種中では最もパワーが大きいためか、音のゆとりが十分に感じられた。しかしMA20よりも一万円高いというメリットは、音のクォリティの向上よりむしろパワーアップと各種附属装置にあるように思われた。
●SX304BのSNは四機種中最良。高音域に良くレンジを延ばしているが、反面、低域はやや不足気味で音に深みを欠いていた。ポピュラーものにはこういう音のバランスも効果を発揮するかもしれないが、クラシックを主に聴く場合には、もう少し音にやわらかさと透明感を望みたい。
●SRQ302X/音のバランスは一層高音域に片寄っている。華やかで派手ないわゆるトランジスターの音で、クラシックをゆっくり聴こうという人にはあまり奨めにくい。
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