Category Archives: オープンリールデッキ

カセットデッキ、オープンリールデッキのベストバイ

菅野沖彦

ステレオサウンド 73号(1984年12月発行)
特集・「ジャンル別価格別ベストバイ・435選コンポーネント」より

 オートリバース機の中では、独立3ヘッドという構成と再生時のみリバース可能という独自性からナカミチのDRAGONを選んだ。走行系はスーパーリニアトルクモーターを採用し、コギングの発生はないという。また、機能面
でも自動アジマス調整機構(NACC)により、録音済みのテープに対しても最適アジマスが得られるのも特徴だ。
 スタンダードタイプは10万円未満がソニーTC−K555ESII。10〜20万円が、同じくソニーTC−K777ESである。K555ESIIは555ESのグレードアップヴァージョンでLC−OFC巻線ヘッド、ツインモノ構成のアンプ部が特徴だ。サウンドは、このクラスの枠を越え、上級のK777ESにも迫るものである。K777ESはESシリーズのトップモデルであり、銅メッキの鋼板シャーシを採用し過電流を抑え、歪みの改善を図っている。情報量の豊かさとキメ細かなサウンドが得られている。オープン部門では、高い完成度と品位の高いサウンドが得られるルボックスB77IIをベストワンとした。

ティアック X-1000M, V-2RX, V-4RX

ティアックのオープンリールデッキX1000M、カセットデッキV2RX、V4RXの広告
(オーディオアクセサリー 27号掲載)

TEAC

ティアック X-1000R

ティアックのオープンリールデッキX1000Rの広告
(モダン・ジャズ読本 ’82掲載)

TEAC

ベストバイ・コンポーネント選定──過半数得票不成立のジャンルについて

瀬川冬樹

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「’81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 本誌第59号ベストバイ・コンポーネント選定投票は、本誌のレギュラー執筆者八名によっておこなわれた。その結果や詳細についてはそれぞれのページをご参照頂くことにして、各項目中、①オープンリール型テープデッキ ②MC型カートリッジ用ヘッドアンプおよびトランス ③レシーバーおよびカセット・レシーバー(カシーバー)の三項については、あらかじめ規定された当籤必要票数を満たす製品が少なかったため今回は単に集計一覧表を公表するにとどめ、あえてベストバイ・コンポーネントとしての選定をしなかった。その理由について解説せよというのが、私に与えられた課題である。なお、以下に書く内容は、他の七名の選定委員の総意ではなく瀬川個人の意見であり、文責はすべて私ひとりにあることを明記しておく。

オープンリール・テープデッキ
 もう言うまでもなく、こんにち、カセットデッキおよびテープの性能が、実用的にみても相当に満足のゆく水準まで高められてきている。数年前によく行われた「オープンかカセットか」の類の比較論は、カセットという方式の枠の中で、カセットをかばった上での論議であったことが多く、私自身は、カセットの音質が真の意味でオープンの高級機と比較できるようになったのは、ほんのここ一〜二年来のことだと考えている。それにしても、事実、カセットの質がここまで向上してきた現在、そのカセットの性能向上にくらべて、いわば数年前性能でそのまま取り残されているかにみえる大半のオープンリール機については、こんにち、改めてその存在意義が大きく問われなくてはならないと思う。
 オープンリール機の生き残る道は二つあると私は思う。その一つは、高密度録音テープの開発とそれにともなうデッキの性能のこんにち的かつ徹底的な洗い直しによって、カセットをはるかに引き離したオープンリールシステムを完成させること。これについては、本年5月下旬に、赤井、日立マクセル、TDK,およびティアックの四社が連名で、この方向の開発に着手した旨の発表があった。たいへん喜ばしい方向である。オープンの存在意義のその二は、大型リール、4トラック、安定な低速度の往復録再メカの開発による超長時間演奏システムを本機で開発すること。この面での音質はカセットと同等もしくはカセットの中級機程度にとどまるかもしれないにしても、往復で9時間、12時間あるいはそれ以上の超ロングプレイという方向には、オープンならではの意義が十二分にある。

