井上卓也
ステレオサウンド 121号(1996年12月発行)
特集・「ザ・ベストバイ コンポーネントランキング710選」より
超高級プリメインアンプとして、これならではの中低域の豊かさをベースに、ナチュラルなfレンジとセンシティヴな表現能力を備えたS1の魅力を、よりリーズナブルな価格帯で実現した同社のベストセラー機だ。クォリティはS1に匹敵する高さがあり、やや反応が早く鮮度感の高いクリアーな音が注目されるポイントだろう。
井上卓也
ステレオサウンド 121号(1996年12月発行)
特集・「ザ・ベストバイ コンポーネントランキング710選」より
超高級プリメインアンプとして、これならではの中低域の豊かさをベースに、ナチュラルなfレンジとセンシティヴな表現能力を備えたS1の魅力を、よりリーズナブルな価格帯で実現した同社のベストセラー機だ。クォリティはS1に匹敵する高さがあり、やや反応が早く鮮度感の高いクリアーな音が注目されるポイントだろう。
井上卓也
ステレオサウンド 121号(1996年12月発行)
特集・「ザ・ベストバイ コンポーネントランキング710選」より
プリメインアンプとして想像を超える大型の余裕のある筐体採用の超弩級製品。SM5のベースとなっただけに協力電源を基本とする伝統的設計はいかにもマランツ的で、大型筐体採用は回路間の空間距離が充分にとれ相互干渉の少なさが高音質のベースとなる正統派の設計。情報量が圧倒的に多くスピーカー駆動能力は国内最高。
井上卓也
ステレオサウンド 121号(1996年12月発行)
特集・「ザ・ベストバイ コンポーネントランキング710選」より
優れたプリアンプとパワーアンプを一体化して高級プリメインアンプとする構想は、従来からマランツ、JBLにあったが、マッキントッシュがまとめるとこうなる、という解答がMA6800。母体となったセパレート型よりも濃縮され一体型ならではの絶妙なまとまりは驚くほどの見事さだ。円熟した大人のための製品。
井上卓也
ステレオサウンド 121号(1996年12月発行)
特集・「ザ・ベストバイ コンポーネントランキング710選」より
ヨーロッパ市場のTEACブランドのベストセラーモデルを基盤に、細部を国内版に改良した北欧生産の輸入モデルであることが非常にユニーク。筐体内部のレイアウトは非常に合理的に設計されており、多品種、少量生産を狙った基板は見事。生産地が欧州であるだけに国内製品とはかなり異なった音は一聴に値する。
井上卓也
ステレオサウンド 121号(1996年12月発行)
特集・「ザ・ベストバイ コンポーネントランキング710選」より
開発時点での構想が、予定販売価格帯の市場を独占するだけの内容を備えること、を課題として開発された、実際に製品を見て驚き、内部を調べて再び驚かされる超強力なスーパープリメインアンプだ。POA−S1で開発したパワー段を簡潔化した設計は文字通り高級機の要素を投入したもので、高品位な音は想像を超える。
井上卓也
ステレオサウンド 121号(1996年12月発行)
特集・「ザ・ベストバイ コンポーネントランキング710選」より
すでに定評高いステレオパワーアンプM8のベースとなったモノ構成のパワーアンプ。非常に素直で穏やかな音を特徴とするために個性を望むと印象度は薄らぐが、じっくりと使い込むと魅力が判るタイプ。基本的に備える潜在能力は予想を超えて素晴らしく、プリアンプC7と同様に改良版の登場が期待できる実力派である。
井上卓也
ステレオサウンド 121号(1996年12月発行)
特集・「ザ・ベストバイ コンポーネントランキング710選」より
オーディオアンプは全てメカニズムとエレクトロニクスの複合体として考える設計方針が最近とみにみられる,ジェフ・ロゥランドDGの最新パワーアンプ。電源部には振動発生源の電源トランスがあり、出力段半導体素子自体が加振源となって放熱版も鳴くのが常識。更に全てが高周波雑音発生源となれば筐体は重要。
井上卓也
ステレオサウンド 121号(1996年12月発行)
特集・「ザ・ベストバイ コンポーネントランキング710選」より
