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ヤマハ NS-1000M

井上卓也

ステレオサウンド 71号(1984年6月発行)
特集・「クォリティオーディオの新世代を築くニューウェイヴスピーカー」より

 発売当初は、スリリングなまでに鮮烈なイメージを受けた独自のサウンドも、年月を経過するにしたがい、現在では激しさは姿をひそめ、むしろ、ナチュラルで、標準的な音をもったシステムという印象だ。
 この変化は、単に時代の変化という言葉で片づけることもできようが、その背景には、数多くの要素が複雑に絡みあっていると思う。
 まず、スピーカーシステムは、その基本的な部分が機械系のメカニズムをもつためいわゆるメカニズムとしての熟成度の向上が大きい要素だろう。平均的に言って、スピーカーシステムでは、試作段階のタイプより、生産ラインに乗せてひとたび生産ライン面でのクォリティコントロールが確保されてからの製品のほうが、よりスムーズで、穏やかな、安定感のある音となる傾向が強いようだ。
 経験上では、NS1000Mもこの好例のひとつで、初期の製品よりも、序々に生産台数が増加するにつれ、角がとれた大人っぼい印象の音に変化をしている。
 また、ある期間にわたって使い込んでいく間にみせるエージングの効果も明瞭にあり、前にも述べたが、トゥイーターの音が滑らかになるとともに、スコーカーは、受持帯域の下側が豊かになり、ウーファーとのつながりが厚く、一段と安定感のあるバランスに移行する。
 一方、超ロングセラーを誇るモデルだけに、細部のモディファイやリファインが行われているようで、気のついたことをあげれば、まず低域の質感と音色の変化である。初期製品は、中低域の量感を重視した、当時新開発のコーン紙を採用していたためか、いわゆるダイナミックな表現力を志向して、重低音と感ずる帯域に、力強く、ゴリッとした印象のアクセントを持っていた。しかし、しばらく期間が経過した後に、重低音の力強さは一歩退き、豊かで、まろやかな質感へと変化している。
 当然のことながら、材料の性質をナチュラルに活かしたものとして好ましいモディファイであると思う。ちなみに、巷の話では、現在の中低域の豊かさを保ちながら、重低音の厚み、力強さが出ればベスト、といった説明や解説がみられる。質的なものを犠牲にすれば、不可能ではないが、質的なレベルを維持するかぎり、平均的な構成の3ウェイシステムでは、ウーファーの受持帯域内の聴感上のレスポンスは重低域を重視すれば、中低域の量感は減じ、逆に、中低域の量感を得れば、垂低域のアクセントは消失するもので、それを両立させようという要求は、原理的に不可能な要求である。
 その理由は、特別な処置をしないかぎり、アンプからウーファーのボイスコイルに送られるエネルギー量は一定であるからだ。現実にコントロールできるのは、この一定のエネルギーを、聴感上で、どの帯域に分布させるかが、チューニングの基本である。もちろん、機械的な共振や空気的な共鳴を利用すれば、聴感上でのエネルギー感は増加をするが、クォリティの確保はできない。
 話題が少し外れたが、再びNS1000Mに戻れば、低域の変化に続いて、この低域とバランスをとるためか、高域の音の輪郭が少し強調され、表現を変えれば、質感が少し粗いと感じられたこともあった。
 また、2〜3年前頃だと思うが、ネットワーク関係が見直され、中域、高域のクォリティが向上し、音場感的な空間情報量が豊かになり、聴感上でのSN此が改善されるというリファインもあった。
 もちろん、振動板系においては、他の金属と合金を作りやすい特徴を活かした素材的な進歩があり、品質の向上が早いテンポでおこなわれる接着剤関係の改良、そして配線用線材なども、おそらく変更されているのではないかとも思われる。
 熟成し、完成度が高い現在のNS1000Mは、平均的には、使いやすいタイプである。なお、5モデルのスピーカーは、パイオニアP3aとオルトフォンMC20II、ソニーCDP701ESS、デンオンPRA2000Z、POA3000Zを組み合わせて試聴をおこなった。
 置台には、表面にビニール系のテーブルクロス状の布を張った本誌試聴室で使っているコンクリートブロックを、一段、横置きにして使う。左右間隔は、底板が半分乗った基準位置、前後方向は、中央より少し前側が、この部屋では好ましい位置だ。
 順序に従って、ユニット取付ネジなどの増締めを行なうと、その効果もクリアーで、かなり、リフレッシュしたサウンドに変わる。
 使いこなしの要点は、左右スピーカーを、メーカー指定とは逆に、アッテネーターが外側にくるようセットすることである。その理由は、大きなヤマハのエンブレム、2個のアッテネーターパネルとツマミからの輻射や雑共振が、中高域から高域の音を汚しているからで、逆に置けば、聴感上のSN比は向上し、音場感的な拡がりは明瞭にクリアーになる。
 概略のセッティングを完了し、ここでスピーカーコードを常用のFケーブルから日立製OFC同軸コードの外皮を+、芯線を−とする使用に変える。Fケーブルでの、中域重視型ともいえる、ややカマボコ型のレスポンスが、フラット傾向の誇張感のない、ややワイドレンジ型になり、分解能が一段と向上した反応の早い音は、現時点でも立派だ。
 結論としては、完成度が高く、構成部品のバランスが優れているところが、このモデルの際立つ特徴で、使い込めば、現代でも第一級のクォリティが得られる見事な内容を備える。ただし、ウーファー前面のパンチングメタルの共鳴が少しきついのが、アキレス腱的存在である。しかし、取外したとしても、トータルバランスは劣化するから要注意。
 組み合わせたのは、音場感情報が多くなったアンプと重量級CDのペアだ。使いこなしの要点を整理し、順序を守ってトライすれば好ましい結果は比較的容易に得られよう。

