Category Archives: ダリ

ダリ Evidence 470

菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

デンマークのダリの代表機種と言ってよいポジションにあるトールボーイ型の新製品。このメーカーらしいバランスのよさが特徴であるが、これは質も高い。ブックシェルフ並みの床の専有面積ながらトールボーイの利点を生かし、音のスケール感は大きいし、このタイプにあるこもりがちな不明瞭さはなく、解像力もいい。

ダリ Menuet Royal 2

菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

’95年発売のデンマークの製品でコンパクト・ブックシェルフ型の傑作と言っていい。メヌエットの上級機で良質のチェリーのつき板張りのエンクロージュアは品位が高いし仕上げも上質である。11cm口径ウーファーはポリプロピレン製で、トゥイーターはソフトドーム型。小型スピーカーの生命であるバランスが絶妙だ。

ダリ Skyline 2000

菅野沖彦

オーディオ世界の一流品(ステレオサウンド別冊・1994年春発行)
「世界の一流品 スピーカーシステム篇」より

 デンマークのダリのフラグシップモデルが、この製品である。ダリというメーカーは、スピーカーに対するキャリアも浅いし、一貫した設計思想を見出すのも難しく、製品群は創業以来バラエティに富んでいる。多彩なスピーカーアッセンブルの手段をいろいろ試し、自己の求めるサウンドへのアプローチの試行錯誤と、その時点での商品性との接点を求める段階にあると考えられる。しかし、このスカイライン2000というモデルは、こうした段階にあるメーカーが幸運に恵まれた例といってよいだろう。もちろん、それはただの偶然によるものではなく、その前提には、この製品への開発意欲と情熱が感じられる。同社のプレスティツジとして開発を意図したことから大胆な構想が生まれたのであろう。
 本機の3ウェイ4ユニット構成は、38cm口径のウーファーをベースに、スコーカーが11cm口径コーン型2基、そして縦に長いリボントゥイーターで高域を受け持たせている。この1・5cm幅1m長のリボントゥイーターが一大特徴だが、このトゥイーターの質感を全帯域の中で遊離させなかったことがこの製品の成功の鍵だろう。大口径ウーファーを後面開放で使ったことは実に見事なノウハウだと思う。200Hz、3kHzというクロスオーバーの設定も妥当で、ダイナミック型のユニットの選択も適切だ。このメーカーには、社長がその人かどうかは知らないが、耳のいい人が中心となってシステムをまとめていることがわかる。それも、ここ3年ぐらいにシステム化がうまくなった。そして、このデザインの現代的な美しさが、そのサウンドやネーミングと一致して、この製品の存在を一際、浮き彫りにしていると思う。コスメティックな要素と構成がぴたりと一致した傑作となった。デンマークのモダンなデザイン感覚を十分反映したもので、デニッシュ・メイドというアイデンティティにあふれたスピーカーシステムの一流品といえよう。