フォステクスのスピーカーシステムGS80、GS100の広告
(オーディオアクセサリー 27号掲載)
Category Archives: フォステクス/フォスター
フォステクス GS80, GS100
フォステクス FF125
フォステクス GZ2000, FW800
フォステクス GZ100
瀬川冬樹
ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より
音域(レインジ)はかなり広いように聴きとれる。中域から高域の上限にかけて、なかなかよくコントロールされていて、爽やかによく伸びている。アクの強い音ではなく、つまりゴリ押しに押すような感じがなく、どちらかといえば繊細でさらっとしている。ただ、それは、あまりパワーを入れずに、中ぐらい以下の音量におさえて聴いているときのことで、このスピーカーは音量の大小で音色の傾向の変るのがやや目立って聴きとれるタイプだ。音量を上げると、中〜高域がキャンつく傾向になり、バランスが中〜高域に引きずられて、重心が上った音になりやすい。中域のレベルを−1におさえ、カートリッジをスタントン881Sに、アンプをC29+TVA1に、と、つまり高域をやわらかく、音のふくらみ、厚みを出すような組合せにしてみると、こんどは相当の音量まで上げても、ポップスならかなりまともなバランスで聴き続けられる。が、この組合せは少々異例だろう。置き方はごく標準的でよかった。
総合採点:7
●9項目採点表
音域の広さ:8
バランス:7
質感:6
スケール感:7
ステレオエフェクト:7
耐入力・ダイナミックレンジ:6
音の魅力度:6
組合せ:普通
設置・調整:やや難し
フォステクス GZ100
菅野沖彦
ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より
3ウェイ3スピーカーのブックシェルフ型だが、ブックシェルフ型としてはかなり大型の製品である。ウーファーは30cm口径で、エンクロージュアは密閉型である。同社でRP型と称するトゥイーターは平面振動板を使ったもので、RPとはレギュラー・フェイズのイニシャルをとったもの。さて、音についてだが、エネルギーバランスはとれているから、何を聴いても大きな破綻はきたさないし、音楽のバランスや造形がくずれることは内。RP型トゥイーターは技術的な新味はあるが、どうやらこのユニットが、このシステムの音を特長づけているように聴こえる。レコードのノイズ成分が不自然にピーキーで耳ざわりなのがそれで、ヴァイオリンのしなやかな質感が十分美しく再生されないようだ。ウーファー、スコーカーの領域でなんとかカバーできる帯域分布にある楽音は、まずまずの鳴り方といえる。全体に生硬な音といった印象で、楽音の品位がよく出ないのである。音楽表現の機微や音色のデリカシーまではあまり期待できない。
総合採点:7
フォステクス GZ100
黒田恭一
ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より
まろやかなひびきは、むろんこのましい。再生音で音楽をきいているときに、もっとも嫌悪すべきは、金属的なというべきか、刺激的な音だ。ただ、音楽は、まろやかな、耳にやさしいひびきだけでできているわけではない。強い音がどうしても必要だ。それに、本来のまろやかなひびきは、強くしっかりとささえられているといういい方もできるにちがいない。その点で、このスピーカーシステムには、ものたりなさを感じた。ふっくらとたっぷりひびくのは、たしかに美質のひとつにちがいないが、そのために音像がふくらんでしまう。そして、音楽のうちの硬と軟の対比が不充分になる。音場感的にも、どうしても平板になりがちだ。軟は硬と対比されて、軟本来のこのましさがあきらかになるといういい方もゆるされるにちがいない。まろやかなひびきのよさは認められるにしても、いささかものたりなかった。
総合採点:6
試聴レコードとの対応
❶HERB ALPERT/RISE
(ほどほど)
❷「グルダ・ワークス」より「ゴロヴィンの森の物語」
(ほどほど)
❸ヴェルディ/オペラ「ドン・カルロ」
カラヤン指揮ベルリン・フィル、バルツァ、フレーニ他
(ほどほど)
フォステクス FT50D
井上卓也
HIGH-TECHNIC SERIES-3 世界のトゥイーター55機種の試聴とその選び方使い方(ステレオサウンド別冊・1978年冬発行)
「世界のトゥイーター総試聴《内外55機種をJBL・LE8Tとの2WAYで聴く》」より