ユニットの美学──ヤマハNS1000M以降、現代日本スピーカーの座標を聴く

井上卓也

ステレオサウンド 71号(1984年6月発行)
特集・「クォリティオーディオの新世代を築くニューウェイヴスピーカー」より

 現在の日本のオーディオ産業の実力は、もはや、その質、量ともに、世界の頂点に位置づけされるまでに到達している。
 しかし、その実力を発揮出来るのはエレクトロニクス技術にもとづくアンプ、チューナー、カセットデッキ、そしてCDプレーヤー、PCMプロセッサーの分野であるとする見解もある。トランスデューサー関係のスピーカー、カートリッジ、マイクなどの分野では、いまだに欧米製品に一日の長があるとするその見解は、根強く残っているようすである。
 スピーカー関係に的を絞って考えれば、たしかに1970年代までは、欧米製品の優位性を認めることはできる。しかし、それ以後、海外メーカーの開発能力に一種の陰りが見受けられ、かつてのように際立った新製品の登場が稀になっていることに加えて、国内製品は、新素材の導入、新技術の開発を繰り返してその水準はここ数年のあいだに確実に向上し、世界のトップランクの位置を確保しようとしているようだ。
 欧米メーカーといっても、国内市場で名実ともに認められたブランドは、予想外に少ない。それらのメーカーの特徴は、かつてはとても国内製品に望めなかった、優れた基本設計と材料をベースに充分な物量を投入して開発した強力なスピーカーユニットにあったわけで、米国系のアルテック、JBLや、英国系のタンノイが典型的な例であることは、いうまでもない。
 この、いわば強力なスピーカーユニットをベースにしたシステムづくりの動向は、国内製品にも強い影響を与えたのは事実である。ここしばらくは、ユニット開発を最優先とした傾向が強かったことが、国内製品の最大の特徴であろう。
 ことに、振動板関係の新素材の導入と開発はますます激化し、ベリリュウム、ボロン、航空・宇宙開発の産物であるハニカムコアに各種のスキン材を組み合わせたタイプ、カーボングラファイト、発泡軽金属、カーボン繊維などと、新素材の導入は、いまや珍しいものではなく、感覚的には、常識化されているといっても過言ではあるまい。
 現在では、普及機クラスのシステムにおいても、平均的な傾向は、物量投入型である。強力なユニット、オーバーデコレーション気味のデザインが標準であり、この二点が国内製品の特徴を明確に示している。
 残された問題は、エンクロージュア関係のチューニング技術の確率や、ネットワーク系、磁気回路系の内部的、外部的な干渉や妨害の検討を含め、総合的にバランスの優れたシステム開発を行うことである。
 現在の国内スピーカーシステムの実力を聴くために選んだ機種は、価格的に10万円を少し超した価格帯の製品であり、形態的には、ブックシェルフ型のモデルである。
 簡単に考えると、現在市販されているスピーカーシステムのなかで、いわゆるシスコン用としてメーカー独自のトータルシステムにも組み込まれるタイプを除いて、単体のコンポーネントと思われるランクの製品は、5万円前後の製品以上としてよいであろう。
 この、5万円をボーダーラインとする考え方は、スピーカーの分野に限らず、プリメインアンプやカセットデッキなどでも、従来から慣例的に行われてきたことである。いわゆる、〝売れ筋〟という表現でいえばスピーカーシステムにおいても従来から最大の需要をまかなってきた価格帯の製品だ。
 さらに細かく分類すれば、5万円前後とはいっても、5万円未満の25~28cm級ウーファー採用の3ウェイ構成の製品と、5万円以上の30~33cm級ウーファー採用の3ウェイシステムに区別されるが、ここでは、後者の価格帯の製品についてその内容を眺めてみよう。
 いわゆる標準的なブックシェルフシステムという見方をすれば、30cm級以上のウーファーを採用しているだけに、エンクロージュアの外形寸法は、このクラスですでに標準サイズ的な大きさになり、ユニット構成が3ウェイ方式であるかぎり、10万円以上のクラスの製品にいたるまで、この外形寸法にさして変化はない。これが、ブックシェルフ型システムの国内製品に見られる特徴である。
 一方、デザイン面から見ても、いわゆる売れ筋の価格帯の製品であるだけに外観は重視され、基本的に音質、性能と関係のない装飾用のオーナメント類にかなりの予算が投入されている。これは、むしろ10万円以上のクラスの製品よりも華美をきわめているといってよいだろう。
 このデザイン面と共通したこととして、国内のブックシェルフ型システムは、その初期から、取外し可能なサランネットが標準装備であり、この部分についても10万円以上の製品と変わらない必須条件とされているようだ。
 6万円前後のブックシェルフ型システムは以上の2点のような、より高価格なシステムと共通の要求条件を満たしながらも価格を守り、しかも年々その内容は次第に高まってはいる。しかし、エレクトロニクス関係が計算機付クォーツ時計の例のように急速に価格低減が可能な特徴をもつことに比較して、基本的にメカニズムであり、単純な構造をもつだけに、スピーカーの合理化による価格の低減は非常に至難の技である。すでに現状で、価格を維持すれば、その内容的な向上は飽和領域に入っている思われる。
 短絡的な表現をすれば、2000ccの排気量の自動車に、より排気量の少ない平均的な効率のエンジンを搭載した車種、といった比喩ができるのが、このクラスのブックシェルフ型システムといえる。
一方、10万円後半から20万円クラスのブックシェルフ型システムを見れば、外形寸法的にもかなりの自由度があり、ユニット構成も、3ウェイ方式、4ウェイ方式と共通性は少ない。したがって、平均的に、国内製品のスピーカーシステムの実力を試す目的には、やや外れた印象がある。やはりこのランクは、ブックシェルフ型システムのスペシャリティクラスと考えるべきで、それだけに、いわゆるオーソドックスな使いこなしのノウハウがなければ、簡単にはその高い物理的性能を音として還元しきるものではないと考える。
 現状では、10万円前半の価格帯のブックシェルフ型システムが、コンポーネント用としては、標準的な性能と内容を備えた製品である。
 この価格帯のブックシェルフ型として定着したのは、ヤマハのNS1000Mが、その最初の製品であり、現在に至るまで、稀に見る超ロングセラーを誇っているモデルである。
 標準的な仕上げと前面にサランネットを備えた、家具としても見事な仕上げをもつNS1000の、米国流にいえばモニター仕上げタイプとして開発されたNS1000Mは、当時としては、非常に個性的なブラック仕上げのアクセントの強いデザインで登場した。いわゆるエキゾチックマテリアルとして注目を浴び、当時としては驚異的なベリリュウム振動板を採用して、高域ドーム型ユニットは鮮烈なシャープネスを得、ブックシェルフ型の当時のイメージとは一線を画したダイナミックな低音により検聴用モニター的な受取りかたがされた。そして、急速にファンを獲得して不動の地盤を形成し、現在に至っている。
 この間、各社からそれぞれ強力な内容を備えた、価格的にも15万円クラスまでの挑戦者が送り込まれたが、NS1000Mを倒すまでにはいたらず、姿を消していった製品の数も多い。
 しかし、昨年来より再び、価格的にもNS1000Mに焦点を合わせた新製品が登場しはじめ、この価格帯の状況は、にわかに興味深いものになりだしたようだ。
 私見ではあるが、NS1000Mが超ロングセラーを誇る理由をここで考えてみたい。発売時期の1975年でさえ、現在の物価感覚と比較して、当時としては非常に高価な145000円のNS1000と同じユニットを採用したモデルであっただけに、108000円というその価格は、もともと価格対満足度の優れた製品であったことが最大のポイントである。つまり、強力なユニットをベースとして開発された特徴は、JBLやアルテックなどの製品のもつ優位性と共通であり、物価上昇を加味すれば、それ以後に登場する挑戦モデルは、開発が新しいほど不利になる。
 もちろん、価格を維持する目的と性能を向上する目的からNS1000Mもモディファイはされている。しかし、ウーファーと同等の強力な磁気回路とボイスコイル直径65mmのベリリュウムダイアフラムを採用したスコーカーは、エージングが進むにつれてウーファーとのつながりの部分が豊かになり、低域から中域の厚みが充分にあることがわかる。これは、NS1000Mの特徴で、比較的に使いやすく、音に安定感があり、ピアノの音の魅力ある再生に代表される好ましいキャラクターが、他のシステムにない強みとなっているようだ。
 例えば、スピーカーのセッティングに少しの問題を残したとしても、このスコーカーの威力は非常に大きく、場合によっては、3ウェイ方式ながらもスコーカーだけですべてのバランスをとっているといってもよい鳴りかたをするように思う。
