岩崎千明
週刊FM No.8(1976年発行)
「私の手にした新製品」より
昔からチューナーはトリオっていわれてきたんだから、今度の高級品KT7700、悪かろうわけないよってなことをつぶやきながら、ケースから取り出して机の上にどんと置いて、やっぱりため息が出ちゃう。この新型は、とてもいいのだ。無駄な飾り気や視覚的夾雑物がない。つまり、あくまで機能本位でまとめられたパネルが実にすばらしく、さすがにチューナーのベテラン、トリオの最新型といえるほど外観的デサインの完成度の高さ。こりゃきっといい音がするぞと期待。プリ・アンプにリード線をつなぎ、付属のフィーダー・アンテナをちょいとつけて……またぴっくり。感度の高さ、調節のしやすさ。ダイアル・ツマミのタッチなど「いかにも高級チューナーの手ざわりが、スムースな回転とダイアル指針のすべるような働きではっきりと知ることができる。しかもメーターの針の動きがアンテナの高さに応じるようにシグナル・メーターが振れ、センター・スケールの同調メーターも、中点を中心としアンテナ入力に応じて左右に大きく振れるので、正しい中点を確実に探し出すことができるのだ。ダイアル目盛が長く、しかも等分目盛なので同調点を正確に求めることができる。
かなりほめてしまったがまだ足りないくらいなのが「音」だ。力強くぐいぐいと量感もあって、しかも鮮明さを溢れるほど感じさせる。
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