Category Archives: オーディオテクニカ

オーディオテクニカ AT-NF122, AT-NF103

オーディオテクニカのアクセサリーAT-NF122、AT-NF103の広告
(サウンドレコパル 1994年夏号掲載)

オーディオテクニカ

オーディオテクニカ AT-ML180

井上卓也

ステレオサウンド 77号(1985年12月発行)
「BEST PRODUCTS」より

 新世代のVM型を標榜するオーディオテクニカのMLシリーズは、新針先形状のマイクロリニアスタイラスを初めて採用したAT160MLを出発点とし、AT−ML170に続き、MLシリーズのトップモデルとして、今回、AT−ML180が新製品として登場することになった。
 さすがに、トップモデルだけあって、VM型での長期にわたる技術蓄積をベースに、時代の最先端をゆく高級素材が憎しみなく投入された開発が見受けられる。
 振動系のカンチレバー材料は、直径0・4mmのボロンパイプ表面に金を蒸着した、耐候性と制動作用を併せもつタイプで、0・08mmMLスタイラスチップは、シリーズ中で最小の素材を採用し、MLスタイラス独特の長時間にわたり音満との接触部の曲率半径が非常に小さく高域特性が劣化しないメリットをもつものだ。
 無共振思想を置くために既にAT−ML170でマウントベースにファインセラミックスを採用しているが、今回さらに、カンチレバーとマグネットを支持するマグネットモールドにも同じ材料が使われた。
 発電系は、LC−OFCコイルと6層ラミネートのコアを組み合わせたパラトロイダル方式で、コア素材は、従来の約5倍の透磁率をもつスーパーパーマロイ採用で、発電効率が高く、コイル巻数を下げることが可能で、低インピーダンス化を果している。
 なお、FCS方式と呼ばれる、発電コイルの内側に独立したコイルを設け、相互誘導による高域での磁束変化を利用して高域共振を抑える手法や、スタイラスノブとカートリッジボディを包むシリンダーにウイスカー強化複合素材を新採用し、共振を抑え剛体構造とするなど、その内容は実に豊富であり、カッターヘッドと相似形を標傍するVM型・MLシリーズのトップモデルに相応しい新製品である。
 最適針圧1・25g±0・3gと発表されているため、針圧とインサイドフォースキャンセラーを、この値として試聴を始める。聴感上の帯域バランスは素直に伸びたスムーズな印象のものであり、柔らかで豊かな低域をベースとしたバランスは、僅かに中高域にキラメキがあるが、安定感のある落着いた音である。音場感は、スピーカーの奥深く拡がるタイプで、音像定位は小さくまとまるが、輪郭の線は柔らかくソフトなタイプである。音のクォリティは充分に高く、表情も穏やかなため、長時間音楽を聴くファンには好適のサウンドキャラククー。
 針圧1・5g、IFC1・5に増加する。やや、ソフトフォーカス気味のパステルトーンの色彩感が、鮮度を増し、フォーカスがピタリと合った音に変わり、音の芯がクッキリとし、適度の深みのある立派な音だ。オーケストラの低弦の音は、深々として丸みがあり、弦のユニゾンの音の芯も明快である。音場は標準的に拡がり、プレゼンスはかなり見事だ。中域で薄くなりがちな傾向は認められず、密度感の高いサウンドは、如何にもテクニカ製品らしい好ましさで、ゆったりと落着いてクラシック音楽を楽しむためには、クォリティも高く、さすがにMLシリーズの頂点に立つ実力である。

