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アコースティックリサーチ AR-2aX, KLH Model 4

岩崎千明

サウンド No.6(1976年5月発行)
「岩崎千明のグレート・ハンティング これだけは持ちたいコンポ・ベスト8(スピーカー編)」より

 8つのスピーカー・システムということで、それを考えると、いざ名前を挙げるに従って8銘柄では少々物足りないのに悩んでしまう。
 8番目は、英国の名器とうわさ高い「ヴァイタボックス」の大型システムか、あるいは米国のかつてのビッグ・ネーム「クリプシュ」の現在の大型システムか、この2つのうちのひとつを挙げるのが、まず妥当なとこだろう。次点として、英国のローサの、これもコーナー型のホーンシステム。どれをとっても、低音はコーナーホーンで折返し形の長いホーンをそなえている。どれかひとつ、といういい方で、この中のひとつを絞るのは実は不可能なのだが、あえていうならヴァイタボックス。
 但し、これらは手元において聴いてみたいと思っても、それを確かめたことは一度もない。だから、人に勧めるなどとは、とてもおこがましくてできないというのが本音だ。そこで、よく知りつくしたのを最後に挙げよう。
 AR2aXまたはKLHモデル4だ。
 ARは今や2aXとなったが、その原形のAR2を今も手元で時折鳴らすこともあるくらいに気に入った唯一の本格的ブックシェルフ型。ARの低音はしばしば重すぎるといわれるが、それはAR3以後の低音で、AR2においては決して重ったるい響きはない。あくまでスッキリ、ゆったりで豊かさの中にゆとりさえあって、しかも引き緊った冴えも感じられる。高音ユニットは旧型がユニークだが、今日の新型2aXの方が、より自然な響きといえよう。
 KLHのモデル4は、同じ2ウェイでもブックシェルフとしてARよりひと足さきに完成した製品で、ブックシェルフ型の今日の普及の引き金となった名器だ。今でも初期の形と少しも変わらずに作り続けられているのが嬉しい。AR2よりも、ずっとおとなしく、クラシックや歌物を品よく鳴らす点で、今も立派に通用するシステムだ。持っていたい、たったひとつのブックシェルフといってよいだろう。

タンノイ HPD385

岩崎千明

サウンド No.6(1976年5月発行)
「岩崎千明のグレート・ハンティング これだけは持ちたいコンポ・ベスト8(スピーカー編)」より

 タンノイという名称が意味するのは、今やスピーカーの中でも、もっとも英国的、ジョンブル的な色合いを強く残した響きを感じさせる。事実、タンノイは昨年、米国企業に合併された今日といえども、もっとも英国的なスピーカーを作るメーカーとして日本の高級ファンに受け止められている。戦前は英国の車載用音響機器のメーカーとして知られたキャリアーをもつが、戦後はもっばら高級ハイファイ・スピーカー・メーカーであるとされてきた。
 その作るユニットはたった3種、10インチ、12インチ、15インチのそれぞれの口径のコアキシアル2ウェイ・ユニットで、特長とするところは中央軸にホーン型高音用ユニットを備えており、低音のマグネットを貫通したホーンが、そのまま低音コーンのカーブを利用して大きな開口となっていて、1500Hzという比較的低いクロスオーバーをそなえた2ウェイ・ユニットなのだ。これは、アルテックの604を範にして作られたものだが、細部は独創的で音響的にも英国製品としての生すいの血筋を感じさせる。中音のやや高めの音域の充実感は、いかにもクラシック音楽の中核たる弦楽器をこの上なく、よく再生する。
 タンノイのこうした魅力は、かなり米国的になった現在のニュータンノイといわれるもの以前の製品に色濃く感じられるので、できることなら、その旧タイプのユニットが望ましい。ワーフデルとかグッドマンとかの、かつての英国サウンドが今やみる影もなく、ちょう落してしまった今日、僅かにタンノイにおいてのみ、その栄光が残されているうちに、マニアならば入手しておきたいという心情は、単なる良い音へのアプローチという以上のノスタルジックなものも強くこめられている。それは今日の隆盛をきわめるハイファイの引金となったに違いない英国のオーディオ技術、サウンド感覚の没落を悲しむ、ひとつのはなむけでもあるし、日本武士のたしなみでもあろう。じゃじゃ馬ともいわれるその使い馴らしの難しさも、今や大きな魅力となろう。

