岩崎千明
コンポーネントステレオの世界(ステレオサウンド別冊・1976年1月発行)
「スピーカーシステム中心の特選コンポーネント集〈131選〉」より
あらゆる意味でステレオ用スピーカーとして、世界に唯一の存在ともいえるのが、JBLレインジャーシリーズの主役たるパラゴン。得意な形態は、その中音域に対する理想的拡散器の役目を果す大きく湾曲した反射板によるものだ。中音は外観から一目瞭然だが、低音も高音もホーン型で構成される点、今や珍しい存在である。だが、f特ひとつ考えても「軸上1m」という測定条件の設定さえも不可能なことから判る通り、現代のスピーカー技術とは明らかに違った志向の所産である。この点がパラゴンの真の特長でもあるし、その価値判断の別れ道ともなる。
こうしたホーン構成の3ウェイであるためか、音色バランスの特異な点が使用上むずかしい問題点となり、しばしばその良さが十分に発揮されることがない。JBLのオリジナルにおいて「エナジャイザー」SE408パワーアンプを組合せる場合にも、独特のイコライザーボードを挿替えて400Hz以上をオクターブ6dBで上昇させたり、超低域のダンピングを変えたりしている。事実このバランスは、組合せるべきパワーアンプが難しいようだ。この例は自信をもって奨められる数少ない組合せだ。
スピーカーシステム:JBL D44000 Paragon ¥1,690,000
コントロールアンプ:クワドエイト LM6200R ¥760,000
パワーアンプ:パイオニア Exclusive M4 ¥350,000
プレーヤーシステム:トーレンス TD125MKIIAB ¥141,000
カートリッジ:エレクトロ・アクースティック STS555E ¥35,900
計¥2,976,900
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