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フィッシャー ST-550(組合せ)

岩崎千明

コンポーネントステレオの世界(ステレオサウンド別冊・1976年1月発行)
「スピーカーシステム中心の特選コンポーネント集〈131選〉」より

 かつては全米ナンバーワンの規模を誇るアンプメーカーとして、フィッシャーは米国内ハイファイ業界の良識派を代表するものであった。創始者が交替した今日、フィッシャーはアンプメーカーとしてよりもブックシェルフ型スピーカーのメーカーとしての姿勢を強めているが、そのサウンド志向はアンプメーカーだった場合と何ら変ることなく、代表的イースト・コースト派としてヨーロッパ指向の強いサウンドを身上とする。
 ST550は、その最高級ブックシェルフ型としてはもっとも大型で38cmウーファーを収め、全指向性を狙って左右に配した中音、高音のドーム型ユニットが特徴だ。耳あたりの良いソフトな音色バランス、ボリュウムを上げていくと底なしの重低音に、ブックシェルフ型で或ることを忘れさせてしまうほど強力かつ雄大で、品の良い中域以上の弦の美しさも特筆できよう。
 つまりクラシック音楽、それもオーケストラなどにもっとも力を発揮しそうだ。ここではフィッシャーのサウンドのセンスあふれる高いクォリティを活かそうと、豊じょうな良さを秘めるケンソニックのM60を組合せイーストコースト志向を意識した。

スピーカーシステム:フィッシャー ST-550 ¥249,000×2
コントロールアンプ:アキュフェーズ C-200 ¥165,000
パワーアンプ:アキュフェーズ M-60 ¥280,000×2
チューナー:アキュフェーズ T-101 ¥110,000
プレーヤーシステム:デュアル 701 ¥118,000
カートリッジ:オルトフォン M15E Super ¥31,000
計¥1,482,000

フィッシャー ST-550

瀬川冬樹

ステレオサウンド 29号(1973年12月発行)
特集・「最新ブックシェルフスピーカーのすべて(下)」より

 ジョーダン・ワッツのGTやセレッションのディットン25などのところでも言ったことだが、スピーカーの音の鳴らし方に、いわゆる高忠実度をねらったものばかりでなく上質の伝統的な電気蓄音機の音──言いかえれば音色を巧みにコントロールして、家族そろって音楽でくつろぐことのできるような快い音を作ろうという方向があるので、このフィッシャーもそういうカテゴリーのスピーカーではないかと考えないと評価が大幅に変ることになるだろう。この音は鳴りはじめからたいそう気持のいい、アトホームな寛ろいだ雰囲気がかもし出され、ディットン25が自然な響きを大切にした音ならフィッシャーはもう少し人工的な、あるいは自然食品に対する人工食品のおいしさ、あるいは良くできた缶詰のおいしさを思わせる。音楽に必要なディテールは大掴みながらもきちんと鳴らすが、総体に鷹揚な鳴り方には大型アメリカ車の走行の快さと一脈通じるところがある。この種の鳴り方を必ずしも好きでない私の耳にさえ、何とも楽しく気持の良い音に受けとれるというところに、このスピーカーが決していいかげんに作られたものではない実力を感じる。

周波数レンジ:☆☆☆☆
質感:☆☆☆
ダイナミックレンジ:☆☆☆☆
解像力:☆☆☆
余韻:☆☆☆
プレゼンス:☆☆☆
魅力:☆☆☆

総合評価:☆☆☆

アルテック Magnificent, Valencia, Verdi, フィッシャー XP6, XP15, XP33

アルテックのスピーカーシステムMagnificent、Valencia、Verdi、フィッシャーのスピーカーシステムXP6、XP15、XP33の広告(輸入元:秘本楽器)
(スイングジャーナル 1967年11月号掲載)

ALTEC

フィッシャー 700T

瀬川冬樹

ステレオサウンド 3号(1967年6月発行)
「内外アンプ65機種の総試聴記と組合せ」より

 さすがに手馴れたもので欠点は無いが、輸入して24万円強という価格では、これでなくてはという魅力に乏しい。