QUAD ESL

岩崎千明

サウンド No.6(1976年5月発行)
「岩崎千明のグレート・ハンティング これだけは持ちたいコンポ・ベスト8(スピーカー編)」より

 スピーカーが振動板というひとつの重量物、いくら軽いとはいってもそれは重さのあるものだが、それを動かして空気中で音波を作り出すことを土台としている以上、作り出した音波自体が避けたくとも、大きな制限を受けることになる。楽器の中に限ったとしても、打楽器以外の天然の音はすべて、重さのある振動板によって作られた音ではないから、もしそれを本物らしく出そうとすると、振動板は「重さ」があってはならない。
 例えば管楽器のすべてがそうだ。木管ではリードが振動して音源となるが、リードは竹の小片で高音用スピーカーの振動板なみに軽い。しかし高音用ユニットでは、木管の音は出そうとしても出るわけがない。ときおり、もっと重い振動板によって軽やかな管楽器の音を出そうということになる。それがバイオリンのような小がらの弦楽器になると、もっとひどいことになる。バイオリンの弦の重さは、高音用ユニットの振動板よりも軽いくらいだから。
 ESLと呼ばれて、今日世界に例の少ないコンデンサー型・スピーカーが高級マニア、特に弦楽器を主体としたクラシック音楽のファンから常に関心を持たれるのは、そうした理由からだ。コンデンサー型システムの音は、あくまで軽やかだが、それは振動板がごく薄いプラスチックのフイルムだからであり、それは単位面積あたりでいったら、普通のスピーカーのいかなる標準よりも2ケタは低い。
 つまり、あるかないか判らないほどの軽い振動板であり、ボイスコイルのような一ケ所の駆動力ではなくて、その振動板が全体として駆動されるという点に大きな特長がある。つまり駆動力は僅かだが、その僅かな力でも相対的に大型スピーカーの強力なボイスコイル以上の速応性を持つ点が注目される。過渡特性とか立上がりとかが一般スピーカーより抜群のため、それは問題となるわけがない。ただ低音エネルギーにおいてフラット特性を得るため、過大振幅をいかに保てるかが問題だが、ESLはこの点でも優れた製品といえる。

アルテック 604-8G

岩崎千明

サウンド No.6(1976年5月発行)
「岩崎千明のグレート・ハンティング これだけは持ちたいコンポ・ベスト8(スピーカー編)」より

 アルテックが日本の高級オーディオ・ファンにとって、どうしても重要なイメージを持つのは、それがウェスターン・エレクトリックの音響機器製造部門としてスタートしたメーカーであるからだ。もうひとつは、米国を中心とした全世界の音楽産業において、もっとも古くから、もっとも広く使用されているスタジオ用モニター・スピーカーのメーカーであるからだ。
 モニターということばがスピーカーに用いられる最初の動機は、このアルテックの有名なコアキシアル大型ユニット604であった。もっとも最初は601であったが、602を経て604となり、その原形が今日とほぼ同じとなって30年は経つ。音楽が再生系を経てリスナーの耳に達するのが常識となった今日、プロフェショナルの関係者の使用するモニター用スピーカーが何であるのか、それを使うことによって、もっとも原形に近い再生状態が得られるに違いないと信ずるのは、ごく当然の帰結であろう。
 その604は今75年後期に大幅の改良を経て604-8Gとなった。8Gは8オーム型、16Gは16オーム型なので、日本では8Gが一般用として出ているが、当然16オームの16Gも現存することになる。今までの604Eにくらべて、ウーファーのf0を1オクターブ半以上も下げることにより、ローエンドの再生帯域を拡大し、また高音ユニットのダイアフラムの改良で、ハイエンドをよりフラットにして実効帯域内の高域エネルギーをずっと高域まで平均化して、フラットを完ぺきに獲得した。
 今までは、高域になるに従ってエネルギーが次第に増えるハイ上がりの特性であったのが、ごくフラットな平坦特性を得たため、ずっと聴きやすく、はるかにスッキリした再生特性を持つことになった。つまり、アルテックの現代性志向をはっきりと反映した新型ユニットといえよう。いままでアルテックをモニター用、音の監視用といういいわけで避けてきたマニアも、604-8Gは音楽再生用として受け止めよう。