 一方において、プログラムソース側の質的な向上や、ドライブをするアンプ側の確実な進歩も、現時点でいえば、物量投入型のシステムの力を引出す、背景にもなっていると感じる。
 結果としては、強力なスコーカーの存在がNS1000Mの鍵を握ってはいるが、このシステムは、いわゆるユニット最優先型の国内製品とは異なった部分がある。
 それは、次の各点である。第一に、完全密閉型のエンクロージュアは、一般型とは構造が異なり、かつてのタンノイ社のレクタンギュラーヨークに代表される欧州系の手法と思われる、エンクロージュア内部に中央を抜いた隔壁をもつ特異なタイプであること。第二に、吸音材処理方法に独自の手法が見受けられること。第三に、モニター仕上げであり、サランネットがないために、試聴時にはネットを外し、実際にはネットを取付けて聴くという、特性的にも音質的にも問題を残す国内製品独特の特異性が基本的に存在しないこと、などである。また、システムを構成する各パートのバランスが、当時としては異例に高かったことが、潜在的な特徴であると思う。
 このNS1000Mを中心に比較するシステムは、昨年来より急激に物量投入型の開発をはじめたパイオニアS9500を筆頭に、特許問題で最適な材料が使いにくいポリプロピレン系の振動取を脱皮してカーボンクロスコーンを新採用したオンキョー/モニター2000、独自の優れたハニカム構造の平板型ユニットを推進するテクニクスSB-M3、ユニット構造の基本から洗いなおした小型高密度タイプのダイヤトーンDS1000の4機種を加えた5機種で、現在の国内スピーカーの実力を聴いてみようということになった。
 結論からいえば、このクラスの製品を選んでおけば、あとは使いこなし次第でかなり高度な要求にも応えられるであろうし、今後、長期間にわたり、安心して楽しむことができるとすれば、価格も高くはない。
 現在の各コンボーネントのなかで、もっとも基本性能が高度なものは、エレクトロニクス系のアンプであろう。例えば、歪率(THD)をとってみても、スピーカーシステムに比較すれば、2桁は異なるはずだ。
 しかし、その優れた特性のアンプも、特性の劣るスピーカーで聴かなければ音質は判からない。これは、かのオルソン氏の、現在でも通用する名言である。
 最近の傾向として非常に困ったことは、スピーカーというのは、買ってきて、例えば、コンクリートブロックの上に乗せて結線をすれば、それで正しく鳴るものだ、とする風潮である。
 かつては、スピーカーシステムを使いこなすことに悪戦苦闘をすることは常識でさえあり、故瀬川冬樹氏のように、異常とも思える情熱をスピーカーの使いこなしに注いだ人もいたが、最近では雑誌も興味がないらしく、表面的な、床に近く置けば低音再生に有利になり、壁に近く置いても同様とする程度の認識で、セッティングに関してのかつての常識は、もはや皆無といってさえよいようだ。いまどきオーディオに携わる人々が、スピーカーシステムの置き台の差や、わずかのセッティングのちがいで音が大幅に変化することに驚いていたりすること自体が、大変に奇妙な話である。そればかりでなく、左右のスピーカーの置き台が異なっていても平気で製品の試聴をおこなう例などはもはや論外ともいうべきである。また、メーカーがセッティングした試聴の場合でも、左右のスピーカーコードの長さが異なっている例や、場合によっては、長いコードがコイルのように巻かれたままになっていることに驚かされるのは、いつものことなのである。
 この、使いこなしの不在。つまり、シスコンのように、買ってきて配達の人にセッティングをして賓ったらそれで終り、とする風潮がオーディオを面白くないものとし、オーディオビジネスを不況に導いた最大の理由なのである。
「コンポーネントシステム」というからには、各製品を選択し、基本に忠実にセッティングをしたときが終着駅なのではなく、その時点が実は出発点であるはずである。
 スピーカーシステムを新しく購入したとしよう。このときに要求されるのは、スピーカーのセッティングではなく、まず、従来から使用してきたシステムの総占検なのである。ここでは、細部にわたり書くだけの紙数がないために、基本的な部分のみ簡単に記しておく。
■AC電源関係
①プリメインアンプなどのアンプ類は、壁のコンセントから直接給電する。セパレート型は、プリアンプ、パワーアンプを、それぞれ壁コンセントから単独に給電する。不可能な場合は、大容量のコードを使ったテーブルタップを使う。
②アナログプレーヤーも①に準ずるが、プリアンプのACアウトレット使用時は、アン・スイッチドから給電する。
③デジタル系のCDプレーヤーは、アンプ系と異なる壁コンセントから給電する。
④AC電源の極性は、対アース電位の低い方を基準とする。メーカー側で極性表示をしてある場合でも、マーク側がホットか、グランドかは、メーカーによっても異なるし、場合によれば、同一メーカーでも、アンプとアナログプレーヤーで異なる例もあり、実測が基本である。
⑤アナログプレーヤー使用時は、CDプレーヤー、FMチューナー、TV、VTRなどの電源スイッチはOFFにする。
⑥アナログプレーヤーの近くに照明用に螢光灯は使ってはいけない。
■結線関係
①RCAピンコードは、よく吟味をし、最適なものを選択するとともに、プラグの先端-分、アンプなどのジャック部分をクリーニングする。
②スピーカーコードは、左右同じ長さを使用し、スピーカーに給電する経路、位置などを左右対称にするとともに、最短距離にカットして使う。また、端末処理は芯線を切らないように注意し、ターミナルは確実に締めること。
 線材は、平行2線タイプの充分に容量のある線を基本とし、チューニングアップ時には、同軸型、スタッカード型などの構造的な違いや、OFC、LC-OFCなどを状況に応じて試用する。
■セッティング関係(スピーカー以外)
①アナログプレ-ヤーの設置場所は、充分に剛性があり、固有の共鳴や共振がない場所を選び、ハウリングマージンに注意する。カートリッジの針圧は、MC型、MM型を問わず、最適針圧を中心に0・1gステップで軽・重両側に調整する。
②アンプ関係は、積み重ねず、アナログプレーヤーに準じた状況に置くこと。
③CDプレーヤーの置き場所は軽視されがちだが、アナログプレーヤー以上に置き場所の影響を受けるため、設置場所は、充分に注意をし、誤ってもプリアンプなどの上に乗せて使用しないこと。
 概略して以上の諸点は必ずチェックをしていただきたい最少限のことである。
■スピーカーのセッティング
①左右の条件を可能なかぎり同等にする。
②置き台に乗せるときには、グラつきを抑えないと低音の再生能力は激減する。
③置き台にグラつきや、ガタがある場合には床と置き台の間に適当なスペーサーを入れスピーカーと置台の間には入れないこと。
④一般的なコンクリートブロックを使う場合を例にする。簡単にするために、横方向に一段だけ使うとすれば、左右ブロックの間隔は、スピーカーの底板がブロックに半分かかる位置が基準。前後方向の位置も、底板に対してブロックの前後が等しくなる。つまり、ブロックの中央に置く位置が基準。
 左右の間隔は、システムの低域のダンピングに関係し、広くすれば、明るく、開放的な傾向を示し、低域の量感も増す。狭くすれば、制動気味になり、タイトな低域になるが、量的には減る傾向を示す。
 順序は左右間隔の調整を先行させる。
 最適間隔を決定後、前後方向の位置決めをする。変化量は、ウーファー帯域のレスポンスが変化した印象となり、前に動かすと、低域の下側の量感が増し、ややモニター的な音となる。後に動かすと、低域の上から中低域の量感が増し、伸びやかな音になる傾向がある。左右、前後とも極端に動かし、傾向をつかんでから、少なくとも、2~3cmきざみで追い込む。
⑤ブロックとスピーカー底板の間には、フェルトなどのクッション兼ダンピング材を入れ、ブロックの固有共鳴を抑える。ブロックのカサカサした響きが中域以上に悪影響を与えるからである。
⑥ブロックと床面、それにスピーカー底板で形成する空洞の反射、共鳴を避けるため、吸音材的なものを軽く充たす。これは、中域以上の分解能、SN比を飛躍的に向上させる決め手として重要な処理だ。
■ユニットの増し締め
 概略のセッティング終了後、高域・中域・裏板部分のスピーカー端子取付ネジ・低域の順序でステップ・バイ・ステップ、結果を確認しながら適度の増し締めをす
る。概略的には1/8~1/16回転ほどの余裕を残して増締めをすること。とくに木ネジの場合は、「適度な増し締め」を絶対に厳守されたい。ネジ構造は、ゆるめて取外してみれば明瞭だ。無理な増締めは故意の破壊であり、クレームの対象とはならないことを、くれぐれも注意していただきたい。

