Category Archives: ヤマハ

ヤマハ CA-V1

岩崎千明
 
週刊FM No.12(1976年発行)
「私の手にした新製品」より

 同じようなブラック・パネルのアンプがこの所ぞくぞくという感じで各社から出てきたが、さすがヤマハ。日頃のデザインの腕をこの新製品にも発揮した。これだけの仕上げと風格があるのは、V1だけだ。VUメーターがこのプロ志向のパネルにぴったりで雰囲気を盛り上げているのだ。
 スイッチを入れて淡いライトで照らされるメーターのカッコ良さ。音が出ると、これまた力強いこと。ここでもまた、さすが、となる。ヤマハは若いコのハートをよく掴んどるねえ。パリッとしたさわやかな中域に加えて、ドカンと低音の力強い迫力、キラリと高音の効いてること。要するにうまいのである。デザインセンスとサウンドのセンス。白いパネルの従来のシリーズとは明らかに違ったヤマハの姿勢をV1の中に見い出すことができるのだ。パネルのつまみ配置は今までとあまり変わらないがツマミを減らして扱いやすい。
 前作X1のさらに普及型としてV1を受け止めることはできない。X1が白いパネルであることからもわかるようにV1はまったく生まれが違うのだ。X1がマニア好みのクリアーな力強さに対して、Vlはもっと誰もが親しめる音といってもよいだろう。V1の魅力をさらに増すのは、同じデザインの優れたチューナーが揃っている点だ。揃えて前におくとそれはまさに若いファンにとってオレのオーディオ・マシンという満足感を与えるに違いない。SPに同社のNS−451ならぴったり。これほど馬の、じゃない、音の合うのもちょっとあるまい。

ヤマハ YST-SW1000

井上卓也

ステレオサウンド 121号(1996年12月発行)
特集・「ザ・ベストバイ コンポーネントランキング710選」より

 等価回路から出発し、アンプの負性抵抗を応用してスピーカーの常識を破る低音再生能力を可能とした開発は、現在でも、いささかも色あせない見事な成果である。リモコン対応で左右2個使用では少々コントロールに苦労するが、DVDの超高域再生を受ける基盤として超低域再生は不可欠であるだけに、再び注目したい好製品。

ヤマハ AX-380

ヤマハのプリメインアンプAX380の広告
(サウンドレコパル 1994年夏号掲載)

AX380

ヤマハ GT-CD2

菅野沖彦

オーディオ世界の一流品(ステレオサウンド別冊・1994年春発行)
「世界の一流品 CDプレーヤー/D/Aコンバーター篇」より

 一流メーカーの作るもの、必ずしも一流品ではないし、一流品が必ずしも一流メーカー製とも限らない。とくに日本のメーカーのように規模が大きく、作る商品のカテゴリーが多く、同じカテゴリーの商品の代表モデルから高級モデルまでを広く網羅するとなると、ますます、前述のことが強く考えられる。ヤマハは間違いなく一流メーカーであろう。楽器、オーディオに限らず、スポーツ用品からユニットバスや家具・住設に至る幅広い商品の全部が一流品なのかどうかは知らない。しかし、オーディオに限っていえば、そこにはたしかに一流品といえるクォリティと、製造者の意気込みが感じられるものを作り続けてきたと思う。
 本機は、本機の原機となったGT−CD1の妹分に当る製品である。普通、原機のヴァージョンアップ・モデルが残って妹分は消えるものだが、この場合、姉に当るGT−CD1が消えてしまった。妹分として、より低い価格ながら、音はむしろこのほうが好評であった結果であろう。
 木材を豊かに効果的に使い、アナログプレーヤーで培った響体のあり方へのノウハウを活かした独特な高剛性、重量構造を採用したもので、見た眼にも暖かい安定感を与えるCDプレーヤーである。グラス製の開閉リッドを持つトップローディングモデルで、ディスク・スタビライザーで回転の安定を得ている。
 外装関係でGT−CD1よりコストダウンをしているが性能的には同等だし、音質はこちらのほうが柔軟性があって暖かい。透明な音場の見透しがCD1で印象的であったが、このCD2でも、それは保たれている。
使いこなしのポイント
 低域のしなやかな厚味はこのCD2の方がよいと思われるが、これはインシュレーターや置き場所でかなり大幅に変化するので、ユーザーの使い方によるところが大きい。すべての回転機器に共通した性格だから、アナログプレーヤーと同じょうな感覚で使いこなしたい。

