菅野沖彦
ステレオサウンド 79号(1986年6月発行)
特集・「最新パワーアンプはスピーカーの魅力をどう抽きだしたか 推奨パワーアンプ39×代表スピーカー16 80通りのサウンドリポート」より
XRT18というスピーカーはマッキントッシュ独自のユニークな開発思想と技術をふんだんに盛り込んだステレオフォニック・ペアー・システムであって、その外観上からも理解されるように、他に類例を見ない特徴をもったシ
ステムである。前作XRT20のジュニアモデルとして登場したが、トゥイーターアレイの個々のユニットにまで時間調整が及んだ点など、XRT20を上廻る綿密なコントロールが見られるものだ。真の立体音場を家庭で再現するためのシステムとして、これ以上のものはない。綿密な時間特性の調整の結果、その再生音場の立体感は録音時の位相差をほぼ1100%再現することによ
り、きわめてリアルで豊かなものだ。また時間特性は正確な音色再現にとって決定的要素となるもので、このスピーカーの音の自然さは注目に値する。この他、多くの点で独特な設計思想を反映したシステムであるし、私自身、XRT20を常用していることからして、それと同質のXRT18でアンプの差がどう出るものかという興味で5台の性格の異なるアンプを選択した。つまり、ここではJBLの4344での結果とどう違ってくるかがひとつの目的であり、さらに、このXRT18がアンプによってどう変化して、どんな音が得られるかという興味につながっているのである。いいアンプはスピーカーが変わってもいいと再認識したと同時に、XRT18によって格段とよさを認識したものもある。
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