ヤマハ NS-1000M, ビクター Zero-5 Fine

黒田恭一

サウンドボーイ 10月号(1981年9月発行)
特集・「世界一周スピーカー・サウンドの旅」より

 スピーカーで音の世界めぐりをしてきて、最後に日本のスピーカーを2機種きいた。そこでまず感じたのは、ともかくこれは大人の音だということであった。充分に熟した音であり、かたよりがないということである。立派だと思った。どの国出身のレコードでも、つつがなく対応した。ヤマハのNS1000MとビクターのZER05FINEでは、価格の差があるので、そのクォリティについては一概にはいえないとしても、おのれの個性をおさえて、それぞれの方法でさまざまな音楽に歩みよろうとしている姿勢が感じられた。大人の音を感じたのは、おそらく、そのためである。
 とりわけ、ヤマハのNS1000Mは、立派であった。それぞれに性格のちがう音楽のうちの力を、しっかりと示した。ただ、たとえば、マーティ・バリンの歌の、粋でしゃれた感じをこのましく示したかというと、かならずしもそうはいえなかった。さまざまな面で、はきり、くっきり示しはしたが、独特のひびきのあじをきわだたせたとはいいがたかった。したがって、このマーティ・バリンだけを例にとれば、JBLのL112とか、あるいはボーズの301MUSIC MONITORの方がこのましかったということになる。ビクターのZER05FINEについても、同じようなことがいえる。
 こうやって考えてくると、ヤマハのNS1000Mにしろ、ビクターのZER05FINEにしろ、日本出身のレコードでそのもちあじを特に発揮したわけではないから、外国のスピーカーたちとちがって、お国訛りがないということになる。お国訛りというのは、いってみれば一種の癖であるから、ない方がこのましいと、基本的にはいえる。ただ、場合によっては、そういうスピーカーの癖が、レコードの癖と一致して、えもいわれぬ魅力となることもなくはない。シーメンスのBADENのきかせたニナ・ハーゲンやクラフトワークのレコードの音がそうであり、エリプソンの1303Xがきかせたヴェロニク・サンソンのレコードの音がそうである。
 癖があるのがいいのかどうか、とても一概にはいいきれない。同じ価格帯で比較したら、日本のスピーカーの多くは、平均点で、外国産のスピーカーを大きくひきはなすにちがいない。さしずめ、日本のスピーカーは3割バッターといたところである。そこへいくと、外国のスピーカーの多くは、ねらったところにきたらホームランにする長距離打者といるであろう。
 ただ、この場合、ききてであるかぼくが日本人であるために、日本のスピーカーのお国訛りが感じとれないとういこともあるかもしれないので、はっきりしたことはいいにくいところがあるが、日本のスピーカーは、ドイツのシーメンスのBADENをドイツ的というような意味で日本的とはいいにくいように思うが、どうであろうか。
 くりかえして書くが、、ヤマハとビクターのスピーカーは、大滝詠一やブレッド&バターのレコードもこのましくきかせたが、それと同じようにハーブ・アルバートやマーティ・バリンのレコードもこのましくきかせた。その意味で安心してつかえるスピーカーではあるが、きらりとひかる個性にいくぶん欠けるといえなくもないようである。

ヤマハ NS-1000M

菅野沖彦

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「’80ベストバイコンポ209選」より

 ヤマハNS1000Mは、まさに当社のスピーカーシステムを代表するプレスティッジ製品だ。3ユニット・3ウェイの大型ブックシェルフシステムで、プロのモニターとしても十分に責任を果すタフネスと、音の精緻さをもっている。プログラムソースの情報は正確に、緻密さと豊かさを、そして力強さを明確に再現するシステム。

Speaker System (accurate sound)