ヤマハ GF-1

菅野沖彦

オーディオ世界の一流品(ステレオサウンド創刊100号記念別冊・1991年秋発行)
「世界の一流品 スピーカーシステム篇」より

 ヤマハがスピーカー技術のすべてをかけて製造する文字通りのプレスティージモデルといえるスピーカーシステムである。低域には同社の独自の技術であるYST方式という特殊な低音再生方式を採用しているところが大きな特徴である。負性インピーダンス駆動方式と呼ばれるもので、専用の回路を必要とするが、このシステムでは4ウェイ4ユニットのすべてを、それぞれ独立した専用アンプで駆動するというマルチアンプ方式として発展させたことも特筆に値する点だ。
 スピーカーシステムとしてこのアンプ内蔵方式は、理想の方式として従来から高級機には見られたものだが、ここまで徹底した製品は珍しい。W71×H140×D63cmという大型エンクロージュアは重量が150kgに及ぶ。下から30cm、27cm口径のコーンユニット、そしてドームユニットはスコーカーが88φ、トゥイーターが30φという4ユニット4ウェイ構成を採っていて、ボトムエンドの30cm口径ウーファーがYST駆動である。つまり、いわばこれがサブウーファーで、その上に3ウェイ構成がのると見るのが妥当かもしれない。サブウーファーは60Hz以下を受け持ち、ウーファーとスコーカー間は600Hz、スコーカー/トゥイーター間は4kHzのクロスオーバー周波数だ。この周波数に固定された専用のチャンネルディヴァイダーを持っている。ユニットの振動板材料は、このシステムの開発時にヤマハが理想とするものを使ったわけで、コーン材はケブラー繊維に金蒸着を施したもの。ドーム材はヤマハが従来から使い続けているペリリウムをさらに薄く軽くして結晶の均一化を果した。これも金蒸着によりダンプしている。豊かな潤いのある艶っぼい質感とワイドレンジのスケールの大きさは見事なものである。ペアで500万円という価格だが、当然少量生産だし、これだけの力作なら納得できるのではないだろうか。音楽産業メーカー〝ヤマハ〟らしい製品だ。

ヤマハ YST-SW1000

菅野沖彦

オーディオ世界の一流品(ステレオサウンド創刊100号記念別冊・1991年秋発行)
「世界の一流品 アナログプレーヤー/カートリッジ/トーンアーム/その他篇」より

 ヤマハはいうまでもなくわが国最大の音楽産業メーカーであり、世界的にも一流のブランドとして通用する。このメーカーは楽器という人間の感性に直結する美を生命とする道具を作って1世紀を超える社歴をもっているのだから凄い。しかも、それを現代的な産業に発展させ人間という曖昧な対象にシステマティツクに対応する術を培ってきた。この体質はオーディオに最も適するものだと思う。それは電気機具を作って売るマスの体質をもった電機メーカーが今のようにオーディオの趣味の世界を台無しにしたことを思うからである。そのヤマハも大電機メーカーとの競争、泥仕合いにまみれたのだから情けない……のだが、このところさすがに無益な競争の馬鹿馬鹿しさに気がついた同社は、先述のペア500万円のスピーカーシステムで姿勢の転換を示した。そのオリジナリティとなっているテクノロジーがYST方式と呼ぶヤマハ・サーボ・テクノロジーだ。負性インピーダンス駆動でウーファーをドライブしてエアマスで効率よく低音を再生するシステムである。口径の小さいウーファーでも豊かな低音を再生できるシステムであるため、ヤマハはこれを小型システムに導入し、それなりの成果は上げた。しかし、本来は大口径ウーファーとYSTの組合せで再生したときの低域の高品位ぶりを広くPRすべきだった。YSTは、同口径ウーファーなら最高効率で低域特性をのばすことができる方式だからである。しかも、このYSTウーファーが質的にも連り、高品位な低域再現を可能にするのは60Hz以下程度で使ったときだ。つまり、サブウーファーシステムとしても理想に近い姿は中〜大型システムとの併用だと思う。本機は30cm口径のYSTシステムで、タンノイのウェストミンスターやRHRとの併用で50Hz以上で使うと素晴らしい効果を発揮する。もちろん小型との併用が悪いわけではなく130Hz以上ならよいのe が、真価は以上述べた通りだ。

ヤマハ GT-CD1

井上卓也

オーディオ世界の一流品(ステレオサウンド創刊100号記念別冊・1991年秋発行)
「世界の一流品 CDプレーヤー/D/Aコンバーター篇」より

 CD初期には、アナログプレーヤーとは異なり、スピーカーからの音圧や外部振動による音質劣化がないことがデジタルオーディオの特徴である、といわれたCDプレーヤーも、次第に状況が変化してきて、最近ではCDプレーヤーの振動対策こそが高音質を得るための必須条件、とされていることはまことに皮肉な事実であるようだ。
 GT−CD1は、一般的なCDプレーヤーがアンプやカセットデッキ的な筐体構造を採用しているのに対し、アナログプレーヤーと同様な構想に基づく独自の筐体構造を採用している点に注目したい。外部振動ばかりでなく、内部振動にもCDプレーヤーは弱いという現実に即し、筐体構造をアナログプレーヤーと同等としたことは、簡単なことのようではあるが、見事な発想の転換であり、このモデルの到達可能な音質の限界を飛躍的に伸ばすことが可能となっている。上部のウッドブロックは厚さ60mmで、内部にCDドライブユニットを収納してあり、このブロックの底板である2・3mm厚鉄板が本機のメカニカルグラウンドに当る。四隅には六角断面の鉄柱があり、下側に伸びて本機の脚部となる構造である。下側の金属筐体に納まるDAC部は、前記の底板部分に懸架され、ぶら下がる構造となっており、鉄製底板は空間的にも電気的にもCDドライブ部とDAC部を分離独立させるため、外観は一体型に見えるが内容的にはセパレート型CDプレーヤーに等しく、しかもリアパネルを介さず、上下に短いシグナルパスが可能となる特徴を併せもつ。
 試聴モデルはプロトタイプではあるが、筐体構造の違いは明らかに音の違いとなって現われている。プログラムソースに対するしなやかな対応性の幅の広さをはじめ、音楽が演奏されている環境条件を十分に聴か
せるだけの音場感情報の豊かさが印象的であり、発売時までの一段の成長が期待できる意欲作である。