JBL L400

岩崎千明

サウンド No.6(1976年5月発行)
「岩崎千明のグレート・ハンティング これだけは持ちたいコンポ・ベスト8(スピーカー編)」より

 JBLの最新最強力のシステムが、間もなく始まる6月の米国CEショーで発表される。これはL400と呼ばれる4ウェイシステムで、JBLのコンシューマー用初の4スピーカーシステムだ。おそらく、日本では70万円前後の価格で年内に発売されることになろうが、その母体はすでにあるスタジオモニター4341であろう。L200がスタジオモニター4331・2ウェイシステムと同格、L300が同じく4333・3ウェイと同じランクにあるのと同じように。
 このL400は、当然ながら38センチの低音ユニット、25センチの中低音用。ホーン型中高音用はLE85相当のユニットつき。それに077相当の高音ユニットの4ウェイ構成で、その狙うところは低歪、広帯域フラット再生だ。現代のハイファイ技術をそのままの姿勢でスピーカーに拡大した形といえよう。
 ところで、こうしたスピーカーのあり方は今日の全世界では共通なのだが、それがJBLシステムとして、他社との違いは何か、という点を具体的に追い求めていくと、D130ユニットになってしまう。D130は38センチ形のフルレンジだが、30センチ版がD131という名として知られており、これは4ウェイ5スピーカーのスタジオモニター4350の中低音用として、今日もっとも注目され、アピールされている。
 このように、JBLユニットのフルレンジの原形たる38センチD130から発したJBLサウンドが、もっとも現代的な形でまとまったのがL400に他ならない。L400はJBLの一般用システム中パラゴンを除き、最高価格のシステムになる。パラゴンは左右ひと組で3、600ドル。L400はひとつで1、200ドルは下るまい。ステレオで、3、000ドル近くでパラゴンに近い。L400の良さは具体的に接してみないと定かではないが、モニター4341から発展した音楽用で、低音をより充実して、ハイファイ志向に強く根ざした広帯域リブロデューサーの最強力形には違いあるまい。

JBL D44000 Paragon

岩崎千明

サウンド No.6(1976年5月発行)
「岩崎千明のグレート・ハンティング これだけは持ちたいコンポ・ベスト8(スピーカー編)」より

 ステレオ全盛の今日、ステレオ用として十分に意識され考えられたスピーカー・システムが果たしていくつあろうか。ステレオ初期からあった「ステージ感のプレゼンス」を考慮して、高音を周囲360度に拡散するとか、音の直接放射を壁面に向けて壁からの反射音によって「拡大されたステレオ感」と「遠方音源」の両面から「ステージ感」を得ようとする試みはヨーロッパ製を始め、多くの英国製品にみられた。
 しかし、リスニング・ポジションをかなり限定されてしまうという点で、今日の主流となっている全エネルギー直接輻射型システムと何等変わることはない。つまり、現在のスピーカー・システムをステレオ用として使うことは、モノラルにおけるほど広い融通性を持っているわけではなくて左右2つのスピーカーの間の、ごく限られた一定場所においてのみ、正しいステレオ音像が得られるにすぎない。そのスピーカーの大小、部屋の大小に拘らず、理想的にはただ1人だけに限られる。
 パラゴンの場合、驚くべきことに、その設置された部屋のどこにあっても、ステレオ音像はほとんど変わることなく、両スピーカーの中心にある。たとえ部屋のどこにいて聴こうが、変わることはない。こうしたスピーカーが他にあるだろうか。
 しかも特筆すべきは、このシステムが低音、中音、高音各ユニットともホーン型のオール・ホーンシステムであるという点である。
 パラゴンが、現存するオール・ホーン型の唯一のシステムであるということだけでも、その価値は十分にあると、いってよいが、パラゴンの本当の良さは、ホーン型システムというより以上に、ステレオ用としてもっとも優れた音響拡散システムであるという点を注目すべきだ。ただ1人で聴けば、コンサートホールのステージ正面の招待席で、ステージを見下ろすシートを常にリスニングポジションとして確保できる。また部屋を空間と考えれば、その空間のどこにあっても、もっとも優れたステレオ音像を獲得できる。パラゴンでなければならぬ理由だ。

タンノイ Cornetta(ステレオサウンド版)