瀬川冬樹

続コンポーネントステレオのすすめ(ステレオサウンド別冊・1979年秋発行)
「第3項・アキュレイトサウンドはさらに二つの方向に分類される」より

 正確な音の再現を目ざして作られたスピーカーは、「モニタスピーカー(26項参照)」と名づけられた製品に多い。こんにちそれらの中でも世界的によく知られ、評価の高い製品として、たとえばJBLの♯4343や、KEFの♯105、あるいはヤマハNS1000MやテクニクスのSB7000などが例にあげられる。
 ところで、スピーカーに加えられた入力信号にできるかぎり忠実な再現、といっても、現実には、それがさらに二つの方向に分かれる。それは、音楽がすぐ眼の前で演奏されている感じが欲しいのか、それとも、良いホールのほどよい席で──演奏者から距離を置いて──聴く感じが欲しいのか、という問題だ。
 たとえばいま例にあげたスピーカーの中でも、JBLやヤマハは、どちらかといえば眼の前で演奏されている感じになるし、KEFやテクニクスは、ほどよい距離で聴く感じのほうに近づく。
 いうまでもなくこうした違いは、スピーカーの音よりもむしろレコードの録音の段階ですでに論じなければならない問題だが、しかし同じ一枚のレコード再生しても、スピーカーによって右のような違いを微妙に感じとることができる。ということは、原音、というイメージのとらえかたにも、大別してそのような二通りの態度がある、ということになるだろう。
 音を作る側、それを再生するパーツを作る側に、そうした態度の違いがあるのなら、とうぜんのことに、聴き手の側にも、そのいずれを好むかという好みの問題、ないしは音の受けとめかたの問題が出てくる。
 くりかえしになるが、眼の前で演奏している感じ、演奏者がそこにいる感じ、楽器がそこにある感じ、言いかえれば、自分の部屋に演奏者を呼んできた感じ、を求めるか。それとも、響きの良いホールないしは広いサロンなどで、ほどよい距離を置いて、部屋いっぱいにひろがる響きの美しさをも含めて聴く感じ、言いかえれば、自分がそういう場所に出かけて行って聴く感じが欲しいのか──。
 こうした違いを自分の中ではっきり整理しておかなくては、自分の望む音のスピーカーを的確に選びだすことが難しい。
 あまり高価でも大型でもないが、スペンドール(イギリス)のBCIIというスピーカーは、右の分類の後者──適度の距離を置いて美しい響きをともなって聴く感じ──の性格を色濃く持っている。だからもしこのスピーカーに、眼の前で演奏するような音の生々しさを求めたら、おそらく失望してしまう。ある人は「ピアノの音がひどくてがっかりしました」という。それは、ピアノをすぐそばで聴く感じを求めたからだ。逆に、演奏会場でのピアノを聴き馴れた人は、このスピーカーに大層満足する。
 部屋の条件という面からこのグループ──アキュレイトサウンド──のスピーカーに共通して言えることは、棚にはめ込んだりしないで周囲を適度にあけて、スピーカーがその性能を十二分に発揮できるように、設置の方法をいろいろくふうする必要のあることだ。つまりインテリア優先の場合には、避けたい──とまでは言いすぎにしても、このグループはあまり適当でない。あくまでも、シリアスな鑑賞のためのスピーカーだ。

Speaker System (Bookshelf type)

瀬川冬樹

続コンポーネントステレオのすすめ(ステレオサウンド別冊・1979年秋発行)
「第30項・市販品をタイプ別に分類しながら(3) ブックシェルフタイプ──日本編」より

 日本のスピーカーは、ブックシェルフタイプに限らず、ほんの数年前までは、海外での評価はきわめて低かった。というよりも、まるで問題にされなかった。アンプやチューナーや、テープデッキ等を中心に、国産のオーディオパーツは欧米で十分に認められ、むしろその価格に対する性能の良さが怖れられてさえいる中で、残念乍スピーカーだけは、高音がひどくカン高い、とか、低音が話にならない、などと酷評されていた。
 けれど、日本のメーカーの努力が少しずつ実を結びはじめて、こんにちでは、ブックシェルフ型と次の31項の超小型に関するかぎり、欧米の有名品と互角に勝負ができるまでに、性能が向上してきた。
 アメリカのスピーカーが、カラッと明るい力強さを特徴とし、イギリスのスピーカーが繊細な艶やかさと上品な味わいを特徴とする中に日本のスピーカーを混ぜて聴くと、そこにやはり日本のスピーカーだけの鳴らす音の特徴を聴きとることができる。それは、アメリカやイギリス(を含めたヨーロッパ)の音にくらべて、総体に薄味に感じられる、という点である。
 欧米のオーディオ用語の中に「カラーレイション」という表現がある。音の色づけ、とでもいった意味で、音楽の録音から再生までのプロセスで、できるかぎり機器固有のクセによる音の色づけを排除しよう、というとき、カラーレイションのない(または少ない)……といった形で使われる。この考え方は日本の専売特許のように思い込んでいる人があるがそれは違う。カラーレイションを排除すべきだ、という考え方は、欧米の文献にも一九五〇年代以前からすでにあらわれている。
 ところが、日本の一部のオーディオ関係者や愛好家の中には、欧米の音は色づけが濃くて、日本の製品こそ、真のハイファイ、真のアキュレイトサウンドだ、とかたくなに信じている人がある。しかし自分自身の匂いは自分には感じとれないと同じ理由で、日本の音を聴き馴れてしまった人には、日本の音こそ無色に感じとれてしまうだけの話だ。フランスの国内専用の旅客機に乗ったとたんに、チーズの匂いに似た強い香りにへきえきしたことがあったが、たぶんフランス人にはそんな匂いは感じとれないだろう。そして、少し長い海外の旅をして日本に降りたったとたんに、日本という国独特の、まるでタクワンのような実に奇妙な匂いが感じる一瞬がある。
 それと同じことで、欧米のオーディオ専門家に日本のスピーカーを聴かせると、いろいろな表現で、日本のスピーカーがいかに独特の個性を持っているか、を彼等は語る。つまた日本のスピーカーもまた、決して無色ではないのである。
 しかしそういう前提をした上で、少なくとも無色を目指して、メーカーが真剣に作った製品の中に、国際的に通用する立派な製品が出てきたことはたしかだ。その代表が、たとえば18項でもとりあげたヤマハNS1000Mだが、そのヤマハではむしろ、NS690IIのほうが、いっそう日本らしいスピーカーといえそうだ。これを目ざしたライバルのビクターSX7IIとオンキョーMX7は、ヤマハよりやや味が濃いがそれぞれに完成度の高い中堅スピーカーといえる。ビクターのSX3/IIIはその弟分としてローコストの代表機。そのライバルのデンオンSC104II、そして新製品のラックスMS10、トリオのLS202がこれからの注目製品だろう。

ヤマハ NS-1000M(組合せ)