ヤマハ HX-10000

早瀬文雄

ステレオサウンド 90号(1989年3月発行)
「スーパーアナログコンポーネントの魅力をさぐる フォノイコライザーアンプ12機種の徹底試聴テスト」より

 同社創業100年を記念する10000番シリーズの製品。入力2系統。各入力にはL/R独立のヘッドアンプと専用イコライザーアンプを持つ。イコライザーは、初段がデュアルFET差動入力・カスコードブートストラップ回路、終段にはパワーMOSーFETを用いたコンプリメンタリー・プッシュプル回路構成としている。MCハイ/およびMMに、独立して2種、計6ポジションのカートリッジロードセレクターを装備している。

ヤマハ HX-10000

早瀬文雄

ステレオサウンド 90号(1989年3月発行)
「スーパーアナログコンポーネントの魅力をさぐる フォノイコライザーアンプ12機種の徹底試聴テスト」より

 端正に引き締まった、あいまいさのない響きは涼しげな空気感、透明感があっていい。じめじめしたウェットな暗さのない、明るい音場には、健康的でクリーンな雰囲気がある。演奏家のコンセントレーションがさらに高まって求心力もついてくる。時に、やや硬質な輝きがつくこともあるが、たとえばMC70のセラミックボディのくせをそれとなく聴かせてしまうあたり、情報処理能力の高さを物語るものだろう。
 パルシヴな響きに付随する余韻の爆風のようなエネルギー感もかなりのもの。しかも、その飛散する響きの方向性を正確に再現し、かつ強い音が重なっても音像の崩れや音場の揺れがないのは立派。強力な電源、不要共振を排除した大袈裟ともいえる凝ったコンストラクションが功を奏しているのだろう。しかし、このチカンカラー、ゴールド、木目の配色や大仰なデザインは個人的にはやや違和感を覚える。

ヤマハ GTR-1B

早瀬文雄

ステレオサウンド 90号(1989年3月発行)
「アナログプレーヤー徹底試聴 アナログ再生を楽しむプレーヤー4機種を自在に使いこなす」より

 ヤマハのGTR1Bは、オーディオファイルのスタンダードのラックとして、その使用実績は相当に高いはずだ。しかし、これとて「完璧」ではありえない。盲信しては前進はない。ステレオサウンドの試聴室に常備されたGTR1Bは原則として、試聴時、ラック内には何も収納せず、天板上に試聴機を置くのみとしている。なぜ?
 それは、ラックを含んだ全体の振動モードをできるだけ単純化しようという考えからである。現実の使用では物を入れる。そのとき、いかなる工夫をすべきか、どうしたら効果的な共振の整理ができるか(あるいは響きのコントロールの一手段として「振動」をどう取り込んでしまうか)、そういった、ケースバイケースの思考のヒントを導くためにも、とりあえずラック1台に対して試聴機は1つ、つまり1対1の関係を崩さないことを原則として守る。
 ある程度音量をあげていくと、音圧の影響を受けやすいボックス状の、このラックは見た目以上に共振していることが、手を触れてみるとよくわかる。天板の裏や側板は、音楽の複雑な空気の振動を受けて、あるいは床を伝わってくる振動によってあおられ、驚くほど共振している。こうした分厚く堅い、つまりQ(共振峰)の高い材質は、相対的に「カンカン」したピッチの高い共鳴、共振を起こしやすい。事実、このラックは、機器にそういった付帯音をのせる傾向がある(したがって、本誌の通常の試聴時には、その対策を独自に施している)。

ヤマハ AST-1

井上卓也

ステレオサウンド 89号(1988年12月発行)
特集・「ジャンル別価格帯別 ザ・ベストバイ・コンポーネント436選」より

バスレフ型などに利用されているヘルムホルツの共鳴箱を効率高く使うために考え出された画期的な新方式に基づく第一弾製品。まさに驚異的に量感タップリの低音が簡単に手に入ることになったが、使いこなしは大変。
★★

ヤマハ AST-1

菅野沖彦

ステレオサウンド 89号(1988年12月発行)
特集・「ジャンル別価格帯別 ザ・ベストバイ・コンポーネント436選」より

このサイズで驚異的にのびる低音の素晴らしさ、アンプと一緒で動作するユニークなシステムで、今後の発展に大いに期待が持てる。スピーカーよりアンプに特徴があるほどで、採点はシステムとしての評価である。
★★★

ヤマハ NS-05(G)

菅野沖彦

ステレオサウンド 89号(1988年12月発行)
特集・「ジャンル別価格帯別 ザ・ベストバイ・コンポーネント436選」より

中域に印象が強く、よく鳴るスピーカーだが、専用台はいかにも低すぎて、部屋と場所の影響を受けやすいのが難だろう。気軽に使うシステムらしい肌ざわりのよい音の質感が好ましく、中途半端に気張ってないよさがある。
★