TA−NR1の成果を活かし定格値を変えずにパワー段をMOS−FET化した純A級モノ構成モデルだ。純銅放熱版採用は前例のない設計で、アルミ製と比べて微小レベルのクリアーさと大音量時での混濁感が皆無に等しく、聴感上のDレンジの大きさが最大の利点だ。スピーカー駆動能力も定格値以上に優れ、信頼感抜群の好製品。
井上卓也
ステレオサウンド 121号(1996年12月発行)
特集・「ザ・ベストバイ コンポーネントランキング710選」より
クレルの3機種の新パワーアンプは、それぞれに独自の魅力を備えた見事な兄弟ともいえる完成度を備えており、選択に悩まされるのが嬉しい現実である。600は、ナチュラルで、しなやかなパワー感とも、濃密にしてエネルギーを秘めた大人の風格とも表現可能な多面性を持つが、余裕あるAC電源容量が必要な点に要注意。
井上卓也
ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より
電源重視設計は、アンプ関係では普及クラスのモデルでも音質に直接関係をもつだけに、常に論議されるところだ。
しかし電源とは、アンプやCDプレーヤーなどの電源部も同じ表現で使われているが、その根源は電力会社から供給されている100V・50Hz/60Hzの商用電源である。これはわかっていても、意外に意識にはないのが実状であろう。
古くから近くに柱上トランスがあるかないかで、基本的な音質が決定されることを知っている人は多い。だが最近のように、各家庭にパソコンが導入され、TV/オーディオ機器自体からの高周波ノイズ、インバーター方式の多用、電話などのプラグイン型電源、家電製品のマイコン制御、さらにTV電波など、数限りない電源劣化の要因が存在すると、電源の汚染によるオーディオの音質劣化は救いがたい状況にあるようだ。
この電源を、歪みの少ない本来のサインウェイブとして使う機器が市販されている。信濃電気のハイパー・サインレギュレーター方式も、理想のピュア電源化を実現する製品だ。
同社の方式はIWC方式と呼ばれ、ROMに基準となる理想的正弦波を記憶させ、1秒間に50Hzで5万1200回、60Hzで6マン1440回、出力電圧を瞬時に管理し、過渡変化に確実に対応可能な点が画期的といわれている。
HSR1000と1000Sは、定格容量1kVAで、後者は200V電源から入力可能なタイプである。電源周波数は50Hz/60Hzが切替可能。複数台の同期運転も、光ケーブルでかうというユティリティの広さが魅力だ。
HSR510は、定格500VAのコンパクトなモデルで、コンセント数4個、瞬時には15Aの電源供給能力を備え、小型のセパレートアンプまでならアナログ系統に使える電源だ。音の細部にこだわり、鮮明に表情豊かな音楽を楽しみたいときに、まず第一に考えたいピュア電源システムである。
井上卓也
ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より
一般的に、オーディオに興味を持ち、有名ブランドのある製品を購入して、そのブランド固有の特徴、魅力が自己の内側に実感的に一種の観念として存在するようになるのは、学生時代以後というのが、私のように昭和一桁生まれの種族では普通である。だが、このラックスに関しては特別で、父親が現在でいえばオーディオファンであったため、門前の小僧的に幼少の頃より見聞きしていたからだろう。その他のメーカーとは異なった印象がある。
2個のスパイダーコイルが機械的に動く高周波コイルは不思議な構造物、という印象が現在でもある。そして学生時代にはすでに超高級部品メーカーとなっていて、確か赤白青の表紙が付いた、分野別に色分けされた素晴らしいカタログにめぐり逢った。現在でも不可能なぐらいの驚くほど見事な精度、仕上げのツマミ類、切替スイッチ、各種のトランスなどを、超高価格であっただけに何年もかけて苦労して入手し、楽しんだが、時には失望に陥ることもあった。それはカドミウムメッキのSZ/SU型出力トランスで、素晴らしいその仕上げは、指を触れると指紋が付着して変色し、次に錆びてくるのである。
