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JBL 4333B

井上卓也

ステレオサウンド 62号(1982年3月発行)
「JBLスタジオモニター研究 PART1」より

 4333Aの黄金時代は約4年以続くが、時代の影響が色々とJBLにも及んでくる。スタジオでの物凄いハイパワードライブの影響は、アルニコ磁石使用の磁気回路の減磁としてあらわれ、特にウーファーにおいてこの点が問題として指摘されるようになった。また資源的にも、時代の要求はフェライト磁石の採用を迫ることになる。
 これに対するJBLの回答が、1980年開発されたSFG回路である。SFG回路(シンメトリカル・フィールド・ジオメトリー)とは、フェライト磁石の減磁に強いメリットを生かし、磁気歪みを低減したJBL独自の磁気回路の名称である。
 SFG磁気回路を使う2231Hをウーファーに採用した新モデルが、4333Bである。4333Bの、フェライト系磁石を使う磁気回路独特の、厚みがあり、エネルギー感を内蔵した力強い低域には新鮮な印象を受けた。アルニコ系磁気回路では、重低音再生を指向すると、とかく、低域レスポンスがウネリがちで、低域から中低域にかけてのスムーズさを失いがちだが、SFG回路ではその点が問題なく、安定感のある豊かな低域エンベロープを聴かせる。これが4333Bの最大の特長であり、JBLモニターで最も周波数レスポンスがナチュラルな、完成度が非常に高い傑出した製品だ。

JBL 4333A

井上卓也

ステレオサウンド 62号(1982年3月発行)
「JBLスタジオモニター研究 PART1」より

 3ウェイ構成の最初の製品が、4333であることは、前述したが、本格的な3ウェイ構成らしい周波数レスポンスとエネルギーバランスを持つシステムは、4333Aが最初であろう。4333Aでは、エンクロージュア外観が変わり、バッフルボード上のユニット配置とバスレフダクト位置が大きく修正されるとともに、板厚もバッフル板を除き従来の約19mmから約25mmに増加している。
 使用ユニットは4333と変わらないが、エンクロージュアの強化により、重量感があるパワフルな低域をベースに、充実した中域とシャープに伸びた高域が、3ウェイ構成独特のほぼフラットな周波数レスポンスを聴かせ、システムとしての完成度は、ある意味で頂点に達した感がある。

JBL 4333

井上卓也

ステレオサウンド 62号(1982年3月発行)
「JBLスタジオモニター研究 PART1」より

 4320、4325がレコーディングスタジオで多用されるようになると、スタジオ関係者の間では、使用体験を通して、次第に改良すべきポイントがクローズアップされてくることになる。
 それは、時代が要求する音楽の変遷に起因するモニタースピーカーへの要求条件でもあり、スピーカーシステムとしての完成度の高さを求める声でもあったわけだ。それを要約すれば、低域レスポンスの改善と、最大出力音圧レベルの向上が望まれていた。
 これらの要求に対するJBLの回答は、4320が登場して約二年後に、4331の開発としてあらわれる。
 4331は、JBLモニター初の3ウェイ構成を採用した4333と同時期に発表された。それまでのモニターシステムは、2ウェイ構成が最適とされていたが、JBLは4333を登場させることで、いわば常識を破り、この時期から、マルチウェイ化の方向が、JBLモニターにあらわれてきた点に注意したい。

JBL 4333B

井上卓也

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「’81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 C50SM、4320、4333と続くJBLスタジオモニターの正統派のラインを受継ぐ最新作。低音は独自の構造のフェライト磁気回路の採用で、従来の4333Aと較べ、エネルギーバランスが格段に優れ、システムとしての性質も大人っぽく完成度を高めた。使用するアンプ系は、並の製品では低域に破綻を生じやすく、本来の性能を引出せない。システムとしてのまとまりの良さは4343B以上で、さすがにプロ用モニターだ。

JBL 4333B

菅野沖彦

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「’80ベストバイコンポ209選」より

 3ウェイ・3ユニット構成のプレイバック・スタンダードといえる優れたモニターシステム。WXはウォールナット仕上げで家庭用にも違和感のないモデル。4面仕上げだからフロアータイプとはいい難く、しかるべき台、脚を必要とする。床にはベタ置きは成功率が低い。精緻で豊麗なサウンドはウェルバランスで、切れ込みの鋭さにもかかわらずうるさくない。低域は豊かに弾む。

JBL 4333A

菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’79ベストバイ・コンポーネント」より

 最もオーソドックスな3ウェイモニタースピーカーだ。音はあくまで精緻で正確無比、それでいて音楽の味わいを聴かせてくれるところが、やはりJBLの持っている良さである。