ヤマハ NS-1 Classics

菅野沖彦

ステレオサウンド 89号(1988年12月発行)
特集・「ジャンル別価格帯別 ザ・ベストバイ・コンポーネント436選」より

新素材合戦に疲れた本家帰り的オーソドックスなスピーカーシステム。しかし音楽を聴くなら、こっちが近道。古き良きものを捨て前進するハイテク一辺倒の姿勢はスピーカーにとって実りが多いとはいえない。
★★

ヤマハ NS-1 Classics

井上卓也

ステレオサウンド 89号(1988年12月発行)
特集・「ジャンル別価格帯別 ザ・ベストバイ・コンポーネント436選」より

もっとも小型でクォリティの高いスピーカーを探せば、国内製品では、このNS1以外にないというのが現状である。材料を吟味した専用スタンドと組み合わせ、良質なアンプでキュートな音を楽しみたいものである。
★★

ヤマハ CX-2000, MX-2000

井上卓也

ステレオサウンド 88号(1988年9月発行)

「BEST PRODUCTS」より

 世界初のデジタルコントロールアンプとして脚光を浴びたCX10000を中心とするヤマハ10000シリーズは、見事なデザインと仕上げ、極限の性能に裏付けられた音質など、ヤマハ創業100周年記念の限定量産モデルとして高い評価を与えられた。今回、既発売のCDプレーヤーCDX2000、D/Aコンバーター内蔵プリメインアンプAX2000に続き、新製品として、デジタルAVコントロールアンプCX2000とパワーアンプMX2000、それにFM/AMチューナーTX2000が加わり、事実上のヤマハオーディオのトップランクを担う2000シリーズのラインナップが完成した。
 CX2000は、時代の要求に応えて、高いクォリティで、デジタル信号処理能力と映像信号処理能力を含め、ピュアオーディオのコントロールアンプとしての性能、音質を追求した新世代のコントロールセンターである。
 デジタル、AV信号も扱うコントロールアンプとして最大のポイントは、高いSN比を維持することにつきるだろう。そのためには、まず筐体関係で高周波や測定器に準ずるレベルで、シールドを施し分離しなければならない。
 全面的に銅メッキを施したフレーム、シャーシは、デジタル部、マイコン部、フォノイコライザー部、電源部、トーンアンプ部とフラットアンプ部を、それぞれ独立したBOXに分割収納する高剛性6BOXシャーシ構造が採用されている。この構造により、耐振性を向上させて、機械的振動による変調ノイズの発生による音質劣化も排除する設計だ。なおデジタル部は、パルス性雑音対策として銅メッキ製トップカバーで全体を覆い、厳重なシールド対策を施している。
 信号系は、MCヘッドアンプ付6ポジション負荷抵抗切替型フォノイコライザー部、高入力レベルのチューナーなどのアナログソース、8倍オーバーサンプリング18ビット・デジタルフィルターと、従来比でSN比を10dB向上した18ビット・ツインD/Aコンバーターを採用したデジタルソース、それにビデオソースの3ブロックで、これらのプログラムソースは、内部配線が短くできる半導体セレクタースイッチ、リモコン対応の4連ボリュウムを通り、20dBのフラットアンプ部に送られる。
 ソースダイレクトスイッチをONとすれば、フラットアンプ出力は、入力に4連ボリュウムの2連を使った0dBバッファーアンプを通り出力端子に送られる。次にスイッチをOFFにすれば、バランス詞整、モード、サブソニック、高・中・低音調整、連続可変ラウドネス調整を経由してバッファー入力に送られる。
 電源部は、デジタル・ビデオ部、アナログ部、マイコン部の独立3電源トランス採用。ビデオ電源は単独にON/OFF可能。デジタル電源は、アナログ入力選択時にデ
ーター復調回路のIC動作をとめる設計である。
 MX2000は、低インピーダンス駆動能力を重視したA級動作のステレオパワーアンプである。
 パワー段は、MX10000で開発されたHCA(双曲線変換増幅)回路により全負荷、全パワー領域でA級動作を可能としたHCA・A級増幅に特徴がある。ちなみに1Ω負荷のA級動作ダイナミックパワー600W+600Wを得ている。
 筐体構造は、銅メッキシャーシとフレーム採用の左右シンメトリー配置で、出力メーターを含むフロントパネル部、電源部、左右パワーアンプ部、電圧アンプ部、それにスピーカーリレー、出力コイルなどを収める出力ブロックの6ブロック構成である。
 注目したい点は、チムニー型ヒートシンクの配置が一般とは逆に内側に置き、パワーアンプ基板と電源トランスの干渉を避けた細心のコンストラクションである。
 電源部は、EI型コアの420VA電源トランスと、低箔倍率φ76mm、20000μF×2電解コンデンサーのペアである。
 CX2000とMX2000のペアは、音の粒子が細かく、滑らかに磨かれており、スムーズに延びたワイドレンジ型の帯域レスポンス、しなやかな表現力などは、従来のヤマハのセパレートアンプにはない、新しい音である。傾向として、十分にエージングに時間をかけたAX2000に近い。
 MC入力時には、ノイズ的な環境の悪いSS試聴室でも十分にSN比が高く保たれ、アナログならではの音が楽しめる。このことは、この種のアンプの重要なチェックポイントだ。
 デジタル入出力時は、光、同軸の差を素直に出し、銘柄、グレードの差が楽しめる。また各種CDのデジタル出力を使い、個々の音が楽しめるのも新しい魅力の展開だ。