オーディオテクニカ AT33ML

井上卓也

ステレオサウンド 75号(1985年6月発行)
特集・「いま話題のカートリッジ30機種のベストチューニングを探る徹底試聴」より

 標準針圧1・5gでは、暖色系の豊かな低域と程よくエッジが効いた中域から中高域がバランスした安定感のある音だが、やや、音場感は狭い。上限の1・6gでは、彫りが深く、芯が安定した音となり、表情も豊かで帯域バランスも伸びやかだ。ただ、中高域の少し輝かしさが顔を出すが、これを除けばグッドサウンドだ。下限1・2gでは、変化量は少ないタイプだが、表面的な音となり、スクラッチノイズが気になり、中高域もメタリックで少し浮いた印象となる。
 標準針圧以上に狙いを定め、細かく、1・625g、1・75g(針圧目盛での値)と追込むと、針圧1・75g、IFC1・6あたりで程よくスッキリとした安定感のある音とプレゼンスが得られる。
 ファンタジアはライブハウス的な響きが豊かで低域も柔らかく、一応の水準の音だ。
 アル・ジャロウは、重く力強い低域は粘りがあり好ましいが、昇圧手段を選びたい音。

オーディオテクニカ AT-ML170

井上卓也

ステレオサウンド 75号(1985年6月発行)
特集・「いま話題のカートリッジ30機種のベストチューニングを探る徹底試聴」より

 標準針圧では、最初にボディに静電気が帯電し激しいパチパチノイズが出た。ボディを僅かに湿らせ帯電を除く。軽く爽やかに伸びた音で低域は柔らかく自然な帯域バランスが特徴。わずかに中高域にあるキャラクターが魅力で、音は奥に拡がるタイプである。
 針圧上限では、重く、反応鈍くNG。針圧下限では、広帯域型に変わり、軽快な音だ。低域は軟調、音場感に優れる。約1・125gで、程よく音の芯がクッキリとした、安定感と華やいだ軽さのあるスムーズな音が聴ける。低域は柔らかく、表情は穏やかで歪感が少なく、長時間聴ける音。スクラッチノイズは、このクラスとしては、質量とも可。
 ファンタジアは、やや女性的な印象のピアノで、適度の華やかさ、滑らかさが特徴。立上がりは甘いが、雰囲気が良く、サロン的なまとまりだ。
 アル・ジャロウは、低域が軟調傾向で、リズミックな反応が遅く感じられ、もう少しメリハリが必要であろう。

オーディオテクニカ AT150Ea/G

井上卓也

ステレオサウンド 67号(1983年6月発行)
「BEST PRODUCTS 話題の新製品を徹底解剖する」より

 テク二力独自のVM型の代表製品であるとともに、長期間にわたりベストセラー製品として数多くのファンを獲得しているAT100シリーズが、リフレッシュされ新製品となって登場することになった。
 ニュー100シリーズのトップモデルが新しいAT150Ea/Gであり、ヘッドシェルに組み込まれたモデルである。
 改良のポイントは、振動系の軽量化と発電コイル系のリニアリティの向上というオーソドックスなアプローチである。
 0・12mm角から0・1mm角に小型化された天然ダイヤ楕円スタイラスは、ベリリュウムテーパードカンチレバーに組み合わされ、カンチレバー表面は、上級機AT160ML/GやMC型AT33E同様に金蒸着され、耐蝕性とQダンプ効果に使われている。パラトロイダル発電系は、伝送損失を約12%減らし、コイル巻数を減らしても出力4mVを確保している。ヘッドシェルは新設計マグネシウム合金製で、OFCリッツ線使用のタイプだ。
 AT150Ea/Gは、中域がやや張り出し気味の旧型にくらべ、MC型的なワイドレンジ・フラットレスポンス型になった。とくに分解能が一段と向上した点は新型の大きな特徴だ。標準針圧1・25gに対する音質変化はシャープなタイプで、試聴では1・45gがベストだった。温故知新的な伝統をもつ完成度が高い優れた製品。