MCカートリッジ用トランス/ヘッドアンプ
 5万円を割るローコスト・プリメインアンプにさえ、MC用ハイゲイン・イコライザーが組込まれている現在、あえて数万円ないし十数万円、ときにそれ以上を、トランスまたはヘッドアンプに支払うというからには、それなりの十分の音質の向上が保証されなくてはならない。ところがこの分野はまだ、根本のところまで解明されているとは思えなくて、現実には、どこのメーカーのどのMCカートリッジを使ったかによって、また、その結果それをどういう音で鳴らしたいか、によって、トランスまたはヘッドアンプの選び方が正反対といえるほどに分れる。別の言い方をすれば、一個で万能の製品を選ぶことが非常に難しい。そして、概して出費の大きな割合には得られる成果が低い。おそらくそうした現実が投票にも反映して、誰の目にも客観的にベストバイ、という製品が選ばれなかったのだろうと思う。トランス、ヘッドアンプについては、こんにちの最新の技術をもって、一層の解析と改善をメーカーに望みたい。

レシーバーとカシーバー
 棄権票が最も多かったということは、本誌のレギュラー筆者にとって魅力のある製品が極めて少なかったからであろうと思われる。いつ頃からか、チューナーとプリメインアンプを一体に組込んだレシーバーという形は、アンプとしては一段低い性能、という考え方が支配的になり、その反映として、作る側も、レシーバーをオーディオの真の愛好家むけに本機で作ろうとする姿勢を全く見せてくれていない。けれど、こんにちの進んだ電子部品と技術をもってすれば、レシーバーという形をとったとしても、性能の上では単体のチューナー+プリメインアンプという形にくらべて全くひけをとらないほどの製品に仕上げることは十分に可能なはずである。
 またレシーバーという形は、その使われ方を考えれば、本来、メインの再生装置が一式揃えてあることを前提に、大家族の個室、寝室、書斎、食堂その他に、さりげなくセットしてごく気軽に日常の音楽を楽しむという目的が多い。とすれば、なにもプリメイン単体と同格の性能を競うのでなく、むしろ電気特性はほどほどに抑えて、聴いて楽しく美しい音を出してくれるよう、そして扱いやすく、無駄な機能がなく、しかし決してチャチでない、そんな形を目指した製品が、せめて四つや五つはあっていいのではないだろうか。レシーバーといえば、入門者向き、ヤング向き、ご家庭向き、音質をうるさく言わない人向き……と、安っぽくばかり考えるという風潮は、せめて少しぐらい改めてもいいのではないだろう。少なくとも私自身は、日常、レシーバーをかなり愛用しているし、しかしそうして市販品をいろいろテストしてみると、オーディオの好きな人、あるいはオーディオマニアでなくとも音楽を聴くことに真の楽しみを見出す人、たちの求めているものを、本気で汲みとった製品が、いまのところ皆無といいたいほどであることに気づかされる。レシーバーなんて、作ったってそんなに売れない。メーカーはそう言う。それなら、私たちオーディオ愛好家が、ちょっと買ってみたくなるような魅力的なレシーバーを、どうすれば作れるか、と、本気で考えたっていいはずだ。
 ところで昨年あたりから、このレシーバーにさらにカセットを組込んだカセット・レシーバー、いわゆるカシーバーという新顔が出現しはじめた。これもまた、いや、もしかするとこっちのほうがいっそう、レシーバーよりも安っぽい目でみられているように、私には思えてならないが、レシーバーに馴れた感覚でカシーバーを使ってみれば、この形こそ、セカンドシステム、サブシステムとしての合理的な姿だと、私は確信をもって言える。だが、現実はまだそういうことを論じるにははるかに遠い。たとえば、①プリセットメモリーチューニング ②テープ自動セレクターつき ③録音レベルの自動セット──この三つはカシーバーを扱いやすくするための最低条件だし、しかもその機能が、安っぽく収まっているのでなく、音楽を楽しむのに十分の性能を維持していてくれなくては困る。どうせ小型スピーカーと組合わせるのだから、ワイドレンジ/ローディストーションであるよりは、必要にして十分な小さめの出力。ほどよく計算された聴き心持のよい音質。加えて扱いやすく、ジャリっぽくないデザインと操作のフィーリング。そんなカシーバーを、どこのメーカーが一番先に完成させてくれるか、楽しみにしている。

アカイ GX-625, GX-255, GX-266II, GX-635D

アカイのオープンリールデッキGX625、GX255、GX266II、GX635Dの広告
(モダン・ジャズ読本 ’80掲載)

AKAI

EMT 927Dst, TSD15, XSD15, KEF Model 105, Model 104aB, UREI Model 813, K+H OL10, スチューダー A68, B67