ヤマハ MX-10000

井上卓也

ステレオサウンド 84号(1987年9月発行)
特集・「50万円以上100万円未満の価格帯のパワーアンプ15機種のパーソナルテスト」より

安定感のあるピシッと伸びた、フラット型の帯域バランスと、カラッとした良い意味での乾いた、硬質な魅力をもつ音だ。低域は質的には高いが柔らかいタイプで、中高域の少しメタリックな質感と巧みにバランスしている。プログラムソースとの対応は明快な音で表現するが、雰囲気も充分に伝える。太鼓連打での反応は、電源部の強力さが感じられ、並の250Wクラストは異なった力強さが聴き取れるが、なぜかアタックの瞬発力は標準プラス程度に留まった。

音質:86
魅力度:92

ヤマハ B-2x

菅野沖彦

ステレオサウンド 79号(1986年6月発行)
特集・「CDプレーヤー・ダイレクト接続で聴く最新パワーアンプ48機種の実力テスト」より

 やや硬質ではあるが、透明感が高く、濁りのない品位の高い再生音である。バッハのカンタータにおける弦合奏は暖かさよりも、さわやかさが印象的で、チェンバロの高域のハーモニクスが大変美しい。ソプラノもバリトンも凛として(ややしすぎかもしれない)端正だった。大編成オーケストラの音色の綾の再現も鮮やかで、細かい音色を明瞭に聴かせる。トゥッティの響きはやや軽く、豊かさと重厚さに欠ける傾向ではあった。ジャズはピアノの音色感がありのまま美しく、弾みも上々。

音質:8.2
価格を考慮した魅力度:8.2

ヤマハ B-2x

井上卓也

ステレオサウンド 79号(1986年6月発行)
特集・「CDプレーヤー・ダイレクト接続で聴く最新パワーアンプ48機種の実力テスト」より

 音を整理して、整然とした音を聴かせる、いかにもヤマハらしい個性的なサウンドを聴かせるアンプだ。全体に輪郭をクッキリとつけ、やや硬質に表現するが、まとまりとしては、やや低域の安定感に欠け、スッキリとはするが、長時間聴くと疲れそうな傾向がある。この状態で欲しいのは、力感とか余裕度である。平均的には、パワーアンプをダイレクトに使ったキツさと受取れやすいが、一度スピーカーコードを変えて聴いてみたい。CDダイレクト入力だけに試聴条件の影響大だ。

音質:8.0
価格を考慮した魅力度:8.9

ヤマハ MC-100

井上卓也

ステレオサウンド 77号(1985年12月発行)
「BEST PRODUCTS」より

 MC100は、ヤマハ独自の垂直系と水平系の発電コイルをマトリックスによって45/45方式に変換するクロス発電方式を採用した高級バージョンの新製品である。
 娠動系は、ヤマハらしくベリリュウムのテーパイドパイプと、8×40μmの特殊ダ円のソリッドスタイラス使用で、独自の段付ダンパーと60μmの特殊ピアノ線による一点支持方式だ。磁気回路はMC3と比べサマリュウムコバルト磁石を25%大型化しコイルは20μm径のOFC線を使った空芯の純粋MC型だ。
 ボディ材料は、ヘッドシェルと接するベース材に金属を採用し、高強度プラスチックのサブベースとは、SUSピンで固着し、トータルな不要振動を抑える設計だ。
 最適針圧1・4g±0・2gと発表されており、この値に針圧とインサイドフォースキャンセラーをセットし、PRA2000Zのヘッドアンプを使い音を聴く。
 プログラムソースは、ベルリオーズの幻想交響曲。アバド指揮のシカゴ演奏のグラモフォン盤である。やや軽いがシャープに反応をする程よく丸みのある音で、音色は明るく、帯域はナチュラルに伸びた現代型のバランスである。音像定位はクリアーだがエッジは柔らかいフワッとした定位感だ。バランスが良く、VL型独自の音溝を丹念に拾う特徴が活かされた水準以上の音だ。
 針圧を1・6gとし、IFCは1・5に変える。表情に少し穏やかさが加わるが、むしろ安定した印象となり、鮮度感が高いため見通しがよいアナログらしい音だ。ただし、音の表情は少し平均的である。
 一転して針圧1・25g、IFC1・25にする。少し変な数値だが、SMEの針圧目盛で仕方ないところだ。やや、線が細く、全体に音が整理された印象となり、反応の速さ、抜けの良さが目立つ音になる。針圧変化に対する音の変化は、このタイプとしては比較的に穏やかで、使いやすいMC型といえよう。
 針圧1・5g、IFC1・5で内蔵昇圧トランスに切替える。音に一種のメリハリが付いた、やや硬質だがクッキリとした明快な音で、クォリティも高く、VL型の魅力が素直に活きた音である。
 プログラムソースをポップス系とし、再びヘッドアンプ使用に戻す。針圧変化に対する音の傾向は、基本的にオーケストラと変わらない。音的に標準針圧を探ってみると針圧1・5g、IFC1・5が中心値で、低域の音の芯がクッキリとした爽やかな音が聴かれ、音場感の拡がり、音像定位でも一級の出来である。やや、音の表情に冷たさがあり、中高域の僅かなキラメキがMC100の個性だといえよう。もう少しクッキリとしたリッチな音が望ましく、IFCの量を少しアンバランスにするため針圧のみを約1・6gとする。安定感と彫りの深さが両立した、いかにもアナログディスクらしい音だ。平均的にはこの値がベストであろう。
 試みに、端子の±を逆にして音を聴く。鮮明さは下がるが、穏やかな雰囲気のある柔らかな響きが特徴の音だ。オーケストラはやや後方の席で聴く印象となる。針圧とIFCを1・25gとする。これも楽しい音。

