Category Archives: スピーカー関係 - Page 29

トリオ LS-202

黒田恭一

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 音像が大きめになる傾向がある。そのことと無関係とは思えないが、低い方の音には多少の誇張感があり、高い方の音のひびき方とのバランスからいっても、ふくらみすぎる。それに音色も、暗めだ。そのために、❶のレコードできけるような、鋭いリズムに支えられた多彩なサウンドの入りまじった音楽への対応は、このスピーカーとしては、はなはだ不得手ということになる。基本的には、個々の音のエネルギーの提示ということでいたらない点があるからと思う。うけとり方によっては、このランクのスピーカーとしては、いくぶん背のびしているというか、帯域の拡大をはかったためといえなくもないようだ。使い手が、周辺機材の選択に充分な配慮をしてはじめて、このスピーカーなりのよさが発揮できるのだろうが、今回の限られた時間内の試聴ではそこまでさぐりだすことができなかった。

総合採点:6

試聴レコードとの対応
❶HERB ALPERT/RISE
(物足りない)
❷「グルダ・ワークス」より「ゴロヴィンの森の物語」
(物足りない)
❸ヴェルディ/オペラ「ドン・カルロ」
 カラヤン指揮ベルリン・フィル、バルツァ、フレーニ他
(物足りない)

デンオン SC-304

黒田恭一

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 音像の力感を示すとか、低い方のひびきのゆたかさを示すとかいった点では、かならずしも十全とはいいがたい。ただ、このスピーカーのきかせる音には、あかるさとさわやかさがあり、ききてをたのしい気分にさせる。それにもうひとついい忘れてはならないのは、個々の音への反応の敏感さだ。それがあるために、このスピーカーの音をきいて、ききては、軽快さを感じるのだろう。むろん、オーケストラのフォルテによる総奏の迫力を充分に示すとはいいがたい。本当の力強さ、あるいはスケール感を示すことはできない。そうしたことをこのランクのスピーカーに望んだら、多分、望んだ方が欲ばりすぎということになるだろう。だが、たとえば❸のレコードでの、アグネス・バルツァの強く鋭くはりのある声のシャープな提示などは、なかなかこのましい。つかいやすいスピーカーといえるかもしれない。

総合採点:8

試聴レコードとの対応
❶HERB ALPERT/RISE
(好ましい)
❷「グルダ・ワークス」より「ゴロヴィンの森の物語」
(ほどほど)
❸ヴェルディ/オペラ「ドン・カルロ」
 カラヤン指揮ベルリン・フィル、バルツァ、フレーニ他
(好ましい)

ビバリッジ System 2SW-1

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

パワーアンプとデバイダー内蔵で、独特なシリンドリカルウェーブを放射するコンデンサースピーカーとサブウーファーシステムを組み合わせたステレオペアの製品。音響出力が大きく、パノラミックに拡がる音が見事だ。

エスプリ APM-8

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

ソニーの最高級シリーズであるエスプリの名称をもつトップランクスピーカーシステムで、アキュレート・ピストニック・モーションの略を型番としたように角型ハニカムコア使用の平面振動板採用で広帯域感は見事。

アルテック Model 6041

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

伝統的な同軸2ウェイユニット604−8Hを中心に、重低音用と超高音用ユニットを加え、4ウェイ化した大型モニターシステム。余裕たっぷりに、エネルギー感をもって鳴るのは流石にアルテック。

オーディオスタティック ES240

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

オランダ製のユニークなデザインをもった管球式パワーアンプ内蔵型フルレンジ・コンデンサー型スピーカー。中央のアンプパネルの両側のスピーカーパネルは角度可変可能で放射パターンが大幅にコントロールできる。

セレッション Ditton 662

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

現代的にリファインされた英国の新しい音が魅力的なセレッションのトップランクシステム。独創的なパッシブラジエーターARBの、豊かで深々とした低音をベースにスムーズなレスポンスが特長。

ロジャース LS5/8

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

英国BBCが’80年代の新モニターとして開発した新製品。30cmポリプロピレン低音、オーダックス製ドーム型高音をQUAD405でバイアンプ駆動。昨年のチャートウェル製より一段と洗練された。

タンノイ Super Red Monitor

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

アーデンMKIIとは異なった新開発の高能率型デュアルコンセントリックユニットを採用し、タンノイ初のモニターの名称をつけた新製品。引締まり、反応が早くなった低域は大型エンクロージュア採用もあり業務用らしい風格だ。

