菅野沖彦
ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’79ベストバイ・コンポーネント」より
タンノイの38cmHPD385Aを使ったシステムながら、オリジナル・タンノイとは一味違った雰囲気を再現する。より明快に音が立ち、低域も引き締っている。タンノイユニットの優秀さがマニアライクに仕上げられたシステムだ。
菅野沖彦
ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’79ベストバイ・コンポーネント」より
タンノイの38cmHPD385Aを使ったシステムながら、オリジナル・タンノイとは一味違った雰囲気を再現する。より明快に音が立ち、低域も引き締っている。タンノイユニットの優秀さがマニアライクに仕上げられたシステムだ。
瀬川冬樹
ステレオサウンド 46号(1978年3月発行)
特集・「世界のモニタースピーカー そのサウンドと特質をさぐる」より
以前の〝モニター・ゴールド〟を収めた製品の印象はなかなか良かった。HPDに改良されてからはユニットの低域共振点が大幅に下がったせいか、低音の量感がかなり減って、低域をぐんと引締めたような音がする。背面を本誌試聴室の厚い木の壁にぴったりつけて、さらにトーンコントロールでローエンドを4ないし6dBほど補整してもいいくらいだ。ただそうしても、エンクロージュア自体の共鳴音はほとんど耳につかないほどよく抑えられているため、、たとえばタンノイ・オリジナル・シリーズの〝ARDEN〟のあの、放っておくと概して低音がダブついたり低音肥大症ぎみになったりする傾向を嫌う向きには歓迎されるにちがいない。
ただ、同じタンノイのユニットを使っても、エンクロージュアが違っただけで、低音だけが良くなって中~高音域の音色は同じというわけにはゆかないという点が難しい。もともとタンノイのユニットは、旧型のヨークからオートグラフ、そして新しいAからEまでのシリーズまで含めて、エンクロージュアをあまり強固に補強しないで、箱の音色に助けられて独特の音を聴かせていたところがあるので、ロックウッドのように、がんじがらめに共鳴をおさえてしまったエンクロージュアに収めると、タンノイの音もまったく別もののように一変してしまう。
プログラムソース別にいえば、ロス=アンヘレスのラヴェルのように、音の厚みよりは色彩感で聴かせる曲の場合には、タンノイ独特の中高域の濃い中にも一種華やかに際立つ音色が、声や木管に妖しい魅力を添える。箱の共鳴をおさえて音の肉づきを薄くする傾向も、アンヘレスの声に関しては声を図太くせずに定位をシャープに表現して好ましい。ただ、ブラームスのオケの厚みになるといささかのたりないし、スピーカーユニットの音色がモロに出てしまうせいかヴァイオリン(バッハV協)、ピアノ(アルゲリチ)など原音に少し色をつけすぎる感じがある。また、室内楽やジャズヴォーカル、コンボなどでは、総体に定位がものすごくいい反面、音の響きや肉づきをおさえすぎる印象で、音の豊かさや弾みが生かされにくく、音楽を楽しむというよりも音源を分析してゆくように鳴る傾向があり、その意味でモニターとして音の聴き分けには確かに良いのかもしれない。これだけの大型エンクロージュアの割には音像をふくらませることなく、シャープに、クリアーに、鮮明に鳴らすところは実にみごとだ。リスナーに対して前方にほとんど90度近くまで左右の間隔を広げて設置しても、中央の音が薄くならないし、定位はいっそう明確さを増す。
ただ、それだけに音を裸にしすぎるような印象があるので、ライブぎみのリスニングルームにはまだよいかもしれないが、一般の鑑賞用としては音をいささか冷たく分析しすぎる気味があると思う。
菅野沖彦
ステレオサウンド 46号(1978年3月発行)
特集・「世界のモニタースピーカー そのサウンドと特質をさぐる」より
タンノイのユニットを独自のエンクロージュアに入れてシステム化したロックウッドのメイジャーは、コアキシャルユニットの特徴からしても、当然、モニタースピーカーとしての用途を意識して作られたものであろう。しかし、今回の試聴では、期待したほどではなく、前回、他の場所で聴いた時より印象が悪かった。まず、中高域にかなりうるさいピーキーな響きがあって、中域から高域への音のスムーズさが害されてしまう。同じユニットでも、エンクロージュアがちがうと、低域の変化だけとしてではなく、全帯域にわたって音が変るものだが、これもその好例で、タンノイのアーデンとは大分異質の音であった。モニターとして使えるか使えないかといった問題ではないが、私の耳には、少々ピーク・ディップが多過ぎて、個性というよりは癖と感じられたのである。しかし、綜合的には、この豊かでよく弾む低音域に支えられた重厚なバランスは、さひがに高級システムらしい風格に溢れたもので、鑑賞用として、この音を好まれる向きには、所有しがいのある堂々たる製品だ。モニターとしては、細かい定位はよく判別出来るが、エコーの流れなどは比較的不明瞭で、よく響く低域にマスクされるような傾向であった。個性的な鑑賞用のシステムとしてのほうが高い評価が可能だ。
瀬川冬樹
ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より
〝メイジャー〟を土台に、タンノイのユニットを2本並列駆動させるハイパワーが多のロックウッド製モニタースピーカー。1本入りの引締って密度の高い高品位の音質に加えて、音の腰が強く充実感が増して、ことにハイパワードライブではこれがタンノイのユニットか、と驚嘆するほどの音圧で聴き手を圧倒する。
瀬川冬樹
ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より
構造的にいえば、タンノイのHPD385A(旧モニター15)一本を、いくらか特殊とはいえ、一種の位相反転型のエンクロージュアに収めただけのシステムで、そう考えると、この価格はベストバイといえるほど割安ではないが、そういう形態から予想する以上に密度の濃く質の高い音が鳴ってくる。そしてエンクロージュアの構造や材質や工作が違うだけで、タンノイがこれほど違った面を聴かせることにびっくりする。
菅野沖彦
ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より
タンノイの38cmコアキシャルスピーカー385HPDをユニットとして使っているが、エンクロージュアが特殊バスレフで、ロックウッドのシステムとしての独自性を持っている。きわめて豊かな低音再生が得られ、タンノイの音をさらに豊潤な響きにしている。タンノイ本家のアーデン相当のシステムであるが、価格はほぼ倍もする。この差を認めるか認めないかは難しいところだが、独自性は認めたい。
瀬川冬樹
ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より
タンノイ15インチを組み込んだモニター仕様の製品。特殊な構造の堅固なエンクロージュアは共振がなくクリアーな音。ただし改良型ユニットでの音はまだ聴く機会がないので不詳。
井上卓也
ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より
英タンノイのユニットを使って作られた、今や貴重なモニターシステムである。とくに引締った低音は、タンノイのオリジナルシステムを凌ぎ、ひときわ中高域の魅力を引出す。
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