フォステクスのドーム型トゥイーターのなかでトップランクに位置づけされる製品である。振動板には口径20mmの深絞り成型をしたグラスファイバーと熱硬化性樹脂5層構造のドームに、軽合金タンジェンシャルエッジを組み合わせ、1・5kHz以上で使える広帯域型としている。磁気回路はアルニコ系の鋳造マグネットを採用し、出力音圧レベル93dBを得ているため、組み合わせるユニットは、16〜20cmのフルレンジユニットや、30cmクラスのウーファーまで選択可能だ。
フォステクス FT30D
井上卓也
HIGH-TECHNIC SERIES-3 世界のトゥイーター55機種の試聴とその選び方使い方(ステレオサウンド別冊・1978年冬発行)
「世界のトゥイーター総試聴《内外55機種をJBL・LE8Tとの2WAYで聴く》」より
布をベースとし、これに特殊な制動材を塗布した振動板を採用したソフトドーム型のトゥイーターである。振動板口径は25mmと、ほぼ標準的な寸法をもっているために、再生周波数帯域、出力音圧レベル、許容入力などの特性面で優れた結果を得やすい特長がある。振動板の裏面にはミクロングラスファイバーなどを使った制動材が採用され、振動板の共振をダンプしている。また、磁気回路にもFT10Dとの価格差から考えられる以上の大型磁石を使い出力音圧レベル90dBを得ている。
フォステクス FT10D
井上卓也
HIGH-TECHNIC SERIES-3 世界のトゥイーター55機種の試聴とその選び方使い方(ステレオサウンド別冊・1978年冬発行)
「世界のトゥイーター総試聴《内外55機種をJBL・LE8Tとの2WAYで聴く》」より
ローコストのトゥイーターユニットとしては珍しい、10kHz以上の周波数特性や指向周波数特性の向上を目的として開発されたドーム型の製品である。一般に振動板は直径が小さいほど、高い周波数帯で諸特性の向上をはかれる利点があるが、逆に、クロスオーバー周波数の制約や許容入力が大きくとれない問題がある。FT10Dは直径1・6cmの振動板を使ったドーム型で、3kHz以上で使用できるため、10cm口径程度の小口径ウーファーと2ウェイ構成で使用するのが相応しい。
フォステクス FT500
井上卓也
HIGH-TECHNIC SERIES-3 世界のトゥイーター55機種の試聴とその選び方使い方(ステレオサウンド別冊・1978年冬発行)
「世界のトゥイーター総試聴《内外55機種をJBL・LE8Tとの2WAYで聴く》」より
フォステクス製品中でただ一機種のコーン型トゥイーターである。口径4・5cmのコーンには、超高弾性無機質繊維シリコンカーバイトを配合したコーン紙とドーム型センターキャップを組み合わせた構造を採用し、低いクロスオーバー周波数で使える広帯域のトゥイーターだ。磁気回路はフェライトマグネット使用で、マグネット重量は70g、出力音圧レベル90dBを得ているため、小口径ウーファーとの2ウェイ構成やフルレンジ型ユニットの高域用に手軽に使える製品である。
フォステクス FT40H
井上卓也
HIGH-TECHNIC SERIES-3 世界のトゥイーター55機種の試聴とその選び方使い方(ステレオサウンド別冊・1978年冬発行)
「世界のトゥイーター総試聴《内外55機種をJBL・LE8Tとの2WAYで聴く》」より
フォステクスのホーン型トゥイーターのなかでFT20Hとシリーズ製品となるユニットである。開口部の直径60mmの軽合金ダイキャストホーンはいわゆるボストウィック型の構造をもつ砲弾型のイコライザー付で、カットオフ周波数1・8kHz、苦降ろすオーバー周波数4kHz以上で使用する。ダイアフラムは金属蒸着フィルム型で、アルニコ系鋳造マグネット使用の磁気回路で98dBの高出力音圧レベルを得ている。20cmクラスのフルレンジユニットやウーファーと2ウェイで使いたい。
フォステクス FT1RP
井上卓也
HIGH-TECHNIC SERIES-3 世界のトゥイーター55機種の試聴とその選び方使い方(ステレオサウンド別冊・1978年冬発行)
「世界のトゥイーター総試聴《内外55機種をJBL・LE8Tとの2WAYで聴く》」より
フォステクスのRPシリーズのトゥイーターは、平面型の振動板を採用した大変ユニークな製品である。RPとはレギュラー・フェーズの略で、振動板の全面が同じ位相で動く、全面駆動方式をあらわしている。このタイプは、振動板が軽量なため超高域特性、過渡特性、指向周波数特性が優れることをはじめ、許容入力が大きくとれるなど多くの利点をもっている。FT1RPは、この方式を採用したユニット形式の製品で、能率面から20cm口径程度までのウーファーと組み合わせたい。