JBL 4333A

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

JBLモニターシリーズとして最高の完成度を誇る3ウェイ機だ。

JBL 4333A

瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

L300をいっそう綿密に仕上げた印象の音質。鑑賞用としても優秀。

JBL 4333A

瀬川冬樹

ステレオサウンド 46号(1978年3月発行)
特集・「世界のモニタースピーカー そのサウンドと特質をさぐる」より

 4331Aにスーパートゥイーターを追加しただけだが、この違いは相当に大きい。まず中高音域以上の音色が、リファレンスの4343に非常によく近づいてくる。ロス=アンヘレスの唱うラヴェルの「シェラザーデ」のように、音の微妙な色あいを大切にするプログラムソースでもそのニュアンスをかなのところまでよく表現する。音域が4343よりも少し狭いためか、音像の空間へのひろがりがわずかに減少するが、オーケストラのハーモニィもバランスをくずすことなく、いつまにかつい聴き惚れてしまうだけの良さが出てくる。構造上、やや高めの(本誌試聴室では約50cmの)台に乗せる方が中域以上の音ばなれがよくなるが、反面、低音域の量感が少なめになるので、アンプの方で4ないし6dBほどローエンドを補強して聴く方が、少なくともクラシックのオーケストラに関するかぎりバランス的に好ましい。これによって、音の充実感、そして高域に滑らかさがそれだけ増して、安心して聴き込める音に仕上ってくる。
 ただ、オーケストラのトゥッティでも弦の独奏やピアノの打音でも、しばらく聴き込むにつれて4331Aのところでふれたようなごく軽微な箱鳴り的なくせが、4333Aにも共通していることが聴きとれるが、しかしハイエンドを十分に延ばしたことが利いているのか、4331Aほどにはそれが耳ざわりにならないのは興味深い。
 このJBLの新しいモニターシリーズを数多く比較しているうちに気のつくことは、スーパートゥイーター♯2405に多少の製品の差があるということ。たまたま、リファレンスに使っている4343のトゥイーターと、試聴用の4333Aのそれとの違いがあったのかもしれないが、少なくとも本誌試聴室での比較では、4333Aの高域の方が、4343よりも音のつながりがスムーズに思えた。そのためか、とくにジャズ、ポップスのプログラムソースの場合に、4343よりもこちらの方が、高音域での帯域に欠落感が少なくエネルギー的によく埋まっている感じがして、パワーを思い切り上げての試聴でも、ポピュラー系に関するかぎり、4333Aの方が、線の細い感じが少なく、腰のつよい明るい音が楽しめた。反面、クラシックのソースでは、とくにオーケストラのトゥッティでの鳴り方は、4333Aでは高域で多少出しゃばる部分があって、4343のおさえた鳴り方の方が好ましく思える。そして相対的には、4343の方が音全体をいっそう明確に見通せるという印象で、やはりグレイドの差は争えない。
 アンプの音の差はきわめてよく出る。この点では4343以上だと思う。試聴条件の範囲内では、すべてのソースを通じてモニター的に聴き分けようというにはマランツ510Mがよく、低音の量感と音のニュアンスを重視する場合にはSAE2600がよかった。

JBL 4333A

菅野沖彦

ステレオサウンド 46号(1978年3月発行)
特集・「世界のモニタースピーカー そのサウンドと特質をさぐる」より

 JBLの4333Aは、別記のベイシックモデル4331Aと同じエンクロージュアを使って、最高域(8kHz以上)に2405スーパートゥイーターを加えた3ウェイシステムである。4331Aの項でも述べたように、これが、JBLのモニターシリーズの代表的位置に存在する、もっとも標準的なプロフェッショナル・モニターである。3ウェイ構成をとっているために、当然レンジは拡がり、最高音の再生は、このほうが勝る。高域の繊細な音質、それによる細かな音色の判別には一段と威力を発揮する。しかし、4331Aのほうが、バランスとしてはよくとれている……というより、とりやすいという印象もある。このシステムの最高域を受けもつ2405は、優れたトゥイーターであるが、やや質的に異質な感触をもっていて、不思議なことに、低域の感じに影響を与え、2ウェイのほうが、低域がよく弾み、しまっているようである。3ウェイと2ウェイのメリット・デメリットは、こうして聴くと、ここのユーザーの考え方と嗜好で決める他ないように思われてくるのである。ただし、一般鑑賞用としての用途からいえば、4333Aの高域レンジののびは効果として評価されるのではないだろうか。弦楽器のハーモニックスや、シンバルの細やかな魅力は、スーパートゥイーターの有無では、その魅力の点で大きく異なってくるからである。

JBL 4333A

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 定評あったモニタースピーカー♯4320が製造中止になって以後、マイナーチェンジを頻繁にくりかえして暗中模索していたかにみえたが、この4333Aになって、ようやくJBLはワンステップ前進して、新しいモニタースピーカーを完成させることに成功したと思う。Dレンジ、Fレンジともきわめて広く、フレッシュでリアルな音はどんな音量でもその魅力を失わない。4343には一歩譲るが、しかし優秀な製品だ。

JBL 4333A

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 L300より若干価格の高い、プロ用モニタースピーカーで、A型になって従来の4333よりエンクロージュアが、さらに強化され、デザイン的にも僅かながら変更を受けた。JBLの代表的な高級システムであり、比較的コンパクトでもあるので、スタジオだけでなく一般家庭でも使いやすい製品である。その再生音は、広いレンジにわかり過不足なく、プログラムソースを鳴らしきる。