ヤマハ CD-2000W

井上卓也

ステレオサウンド 77号(1985年12月発行)
「BEST PRODUCTS」より

 ヤマハのCDプレーヤーは、自社開発の専用LSIの完成を待って出発するという、いかにもヤマハらしいユニークな製品づくりが目立つが、今回発売された新シリーズの7モデルは、そのラインナップから見ても、いよいよヤマハのCDプレーヤーが完成期を迎え、内容的にも一段と濃いものになってきたことを告げているようだ。
 ここで試聴したモデルは、型番に4桁のナンバーを持つCD1000、CD2000と2000Wの3機種中のトップモデルCD2000Wである。
 今回の一連の新製品開発は、機械的な振動とCDプレーヤーの音質との相関性を解くVMA(Vibrated Modulation AnalysiS=振動変調解析)手法の開発にはじまり、これに基づいてCDプレーヤー全体のメカニズム構造を検討し、各種の新発想による解決手段が施されていることに特徴がある。
 開発当初は、アコースティックな振動や機械的な据動に非常に強いといわれたCDプレーヤーであるが、ある程度電気系の完成度が高まるにつれ、予想以上にCDプレーヤーは振動に弱く、振動と音質の相関性を解明することが、効率よくCDプレーヤーの音質を向上する途であることが、メーカー側でも判ってきたようだ。
 このことをユーザー側から考えれば、CDプレーヤーは、アナログプレーヤー的にメカニズムの基本がしっかりしたものを選択すべきという、誰にでも判かる簡単なヒントを提供してくれたことになる。
 VMAに基づいて開発、採用されたものの代表は、VMスタビライザーと高剛性ダブルボトムがある。前者は、アナログ用基板の振動制御に銅メッキメタル製スタビライザーを組み合わせたもの。後考は、筐体の盲点である底板部分を二重構造として、重量と剛性を上げて防振対策をするものだ。
 電気系の特徴は、新開発3ビーム光ヘッドに新製品中唯一の球面ガラスレンズ採用、小型低消費電力化された二種の新LSI、新D/Aコンバーターと左右独立デジタルフィルターの他に、高級アンプ並みに低インピーダンス大容量電源など、高級機らしくヤマハのエレクトロニクス技術の成果を充分に活かした設計が見受けられる。
 機能面は、10キー・27モードのリモコンが付属し、可変出力端子とヘッドフォンをリモートコントロール可能。FL6桁表示ディスプレイは、パーグラフ出力レベル表示付、12曲プログラム選曲などがある。
 試聴を始めよう。初期のウォームアップ、CDのセンタリング精度などは標準的な範囲だが、本機の音は、素直な帯域バランスと正攻法でビシッと音を決めて聴かせる、いかにもヤマハらしい音だ。音の粒子は適度に細かく、聴感上のSN比も充分にあり、音場感、音像定位も優れる。アナログで培かったヤマハらしい音の魅力をCDで聴かせてくれる。これはよい製品である。

ヤマハ C-2x

菅野沖彦

ステレオサウンド 76号(1985年9月発行)
特集・「CD/AD 104通りの試聴テストで探る最新プリアンプの実力」より

 このプリアンプは、情緒的な面よりも、まず、その物理特性の優れた、ワイドレンジと粒立ちのよさが印象的だ。したがって、全ての音楽的特徴に対して平均的に堅実な再生音を聴かせてくれるのがよい。しかし、裏返しに、深い思い入れや、個性の魅力といった面では物足りなさを感じるかもしれない。オーディオは物理特性の優秀さが最重点だとは解ってはいても、感性や情緒はそれだけでは満たされぬところが面白くも難しい。優等性的なアンプ。
[AD試聴]Fレンジも広く、スケールも大きいオーケストラの再生音は力感に溢れている。やや賑やかなのが高域の特徴。しかし、これは録音のせいかもしれない。東独のオーケストラにしては渋い味のある音が、派手になる傾向だ。「蝙蝠」のステージ感の拡がりや空間の豊かさにも優れた再生を聴かせるし、過不足のない音だが、もう一つ魅力に欠ける。ジャズもヴォーカルも、やや太目の印象で、力感はあるが、ベースの響きが少々重く、弾みに欠ける嫌いがある。
[CD試聴]CDの再生音はやはり全てのプログラムソースをストレートに聴かせる傾向である。CD臭さを強調するわけでもないし、かといって、丸めて無難に聴かせるわけでもない。どちらかというとJBLの方が合っていて、説得力のある再生音を楽しむことが出来る。B&Wでは、あまりに中庸的で魅力に欠けるようだ。が、B&W801Fからシンバルの硬質な響きをちゃんと聴かせた数少ないプリの一つ。ミュート・トランペットも鋭く、かつボディがある。