フォステクス T725
井上卓也
HIGH-TECHNIC SERIES-3 世界のトゥイーター55機種の試聴とその選び方使い方(ステレオサウンド別冊・1978年冬発行)
「世界のトゥイーター総試聴《内外55機種をJBL・LE8Tとの2WAYで聴く》」より
フォステクスのホーン型トゥイーターのトップモデルで、ドライバーユニットを使う本格派のスコーカーと組み合わせて使用するのが本来の目的である。開口径74mmのホーンはアルミブロックから削り出し加工でつくられ、かなり低い周波数から使用できる設計だ。磁気回路は、重量350gのアルニコ系マグネットを採用し、102dBの出力音圧レベルを得ている。このユニットは、マルチウェイ用で使うほかに、優れた20〜30cm口径のフルレンジ型ユニットとの2ウェイも考えられる。
フォステクス T925
井上卓也
HIGH-TECHNIC SERIES-3 世界のトゥイーター55機種の試聴とその選び方使い方(ステレオサウンド別冊・1978年冬発行)
「世界のトゥイーター総試聴《内外55機種をJBL・LE8Tとの2WAYで聴く》」より
フォステクスのTシリーズ・トゥイーターは同社の最高級モデルで、なかでもこのT925は、ホーンのカットオフ周波数が高く設計された、スーパートゥイーターであることが特長である。アルミ棒から削り出し加工をしたホーンは、開口径60mmで、5kHz以上からの再生周波数範囲をもっているが、クロスオーバー周波数は7kHz以上と考えてよい。磁気回路は、15、000ガウスの磁束密度をもち、出力音圧レベルが108dBと高いのもこのユニットの特長である。
フォステクス FT5RP
井上卓也
HIGH-TECHNIC SERIES-3 世界のトゥイーター55機種の試聴とその選び方使い方(ステレオサウンド別冊・1978年冬発行)
「世界のトゥイーター総試聴《内外55機種をJBL・LE8Tとの2WAYで聴く》」より
RPシリーズのトップモデルで、FT3RPをケースに収納した製品と考えてよい。振動板は、厚さ12・5ミクロンのポリイミドフィルムに高密度ボイスコイルパターンをエッチングしたタイプである。磁気回路は、強力な希土類コバルトマグネットを同極同士対向させ、そのサイズは前後非対称としている。この非対称が超高域での周波数特性と指向性の優れるRPシリーズのポイントだ。FT5RPは出力音圧レベルが93dBと高く、既製システムの超高域用としても使える。
フォステクス FT60H
井上卓也
HIGH-TECHNIC SERIES-3 世界のトゥイーター55機種の試聴とその選び方使い方(ステレオサウンド別冊・1978年冬発行)
「世界のトゥイーター総試聴《内外55機種をJBL・LE8Tとの2WAYで聴く》」より
カットオフ周波数1・5kHzの比較的口径が大きなホーンを採用したトゥイーターである。ホーンはアルミ合金を切削加工したハイパーボリックカーブをもち、ダイアフラム材料には、FT50Dの振動板と同様な構造の5層構造をもつ軽質量、高剛性のタイプを使っている。この振動板はグラスファイバーを中心とし熱硬化性樹脂と表面に金属蒸着としたタイプで、エッジ部分も振動板と一体成型されているのがFT50Dと異なる点だ。
フォステクス T-50
瀬川冬樹
Hi-Fiヘッドフォンのすべて(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「Hi-Fiヘッドフォンは何を選ぶか 47機種試聴リポート」より
これもいわゆるフラットダイナミック型で、国産では価格的にたとえば前出のビクターHP−D50あたりが比較の対象になりそうだ。音質の面では、まず大づかみなバランスにはさして弱点はなく、全域に亙って広い帯域がよくコントロールされている。しかし前述のビクター,あるいはヤマハHP1あたりとくらべると、フォステクスが最も中域に密度のあることがわかる。ヤマハが聴感上わりあいフラットに聴こえるのに対して、ビクターは高・低両端がいくぶん強調されたように聴こえ、フォステクスがその反対になる、というような個性のちがいが聴きとれる。このように高・低両端をややおさえ込んだ音は、概してステレオの空間的なひろがりや音の漂う感じが薄れる傾向にあるが、反面、ヴォーカルなどで一種の近接感が出てくるので、この辺が好みの分れ目になる。本体の重量はかなり重い方だが、パッドや圧力の配分がうまいためか、実際の重さほどは負担を感じさせない。