瀬川冬樹

続コンポーネントステレオのすすめ(ステレオサウンド別冊・1979年秋発行)
「第18項・こんにちの日本を代表するヤマハのNS1000M」より

 この辺でそろそろ、わが日本のスピーカーについて研究してみる。私自身は国産のスピーカー全般をあまり高く評価しないものだから、日本のメーカーやオーディオ界から、舶来主義者みたいに言われているが、しかしアンプ類は十二分に評価しているし、事実、国際市場でも、日本のアンプやその他のパーツは高く評価されながら、スピーカーだけは、いまひとつ良く言われないということは、周知の事実なのだ。
 そうした中で、ヤマハのNS1000M(モニター)は、スウェーデンの放送局でモニター用として正式に採用されるなど、いわば国際的な市民権を獲得した国産最初のスピーカーと言ってよい。またわが国でも、発売後すでに5年を経てなお、人気がおとろえないという実績が、スピーカーの良さを裏づける。このスピーカーは,とくに一〜二年以上ていねいに鳴らしているうちに、次第に音がこなれて滑らかさを増してきて、いっそう評価が高くなるということもロングセラーの秘密のひとつかもしれない。
 難をいえば、黒の半艶のいささか素気ない塗装に、金網をかぶった低・中・高音の三つのユニットのむき出しの、機能本位といえば体裁がいいがいささか挑発的ともいえるデザイン。ただ、それを嫌う人のためには、MのつかないNS1000という、渋いデザインの製品もあることをつけ加えておく。音質はわずかに異なり、M型よりも少々おっとりしている。
 いずれにしてもNS1000(M)は、大別するとアキュレイトサウンドのグループに入れることができる。そして、いままでに例にあげた中では、KEFやスペンドールよりもJBLの鮮烈な鳴り方のほうに近い。したがって、コンサートプレゼンスよりは楽器を眼前にリアルに展開するタイプ。
 ブックシェルフ型、といってもやや大ぶりだし、重量もかなりあるから、本棚等に収めるわけにゆかないし、その性能を生かすためにも、周囲にあまりものを置かず、周辺を広くあけて、三十センチ前後のしっかりしたスタンドに乗せ、タテ位置で使うのが標準的な鳴らしかただ。その点はスペンドールなどの置きかたと共通点がある。
 音量は相当に──楽器のナマの音量程度までも──上げることが可能だが、かなり鳴らし込んだ後でないと、少々やかましい感じがなくなりにくい。
          ※
 さて、NS1000Mう生かす組合せだが、なぜかこのスピーカーは、味の濃い音のアンプやカートリッジを拒む傾向があって、どちらかといえばサラッとした感じの素直な音で統一したほうがいいらしい。で、いろいろやってみると、アンプ(チューナー)は、同じヤマハがやはりよく合う。ほかにというなら、ラックスかテクニクスの系統だろう。また、カートリッジはここ数年来、ヤマハ自身が、アンプ、スピーカーの音ぎめに、シュアーをひとつの標準に採用しているので、やはりV15タイプIVはひとつあげておく。やや高価な組合せと、スピーカーの能力を生かすに必要最低のラインと、ふたとおり示しておく。

スピーカーシステム:ヤマハ NS-1000M ¥108,000×2
コントロールアンプ:ヤマハ C-2a ¥170,000
パワーアンプ:ヤマハ B-3 ¥200,000
チューナー:ヤマハ T-2 ¥130,000
プレーヤーシステム:ヤマハ YP-D10 ¥128.000
カートリッジ:シュアー V15 TypeIV ¥39,800
計¥883,800

スピーカーシステム:ヤマハ NS-1000M ¥108,000×2
プリメインアンプ:ヤマハ CA-2000 ¥158,000
チューナー:ヤマハ T-1 ¥60,000
ターンテーブル:ラックス PD-441 ¥125.000
トーンアーム:SME 3009/SeriesIII ¥74,000
カートリッジ:スタントン 881S ¥62,000
計¥695,000

ヤマハ NS-1000M

菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’79ベストバイ・コンポーネント」より

 ロングランを続けている、ベリリウム蒸着振動板をスコーカー、トゥイーターに使ったモニタースピーカーだ。新しい素材を使いながらその長所のみをうまく抽出した成功作といえ、いつどこで聴いてもしかるべきバランスで鳴り、音のタッチも明快で、プログラムソースのありのままを再生してくれる標準的なシステムといえる。

ヤマハ NS-1000

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

落着いて、緻密さがある渋い音をもつ、いわば大人の魅力である。

ヤマハ NS-1000M

菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

独創的な技術と巧みな音まとめが調和した本格派。

ヤマハ NS-1000M

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

着実に完成度を高めた国内ブックシェルフ型の代表的作品である。

ヤマハ NS-1000M

瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

スウェーデン放送局で採用。国産ではじめて国際的に市民権を得た。

ヤマハ NS-1000M

瀬川冬樹

ステレオサウンド 46号(1978年3月発行)
特集・「世界のモニタースピーカー そのサウンドと特質をさぐる」より

 すでにいろいろな場所でよく聴き馴染んでいるが、今回のように世界じゅうのモニタースピーカーの中に混ぜて同条件で比較したときにどういう結果になるか、というのが興味の中心だった。
 スウェーデンの放送局のモニターとして正式に認められたという実力はやはりさすがで、音のバランスの良さ、そして音の分析能力の点で、他の第一線のモニターとくらべて少しもヒケをとらない。ダイヤトーンのところでも書いたことだが、国産のスピーカーは、欧米の製品の中に混じると概して中高音域は不必要に張りすぎる傾向を聴かせる。この点、ヤマハも例外とはいえないが、しかしそれは音の細部での解像力を高めて輪郭を鮮明にする方向にとどまって、いわゆる張りすぎという弱点にはなっていない。そういうバランスの良さが、たとえばスウェーデンでも評価されたのだろうが、しかしこの中~高域は、イギリスだったらまだ少々おさえたいと言うのではないか。
 余談はさておき、大づかみの鳴り方は44号(292ページ)の試聴気と全く同じで訂正の必要はないが重複を承知でくりかえすと、第一に中低音域から重低音域にかけての音の厚みや弾みが欲しく思われること。第二に高音域からハイエンドにかけて、もうひと息のしなやかさ、あるいは音がスピーカーを離れて空間にふわっと漂う感じが出てくればさらに申し分ない。その意味で、音像をひろげ散りばめるよりは練り固めるタイプで、したがって音の芯はしっかりしている。音量を上げても腰くだけにならず、バランスもくずさない点、製品のコントロールのたくみなことを思わせる。とくに、エンクロージュアの共振音をほとんど抑えてあって、音像をことさらふくらませたり、楽器によって音がこもったりというような欠点がほとんどない。
 このスピーカーに最も苦手の部分は、今回使ったテストソースに限っても、たとえばロス=アンヘレス、たとえばアン・バートンやバルバラ、といったタイプの声の独特の色っぽいあるいは艶っぽい表現。あるいは、弦合奏のオーバートーンに木管やチェンバロが重なるような部分での、響きの多様さと倍音の色あいの鮮やかさ。それに近接マイクで録ったヴァイオリンの、弦と胴鳴りの自然な響きの不足ぎみであること。それらう総合していうと、微妙な色あいの不足と、鳴り方あるいは響き方はいくらか素気なく色気不足。
 たとえば、K+HのOL10、キャバスのブリガンタン、ロジャースのLS3/5A、それにリファレンスのJBL4343などの、プログラムソースのすべてにではないにしても曲によっては、ゾッとするほど魅力的であったり、あるいは鳴った瞬間から「あ、いいな!」と思わずそのスピーカーの鳴らす音楽の世界に素直に引きずり込まれてしまうような音の美しさや魅力。そうした部分がこのNS1000Mに備わってくれば、国際的に真の第一線として評価されるにちがいない。