EMTのアナログプレーヤー927Dst、カートリッジTSD15、XSD15、KEFのスピーカーシステムModel 105、Model 104aB、UREIのスピーカーシステムModel 813、K+HのスピーカーシステムOL10、スチューダーのパワーアンプA68、オープンリールデッキB67の広告(輸入元:河村電気研究所)
(ステレオ 1979年2月号掲載)

Kawamura

ナグラ IVSD

井上卓也

ステレオサウンド 49号(1978年12月発行)
「第1回ステート・オブ・ジ・アート賞に輝くコンポーネント49機種紹介」より

 業務用途に使用されるオープンリールのポータブル型レコーダーでは、ともにスイスでつくられるナグラとステラボックスが双壁といわれ、つねにこの2社の製品が対比されて語られている。簡単に考えれば、ともに映画用の映像と音声を同期させる録音・再生を目的として使われているが、ナグラが、ポータブルというよりは可搬型と呼んだほうがふさわしい現場で運んで行って置いて使うためのレコーダーとすれば、ステラボックスは肩に掛けたまま軽量のメリットを活かしたルポ的使用をするタイプであることが、根本的な両者の違いである。ちなみに、ナグラの代表モデルであるIVSDは、肩掛け用のストラップもあるが、ガッチリとしたキャリングハンドルが標準装備で、これを使ったほうが移動時の心理的な重量感が薄らぐようである。
 現在ナグラの製品には、ステレオ用のIVSD㈿IVSL、IVSJ、モノ用でIVシリーズと同じボディをもつ4・2、4・2L、この変形と思われるE、新しく開発され一段と小型軽量となったナグラ初の3モーター走行糸をもつモノ用のIS−D、IS−L、IS−LT、さらに、驚威的に超小型で、データ測定用として軍事的にも使われるモノ用のSNNとSNS、と数多くのモデルがあり、そのすべてが業務用ポータブル機であることに特長がある。
 IVSDは、映画録音用として、あらゆる粂件下でもスタジオレコーダーに匹敵する性能、機能、安定度、信頼性をもつモデルを生産しつづけてきた、ナグラ最初のステレオ用レコーダーである。IVSDは、映像・音声同期用のパイロットヘッドのない純然たる2トラック型、IVSLがこれにパイロットヘッドを加えたタイプ、IVSJは騒音測定や振動測定用のデータレコーダーで、一般のオーディオ用ではないモデルである。
 テープ走行系は、かつてのIIIから現在の4・2にいたる多くの機種に採用されている1モーター方式で、2個のレバーを組み合わせ操作コントロールするナグラ独自のメカニズムで、スタジオレコーダーに匹敵する抜群のテープ走行の安定性をもつ。消去ヘッドと録音ヘッド間には、50Hzと60Hzに交換できるストロボスコープ、テイクアップ側テンションコントロールローラーに最新型ではロータリー型テープカウンターが組み込まれている。
 機能面では、2針型マルチスケールで、録音・再生レベルのほか、バッテリー電圧、モーター電流チェックなどマルチユースのメーター、各種のカーブをもつフィルターを選ぶ6段切替のフィルタースイッチ、ダイナミック型マイクの50?と200?、コンデンサー型マイクでは、ファントム、+12V、−12V、+48Vとパラレル+12Vの内蔵電源ノイズリダクションシステム用入出力端子、ヘッドフォンを利用したマイクの位相チェックスイッチ、NABとCCIRのイコライザー切替、38cm・19cm・9・5cmの3速度とナグラ独特のナグラマスター38cm速度用の録音イコライザー調整、内蔵の1kHz方形波発振器、ヘッドフォン音量調整、モノーラルのモニタースピーカー、バイアス調整などがある。
 最大使用リール寸法は、アクリルカバーを閉めて5号、開けば7号となるが、最近ではアクリルカバーが脱着式となったのを機会7号リール用のアクリルカバーも用意された。また、別売の10号リールアダプターQGBを装着すると、ポータブルマスターレコーダーといった風格になり、サーボコントロールでテープ走行系がドライブされ、操作性は一段と優れた、まったく別のレコーダーに変身するのは見事というほかはない。
 電源関係は、単1型乾電池12個を本体内部に収納可能で、AC電源、バッテリーチャージャーと映画同期用パイロット信号発生器を兼ねるATN2、単1型ニッケルカドミウム電池使用時のチャージ用アダプターが用意され、QGB用電源、ナグラ用dbxノイズリダクションユニット用電源も本体から供給することができる。
 IVSDの音は、スコッチ♯206を使った場合、重厚でエネルギー感をタップリと内部に秘めた、緻密で豊かな音である。高域レスポンスは物理的データよりもゆるやかにハイエンドが下降するタイプである。

