菅野沖彦
ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
特集・「いま話題のアンプから何を選ぶか(下)最新セパレートアンプ25機種のテストリポート」より
クラスAの〝ゴジラ〟は、なめらかで明るいサウンドを満喫させてくれる。ヴァイオリンはなめらかで細かい音もよく出る。中域にややかげりがあるが、ピアノの音も美しい。大振幅でパワーにやや不足を感じるが、音の力感は充分。4343を牛耳る。
菅野沖彦
ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
特集・「いま話題のアンプから何を選ぶか(下)最新セパレートアンプ25機種のテストリポート」より
クラスAの〝ゴジラ〟は、なめらかで明るいサウンドを満喫させてくれる。ヴァイオリンはなめらかで細かい音もよく出る。中域にややかげりがあるが、ピアノの音も美しい。大振幅でパワーにやや不足を感じるが、音の力感は充分。4343を牛耳る。
菅野沖彦
ステレオサウンド 52号(1979年9月発行)
特集・「いま話題のアンプから何を選ぶか 最新セパレートアンプ32機種のテストリポート」より
品位の高い再生音。つまり、あらゆるプログラムソースの特徴を見事に再生し分ける。ヴァイオリンのデリケートな音色から、パルシヴなドラムスの音まで、それぞれに生き生きとしたリアリティをもっている。質感は弾性的で肌ざわりのよいものだ。
井上卓也
ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より
現代アンプとしては、力強く彫りの深い音をもつ爽やかな製品。
井上卓也
ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より
現代を代表するウォームトーン系の厚みのある音は貴重な存在である。
菅野沖彦
ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より
独特な粘りと力強さをもった立体的な音の魅力は他に得がたい製品。
菅野沖彦
ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より
最新のテクノロジーが個性ある製品に巧みに活かされた最高級製品。
瀬川冬樹
ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より
テァドラやセーベほど立派ではないが、反面ナイーヴな音が魅力的。
瀬川冬樹
ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より
40Wとは信じ難い力。Thaliaとの組合せが音質面でもバランス。
井上卓也
ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より
40Wとは思われぬ力強い音をもち、中域が充実した注目の製品である。
井上卓也
ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より
IIとなって低域が充実し安定感を一段と高めたウォームトーンが魅力。
瀬川冬樹
世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より
いわゆる腰の坐りのよい堂々と安定感のある音が鳴ってきて、プログラムソースが変ってもその印象は一貫している。たしかにこの音は現代のアメリカのソリッドステートアンプのひとつの尺度となりうる見事な出来ばえだ。ただ「アメリカの」と断ったように、しばらく聴き込むうちに、元気のよいエネルギーをそのままぽんとこちらにぶつけてくるような、あまりにも率直な、その意味では強引ささえ感じさせる音は、私などは少々へきえきさせられる。むしろII型でない初期の製品の方が、もう少しおさえた説得力があって好ましかった。内蔵ヘッドアンプの出来ばえはなかなかの水準で、MC20とDL103Sのそれぞれ、フレッシュな魅力で鳴らし分けた。
瀬川冬樹
世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より
テァドラの鷹揚な力づよさとタレイア(サリア)のひかえめなやさしい音のあいだに挟まって、それらとはまたかなり傾向の違うやや硬調のハイコントラスト型というか、いわゆる目鼻立ちのくっきりした音の輪郭の鮮明さを狙って作った音、と聴きとれる。試聴で組み合わせた510Mとの相性はGASの中ではこれが最も良いようで、マランツの力と高域の質感に支えられて、よく張った硬質の音だがポピュラー系の音に対してはなかなか特徴のある音を聴かせる。ただ、クラシック系の弦合奏やヴォーカルでは、それぞれの音の特質をよくとらえてはいるが本来の硬い傾向の音が、永く聴くにつれて少々気になってくる。だがこういうふうに三機種の性格をはっきりと分ける作り方は賛成だ。
瀬川冬樹
世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より