ヤマハ MC-505

井上卓也

ステレオサウンド 75号(1985年6月発行)
特集・「いま話題のカートリッジ30機種のベストチューニングを探る徹底試聴」より

 標準針圧は、中低域ベースの穏やかな音。低域は軟調で、奥に音が引込み、ホール後席の音の印象で、鮮度不足だ。針圧上限で安定感が向上し、明快でプレゼンスが出てくる。針圧下限は、軽いが、浮いた印象で、表面的な華やかさだ。雰囲気は独特なものがあり、フワッと拡がる音場は面白い。標準から上限がポイントで、1・75gにする。安定感のあるクリアーな音で、少し線は太いがプレゼンスもあり、ベストに近い音だ。SMEの針圧目盛で標準と1・75gの中間にする。音に伸びやかさが加わり、エッジも適度に張った線のシャープな音だ。IFCを1・5にもどす。音場感が爽やかに拡がり、これがベスト。
 ファンタジアは、響きが豊かで、ライブ的な印象となる。ベースは柔らかく少しふくらみ軟調だが、ブックシェルフ型には好適なバランスだ。
 アル・ジャロウはやや大柄なイメージのボーカルで、力強さが今一歩、必要だろう。

ヤマハ A-1000

井上卓也

ステレオサウンド 73号(1984年12月発行)
「BEST PRODUCTS」より

 ヤマハからの新製品A1000は、昨年、高級プリメインアンプの市場に投入され見事な成果を収めたA2000と基本的に同一コンセプトをもつ製品である。
 このところ、ブラックパネルが大流行のようで、視覚的に各社間のデザイン的な特徴が希薄になりがちのなかにあって、ツヤを抑えたヤマハ独自のシルバー仕上げのパネルと、ウォルナット鏡面仕上げのウッドキャビネットを配したデザインは、クリアーで、エレガントな雰囲気をもつ新しいヤマハの顔であり、A2000とのパネルフェイスの違いは、好みが分かれるところであろう。
 アンプとしての構成は、MC型カートリッジをダイレクト使用可能な、NF/CR型ハイゲインイコライザー、低域をスピーカーに対応して約1オクターブ伸ばす独自の3段切替リッチネス回路とト-ンコントロールを備えたラインアンプ、B2x、A2000パワーアンプ部に順次採用されてきた、純A級アンプに電力損失を受持つAB級パワーアンプを組み合せたヤマハ独自のデュアル・アンプ・クラスA方式の120W+120W(6Ω負荷)、140W+140W(4Ω負荷)の出力をもつパワーアンプ、の3ブロック構成で、A2000の流れを受け継ぐものである。なお、パワーアンプ部にはヤマハ独自開発のZDR歪回路を採用し、一般的な純A級パワーアンプのわずかの素子の非直線性に起因する歪をも除去し超A級ともいえるリニアリティを実現し、織細で美しい音を得ている。
 電源部は、多分割箔マルチ端子構造ケミコン採用で、総計14万6千μFの超強力電源を構成し、2Ω負荷時のダイナミックパワーは、279W+279Wを得ている。
 機能面では、入力切替スイッチに2系統のTAPE入力を組み込み、アクセサリー端子を独立して設けたのが特徴。AV対応時のサラウンドアンプやグラフィックイコライザーなどの接続時に使い、使用しないときにはショートバーで結んでいる。なお、この端子の後に、ミューティング、モード、バランス、ボリュウムコントロールがあるため、接続されるアクセサリー横器の残留ノイズ等はボリュウムで絞られ、通常の使用時でのSN比は良く保たれる。
 JBL4344とLC-OFCコードによるヒアリングでは、音の粒子が、細かく滑らかに磨き込まれており、素直に伸びた適度なワイドレンジ感と、自然な雰囲気の音場感的な拡がりが印象的で、ナチュラルサウンドの名にふさわしく、洗練された音だ。A2000と比較すれば、全体の音を描く線が、細く、滑らかなのが特徴であり、このしなやかな表現力は、使うにしたがって本来の良さが判ってくるタイプの魅力だ。リッチネスを使うときのポイントは、わずかに、トレブルを増強することだ。