オーディオテクニカ AT29E

井上卓也

ステレオサウンド 67号(1983年6月発行)
「BEST PRODUCTS 話題の新製品を徹底解剖する」より

 MC型としては比較的にローコストな新製品であるが、充分に中級機以上に匹敵する高度の内容を備えた、伝統のある専門メーカーならではのファンには大変に楽しい製品である。独自のデュアル・ムービングコイル型の振動系は、国内初採用を10年以上前にはたしたテーパードアルミ合金パイプカンチレバー、0・12mm角天然ダイヤブロック楕円針、バナジュウムパーメンダーコアにアニール高純度銅線を整列巻とした左右独立コイルで構成される。ハウジングは、アルミ合金ダイキャストを上下から硬質合成樹脂でサンドイッチ構造とする異質材料間Qダンプ方式。
 標準針圧1・5gにセットして聴いてみる。トーンアームにもよるが±0・3gの針圧範囲で変化させると、音はかなりシャープに変化する。分解能は高いがやや素っ気ない音を聴かせる国内のMC型にくらべ、こだわりなく、伸びのある楽しく音を聴かせる本機の独自の魅力を活かすには、使用したトーンアームの針圧目盛では、1・65gがベストな針圧だった。軽くすれば軽快さが出るが、表情の抑揚が薄れがちとなり、それ以上に重くすると、MC型としては異例ともいえる腰が強く、枯りのある独特の低音が得られ、これはこれなりの魅力があるが、プログラムソースを幅広くこなすとなれば、1・65gである。とにかく聴いて楽しい異色のMC型だ。

オーディオテクニカ AT160ML

菅野沖彦

ステレオサウンド 66号(1983年3月発行)
特集・「コンポーネンツ・オブ・ザ・イヤー賞 第1回」より

 AT160MLは、オーディオテクニカがオリジネーターである、デュアルマグネットによるVM型カートリッジである。この、互いに45度の角度で設置された二つのマグネットによる変換方式は、メカニカルに、カッティングヘッドの構造と相似のもので、同社のMC型カートリッジも、これにならって、デュアル・ムーヴィングコイル方式をとっていることはよく知られているところだ。このAT160MLは、AT100シリーズの最新製品で、私の印象では遂にこのシリーズの究極に近づいたと思える製品である。MLはマイクロリニアスタイラスの略称で、この形状のスタイラスの評価は今後に待つとしても、このカートリッジの音質の品位の高さは特筆に値するものだと思う。音に充実感があり、見事な造形の正確さをもっていて、優れたトレース能力により、レコードの情報を実に豊かにピックアップしてくれる。VM型の発電系がカッターヘッドと相似なら、たしかにこのML針もよりカッティング針に近い形状のものであるのが興味深い。カンチレバーはベリリユウムに金蒸着のムク材を使っているが、全帯域にわたって音色の癖がなく、大変バランスのよい振動系が形成されているにちがいない。MM型としては、中高域の中だるみのないものだが、これは発電系のコアーの継ぎ目をなくしラミネート構造と相俟って発電効率を高めたパラトロイダル発電系によるものとメーカーでは説明している。一貫して主張してきたテクニカのVM型カートリッジの成果として高く評価出来る製品だ。

オーディオテクニカ AT160ML

井上卓也

ステレオサウンド 66号(1983年3月発行)
「BEST PRODUCTS 話題の新製品を徹底解剖する」より

 カートリッジの性能向上は、駆動系の軽量化という基本的なテーマの解決が最大のポイントであり、カンチレバー先端に位置するスタイラスは、等価質量を小さくするために、その大きさを可能なかぎり微小化することが不可避なプロセスである。一方、針先形状も音満との接触部分をカッター針に近似させるため、円錐形から楕円形に発展し、CD4方式の開発を期にして各種の線接触型が試みられ、高域レスポンスと歪の低減に大きな成果を挙げてきた。
 今回、AT160MLに採用された針先は、従来の針先形状とは一線を画した新形状のマイクロリニア型と呼ばれるタイプで、昨年来、レコード回転数を現在の半分に下げても現状の特性が得られることで注目を浴びたマイクロリッジ型に改良が加えられた形状で、高性能かつ楕円の約3倍のロングライフを誇る画期的なものだ。
 カンチレバーは金蒸着ペリリュウム材、VM型パラトロイダル発電系は、これまでのテクニカ技術の集大成といえるものだ。
 AT160MLは、素直に伸びた帯域感と細かく磨きこまれた微粒子状のソノリティをもち、非常に穏やかで、滑らかであるためおとなしい音に感じられよう。しかし、聴き込めば、音の細部を丹念に描きだし、内側に大変な情報量が含まれていることがわかってくる。しなやかで、豊かさとナイーブさが両立した熟度の高さが魅力だ。