テァドラがその本質的に持っている力をややあからさまに(と私には聴きとれるが)押し出すのに対して、孫のタレイア(サリアと呼ばれているようだが、本来ギリシャ神話からその名を取っていると思うので、)の方は、中〜高音域でえてして張りすぎやすい音域をしまくコントロールしてあるようで、それに加えてハイエンドにかけて軽い強調感が聴きとれることもあいまって、総体にやや細身に仕上っているが、音に繊細なやさしさと、よくひろがってゆく奥行き感とがあって、ややひかえめな感じだが、クラシックの弦合奏や、ヴォーカルでもキングズ・シンガーズのような響きの美しさやハーモニィを重視した曲の場合には、GAS三機種の中ではこれが私には最も好ましかった。
瀬川冬樹
世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より
中庸であることをの良さを十分にわきまえた音というべきか。実に見事に堂々とした安定感があって、どんなプログラムソースにも破綻をみせず、いわゆるヒステリックなところのない本当の底力のあるとてもいいパワーアンプだ。大地にどっしりと足をふんばってたっているかのように腰の坐りのよい音。よく鍛えたぜい肉のない筋肉質の肉づきの良さを思わせる、いかにも男性的な自信にあふれた魅力といえようか。ただ、前回のセパレート特集でも発言したように、私自身は、同じ音でももう少し女性的なやさしさや艶っぽさがなくては嬉しくなれない。いずれにしてもコントロールアンプのLNP2Lとは相容れにくい性格をもっていて、GAS同志の組合せの方がいい。
瀬川冬樹
世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より
アンプジラIIとグランドサンとのあいだにあって、まさにその中間的な音に仕上げてあるあたり、実力のある設計にが余裕しゃくしゃくで遊んでいるようで、これは並の手腕ではない。アンプジラのようなパワーに支えられた底力には欠けるという面を補う意図か、いくぶんコントラストの強い硬調ぎみの音に作ってあり、親父のようなおっとりした音でなく目鼻立ちをくっきりさせて、音の輪郭を鮮明にさせる。そういう傾向の割にはクラシックの弦合奏も案外楽しませるが、ただ本質的にはポップス系のプログラムソースの方を生かすようだ。親父の威光に負けまいといくらか突っぱって生きている、という感じで私にはグランドサンの素直さの方が好ましいが。
瀬川冬樹
世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より
アンプジラの孫ならさしずめ「マゴジラ」か。いかにも孫らしく、小造りで可愛らしさの感じられる音で、「オテロ」の冒頭の部分など、かなり精一杯がんばっているとでもいう鳴り方をする。ただそれはよほどの音量でのことで、ふつうの聴き方をするかぎり、表示パワー(40W×2)が信じがたく思える点はDB6と同様。コントロールアンプのサリアとも共通の性格だが祖父(アンプジラ)のあの堂々とした押し出しのないかわりに、プログラムソースにしなやかに順応する率直さがあって、弦や声もほどよく柔らかく溶けあう響きが美しい。いくぶん硬質ぎみの音といえるが、自己主張が強烈でなく、ぜい肉を抑えて細身に表現するところが私には好ましい音だった。
井上卓也
世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より
リファレンスパワーアンプ♯510Mとの組合せでは、オリジナルなペアよりも音の表情が素気なくなり、押出しはよいのだが、力にまかせて音を出すような印象となる。とくに中域から中高域にかけての帯域が硬調となり、厚さが感じられない、やや細い、薄い印象となる。
聴感上での周波数レンジは、オリジナルなペアよりもフラット型となり、音色もソリッドとなるために、オーディオ的にはかなりクォリティが高く、エネルギー感もタップリとあるが、音の表現が単調となり、独得の陰影の色濃い、ダイナミックな魅力はもはや感じられない。結果としてはマッチングの悪さが感じられるペアである。
井上卓也
世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より
トータルの音のキャラクターは、かなりテァドラIIとよく似ているが、バランス的には、低域の量感が少し抑えられてソリッドな印象となり、全体にスッキリとし、音の反応が少し早くなったように感じられる。
聴感上での周波数レンジは、割合にフラットレスポンスのナチュラルに伸びたタイプで、音色は明るく、適度のクリアーさがあり、クォリティは高く、やはりこの音はセパレート型アンプならではのものだ。
音の表情は特に豊かなタイプではないが、国内製品の優等生的なキャラクターから比較すれば、伸びやかで活気があり、ダイナミックである。また、色彩感の豊かな表現力はGASの製品らしい特長であろう。
井上卓也
世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より
クリアーで反応の早い音をもつコントロールアンプである。
聴感上での周波数レンジはかなりフラットレスポンス型で、バランス的にはローエンドが抑えられており、中域は米国系のアンプとしてはやや薄いタイプである。音色は明るく軽く、音の粒子は細かく充分に磨かれている。
