Category Archives: オーディオデバイス

オーディオデバイス AD-P2

菅野沖彦

ステレオサウンド 94号(1990年3月発行)
特集・「いまこれだけは聴きたい ’90エキサイティングコンポーネント 最新パワーアンプ18機種の徹底試聴」より

 オーディオ的にはきわめて質の高い音で、いかにもクォリティの高い音がする。そして前作AD-P1にあった粘りがとれて、素直な音に向かっていると思う。しかし全体の印象としては、もう一つ繊細な雰囲気に不満が残るのである。心に沁み入る味わいのようなデリカシーの魅力を聴かせてくれるイシドア・コーエンのヴァイオリンがそっ気ない。透明で美しいのだが、ハーモニックスの微妙なのりに欠けるのかもしれない。微やかに打ち振えるボーイングのデリカシーがもう一つ聴かれなかった。
 ウィーン・フィルの音のソリッド感が高く立派なのだが、ヴァイオリン群が輝かしく滑らかに過ぎる。しなやかな情感がなくなるのが、高級アンプの傾向のようだ。あまりに研ぎ澄まされている音なのかもしれない。直接音主体のジャズには充実した再生音で、迫力のある質感を聴かせた。硬質だがソリッドで立派である。

オーディオデバイス HA-1000

井上卓也

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「MCカートリッジ用トランス、ヘッドアンプ総テスト(上)」より

 MC型の出力電流100%利用する特殊回路設計のヘッドアンプである。
 利得切替はなくMC20IIとDL305を使ったが、低インピーダンスでは表情を抑えた緻密な音であるのに比べ、高インピーダンスでは明るく伸びやかで活気のある音と2通りに変化する。
 ロッシーニは、音場感が拡がり明るい華やかさでDL305が楽しく、MC20IIは精密で小さくまとまった格調の高さがあり対照的だ。
 このアンプの特長を聴かせるのはMC20IIの峰純子で、音色は暗いがソリッドさがあり、引締ったSPUといった音である。反応はさして速くはないが、適度にダンプされた印象はまさしくトランス的で、メモにもトランス的アンプとある。基本的なクォリティは高く個性的なアンプだ。