オーディオテクニカ AT160ML/G, AT150E/G, AT140E/G, AT130E/G, AT120E/G, AT37E, AT34EII, AT33E, AT32EII, AT31E/G, ATH-0.1, ATH-0.2, ATH-0.2F, ATH-0.4, ATH-0.6, AT666EX, etc…

オーディオテクニカのカートリッジAT160ML/G、AT150E/G、AT140E/G、AT130E/G、AT120E/G、AT37E、AT34EII、AT33E、AT32EII、AT31E/G、ヘッドフォンATH0.1、ATH0.2、ATH0.2F、ATH0.4、ATH0.6、アクセサリーAT666EXなどの広告
(オーディオアクセサリー 27号掲載)

AudioTechnica

オーディオテクニカ AT1000, AT1000T

井上卓也

ステレオサウンド 61号(1981年12月発行)
「Best Products 話題の新製品を徹底解剖する」より

 現時点で最高のMC型カートリッジの座を狙って開発されたAT1000は、すべての基本性能をオーソドックスで妥協のない設計で追求し、最良の音を求めて完成された製品だ。特長といえるのは新素材でも新発電メカニズムでもなく、多年にわたる技術集積の粋と無形のノウハウ、さらに超精密加工精度を集大成したことにある。
 発電機構は、左右チャンネル用2個のバナジウム・パーメンダーコアに高純度銅線を巻いた左右独立型コイルを、軽量、高剛性のVCモールド材に埋め込んだ、独自のデュアルムービングコイル方式。カンチレバーは外形0・25mm角、全長4mmの天然ダイア製。上下左右を先端幅0・18mmに2面テーパードカットし、先端にAT33Eに採用した針先より1ランク軽量な0・06mm角楕円チップを剛体接合してある。この振動系と、サマリウムコバルト磁石とバナジウム・パーメンダーヨークの磁気回路により、3・5Ωの低インピーダンスで0・1mVの出力電圧を得ている。
 ダンパー構造は、水平方向を2層ダンパーで制御し、垂直方向にはバーチカルスタビライザーを採用して適切なコンプライアンスにコントロールする方式。垂直トラッキング角度は正確に23度にセットしてある。
 マウントベースは切削加工アルミ製で、要所に制動材を付加した無共振構造。しかも自重を7gに抑えた軽量設計で、振動系と磁気回路はベースに直接ネジ止のする単純で剛性の高い方法を採用している。金メッキの出力端子はボディ内部に延長した出力リード共用型で、伝送ロスが少ない。カートリッジボディ底面も金メッキ加工され、防振性とシールド効果をもつ。アルミ削り出し表面深層アルマイト処理の専用付属シェルは、セラミックに匹敵する高硬度が特長で左右傾きとオーバーハング調整機構付。
 AT1000と同時発売のAT1000Tは、3Ωと20Ω/40Ωピンプラグ差し換え式。切替スイッチレス設計の専用トロイダルトランスを左右各2個、合計4個使用した設計が特長で、外部ケースは8kgの自重からわかるように銅メッキ厚肉鋼板製だ。
 両者の組合せは、ダイアカンチレバー独特の固有音を抑え、ダイレクトでダイナミックな魅力だけを活かした、完成度の高い音を聴かせる。この正確で実体感のある表現力の高さは、MC型の最高峰を思わせる。

オーディオテクニカ AT1000, AT34EII, AT31E/G, AT33E, AT1000T

オーディオテクニカのカートリッジAT1000、AT34EII、AT31E/G、AT33E、昇圧トランスAT1000Tの広告
(別冊FM fan 33号掲載)