テクニクス RS-1800

井上卓也

ステレオサウンド 49号(1978年12月発行)
「第1回ステート・オブ・ジ・アート賞に輝くコンポーネント49機種紹介」より

 テープデッキ関係の今年の傾向は、カセットデッキが、昨年までの純粋な性能向上という限定された範囲内で技術的な成果を投入した新製品が順当なサイクルで製品化されてきたことに比較すると、これまでに得た技術的な成果を基盤として急激に機能面の追求に転換をしはじめ、デジタル表示のレベルメーター、曲間自動検出による自動頭出し機能、オートリバース録音・再生などの魅力的な機能を備えた新製品が極めて短いサイクルで、より安い価格帯に投入され、その結果、異常なまでの新製品開発競走が始まり、一種の動乱期を迎えたこと、また夢のテープといわれた合金テープが商品化され、これに対応するハード側のデッキも開発を完了するなど、複雑多岐を極めたことがあげられるが、一方のオープンリールデッキ関係では、需要が一段と減少した事実もあって比較的にローコストな価格帯の新製品の開発は、昨年に比べやや増加を示したが、全般的に需要を増大するほどの刺激材料は少なかったように思われる。
 オープンリールデッキで唯一のエポックメーキングな材料は、昨年にRS1500Uとして発表されたまま、暫くの間発売時期が延ばされていたモデルが、さらに改良を加えられてRS1800として発売されたことである。このRS1800は、新世代のオープンリールデッキとして登場以来、テクニクスのオープンリールデッキのイメージを一新した、シングルキャプスタン・クローズドルーブのアイソレートドライブ方式と名付けられたトランスポートを採用した、RS1500Uの発展型の最高級モデルの位置を占める、2トラック76cm・38cm・19cmの3スピード仕様の業務用に準じた規格をもつ製品で、マルチトラックレコーダーを含めたテクニクスが、業務用デッキの分野に進出するためのベーシックモデルと思われるものである。
 テープトランスポート部とエレクトロニクス部は、分割されたいわゆるポータブル型の構成をもち、トランスポート部は、RS1500Uと同じシングルキャプスタン・クローズドループ方式のアイソレート型ドライブで、4ヘッド構成が採用されている。キャプスタンは非常に直径が大きく、クォーツロック型モーターでダイレクトドライブされ、同じくダイレクトドライブ方式を採用したサプライ側とテイクアップ側のリール駆動用モーターは、サーボ方式のテンションコントロール用にも使われている。また、ヘッドブロックは容易に着脱可能で、録音と再生ヘッドには初めて、76cm使用時でもコンター効果が少ない形状をもつセンダストヘッドを使用している。
 マイクロコンピューターを導入して各種のオート化を可能としたのも、このRS1800の特長である。トランスポート部の左下側にはデジタルディスプレイが設けてあり、時間表示のテープカウンターは各速度でリアルタイムに動作し、テープ速度、速度偏差それにピッチ可変量の表示をも兼ねている。また内蔵発振器を使い、使用テープに最適のバイアスとイコライザーを決定する、オートバイアス・オートイコライザー、オートプレイ、オートストップ、それにオートロケーターなどを備えている。
 テープ走行系のコントロールは、プッシュボタン操作のエレクトロニクス方式ダイレクトチェンジ型で、任意の位置をストップを介さずに選択できるメリットがあり、レベル表示関係ではVU指示とピーク指示に切替可能で、バイアスメーターとしても使用できる。入出力関係は業務用途も含めて設計されているため、マイクアンプは内蔵せず、ライン専用で平衡型と不平衡型を切替使用可能。出力は、平衡型+4dBmと不平衡型0・775Vと、業務用にもアマチュア用にも適応する設計である。バイアスとイコライザーは独立した連続可変型で、100Hz、1kHz、10kHz、20kHzの4スポットの内蔵発振器により、マニュアルで使用するテープにより、アクティブにテープのキャラクターを活かしたサウンドをつくり出すことができる。アンプ部の設計がRS1500系とは根太的に異なっているために、RS1800の音は一般のアマチュア用とは異なり、エネルギッシュでクォリティが高く、プロ機のグレイドに匹敵する見事なものだ。