井上卓也

ステレオサウンド 38号(1976年3月発行)
「マイ・ハンディクラフト タンノイ10″ユニット用コーナー・エンクロージュアをつくる」より

 試聴は例により、ステレオサウンド試聴室でおこなうことにする。用意したスピーカーシステムは、今回の企画で製作した〝幻のコーネッタ〟、つまり、フロントホーン付コーナー・バスレフ型システムとコーナー・バスレフ型システム2機種で、それぞれ295HPDユニットが取り付けてある。また、これらのシステムとの比較用には、英タンノイのIIILZイン・キャビネットが2モデル用意された。一方はIIILZ MKII入りのシステムで、もう一方は英国では “CHEVENING” と呼ばれる295HPD入りのシステムである。
 試聴をはじめて最初に感じたことは、2種類の英タンノイのブックシェルフ型が、対照的な性質であることだ。
 まず、両者にはかなり出力音圧レベルの差がある。それぞれのユニットの実測データでも、295HPDが出力音圧レベル90dB、IIILZ MKII93dBと3dBの差があり、聴感上でかなりの差として出るのも当然であろう。それにしても、295HPDの出力音圧レベルは、平均的なブックシェルフ型システムと同じというのは、HPDになりユニットが大幅に改良されていることを物語るものだろう。
 第二には、IIILZが聴感上で低域が量的に不足し、バランスが高域側にスライドしているのと比較し、295HPDでは低域の上側あたりがやや盛り上がったような量感を感じさせ、高域にある種の輝きがあるため、いわゆるドンシャリ的な傾向を示す。しかし、質的にはIIILZ MKIIのほうが、いわゆるタンノイの魅力をもっているのはしかたがない。量的には少ないが、質的にはよく磨かれている。一方295HPDでは逆に、とくに低域が豊かになっているが、ややソフトフォーカス気味で、中域から中高域の滑らかさが、IIILZ MKIIにくらべ不足気味に聴こえる。
 次に、295HPDの入ったオリジナルシステムと、今回製作した2機種とでは、当然のことながらブックシェルフ型とフロアー型の間にある壁がいかに大きいかを物語るかのように、少なくとも比較の対象とはなりえない。同じユニットを使いながら、この差は車でいえば、ミニカーと2000c.c.クラス車との間にある、感覚的な差と比較できるものだ。まだく両者のスケール感は異なり、やはりフロアー型の魅力は、この、ゆったりとした、スケール感たっぷりの響きであろう。
 2種類のコーナー型システムは、フロアー型ならではの伸びやかな鳴り方をするが、予想以上に両者の間には差がある。
 フロントホーン付コーナー型は、低域がよく伸び、中低域あたりまでの量感が実に豊かであり、とても25cm型ユニットがこのシステムに入っているとは思われないほどである。また、高域はよく伸びて聴こえるが、中域の密度がやや不足し、中高域での爽やかさも少し物足りない。ただ、ステレオフォニックな音場感は、突然に部屋が広くなったように拡がり、特に前後方向のパースペクティブの再現では見事なものがある。音質はやや奥まって聴えるが、くつろいでスケール感のある音楽を楽しむには好適であろう。聴感上バランスではやや問題があるが、ステレオフォニックな拡がりの再現に優れている。
 一方、コーナー型では全体に線が細い音で、中域の厚みに欠けるために、ホーン付にくらべかなりエネルギーが不足して感じられる。いわゆるドンシャリ傾向が強い音であり、ステレオフォニックな拡がりも、とくに前後方向のパースペクティブな再現が不足し、音像は割合に、いわゆる横一列に並ぶタイプである。
 スピーカーシステムの構造としては、フロントホーンの有無だけの差であるが、フロントホーンの効果は、ステレオフォニックな空間の再現で両者の間に大幅な差をつけている。オーバーな表現をすれば、一度フロントホーン付のシステムを聴いてしまうと、ホーンのないシステムは聴く気にならなくなるといってよい。つまり、豊かさと貧しさの差なのだ。
 概略の試聴を終って、次には幻のコーネッタに的をしぼって聴き込むことにする。このシステムの低域側に片寄ったバランスを直すためには、高域のレベルを上げることがもっとも容易な方法であるが、実際にはもっともらしくバランスするが、必要な帯域では効果的ではなく、不要な部分が上がってしまうのだ。いろいろ手を加えてみても解決策は見出せない。次には仕方なく、ネットワークに手を加えることにする。
 狙いは、高域側の下を上昇させ、低域側の下を下降させことにある。合度&と来で決定した値にしたところ、トータルバランスは相当に変化し、鈍い表情が引き締まり、システムとしてのグレイドはかなり高くなる。しかし好みにもよろうが、ローエンドはやや締めたい感じである。方法は、バスレフポートをダンプするわけだが、これはかなり効果的で、ほぼ期待したような結果が得られた。補整をしたシステムは、ますますホーンなしのシステムとの格差が開き、ほぼ当初に目標とした音になったと思う。ここまでの試聴は、レベル、ロールオフとも0位置に合わせたままで、特別の調整はしていないことをつけくわえておきたい。
 このシステムに使用するアンプは、中域の密度が高く、中低域から低域にわたりソリッドで、クォリティが高いタイプが要求される。少なくとも、ソフトで耳ざわりのよいタイプは不適である。逆に、ストレートで元気のよいものも好ましくない。プリメインアンプでいえば、少なくとも80W+80Wクラスの高級機が必要であろう。