テクニクス SE-A1、ヤマハ 101M

井上卓也

ステレオサウンド 72号(1984年9月発行)
特集・「いま、聴きたい、聴かせたい、とっておきの音」より

 セパレート型アンプのジャンルでは、コントロールアンプに比較して、パワーアンプに名作、傑作と呼ばれる製品が多い傾向が強いように思われる。
 こと、コントロールアンプに関しては、管球アンプの以前から考えてみても、いま、残しておきたい音というと、個人的には、管球アンプのマランツ♯7と、ソリッドステート以後ではマーク・レヴィンソンLNP2の2モデルしか興味がない。
 これに比較すれば、パワーアンプではいま聴きたい音、あるいはとっておきたい音は数限りなくあるといってもよいし、個人的にもパワーアンプのほうが好きなようで、手もとに残してある製品を考えても、パワーアンプの総数はコントロールアンプの3倍はあると思う。とくに、この号が発刊される頃(秋)は、感覚的にも、管球アンプを使いだすシーズンであり、音的には体質にマッチしないが、マッキントッシュMC275を再度入手したいような心境である。
 国内製品でも、パワーアンプには興味深い製品が数々あり、AクラスパワーアンプのエクスクルーシヴM4、全段FET構成のヤマハBI、 ハイパワー管球アンプのデンオンPOA1000Bなどは、オーディオの夢を華やかに咲かせた。それぞれの時代の名作であり、コレクション的にも興味のある作品と思う。
 パワーアンプでAクラス増幅の高品位とBクラス増幅の高効率が論議され、各社から各種のBクラス増幅のスイッチング歪とクロスオーバー歪を低減する新方式が開発された時点で、スイッチング歪とクロスオーバー歪の両方が発生せず、しかもAクラス増幅で350W+350Wという超弩級のパワーをもつ驚異的なパワーアンプとして、テクニクスから1977年9月に登場した製品がテクニクスA1だ。
 テクニクスの伝統ともいうべきか、全段Aクラス増幅のDCコントロールアンプのテクニクスA2と同時に発表されたA1は、独特のコロンブスの卵的発想によるAプラス級動作と名付けられた新方式を採用した点に最大の特徴がある。
 基本構想は、スイッチング歪とクロスオーバー歪が発生しない低出力A級増幅パワーアンプの電源の中点をフローティングし、別に独立した電源アンプで信号の出力増幅に追従するようにA級増幅アンプの電源中点をドライブするという2段構えの構成での高効率化である。
 これにより、アンプの外形寸法はA級増幅の100W+100Wなみに抑えることが可能となり、しかも強制空冷用のファンなしの静かなパワーアンプが可能となったわけだ。またこのモデルは、入力や出力のカップリングコンデンサーや、NFBループ中にもコンデンサーのないDCアンプを採用しながら、DCドリフト対策として、出力のDCドリフト成分を信号系とは別系統の系を通してDCドリフトの要因となる回路素子に熱的にフィードバックし、素子間の温度バランスを補正し、DCドリフトの要因そのものを打消すアクティブサーマルサーボ方式を採用していることも特徴である。
 機能面は、4Ω、6Ω、8Ω、16Ωのスピーカーインピーダンスによる指示変化を切替スイッチで調整可能の対数圧縮等間隔指示のピークパワーメーター、レベルコントロールによりプリセット可能な4系統のスピーカー端子、2系統の入力切替、電源のON/OFFのリモートコントロールなどが備わっている。
 周波数特性、DC〜200kHz −1dB、スルーレイト70V/μsec、350W+350W定格出力時(20Hz〜20kHz)で0・003%のTHDと、スペックのどれをとってもパワーアンプとして考えられる極限の性能を備えていた。しかも、業務用ではなく、純粋にコンシュマーユースとして開発された点に最大の特徴がある製品だ。
 柔らかく、穏やかな表情と、しなやかで、キメ細かい音が特徴であったが、余裕たっぷりの絶大なスケール感は、ハイパワーであり、かつ、ハイクォリティのパワーアンプのみが到達できる独自の魅力で、現在でも鮮やかに印象として残るものである。今あらためて、ぜひとも最新のプログラムソースと最新のスピーカーシステムで聴いてみたい音だ。また、このAプラス級増幅方式と共通の構想として、それ以後、エクスクルーシヴM5、ヤマハB2xなどが誕生していることも、見逃せない点だ。
 1982年末に、500W十500Wという超弩級ステレオパワーアンプとして初登場したモデルが、ヤマハ101Mである。外観のデザイン面からも判然とするように、ヤマハ一連のアンプデザインと異なった印象を受けるが、基本構想はレコーディングスタジオでのモニターアンプ用として開発されたモデルでナンバー末尾のMは、モニターの意味であると聞いている。
 構成は、筐体は共有しているが、内部は電源コードまでを含み完全に左右チャンネルは独立した機構設計をもっている。人力系は、欧米でのスタジオユースを考えオスとメスのキャノン型バランス入力とRCAピンのアンバランス入力とレベルコントロール、さらに、BTL切替スイッチが備わり、BTL動作時は、1500W(8Ω)のモノパワーアンプになる。なお、出力系は、切替スイッチはなく、1系統のダイレクト出力端子のみ、というのは、いかにも、プロフェッショナル仕様らしい。
 パワー段は、+−70V動作のメタルキャンケース入り、Pc200Wパワートランジスター5パラ動作をベースに、+−120V動作の4パラ動作が必要に応じて加わる方式で、ヤマハ独白のZDR方式採用でパワーパワー段での各種歪、スピーカーの逆起電力による歪までをキャンセルし、定格出力時THD0・003%は、見事な値だ。
 音の輪郭をシャープに描き出し、ストレートに力強い表現をする音は、一種の厳しさをも感ずる凄さがあり、国内製品として異次元の世界を聴かせた印象は今も強烈だ。