井上卓也
ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より
SIMPLY FOURは、出力段がEL34/6CA7の並列接続シングル純A級動作のプリメインアンプだが、前段用の双3極管12AU7が3本となり、このモデル独自の設計が施されている。パワーは14W+14Wに抑えられているように受けとれるが、この値のほうがむしろオーソドックスな定格だ。
回路構成は、2段目がSRPP回路、終段は並列接続で、出力トランスのタップを使ってNFをかけるUL接続、電源部はSIMPLY TWOの2倍の容量の平滑コンデンサーが採用され、並列接続での電流増加に対処した設計だ。なお、出力段はセルフバイアスだが、バイアスは深く、前段のドライブ能力が強化されたことと相まってオーバーロード時には強く、かなりのパワーマージンを備えた設計である。
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