ソナス Blue Label, Red Label, Green Label, セシルワッツ DISC PREENER, DUST BUG, Hi-Fi PRASTAT MK4

ソナスのカートリッジBlue Label、Red Label、Green Label、セシルワッツのレコードクリーナーDISC PREENER、DUST BUG、Hi-Fi PRASTAT MK4の広告(輸入元:今井商事)
(オーディオアクセサリー 1号掲載)

Watts

タンノイ Arden, Berkeley, Cheviot, Devon, Eaton

タンノイのスピーカーシステムArden、Berkeley、Cheviot、Devon、Eatonの広告(輸入元:ティアック)
(オーディオアクセサリー 1号掲載)

Tannoy

ピカリング XUV/4500Q, OA3, ミルティ Pixall, ゼロスタット ZEROSTAT

ピカリングのカートリッジXUV/4500Q、ヘッドフォンOA3、ピクソールのレコードクリーナーPixall、ゼロスタットのレコードクリーナーZEROSTATの広告(輸入元:東志)
(オーディオアクセサリー 1号掲載)

TOSY

dbx 117, 119

dbxのエンハンサー117、119の広告(輸入元:エレクトリ)
(オーディオアクセサリー 1号掲載)

dbx117

シュアー SHG-2

シュアーの針圧計SFG2の広告(輸入元:バルコム)
(オーディオアクセサリー 1号掲載)

SFG2

スコッチ CLASSIC, Master

スコッチのカセットテープCLASSIC、Masterの広告
(オーディオアクセサリー 1号掲載)

Scotch

オルトフォン RMG212, RMG309

オルトフォンのトーンアームRMG212、RMG309の広告(輸入元:オーディオニックス)
(オーディオアクセサリー 1号掲載)

オルトフォン

Bib Model 94, Model 2000, Model 47, Model 78, Model 46

BibのレコードクリーナーModel94、Model2000、アクセサリーModel46、Model47、カセットテープアクセサリーModel78の広告(輸入元:山中商事)
(オーディオアクセサリー 1号掲載)

Bib

トーレンス TD125MkIIAB

トーレンスのアナログプレーヤーTD125MkIIABの広告(輸入元:山水電気)
(オーディオアクセサリー 1号掲載)

トーレンス

BASF 8200, DIAMANT 3000, 9341CrO2

BASFのカセットデッキ8200、DIAMANT 3000、ラジオカセット9341CrO2の広告
(オーディオアクセサリー 1号掲載)

BASF

JBL D44000 Paragon(組合せ)

岩崎千明

コンポーネントステレオの世界(ステレオサウンド別冊・1976年1月発行)
「スピーカーシステム中心の特選コンポーネント集〈131選〉」より

 あらゆる意味でステレオ用スピーカーとして、世界に唯一の存在ともいえるのが、JBLレインジャーシリーズの主役たるパラゴン。得意な形態は、その中音域に対する理想的拡散器の役目を果す大きく湾曲した反射板によるものだ。中音は外観から一目瞭然だが、低音も高音もホーン型で構成される点、今や珍しい存在である。だが、f特ひとつ考えても「軸上1m」という測定条件の設定さえも不可能なことから判る通り、現代のスピーカー技術とは明らかに違った志向の所産である。この点がパラゴンの真の特長でもあるし、その価値判断の別れ道ともなる。
 こうしたホーン構成の3ウェイであるためか、音色バランスの特異な点が使用上むずかしい問題点となり、しばしばその良さが十分に発揮されることがない。JBLのオリジナルにおいて「エナジャイザー」SE408パワーアンプを組合せる場合にも、独特のイコライザーボードを挿替えて400Hz以上をオクターブ6dBで上昇させたり、超低域のダンピングを変えたりしている。事実このバランスは、組合せるべきパワーアンプが難しいようだ。この例は自信をもって奨められる数少ない組合せだ。

スピーカーシステム:JBL D44000 Paragon ¥1,690,000
コントロールアンプ:クワドエイト LM6200R ¥760,000
パワーアンプ:パイオニア Exclusive M4 ¥350,000
プレーヤーシステム:トーレンス TD125MKIIAB ¥141,000
カートリッジ:エレクトロ・アクースティック STS555E ¥35,900
計¥2,976,900

クリプシュ KB-WO Klipsch Horn(組合せ)