音の表情はフレッシュでみずみずしく、キメの細かい鮮鋭さでは、上級機種のテァドラIIやセータよりも明らかに一枚上手である。基本的なクォリティは充分に高く、音の緻密さがあり、この価格帯の国内製品と比較すれば、いきいきとした伸びやかな音をもつ点で出色のコントロールアンプと思う。
瀬川冬樹
世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より
コントロールアンプ、パワーアンプ、それぞれの単体のところでほとんどその特徴を言いつくしてしまった。言いかえればそれぞれ単体で聴いたときと、それを互いに組み合わせたときの音の傾向がほとんど一致していて、それだけ個性がはっきりしているし、また、完成度の低いセパレートアンプが往々にして単独の試聴の際と組み合わせてのそれとで印象の違うことがあるのに対して、さすがに十分に練り上げられたアンプであることが聴きとれる。音の質感が本質的には乾いた傾向であること、堂々と立派で男性的であることなど、これ以外のメーカーではアムクロンの組合せが一見似ているが、アムクロンの方にむしろ力を抑制した好ましさを私は感じた。GASの音にはその力をやや誇示する傾向が聴きとれる。初期の製品だけが持っていた、素直さが魅力につながるような、控え目ゆえの好ましさが薄れたともいえる。しかし客観的にはこのアンプの音はやはり水準以上のみごとなできばえというべきなのだろう。
井上卓也
世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より
リファレンスコントロールアンプLNP2Lとの組合せでは、オリジナルな組合せとはかなり異なったキャラクターの音となる。
大変に滑らかで豊かな音で、低域から中域にかけてのベーシックトーンが、オリジナルペアにくらべると柔らかく軟調傾向が増え、中域のエネルギー感が少し薄らぐようだ。音の粒子は、ハイパワーアンプとしては細かくよく磨かれたタイプで、滑らかさ、細やかさ、表情のゆったりとしたキャラクターは、パワーアンプのほうにかなりあることがわかる。基本的なクォリティは充分に高く、ステレオフォニックな音場感は、パースペクティブをかなり感じさせるタイプだ。
瀬川冬樹
世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より
サリアとグランドサンの組合せが、全体として音のナイーヴなやわらかさを特徴として、どちらかといえばクラシックに良さを聴かせる(しかしポップスにもそのナイーヴな音は十分に優れていると思うが)のに対して、こちらの場合には総体に硬調でコントラストを強めて、クラシックよりはポップス系にその特質を発揮する。ただ硬調とはいっても、国産の一部にあるようなあからさまなに硬く金属的な音は違って、それはあくまでもGASのファミリィの中で、の話であって、これを単独に国産の硬質型のアンプと比較すれば、ずいぶんおだやかに聴こえるはずだ。たとえば弦楽四重奏のようなプログラムソースでも、弦の音自体は確かに硬い傾向に鳴らすが四つの声部のバランスにも難点は少なく、ましてボウイングにともなう音のニュアンスがよく聴き分けられ、やはり音楽をよく知った設計の手になることは十分に聴きとれる。ただヴォーカルなどではもう少ししなやかさが欲しく思える。
井上卓也
世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より
リファレンスコントロールアンプLNP2Lとの組合せでは、アンプジラIIと比較して、比較的に寒色系のソリッドで引き締った音になる。
聴感上での周波数レンジは、ローエンドが抑えられたフラットレスポンス型であり、バランス的には、低域が引き締り中域の粒立ちがクッキリとしているために、アンプジラIIとくらべると反応の早さや音の鮮度の高さでは勝るが、スケール感の大きな安定した力強さではかなりの開きがある。しかし、その比較さえしなければ、定格出力から予想するよりはるかにパワフルであり、4343を充分にドライブするだけのエネルギー感があるのは見事である。
瀬川冬樹
世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より
テァドラII+アンプジラIIの組合せが、ある意味で堂々として立派である反面、初期の製品の聴かせた独特の味わいが少し薄れたせいもあって、またサン・オブ・アンプジラがいささかどっちつかずの面を持っていることもあいまっているためか、GASのなかでは最もローコストのサリアとグランドサンの組合せが、私には最も好ましい音に思えた。音のスケール感と底力のあるエネルギーではむろんかなわずにいくぶん小造りになるし、どこまでも音がいっぱいに詰まったような充実感には多少欠けるにしても、それを補うだけの音のしなやかさ、ハーモニィの柔らかな響き、プログラムソースのニュアンスに柔らかく順応してゆくナイーヴさがある。中〜高域がやや細身で、高域端にちょっとした強調感もあるが、それがクラシックの場合にも適度に繊細な味わいと空間へのひろがりを良く生かして、総合的にはとても音楽を楽しませるバランスの良い音に仕上っている、この音がずっと続くことを期待したい。
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