AT1000

オーディオテクニカ AT-650

井上卓也

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「MCカートリッジ用トランス、ヘッドアンプ総テスト(上)」より

 3段切替スイッチ付のユニバーサル型トランスだ。
 MC20IIは、少し高質さはあるがスッキリとした爽やかな音で、聴感上のf特もスムーズに伸び、キャラクターの少ない穏やかな音である。プログラムソースとの対応の幅も広く、音をキレイに聴かせるのが特徴となる。
 DL305は、やや細部の描写が不足気味で、線が太く、本来のシャープさが出難い。
 AT34IIにすると中高域に少し硬いキャラクターが付くが、バランスの良さは、当然のことながらベストである。このトランスも付属コードを交換するとかなり音質が変化するため、使用にあたっては、コードを変えて使用システムに最適のバランスに調整するのが好ましい使用法と思う。

オーディオテクニカ AT-630

井上卓也

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「MCカートリッジ用トランス、ヘッドアンプ総テスト(上)」より

 中間インピーダンスをもつオーディオテクニカのMC型カートリッジ用の昇圧トランス。
 ややミスマッチにはなるが、MC20IIを使うと、トランスとしては適度の帯域バランスと少し細身の滑らかな音となる。ロッシーニは程良く鳴るがドボルザークは音源が遠く、大ホールの後の席で聴く感じだ。峰純子は少し細身の穏やかなボーカルとなり、雰囲気はアルが少し実体感不足だ。カシオペアは小柄になるが、一応楽しくは聴ける。
 AT34IIを組み合わせると、やはり、f特をはじめトータルバランスは一段と向上し、ややラフな面もあるが、価格から考えれば、充分な昇圧トランスらしい安定した落着いて聴ける音が得られる。この意味でも専用トランスと考えたい。

オーディオテクニカ AT30E, AT31E, AT32E, AT33E, AT34EII

オーディオテクニカのカートリッジAT30E、AT31E、AT32E、AT33E、AT34EIIの広告
(別冊FM fan 30号掲載)

AT34

オーディオテクニカ AT150E/G

オーディオテクニカのカートリッジAT150E/Gの広告
(オーディオアクセサリー 21号掲載)

AT150

オーディオテクニカ ATH-0.5, ATH-0.3

オーディオテクニカのヘッドフォンATH0.5、ATH0.3の広告
(オーディオアクセサリー 21号掲載)

point5

オーディオテクニカ AT-34EII

井上卓也

ステレオサウンド 58号(1981年3月発行)
「Best Products 話題の新製品を徹底解剖する」より

 カッターヘッドと相似形動作を設計ポリシーとする独自のデュアル・ムービングコイル型カートリッジのトップモデル、AT34を改良発展した同社のトップモデルである。構造上はシェル一体型のインテグレーテッドタイプで、主な特長はカンチレバーに先端0・2mm、基部が0・3mmのテーパード形状のベリリウムのムク材を使い、表面には耐蝕と制動を目的として0・3μm厚の金を真空蒸着して使用している。スタイラスは0・07mm角ダイヤブロック使用でAT34の0・09mm角より一段と小型化された。カンチレバーとの接着部分は銀蒸着を施し、セラミック系接着剤で加熱溶着し剛性を高めている。コイル部分はアニール銀銅線をバナジウム・パーメンダーコアに巻き、磁気回路はバナジウム・パーメンダーヨークとサマリウムコバルト磁石で磁気エネルギーは従来より30%向上しているとのことだ。
 試聴はAT650との組合せで行なった。従来のAT34とくらべ、音の粒子が一段と細かくシャープになり、分解能が向上した点が大きい変化である。テクニカらしい安定したサウンドと、トップモデルらしい安定度をもつ優れた製品だ。

オーディオテクニカ AT120E/G, AT130E/G, AT140E/G, AT150E/G

オーディオテクニカのカートリッジAT120E/G、AT130E/G、AT140E/G、AT150E/Gの広告
(スイングジャーナル 1980年7月号掲載)