岩崎千明

コンポーネントステレオの世界(ステレオサウンド別冊・1976年1月発行)
「スピーカーシステム中心の特選コンポーネント集〈131選〉」より

 50年代初期から、米国の高級スピーカーシステムにクリプシュホーンあるいはKホーンとしてこのコーナー型折返しホーンがしばしば採用されてきた。65年をきっかけにして、エレクトロボイス・パトリシアンを始めKホーンは他社のブランドとして見ることがなくなったが、オリジナルブランド、クリプシュの名で、このひとつの理想といわれるホーン型エンクロージュアを採用したシステムが米国市場で年を追うごとに名を轟かしてきた。今日のクリプシュホーンは比較的シンプルな構造ながら、ホーン効果としては優れた小型のフロア型ラ・スカラが特によく知られているが、クリプシュホーンその名のままの最高機種がもっともオーソドックス、かつ真髄を伝えるオリジネーターとしての価値と品質を秘めている。
 独特の38cmウーファーは、適度の高いコーン紙をもち、まさにホーンのドライバーとして作られたものだ。中音用には米ユニバーシティの中音ドライバーユニットを独特のホーンに組合せ、同じ米ユニバーシティの高音用ユニットとの3ウェイ・ホーン型システムとして高い完成度を得ている。
 スケールの大きなその外観の豪華さは、まさに雄大かつパワフルで鮮明なその音を思わせるたたずまいといえる。
 50年代以来20数年を終えた今日もなおその優秀なサウンドクォリティは、僅かたりとも色褪せることなく、ブックシェルフ型になれた耳にはフレッシュな感激を強烈に感じさせる。あまり広帯域再生を狙ったものではなく、音色的には中低域の重視が感じられ、ハイエンドもローエンドも十分に延びている現代的システムとは明らかに異なる意図を持ったシステムだ。しかしこの強力なサウンドエネルギーのもたらす生々しい迫力は、他にない魅力だ。
 高能率なだけにあまり高出力でなくとも十分にゆとりのある再生を得られるが、できることなら高出力アンプが望ましい。質のよい管球アンプなどが、このホーンシステムの真価をますます発揮してくれるであろうが、ここではそうした面の良さを音色的にも質的にも持つラックスの高級セパレート型アンプを組合せてみよう。
 クリプシュホーンの良さを理解するに違いない高級マニアなら必ずや納得してくれる疲れを知らない品の良さと親しみを得るサウンドが、オーディオ機器の存在感を拭い去り、心ゆくまで音楽に没頭させるであろう。

スピーカーシステム:クリプシュ KB-WO Klipsch Horn ¥656,000×2
コントロールアンプ:ラックス C-1000 ¥200,000
パワーアンプ:ラックス M-4000 ¥330,000
チューナー:ラックス T-110 ¥96,000
プレーヤーシステム:エンパイア 598III ¥226,000
カートリッジ:(プレーヤー付属)
計¥2,184,000

JBL L300(組合せ)

岩崎千明

コンポーネントステレオの世界(ステレオサウンド別冊・1976年1月発行)
「スピーカーシステム中心の特選コンポーネント集〈131選〉」より

 JBLの久しぶりの家庭用フロア型の大型システムが出た。前面を僅かに傾け角を落した奥行きの十分ある箱は、今までにない重量だ。そのずっしりした重量感から重低音の力強さは予測できるが、期待をさらに上まわり量感あふれる低音エネルギーがこのL300の最大の価値であろうか。ほぼ同じユニット構成ながらモニターの4333との違いも、フラットながらこの低音エネルギーに片寄っている所は、家庭用再生システムに対するJBLの志向を物語って興味深いが、音楽を楽しめる点で好感と親しみとを強く感じさせる。
 こうした音楽と直結した「音」を、もっとも活かそうと心したとき、新技術の結晶とでもいい得る最新のアンプジラは最適だ。音を知り抜いたハイセンスのサウンドは今日での頂点ということができ、ぜひL300に試みたい組合せであるといえるであろう。
 L300の登場した現代のオーディオ・シーンの状況下で、高品質のトランジスター・ハイパワーアンプこそもっとも適切な組合せであることは当然だ。鮮度の高い中域の充実感を考えるとき、最新技術を背景にしてより魅力あるサウンドを得られるに違いない。

スピーカーシステム:JBL L300 ¥520,000×2
コントロールアンプ:GAS Thaedra ¥610,000
パワーアンプ:GAS Ampzilla ¥499,000
プレーヤーシステム:トーレンス TD160C ¥98,000
カートリッジ:ピカリング XUV/4500Q ¥53,000
計¥2,280,000

