Category Archives: ソナス・ファベール

ソナス・ファベール Guarneri Homage

菅野沖彦

ステレオサウンド 137号(2000年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング863選」より

かつて、スピーカーシステムで、これほど思い入れを表現した作品が存在したであろうか? また、これほどの手の込んだ工芸的なエンクロージュアも大戦後には存在しなかったであろう。スピーカーは楽器であると言い切ったフランコ・セルブリンの傑作。芸術的なスピーカーとしか言いようがない。

ソナス・ファベール Guarneri Homage

菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

このイタリアのメーカーは、まさに工房と呼ぶに相応しい。特にヴァイオリンの名工の名前が付けられたオマージュ・シリーズは同社を主宰するフランコ・セルブリンの思い入れが作らせた入魂の作品。気の遠くなるような入念な手仕事によるエンクロージュアは芸術品だ。音は明晰かつ豊潤で音楽が生き生きと躍動する。

ソナス・ファベール Concerto

菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

伊ソナス・ファベール社は工芸的とも言える上質のシステムを作るメーカーだが、これはその中では普及型のブックシェルフ機である。とは言え、やはりエンクロージュアはウォールナットの無垢材で皮張りの本体を両サイドから挟み込んだ手の込んだものであり美しい。ぴりっとしたエッジとグラマラスな中低域が魅力だ。

ソナス・ファベール Concertino

菅野沖彦

ステレオサウンド 121号(1996年12月発行)
特集・「ザ・ベストバイ コンポーネントランキング710選」より

 イタリアのソナス・ファベールの最新製品で同社のシリーズの中では最も安価な部類だが、作りも音も立派な小型スピーカーシステムだ。なんといってもバランスが見事で、音楽を安定感のある響きで鳴らす。小型ながらたっぷりした肉づきのある質感が好ましい。感度もこのサイズとしては高くて使いよい。

ソナス・ファベール Electa Amator

菅野沖彦

オーディオ世界の一流品(ステレオサウンド創刊100号記念別冊・1991年秋発行)
「世界の一流品 スピーカーシステム篇」より

 イタリアはヴィツェンツァの小さなメーカーで生産されるこのスピーカーは、まずその美しいエンクロージュアの造形と仕上げの魅力に惹かれるだろう。立体的でセクシーな造形は、いかにもイタリア的だ。ユニットのフレームがエンクロージュアの幅一杯に出ているが、これがこの造形の肉感的な魅力のポイントであると同時に、音響的にディフラクションを嫌った必然的形態であることに納得させられる。バッフル効果を避けた設計思想である。そして、そのウーファーのフレームが、トゥイーターのフロントパネルの下側へ深く食い込んでいるところも見逃せない。設計者はウーファーとトゥイーターをできる限り近づけたかったのに違いない。執念の現われである。かくしてこの製品は、見る人に強くアピールするオーラを獲得することになった。創る人の情熱が入魂の製品となったのである。そしてまた、その専用の木石台の味わいはどうだろう。画のキャンバスを置くイーゼルを彷彿とさせる木工の雰囲気がなんとも味がある。これだけ見た目に美しいたたずまいをもったスピーカーが悪い音を出すわけがない……と思いたくなるのだが、はたしてこのスピーカーの音がセクシーなのである。硬さや冷たさからはほど遠く、暖かく、時として熱く、流れるように歌い、小柄な体躯からは想像できない肉づきの豊かさで反応し歌い上げるのである。その外観のように豊かな凹凸と起伏の弾力感を感じるリズムの躍動がある。いつか、このスピーカーシステムを手に入れたいと思わせるに十分なセックスアピールをもっている。エスプレッシーボでアマービレなのである。2ウェイ2ユニット構成でウーファー口径は18cm、トゥイーターは2・8cm口径のドーム型だ。アッセンブルメーカーとして他社のユニット供給を受けても、これだけ自家薬籠中のものとして使いこなせば見事なものである。車好きな往年のアバルトを想起するかも……。

ソナス・ファベール Extrema

菅野沖彦

オーディオ世界の一流品(ステレオサウンド創刊100号記念別冊・1991年秋発行)
「世界の一流品 スピーカーシステム篇」より

 スピーカーのエンクロージュアとして理にかなった音響設計の必然性と美しい木製工芸の接点を求め新しいフォルムの創造に成功したイタリアのソナスファーベル社の作品は今、注目に催する。
 スピーカーエンクロージュアの造形としてこれほど刺激的なショックを与えてくれた製品は珍しいし、その小型重厚なオブジェの印象が見事に音とも一致していることで、処女作〝エレクタ・アマトール〟がわが国でも高い評価を得たのは当然である。次いで、その妹の〝ミニマ〟が誕生し、今度、姉の〝エクストリーマ〟が生まれた。
〝エクストリーマ〟は、上級モデルにふさわしく、さらに重厚で立体的、彫琢の深い造形のオブジェが迫力をもち、むしろ男性的であって、兄貴分といったほうがよいかもしれない。その筋肉質な肉体美を感じさせるエンクロージュア・ボディの凹凸と起伏豊かな力感の漲る質感はマスキュリン・ビューティと呼ぶのにふさわしい。
 19cmウーファーと2・8cmトゥイーターの2ウェイに平板のパッシヴラジエーターというユニット構成からして、決して大型システムと一般に呼べるものではないが、その力強いイメージは並の大型システムをはるかに超えるインパクトの強いものである。27×46×55cmというエンクロージュアサイズを超える存在感なのだ。そして、この大きさで重量は40kg。さもありなん、と思わせる高密度で高品位な造りであり、仕上げの高さである。一目見ただけで、そうした内容の濃密さが表現されているのは高級品と一流品の条件を完全に満たすものである。
 このエクストリーマの音は、エレクタ・アマトールからすると厳格で客観的だ。その名称からしてもソナスファーベルとしては頂点を志向した製品であるだけに情緒に溺れていないのである。それでいて、冷たくはなく、硬質でもなく、音楽の美しさを響かせるところが見事なのだ。