フォステクス GZ80, FP253, UP203Super, UP163, FE83New, FT60H, FT3RP, BK25, BK45, BK70, BK101, BK202
フォステクス A-300
瀬川冬樹
ステレオサウンド 36号(1975年9月発行)
特集・「スピーカーシステムのすべて(上)最新40機種のテスト」より
こまかな一音一音に鋭敏に反応するというタイプとは正反対の、いわばおっとり型というのか。総体に音像を大掴みにとらえて、線を太く鳴らす傾向である。だからといっていわゆる耳あたりの良さとか柔らかさというのではなく、たとえばオーケストラを鳴らしたとき、全体のバランスは一応過不足なく捉えているものの、演奏の微妙な表情あるいは繊細なニュアンスをも、どことなく一色に塗りつぶしてしまうという傾向があるし、パワーを上げてゆくと、おっとり型にしては意外にどこか硬い芯があって、どうやら相当に自己主張の強い、いわゆるカラーレイションの強いスピーカーであることがわかってくる。聴感上の周波数バランスでいうと、ハイをどこまでものばすというタイプでなく、むしろおさえこんでしまう方向で、爽やかさの出にくいタイプである。この傾向は、スピーカーのレベルコントロールでは直すことができなかったので、やはり製品自体の個性だと思う。置き場所の変化にはあまり敏感でない方。
フォステクス FE-103Σ
井上卓也
ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より
小口径のフルレンジ型としては、かなりのキャリアをもった名作である。キビキビとした応答性の早い音は、小気味がよく楽しい。スコーカー複数使用など万能選手である。
フォステクス FE-103Σ
瀬川冬樹
ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より
試作品当時からこのユニットをいろいろな形で使ってきた。フルレインジ用としても、マルチウェイの中音用としても優れた製品。初期野のものの方がより自然な音で好きだが。
フォステクス FE-103Σ
瀬川冬樹
ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より
特性の向上を目差して無駄を省いたごまかしの無い製品には、素朴ながら飽きのこない簡素な美しさがある。このほかにも、P610A、8PW1、5HH45,ゴトーユニットのトゥイーター各種など、海外ではグッドマンAXIOM80、ローサー各タイプ、アルテックの604Eや755E、ジョーダン・ワッツなど、それぞれに独特の、手にとって眺めるだけでも魅力的なユニットがいろいろある。そういうものはみな音質もいい。
フォステクス GX-3000
瀬川冬樹
ステレオサウンド 29号(1973年12月発行)
特集・「最新ブックシェルフスピーカーのすべて(下)」より
あらゆる音を大づかみに、線を太く鳴らすスピーカーである。ことに中域から低域にかけてのエネルギーが強く感じられ、そういう特徴は国産の多くの高域に上ずりがちな傾向のなかではむしろ好ましいともいえるのだが、たとえばアン・バートンのような声を年増太りのように聴かせる。総じてヴォーカルは年をとる傾向になり、フィッシャー=ディスカウなどずいぶん老けて聴こえる。この傾向はことにピアノの場合、タッチを太く、音像を大きく太らせて、やや格調をそこなう。中低域のふくらんでいるのに対して高音域がどこまでも延びていくというタイプでなくむしろ聴感上は高域を丸めて落としてしまっているようにさえ感じるので、ややもすると反応の鈍さが耳につくが、そういう傾向にしては、弦合奏だのオーケストラなど、このスピーカーなりの音色で鳴るにしてもいちおうハーモニーのバランスをくずさない点、国産のなかでは低・中・高の各音域のつながりや質感がわりあいうまく統一されている方だと思う。骨太で肉づきがよいという音の中に、もう少しシャープさや爽やかさが加わるといっそう良い感じに仕上がると思う。
周波数レンジ:☆☆☆
質感:☆☆
ダイナミックレンジ:☆☆☆
解像力:☆☆☆
余韻:☆☆
プレゼンス:☆☆
魅力:☆☆
総合評価:☆☆
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