ヤマハ FX-3

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

ロングセラーを誇るNS1000Mをスケールアップしたようなヤマハ初のドーム型ユニット採用の3ウェイフロアー型。FX1系の大口径ウーファーとベリリウム振動板のドーム型は、ホーンに匹敵する鮮明な音だ。

JBL L150

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

設置場所の節約を目的として開発されたJBL初のトールボーイ型システム。低音用磁気回路は注目のSFG方式フェライト磁石採用であり、チューニングを低くとったドローンコーンと新開発中域は力強く滑らかな音だ。

エレクトロボイス Interface:CII

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

多彩な製品構成を展開するインターフェースシリーズ中で第2位にランクされるフロアー型3ウェイ。中音ユニットは独自の最適位相反転の理論を中域に導入したVMRIIユニット採用、イコライザー付属。

タンノイ Arden MKII

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

使用ユニットがHPD385Aから新開発のフェライト磁石採用の3828に代わった、あまりにも定評が高いアーデンのMKIIだ。低域は従来より引締まり、中域以上もキャラクターが抑えられスムーズな音に発展した。

BOSE 901 SeriesIV

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

小口径全域用ユニットを9個、コンサートホールの直接音と間接音の比率と同等に前方1個、後方8個に分散配置した独特なボーズ博士の理論に基づいて設計された製品。小型ながらフロアー型に匹敵する迫力と音質が魅力。

Lo-D HS-90F

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

壁面という無限大バッフルを前提として昨年いちはやく、平面振動板採用の大型システムHS10000を完成したローディが大型ブックシェルフ型としてまとめた平面振動板3ウェイシステムである。

ヴィソニック Expuls 2

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

ダヴィッドシリーズの超小型システムで他の追従を許さぬ性能と音質を聴かせたヴィソニックがフロアー型に挑戦した第1弾製品だ。Expuls2は、3モデル中の中間機種で、十分にコントロールされたリッチな音が特長。

ハーベス Monitor HL

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

BBC研究所で話題のポリプロピレンコーンを開発したハーウッドが設立したハーベス社の第1弾製品。20cmのポリプロピレン低音とオーダックス製高音の2ウェイであるが、反応が早く、鮮鋭な音をもつ点では最高峰。手造り的な仕上げも見事。

JBL 4311B

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

JBLがフェライトマグネット使用に踏切る原因となった高性能SFG方式のウーファーを採用したプロモデルの第1弾製品。中高音ユニットもリファインされ、粒立ちが細かく力強い。

ビクター Zero-7

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

ユニークな卵型エンクロージュアと平面振動板ユニット採用の標準スピーカーを開発した技術をブックシェルフ型に導入した平面振動板ユニットとリボントゥイーターの4ウェイシステム。シャープで繊細な音が聴かれる。

テクニクス SB-10

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

リニアフェイズを提唱するテクニクススピーカーにとって、平面振動板ユニットは、好適な材料だ。特殊なハニカムコアの使用法により、振動板の固有音が抑えられ、フラットで力強い音が聴かれる。

パイオニア S-933

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

S955のトーンポリシーを受け継いだ標準的なサイズのブックシェルフ型3ウェイ。新開発ベリリウム振動板のドーム型中音とリボン型高音ユニットはつながりがよく、滑らかで美しい音が特長。

オンキョー MONITOR 100

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

大きな許容入力と微小入力からの直線性、広帯域かつ広いサービスエリアを目的として開発されたモニターの名称をつけた新製品。重量級の低音、チタン・カーボン複合中音とチタン高音ユニットだ。

JR JR-150

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

水平指向性が優れた円筒型エンクロージュア採用でユニークなジムロジャースのの第2弾製品。ウーファーは、並列駆動となり、ドーム型高音も強力型に変わった。

ビクター S-W300

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

キュービックなユニークなデザインにまとめられたスーパーウーファー。30cmユニット前面にはフィルター兼プロテクター板があり背面には38cmパッシブラジエーター付。想像以上の重低音の魅力だ。

デンオン SC-306

井上卓也

コンポーネントステレオの世界──1980(ステレオサウンド別冊 1979年12月21日発行)
「’80特選コンポーネント・ショーウインドー」より

端正にまとまった音をもつSC106をベースにフレッシュアップした新製品。コーン型3ウェイの使用ユニットはデンマークのピアレス製で定評が高く、聴かせどころを捕えたシステムアップで表現力は新鮮で豊か。