エレクトロボイス Sentry III(組合せ)

岩崎千明

コンポーネントステレオの世界(ステレオサウンド別冊・1976年1月発行)
「スピーカーシステム中心の特選コンポーネント集〈131選〉」より

 スピーカーメーカーとしてののれんと規模で第一級の、イーストコーストの大メーカー、エレクトロボイスのシステム。かつてパトリシアンという豪華型を出していた、このEVは一貫して低音の雄大かつ量感が、その目指すサウンドスペクトラムの特長をなしている。高さ88cmの大型フロア型システム、セントリーIIIは、38cmウーファーをバスレフレックスの箱に収めて低音用とし、ホーン型の中音用、ホーン型高音の3ウェイで、ずば抜けた低音感と中域の豊かな迫力とがエレクトロボイス社の伝統的サウンド志向を意識させる。低音を、ホーンエンクロージュアとしたセントリーIVにくらべて、ずっとローエンドを拡大しゆとりを感じさせるが、このシステムを動かすにはパワーのゆとりのある高出力アンプこそ絶対的条件といえる。ある意味でJBLの最新スタジオモニター同様に、低音域は、ジャンボ・ブックシェルフと考えられる。このオーソドックスながらパワフルなエネルギーを秘めたシステムは、アンプの質がよいほどその良さを発揮してくれそうで、最近評価を高めているオーディオ・リサーチの管球式アンプを組合せることにしよう。

スピーカーシステム:エレクトロボイス SentryIII ¥355,000×2
コントロールアンプ:オーディオリサーチ SP3A ¥285,000
パワーアンプ:オーディオリサーチ Dual 76 ¥420,000
ターンテーブル:マイクロトラック Model 740 ¥165,000
トーンアーム:マイクロトラック 226S ¥36.000
カートリッジ:スタントン 681EEE ¥28,000
計¥1,644,000

グッドマン Achromat 400(組合せ)

岩崎千明

コンポーネントステレオの世界(ステレオサウンド別冊・1976年1月発行)
「スピーカーシステム中心の特選コンポーネント集〈131選〉」より

 英国きっての名門というにふさわしいグッドマンの新しい技術と姿勢とをもっとも強く感じさせるシステムが、このアクロマット400だ。いわゆるモニター風の志向の強い3ウェイ構成の中型ブックシェルフ型システムで、そのサウンドは、一面いきいきとして音の鮮度の高い輝かしさを持ち味としながら耳あたりのよいソフトな低域から中域を秘めているともいえよう。
 このスピーカーは、ある意味では使い方がむずかしく、特長はややもすると欠点としてクローズアップされてしまうものだ。こうした点を適当にカバーしつつ、質的な劣化をきたさないために、英国を代表するQUADのパワーアンプはうってつけのようだ。
 ここでは303でなくプロ用の50Eを指向したのはアクロマット自体が、プロ指向の強いためもある。パワーの点で米国製のような強大さはないが、それ故に耐入力のあまり高くない英国製スピーカーにはぴったりだ。ややおとなしい50Eは400の輝き過ぎた高域を柔らげて耳当りのよいサウンドを得られよう。プリアンプは、米国製の中でもっともユニークなクインテセンスのシンプルな、しかしハイレベルなクォリティに期待しよう。

スピーカーシステム:グッドマン Achromat 400 ¥124,000×2
コントロールアンプ:クインテセンス Per-1A ¥218,000
パワーアンプ:QUAD 50E ¥95,000×2
ターンテーブル:リン LP12 ¥123,000
トーンアーム:SME 3009S2 Improved ¥41,000
カートリッジ:デンオン DL-109R ¥18,000
計¥838,000

エレクトロリサーチ Model320(組合せ)

岩崎千明

コンポーネントステレオの世界(ステレオサウンド別冊・1976年1月発行)
「スピーカーシステム中心の特選コンポーネント集〈131選〉」より

 JBL以後の第三世代というべき超広帯域再生と低歪を追求するスピーカーの志向の中で、米国製としてひとつの代表が、このエレクトロリサーチのスピーカーシステムだ。
 ハイエンドからローエンドまで、完璧なフラットレスポンスをきわめ、しかもハイパワーに耐える点で英国に代表されるヨーロッパ製とは一線を画すいかにも米国製らしい魅力だ。
 このスピーカーはエレクトロリサーチの中級機種に相当するが、使用アンプは、でき得る限りハイパワーが好ましく、しかも高い品質はむろんだが今や国産の中にそうした意味でも可能性あふれる製品が目白押しだ。その中の注目株ナンバーワンは、パイオニアの新型の77シリーズのセパレートアンプであろう。価格面から若いファンにも手ののばせるレベルで、しかも内なるクォリティは倍の価格にも匹敵しよう。パワー250W/chは、この低能率ながらパワフルなスピーカーのための製品といえるほどだ。組合せるべきカートリッジにより、あらゆるジャンルの音楽を内包させ得よう。シュアーは、この点で気楽に奨められるが、ここでは、最高級品のV15タイプIIIを挙げておこう。