ヤマハ NS-1000M

菅野沖彦

ステレオサウンド 46号(1978年3月発行)
特集・「世界のモニタースピーカー そのサウンドと特質をさぐる」より

 ヤマハのNS1000Mは、モニタースピーカーとして開発され、外国では放送局用として採用される実績をもっていると聴く。勿論、国内では、一般コンシュマー用として圧倒的にプロユースを上廻った使われ方をしている有名な製品だ。1000Mは外観がメカニックな仕上げで、ラボラトリー・イメージの濃いものだが、Mのつかない家庭用のフィッシュのものもある。30センチ・ウーファー・ベースの3ウェイ3スピーカーで、スコーカーとトゥイーターは、金属振動板のハードドーム型である。クロスオーバーは500Hzと6kHz。きわめて高いリニアリティをもったシステムで、小レベルからハイレベルまで、音色の変化の少ない点では、傑出していると思う。よくコントロールされたバランスのよさが、このシステムの多少の音色的不満を補ってあまりあるといえるであろう。やや、冷たく、鋭い音色感だが、その明るく緻密な面を多としたい。モニターとして、定位、音像の大きさなどの設定に明確な判別が可能。このサイズのシステムとして、きわめて高いSPLが可能だし、実際にスタジオなどのプロユースの実績をつけていけば、広く使われるモニターシステムとなり得るだろう。小、中程度の広さの調整室には好適なシステムだと思う。鑑賞用としてはすでに実績のあるシステムだが、明解で、バランスのよい音が好まれている。

ヤマハ NS-1000M

黒田恭一

ステレオサウンド 44号(1977年9月発行)
特集・「フロアー型中心の最新スピーカーシステム(上)」より

スピーカー泣かせのレコード10枚のチェックポイントの試聴メモ

カラヤン/ヴェルディ 序曲・前奏曲集
カラヤン/ベルリン・フィル
❶ピッチカートは力があっていきている。木管との対比も充分だ。
❷スタッカートはくっきりひびいて、ひろがりを感じさせる。
❸特徴的なひびきをわざとらしくならずによく示す。
❹第1ヴァイオリンによる旋律がたっぷりひびく。
❺クライマックスでのまとまりがいい。一応の迫力もある。

モーツァルト:ピアノ協奏曲第22番
ブレンデル/マリナー/アカデミー室内管弦楽団
❶ピアノの音像は中くらいだ。ピアノの音に力があるのがいい。
❷音色的な対比ができている。ひびきのとけあい方もいい。
❸室内オーケストラのこまやかなあじわいが感じとりにくい。
❹模し少し柔らかで、しなやかであってもいいだろう。
❺個々の楽器のキャラクターはよく示す。

J・シュトラウス:こうもり
クライバー/バイエルン国立歌劇場管弦楽団
❶音像は大きめで、息づかいなどを誇張する。
❷接近感は示すがセリフの声のなまなましさは不足している。
❸楽器の音色を示しはするが充分とけあっているとはいいがたい。
❹はった声は、ききにくいという程ではないが、かたい。
❺ひびきにコントラストをつけすぎる。

「珠玉のマドリガル集」
キングス・シンガーズ
❶音像はかなり大きく、バリトンやバスが強調される。
❷ひびきに軽みがなく、敏捷さに欠けるため、不鮮明になりやすい。
❸残響をひっぱってきすぎるので、言葉の細部はききとりにくい。
❹各声部のバランスが必ずしもよくはないので、明瞭さがたりない。
❺余韻をきかせはするが、響きが重いので効果はでない。

浪漫(ロマン)
タンジェリン・ドリーム
❶音色的にも音場的にもコントラストがついている。
❷後方からのひびきは、力をもってクレッシェンドする。
❸音のとびかいは感じられるが、ひびきがばらばらになっている。
❹前後のへだたりは示されるが、ひろがりは感じとりにくい。
❺ピークでかたくなる。力があるのはいいが、おしだしすぎか。

アフター・ザ・レイン
テリエ・リビダル
❶後方でひろがるが、ひびきに透明感がとぼしい。
❷ギターの音像は大きめである。せりだし方がつかみにくい。
❸このひびき本来の効果をうみだしえない。
❹このひびきは、金属的になって強調される。
❺ききとれることはききとれるが、効果的とはいえない。

ホテル・カリフォルニア
イーグルス
❶12弦ギターのひびきの特徴をきわだたせる。
❷サウンドの厚みを示して、効果的である。
❸ハットシンバルの音はさらに乾いてきこえてもいいだろう。
❹ドラムスは力はあるが、鋭くはない。
❺声はごりおし風に前にでる。重なった時にまろやかさがほしい。

ダブル・ベース
ニールス・ペデルセン&サム・ジョーンズ
❶音像はかなり大きく、部分拡大的なひびきになる。
❷指の動きはききとれるが、誇張感がある。
❸音の消え方を示すものの、不自然さがある。
❹力強さは示すが、こまかい音の反応は鈍い。
❺サム・ジョーンズの音像が極端に小さく感じられる。

タワーリング・トッカータ
ラロ・シフリン
❶ドラムスのひびきは、重く、アタックの鋭さがでない。
❷ブラスは力をもってつっこんでくるが、輝きは不足ぎみだ。
❸フルートは大きくふくらんで、せりだす。
❹音の見通しがよくないので、トランペットの効果はいきない。
❺ふやけてはいないが、切れが鈍い。

座鬼太鼓座
❶かなり近くできこえて、距離感がでない。
❷ひびきに脂がのりすぎていて、尺八らしさがとぼしい。
❸かなりくっきり、力をもってきこえてくる。
❹力は感じさせるが、消え方をとらえているとはいいがたい。
❺きこえるものの、雰囲気を高めてはいない。

ヤマハ NS-1000M

瀬川冬樹

ステレオサウンド 44号(1977年9月発行)
特集・「フロアー型中心の最新スピーカーシステム(上)」より

 生産上難しい面の多かったベリリウム振動板という素材の製造技術が、次第に手馴れてきたのだろうか、初期の製品にくらべると、以前の製品のような角ばった音がそれほど気にならず、馴らしこまなくてもわりあいにおとなしい音がする。ことに高域端(ハイエンド)での共振性の音が、以前の製品よりよく抑えられていると感じた。この音をかつては〝鮮烈〟とも表現したが、こういう傾向の音が次第に増えてきたせいなのか、こちらが少々馴らされたのか、あるいは製品自体が以前よりおとなしくなっているのか、それともプログラムソースやアンプなどの歪がさらに減ってきているせいか──たぶんそのいずれもが少しずつの理由だろうが、それほど異質の音ではなくなっている。
 今回はやや低め(約20cm)の台に乗せ、背面を壁から30cmほど離して置いたときのバランスの良さは一種絶妙だった。ただ、中低音域にやや抑制が利きすぎるように思える点は従前どおりだし、重低音息にもう少し明るい弾みが欲しくもある。中~高音域では、音自体の繊細な切れ込みの良さは抜群だが、空間のひろがりの感じがもうひと息再現されるとさらに好ましいと思う。
 しかし弱音から強音に至るダイナミックレンジの広さと、やや色気不足だが音のバランスと解像力の確かさは、やはり国産スピーカーの中でも抜きん出た優秀製品のひとつだと再認識した。

ヤマハ NS-1000M

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 数少ない完全密閉型のエアーサスペンション方式を採用した本格的なブックシェルフ型システムである。強力で伸びのあるウーファーをベースとし、ベリリュウム振動板を採用したこのシステムの音は、新素材の特長を生かした、クリアーで鮮度が高く、充分な距離にまで音をサービスできるのは、ホーン型に似た特長である。小音量でも音の姿、形が崩れず、大音量にも強い直線性の良さを活かすには余裕あるパワーアンプが必要だ。

