岩崎千明
週刊FM No.15(1976年発行)
「私の手にした新製品」より
パイオニアのCT8はナンバーから推察すると当然CT9の弟分に相当するはずだが、外観からはほんの少しパネルの背が低いことを除くと弟分ではなくて凝縮型のマイナー・チェンジと思えるくらいだ。もっともこれを使ってみると、カタログ上の数字はともかく、すべての点で、まったく兄貴格と同じであることも知らされる。つまり、CT8は実質的性能の高い割安な最高級品といえる。
軽く、しかも確実なタッチの操作レバー。豪華なレヴェル・メーター。扱いやすいスウィッチのテープ・セレクター、さらに例によって見やすく装填しやすい垂直型のマガジン。LEDのピーク・インジケーターも兼備する。扱いやすさと高級感に加えて、CT8の耳当りの良い音も、このデッキの特筆できる魅力だろう。
カセットらしからぬ広帯域感。単なるフェライト・ヘッドなどではなく回路を含めての設計のうまさだろう。低音の豊かさがよく出てるし、聴感的にヒスの少ないのも使いやすさに大きなプラスをもたらしているだろう。
ドルピーの際のヒスの低減で、カセットらしさはまったくなくて、実用上、オープン・リールにもくらべられ得るほどだ。カウンター・ゼロを記憶するメモリーは扱いやすく初心者にも容易に扱いこなせるのも新しい特長だ。
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