Category Archives: スキャンダイナ

スキャンダイナ A403

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

滑らかで、密度が濃い音をもつトータルバランスの高さが好ましい。

ダイナコ A-40XL

菅野沖彦

ステレオ別冊「あなたのステレオ設計 ’77」(1977年夏発行)
「’77優良コンポーネントカタログ」より

 ダイナコはアメリカのハーマンインターナショナル傘下のメーカーで、そのスピーカーはデンマークのスキャンダイナが供給する。A40XLはA25XLと共に、ニューシリーズで伝統的な完全密閉型、アコースティック・サスペンション・システム。構成は、2ウェイで、ウーファーは25.4cm口径コーン、トゥイーターは2.5cm口径のソフト・ドーム・トゥイーターを1.5kHzのクロスオーバーで使っている。代表的なブックシェルフ型の一つ。

スキャンダイナ A-403

菅野沖彦

ステレオ別冊「あなたのステレオ設計 ’77」(1977年夏発行)
「’77優良コンポーネントカタログ」より

 スキャンダイナは北欧デンマークの製品で、A25というソフト・ドーム・トゥイーターををもったシステムが、ブックシェルフ・スピーカーの代表的存在となった程ヒットした。その後、MKIIとして若干の改良を受け現在に至っているが、このA403は、その上級機種である。25cmウーファー、10cmスコーカー、2.5cmドーム・トゥイーターの3ウェイでエンクロージュアは制動の利いたバスレフ型だ。落着いた風格のある音質の品位は高い。

スキャンダイナ A25MKII

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 いまの時点では、必ずしもオーディオファン向きの製品とはいえないかもしれない。つまり、音の鮮度の高さ、とか、周波数レンジやダイナミックレンジの広さとか、それらを含めて音楽の再現能力の正確さ……などといったら、現時点では不満の少なくない製品だろうが、反面、ソフトで聴き疲れしない耳当りの良さ、しかし音楽のかんどころは確かに鳴らすこういう製品の、目立たないが貴重な存在を忘れたくないと思う。

スキャンダイナ A25MKII

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 デンマークのスキャンダイナA25MKIIのオリジナルは、ダイナコA25としてヒットした、2ウェイ・ブックシェルフ・システムである。ソフトドーム・トゥイーターを使って成功したシステムの元祖のような製品だが、MKIIになって、未だ、その陰は薄れることがない。自然で、よく楽器の特長を生かす再生音、音の溶け合いがよく、ハーモニーが美しく生きるシステムとして高く評価できるものだ。

スキャンダイナ A-403

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 スピーカーシステムの中級機の価格帯では、一時のように海外製品の存在が目立たなくなっている。スキャンダイナのシステムも同じことで、トータルバランスが優れていることは認められても、魅力とは感じられなくなっている。これの解答とも思われるのがA403であり、構成が3ウェイ化されたことにより、中域のエネルギーが大幅に改善され、システムとしては飛躍的に向上した音となっている。注目したいシステムである。

スキャンダイナ A-403

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 25cmウーファーをベースにした3ウェイという構成で、国産の同様な製品と価格的に太刀打ちできるというのは、輸入品としては相当に割安だ。見た目には国産のようなキメの細かい仕上げはしていないが、音質はさすがにA25MKIIでヒットしたスキャンダイナだけのことはあって、聴感上のレンジはさほど広くないが、国産の概して苦手なオーケストラのトゥッティでも、バランスをくずすようなことはなく安心して楽しめる。

スキャンダイナ A25MKII

瀬川冬樹

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 ダイナコブランドから離れて独自のデザインで改良したA25XSの姉妹製品。ダイナコより中域をややおさえ、クールな響きを持っている。デザインはこちらの方がきれいだ。

スキャンダイナ A10

瀬川冬樹

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 ベッドサイドや書斎又はダイニングルームなどの片隅にころがして聴くには、少々上等すぎるほどのセカンドスピーカー。耳あたりの良いバランスで、適度に充実感も聴ける。

スキャンダイナ A-30MKII

瀬川冬樹

ステレオサウンド 29号(1973年12月発行)
特集・「最新ブックシェルフスピーカーのすべて(下)」より

 A25がすばらしくよくまとまっているだけに、その上のクラスならさぞかし、と期待したのだが、必ずしもそうならないところがスピーカーの難しさでもありおもしろいところでもある。ひとまわり大きくなったためか鳴り方に余裕が感じられ、A25と並べて切りかえると聴感上の能率は相当に(3~4dB?)良いように感じられる。言いかえればA25の方が抑制が利いているともいえるし、逆に余裕のない鳴り方と聴こえなくはないが、たとえばピアノを例にとっても、A25の方が無駄な音が出ず澄んだ響きであるのに対し、A30は良くいえばふくよかだが総体にタッチを太く表現し、箱鳴りとまではいかないが音を締りなくさせてわずかに余分な響きをつけ加える傾向を示す。A30の方が楽天的な音ともいえる。しかしジャズのベースのソロなどでは、意外なことにA25の方がファンダメンタルの音階の動きがはっきりわかる。またオーケストラの強奏などではA30はハーモニーをわずかに乱す傾向がある。少しきびしい言い方をすればA30はニセのスケール感とも言える。ただし聴感能率の優れている点は、アンプのパワーの小さいときなどA25より有利だといえる。

周波数レンジ:☆☆☆
質感:☆☆☆
ダイナミックレンジ:☆☆☆☆
解像力:☆☆☆
余韻:☆☆☆
プレゼンス:☆☆☆
魅力:☆☆☆

総合評価:☆☆☆★