ヤマハ NS-1000M

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 鮮明──というより尖鋭といいたい解像力の良さ。ことに打楽器のディテールがシャープに、張りつめたような迫力で鳴る。反面、弦楽器や女声がいくらか金属的に聴こえるところが、長期間鳴らし込んだらどう変化するか興味深かった。最近になって、ある愛好家が相当の期間鳴らし込んだものを聴く機会があった。本質的な尖鋭さ、硬さ、という性格までは変わらないが、それを弱点という必要のない程度まで、よくこなれて鳴っていた。

ヤマハ NS-1000M

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 新しいテクノロジーと、人の耳による聞き込みがヤマハの製品を支えるバランスド・サポートである。このシステムにも、それがはっきり出ていると思う。ベリリュームという新素材を使った積極的姿勢、それを実現するための高度な加工方法まで開発したのは高く評価されるべきだし、この製品にはっきり、音として現われている新鮮さでもある。Mはモニター仕様で、決して家庭的雰囲気ではないが、飾り気のない実質的製品。

ヤマハ NS-1000M

岩崎千明

サウンド No.6(1976年5月発行)
「岩崎千明のグレート・ハンティング これだけは持ちたいコンポ・ベスト8(スピーカー編)」より

 ヤマハのオーディオ技術は他社と違って、はっきりした特長がある。それはオリジナル技術を持っている点で、アンプのV-FET、スピーカーのベリリューム・ダイアフラムだ。ともに他社にその類似製品があるが、ヤマハの場合、独力に近い形で一から始めて商品化に成功し、製品化にこぎつけたという点でユニークだ。
 ベリリューム・ダイアフラムは、それまでのジュラルミン系のダイアフラムにくらべ2倍も硬度が高く、重さはかえって軽いという驚くべき金属で、これが高音用に用いられると、同じ口径なら1オクターブ上の周波数範囲までピストンモーションが確保される。つまり理想状態でスピーカーが動作する。
 NS1000Mとして中音、高音にこのベリリューム・ダイアフラムを着装したシステムは、おそらく始めて海外製品を越えたサウンドを得たと断言できる。このシステムを聴いて海外メーカーの技術者は、おそらくどれほど驚いたことだろう。
 オーディオファンとして、JBLのシステムと切換えて、それに匹敵するサウンドの国産品が誕生したことを、半ば信じられない形で驚嘆した。それは、もう1年も前か。今、その第2弾としてヤマハNS500がデビューしたばかりだが、普及価格帯にまでベリリューム・ダイアフラムが登場したことには、オーディオ王国・日本の誇りと心強ささえ感じたものだ。
 さて1000Mのデビュー以来、このシステムはいろいろな形で常に座右にあってモニター用としての威力をふるっているが、そのすばらしさは誰かれとなくスピーカーにおいての国産品を見直すきっかけを作ってきた。
 10万円のスピーカーにしては1000Mの外観は少々おそまつかも知れぬが、それは実質本位のなせるためで、黒檀仕上げの14万円の1000の方が、より風格も雰囲気もあるのは当然だ。しかし10万円のシステムというラインの中でのNS1000Mのサウンドの魅力は、何にも増して強烈だ。マニアほどそれを鳴らさんと、やる気を起こさせる。

ヤマハ NS-1000M(組合せ)

岩崎千明

コンポーネントステレオの世界(ステレオサウンド別冊・1976年1月発行)
「スピーカーシステム中心の特選コンポーネント集〈131選〉」より

 ベリリウムを素材としてダイアフラムに採用し、理論と技術との両面から達成したまれにみるデバイスは日本のスピーカーの世界に対する誇りでもあろう。クリアーで鮮麗な響きがこの高いレベルの再生を物語り、アタックのまざまざとした実感は、ちょっと比べものがないくらいだ。品の良さに力強さが融合したヤマハの新たなる魅力だろう。
 大型のブックシェルフともいうべきこの1000Mは、ウーファーの量感もあって、豊かさを感じさせる見事な再生ぶりがひとつの極限とさえいえる。ただこのためには、アンプは高出力かつハイクォリティを条件とすることになるが、この点で、ヤマハの誇るFET採用アンプBIは、まさに1000Mの女房役として切っても切れない存在といえよう。
 プリアンプにはあらゆる点で、オーソドックスな良さを持つCI、またはより高い鮮度と純粋さを音に感じるC2が適切。好みからいえばC2といいたいのだがマニアの多様性、一般性からはより高級で、壮麗なサウンドのCIというところだろう。プレーヤーは使い勝手とデザインの両面から考えてB&Oを選ぼう。

スピーカーシステム:ヤマハ NS-1000M ¥108,000×2
コントロールアンプ:ヤマハ C-I ¥400,000
パワーアンプ:ヤマハ B-I ¥335,000
プレーヤーシステム:B&O Beogram 3400 ¥140,000
カートリッジ:B&O SP12 ¥19,000
計¥1,110,000

ヤマハ NS-1000M

瀬川冬樹

ステレオサウンド 36号(1975年9月発行)
特集・「スピーカーシステムのすべて(上)最新40機種のテスト」より

 テクニクス7といろいろな意味で対照的。総体に抑制を利かせてゼイ肉のない、鋭角的かつ鮮鋭な音。テクニクスの暖かさ、豊かさに対して細身で冷徹。箱の共鳴音もほぼ完全に抑えているので、ハイパワーでも音のくずれや濁りが少なく、低音のファンダメンタルの音域でも音階の動きが明瞭に再現される。反面、低音楽器の低次倍音領域(200~500ヘルツ附近)でやや抑えすぎのような印象もある。音の肉附きを少しそぎ落しすぎのような印象もある。要するに総体に抑制を利かせた細身の音質。しかし音の品位はすばらしい。Nす690などと切換えて聴くと、こちらの方が金属的な音がするが、これにかぎらずJBLでもタンノイでも、金属系の振動板を持ったスピーカーは、角がとれてこなれるまで一年あるいはそれ以上を要する。したがって本当に長期に亘って鳴らし込まないと正当な評価ができないわけだが、しかし現状でも、クリアーそのものにすべての音を正確に鳴らし分ける解像力が、新しい魅力だといえるだろう。

ヤマハ NS-1000M

瀬川冬樹

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 NS690で蓄積したノウハウの上に、新しい素材の良さを生かして、新鮮なサウンドを作りあげた注目作。音の隅々まで掘り起すようなクリアーそのものの音色が衝撃的。

ヤマハ NS-1000M

岩崎千明

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 ベリリウム・ダイアフラムの素晴らしさは、これから世界中に知れわたるだろう。未来を的確に把握した技術の勝利とでもいいたいひとつの理想の実現がヤマハの手でなされた。

ヤマハ NS-1000M

井上卓也

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 フレッシュで、ダイナミックな音は、とにかく楽しいものだ。とくに、ブックシェルフらしからぬ低音は、このシステムのベーシックな面を充分に支えていて、安定感がある。