JBL 4333A, L300

瀬川冬樹

ステレオサウンド 41号(1976年12月発行)
特集・「世界の一流品」より

 JBLのスタジオモニター・シリーズの中で最初に評価されたのが#4320であることはよく知られているが、さかのぼればその原形は、プロフェッショナル部分を設立するよりはるか以前のC50SM型モニタースピーカーにはじまっている。C50SMにはS7(LE15A+LE85の2ウェイ)とS8(LE15A、375、075の3ウェイ)の二つの型があった。エンクロージュアのデザイン(外観および外形寸法)は#4320も全く同じだがC50SMの構造は密閉箱だったため、低音の伸びが悪く寸詰まりの感じで、良いスピーカーだという印象があまり残っていない。そのC50SM−S7を位相反転型に改良し、クロスオーバー周波数を800Hzに変更(S7は500Hz)したものが#4320だと思えばいい。こまかいことをいえばユニットその他相異はあるが大づかみにはそういう次第で、したがって#4320はプロ部門設立と同時にある日突然生まれたモニターではなく、C50SM−S7以来の十数年のつみ重ねがあったわけだ。
 #4320は、低域およびウーファーとトゥイーターのクロスオーバー附近での音質の問題点が指摘された結果、#4330および31に改良された。さらに高域のレインジを拡げるためにスーパー・トゥイーター#2405を加えた3ウェイモデルの#4332、#4333が作られた。しかしこのシリーズは、聴感上、低域で箱鳴りが耳につくことや、トゥイーターのホーン長が増してカットオフ附近でのやかましさがおさえられた反面、音が奥に引っこむ感じがあって、必ずしも成功した製品とは思えなかった。
 #4333を基本にして、エンクロージュアの板厚を、それまでの3/4インチ(約19mm)から、1インチ(25mm強)に増し、補強を加えて作ったコンシュマーモデルのL300は、家庭用スピーカーとしては大きさも手頃だし、見た目にもしゃれていて、音質はいかにも現代のスピーカーらしく、繊細な解像力と徴密でパワフルな底力を聴かせる。音のぜい肉を極力おさえた作り方で、ダブついたような鳴り方を全くせず、やや線の細い鋭敏でシャープな音がする。
 こうしてL300が完成してみると、#4333の問題点、ことにエンクロージュアの弱体がかえっていっそう目立ちはじめた。そのことにJBLもとうぜん気付いたのだろう。#4333のエンクロージュアの板厚と強度を増すと同時に、位相反転のチューニングを変更し、タテ位置にもヨコ位置にも自由に使えるよう、ユニットの取付け方にくふうを凝らすなど、こまかな改良を加えた#4333Aを発売した、という次第である。#4333よりはL300が格段に良かったのに、そのL300とくらべても#4333Aはむしろ優れている。従来、内蔵ネットワーク型とマルチアンプドライブ専用型とに分かれていた#4332と33とが、#4333Aでは兼用型となったのも便利だ。

JBL 4331A, 4333A, 4343

菅野沖彦

ステレオのすべて ’77(1976年11月発行)
「海外スピーカーをシリーズで聴く」より

 JBLの新しいプロシリーズは一層洗練された。その代表的なものは4333Aと4343の二機種である。4331は2ウェイで私としては、どうしてもトゥイーター2405をつけた4333Aでありたい。シリーズとしては文句のつけようもない端然とした系統をもっており、音にも製品企画にもJBLらしい並々ならぬメーカー・ポリシーがあり感心させられるのである。真の意味でのスピーカーの芸術品と呼びたい妥協のない製品群で、今時、他に類例を見ることができない。

JBL 4331A, 4333A, 4343

瀬川冬樹

ステレオのすべて ’77(1976年11月発行)
「海外スピーカーをシリーズで聴く」より

 4320以降のJBLのスタジオ・モニターシリーズの充実ぶりは目を見張るものがあるが,最新型の3機種を聴いて、このシリーズが一段と高い完成度を示しはじめたことを感じた。シリーズとしては4333Aからあえてスーパー・トゥイーターを除いた4331Aの必然性には少し疑問を感じる。新型の4343は単に4341の改良型であることを越えて、すばらしく密度の高い現実感に溢れる音で我々を魅了し尽くす。

JBL 4333

瀬川冬樹

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 素晴らしくレインジが広くフラットで、あらゆる音に鋭敏に反応する。確かにすぐれたモニタースピーカーのひとつだと思う。4320よりもいろいろな面で改良の跡がみえる。

JBL 4333

井上卓也

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 定評のある4320を凌ぐ中型モニターシステムである。聴感上のfレンジが一段とワイド化され、とくに、滑らかな高域とダイナミックな低域は近代モニターらしい。

JBL 4333

菅野沖彦

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 アメリカJBLの代表機種にふさわしいモニターシステムで、概観も音も実にかっこういい。大パワーでドライブした音のリアリティで右に出るものは同じJBLだけだ。