スピーカーシステム:エレクトロリサーチ Model 320 ¥98,500×2
コントロールアンプ:パイオニア C-77 ¥120,000
パワーアンプ:パイオニア M-77 ¥180,000
プレーヤーシステム:ソニー PS-8750 ¥168,000
カートリッジ:シュアー V15 TypeIII ¥34,500
計¥699,500

ソナーブ OA-12(組合せ)

岩崎千明

コンポーネントステレオの世界(ステレオサウンド別冊・1976年1月発行)
「スピーカーシステム中心の特選コンポーネント集〈131選〉」より

 このスピーカーの良さはちょっと一言では表わせない。いうならば、広範囲に拡散された音の壁面に反射する間接音が、室内の広さ以上に、音響空間を拡大してくれ、生の音楽の現場としてのホールのプレゼンスが見事。米国製スピーカー〝ボーズ〟のようなエネルギー的なものよりも雰囲気としての再生ぶりが思いもよらぬすばらしい効果をもたらす。
 このソナーブのシステムではこうしたいわゆるオーソドックスな再生サウンドとは異質な、例のない雰囲気の再生ぶりに気をとられて、つい再生の本質的クォリティを見失いがちになってしまうものだ。
 そこでまず、なによりも純粋な形でのクォリティを狙うべきである。そうしたとき、ヤマハのCI、BIは価格的に誰にも奨められるわけではないにしても、心強い存在だ。
 ソナーブの透明な美しい響きは、このCI、BIの鮮明度の高い豊かな色彩で、より高い音楽性をひきだし得よう。楽器のパワフルなソロをのぞむというのでなければ、このシステムのもたらすサウンドの質のレベルの高さは、ちょっと他には得難いものであることは確かだろう。

スピーカーシステム:ソナーブ OA-12 ¥178,000
コントロールアンプ:ヤマハ C-I ¥400,000
パワーアンプ:ヤマハ B-I ¥335,000
プレーヤーシステム:デュアル 1229 ¥79,800
カートリッジ:オルトフォン VMS20E ¥27,000
計¥1,019,800

フィッシャー ST-550(組合せ)

岩崎千明

コンポーネントステレオの世界(ステレオサウンド別冊・1976年1月発行)
「スピーカーシステム中心の特選コンポーネント集〈131選〉」より

 かつては全米ナンバーワンの規模を誇るアンプメーカーとして、フィッシャーは米国内ハイファイ業界の良識派を代表するものであった。創始者が交替した今日、フィッシャーはアンプメーカーとしてよりもブックシェルフ型スピーカーのメーカーとしての姿勢を強めているが、そのサウンド志向はアンプメーカーだった場合と何ら変ることなく、代表的イースト・コースト派としてヨーロッパ指向の強いサウンドを身上とする。
 ST550は、その最高級ブックシェルフ型としてはもっとも大型で38cmウーファーを収め、全指向性を狙って左右に配した中音、高音のドーム型ユニットが特徴だ。耳あたりの良いソフトな音色バランス、ボリュウムを上げていくと底なしの重低音に、ブックシェルフ型で或ることを忘れさせてしまうほど強力かつ雄大で、品の良い中域以上の弦の美しさも特筆できよう。
 つまりクラシック音楽、それもオーケストラなどにもっとも力を発揮しそうだ。ここではフィッシャーのサウンドのセンスあふれる高いクォリティを活かそうと、豊じょうな良さを秘めるケンソニックのM60を組合せイーストコースト志向を意識した。

スピーカーシステム:フィッシャー ST-550 ¥249,000×2
コントロールアンプ:アキュフェーズ C-200 ¥165,000
パワーアンプ:アキュフェーズ M-60 ¥280,000×2
チューナー:アキュフェーズ T-101 ¥110,000
プレーヤーシステム:デュアル 701 ¥118,000
カートリッジ:オルトフォン M15E Super ¥31,000
計¥1,482,000