2トラック19cm/secテープデッキのベストバイ

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「読者の質問に沿って目的別のベストバイを選ぶ」より

 オープンリールのテープデッキを概念的に考えると、10号メタルリールを装着し、38cm/secで廻す2トラ38は、やはりテープデッキを入手しようとすれば、それ自体にこだわりたくなる存在である。
 たしかに、2トラック38cm/secの魅力は、業務用機器ではディスク制作用のマスターテープに使用される例に代表されるように、その情報量の大きいことはカセットデッキの約32倍であり、ディスクとはまったく異なった次元の音そのものにある。しかし、業務用機とコンシュマー用機との格差は非常に大きく、当然の結果として、それだけの価格差があるわけだ。これが2トラック38cm/secのデッキを考える場合の前提条件である。
 また、コンシュマー用機であったとしても、2トラック38cm/secの、これならではの世界を実感として味わうためには、特別の例でもないかぎり、マイク録音をしないかぎり鮮度の高いエネルギー感にあふれた音は得られない。平均的なFM放送のエアチェック用としては、送り出し側が19cm/secのことが多く、FM放送という電波の介在したプロセスを経れば、2トラック38cm/secでの録音は完全に録音側がオーバークォリティとなり、一般的には無意味といってもよい。
 さらに、テープのランニングコストを考えれば、コンシュマー用機には2トラック38cm/secは荷が重すぎ、現実の使用側をみても10号リールのテープは最初の1〜2本で、以後は7号が中心となるのが一般的な傾向である。
 最近の新しいデッキでは、2トラック19cm/secに焦点をあわせた製品が数を増す傾向が見受けられる。ルボックスB77がそれであり、デンオンDH510も38cm/secで使用できるが、基本的には19cm/sec指向型である。また、ポータブル機ではあるが、ウーヘル4200REPORT・ICやソニーTC5550−2も、このタイプの製品として貴重な存在である。
 2トラック19cm/secのデッキでの良い音を望む場合に必要なことは、そのデッキにピッタリとマッチしたテープの選択が重要である。ウーヘルとBASF・DP26HS、ソニーとDUADの組合せは定評があり、独特のテープオーディオの魅力をもった音を聴かせる。最近のテープには、従来の38cm/secを対象とした製品ではなく、19cm/sec専用のスコッチ♯1500/2000のようなユニークな製品が出ていることも19cm/secの魅力を一段と高めている。各社からこのタイプの製品が発売され、5号から10号にいたる選択の自由が得られれば、2トラック19cm/secは、コンシュマー用の主流となるはずだ。

アンペックス AG-440CS-2C

菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

名門の伝統技術をベースに最新型化された正統的なプロ機。

デンオン DH-710F

菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

コンシュマー機器として存在するが実質はプロ機。

スチューダー A80MKII

菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

きわめて高度な機械精度と安定性をもつ高性能プロ機。

アカイ PRO 1000

菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

プロ用メカをコンシュマー化した高級な民生用機。

ルボックス A77MKIV

菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

高度なメカニズムを表に出さず、コンシュマー機器化した高性能機。

テレフンケン M15A-2

菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

スムーズな動作特性は機械系の精密度を感じさせる高信頼度機。

パイオニア RT-707

菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

独創的なデザインの魅力と安定した動作性をもつ実用的製品。

ナグラ VI SD

菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

精密な加工技術とプロの新しい試練を経たユニークなポータブル機。

テクニクス RS-1500U

菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

独自なメカニズムによる個性的存在。シリーズ性も高く評価できる。

ソニー TC-5550-2

菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

高品位な生録に欠かせないユニークなコンパクトなオープン。

ウーヘル 4200 Report Stereo IC

菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

豊富な機能をもつ安定性と信頼性の高いプロ用ポータブル機。

ソニー TC-8750-2

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

類例のないピークメーターを装備したソニーらしいまとめ方が魅力。

ビクター TD-4000SA

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

リーゾナブルな価格で、カセットデッキのマスターとして使える魅力。

ティアック 40-4

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

新しいアマチュア録音の魅力を開いたTEACの野心作だ。

パイオニア RT-2044

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

すべてのトラック、速度、マルチに対応できる多機能は他にない魅力。

ルボックス A700

瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

滑らかに動く完成度の高いトランスポート。眺めているだけで楽しい。