AT150

オーディオテクニカ AT-150E/G

井上卓也

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「’80ベストバイコンポ209選」より

 AT15Eの後継機種でシェルが付属する。ベリリウムカンチレバー、パラトロイダルラミネートコア採用で、現代MMの標準機。

オーディオテクニカ AT-32

井上卓也

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
特集・「’80ベストバイコンポ209選」より

 逆V字型デュアルコイル方式のMC型で、シェル一体型のAT34の単体カートリッジだ。広帯域型で、音の粒子が細かくシャープだ。

オーディオテクニカ AT-150E/G

井上卓也

ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 新しくモデルナンバーを3桁としたAT100シリーズは、カッターヘッドと相似的な発電方式を採用した独自のVM型で世界的に知られるオーディオテクニカの第2世代を意味する新シリーズだ。AT150E/Gは、4機種あるAT100シリーズのトップモデルである。
 新シリーズは、発電系に継ぎ目のない一体構造のラミネートコアに、横方向からボビンを挿入し、磁気ギャップをくぐらせてコイルを巻くパラトロイダル発電系を採用している。この方式は磁気損失が少なく、AT25のトロイダル発電系に近い発電効率が得られ、周波数特性上で数kHz付近の凹みがなく、インピーダンスも従来型より一段と低い。
 カンチレバーはベリリウムパイプ使用。アルミダイキャストボディとMS9マグネシウムヘッドシェル付である。
 従来より一段と低レベルが鮮明で音色は明るくトレース能力が向上した。

オーディオテクニカ AT150E/G

オーディオテクニカのカートリッジAT150E/Gの広告
(モダン・ジャズ読本 ’80掲載)

AT150

オーディオテクニカ AT1100

井上卓也

ステレオサウンド 52号(1979年9月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 既発売のダイナミックトレーシングシステム方式を採用した同社のトップランクトーンアームAT1010と基本構想を同じくした、フロントパイプ交換式のユニバーサルアームである。軸受構造はAT1010と同等で、この前部にVブロック応用の平面圧着コネクターがありパイプ部分を交換できる。特長があるのは、オイルバス型ともいえる水平回転方向に働くf0ダンプ機構を備えており、ダンピング効果は5dB程度もあるとのこと。加工精度、仕上げも高級アームらしい立派な製品だ。

オーディオテクニカ AT24

井上卓也

ステレオサウンド 52号(1979年9月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 AT25/23に代表されるオーディオテクニカのVM型のトップモデルは、シェル一体型の構造を採用している点に特長があるが、今回、発売されたAT24は、AT25を単体化した新製品だ。
 カートリッジボディは、シンプルにデザインされた剛性が高い金属製で、小型な外見ではあるが8・2gの重量がある。振動系は、直径0・3mmのペリリウムパイプと2本のマグネットを使うVM型で、パーマロイ薄板をラミネートしたリングコアに直接無酸素銅線を巻き、左右チャンネルのセパレーションを向上するセンターシールドプレートをもつ、トロイダル発電系ともども、AT25とまったく同様である。交換針は、ネジで確実にボディにクランプする方式で、これも、AT25と共通のATN25を使用する。

オーディオテクニカ AT-30E/G

井上卓也

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 カッターヘッドと相似形の動作をする独特なVM型カートリッジで定評があるオーディオテクニカには、デュアルムービングコイル型と名付けられたMC型カートリッジのシリーズがあるが、今回、新しくAT30E/Gが加えられた。
 新モデルは、従来のタイプとはV字型のコイル配置が逆になり、VM型と同様にレコード盤面と反対方向に取付けてあるのが特長で、これによりスタイラスノブをVM型同様に抜き挿しして針交換を可能としている。コイルは低損失銀銅線、磁気回路はサマリウムコバルト磁石使用で出力電圧は0・4mVと高い。また、オーバーハング微調整可能なアルミブロックQダンプシェルに取付けてあるのも特長。AT30E/Gは、MC型としてはダイナミックで力強い音をもちフレッシュな音が魅力である。