これは美しいものは移ろいやすいと受けとれば、ある意味では非常にオーディオ的だ。スピーカーに限らず、アンプでも使っている間に、ある特定の数時間はショックを受けるほど絶妙な音を聴かせるが、二度と再び、その音は甦らない経験と似ている。
ラックスでは「音楽とエレクトロニクスの仲立ち」となる製品づくりがポリシーといっているが、これは一種の恥じらいを含んだ表現のようで、その本質は人間とのかかわり合いを強く感じさせる物のつくり方にならざるを得ない、独特のメーカーの体質をDNA的に備えていることの証しだと考えたらどうなのだろうか。
現実の製品でいえば、超弩級パワーアンプとして1975年に発売されたM6000の、フロントパネル後部に凹みをつけた独自のデザインは、ラックスの前身が額縁店であったことを思い出させる。また、フロントパネルのボリュウムコントロールのツマミ周辺にもスリットを大きくあけ、段差を付けて立体的に見せたデザインにも、同様の印象を受ける。さらに、M6000のラウンド形状をとったチムニー型放熱板は、鋭角的な一般の放熱板と比べ、人間に優しいヒューマンなデザインである。
音の傾向も、輪郭を強調しコントラストをつけて聴かせる傾向は皆無だ。表面的にはしなやかで柔らかく、豊かで、やや間接的に音楽を表現するが、音の陰影のローレベル方向のグラデーションの豊かさは見事で、この部分にラックスは非常にこだわりを持っているのであろう。
もともと相当に趣味性の強いメーカーであるだけに、経営面は紆余曲折があったが、昨年久しぶりに発表したブリッジ構成採用のハイパワーアンプB10では、基本的な音の姿形は変わらないが、従来にはなかった強力なエネルギー感が特に低域に備わっており、オーディオアンプとして格段に大人の風格が感じられるようになった。これは、ラックスファンとしては見逃せない、新しい魅力の誕生といえるだろう。
優れた特性のアンプを、人間が音楽を楽しむためのラックス流オーディオアンプとして磨き上げていく──この人間とオーディオのかかわり合いを大切にしたエレクトロニクスと音楽の仲立ちとなるための製品づくりは、やはりかけがえのないものだ。
井上卓也
ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より
ボルダーは、米国中西部ロッキー山脈の裾野に位置するコロラド州の都市の名称で、この地に生まれたジェフリー・P・ネルソン氏により、1984年にアンプメーカーとして創業されたが、活動開始は’82年ということだ。
彼は、’72年に映画関係の音響部門に関連した事業として、自作のアンプなどを使ってレコーディングスタジオの経営をはじめ、’78年にはサンディエゴのパシフィック&エンジニアリング社で、マイクロプロセッサー制御の放送用NAB型カートリッジレコーダー用アンプ回路の開発に従事し、プロ機器に使われている回路をベースにした各種アンプの開発を行なっている。
ボルダーとしての第一作が、160W+160Wのボルダー160で、’84年には高出力化、高信頼度保護回路採用のボルダー500に発展した。
映画関係の音響出身であるだけに、細部にこだわらず、音楽の構図を大きく、外側から捉えた音とデザインはかなり個性的である。
井上卓也
ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より
MISTEROは、今年同社のラインナップに加わったライン入力専用のプリアンプである。ローレベル入力を扱うプリアンプでは電源の整流回路に半導体を使用するとスイッチングノイズの影響を受けやすいが、このMISTEROでは整流管を使い、チョークインプット型の整流回路を採用していることに注目されたい。
入力部には、窒素ガス封入型接点使用のリレーによる入力セレクターがあり、ダイレクトにECC82/12AU7のSRPP増幅段に信号が加えられ、この出力部にボリュウムコントロール、続く出力段が、ECC83/12AX7の片側を使うカソードフォロワーになっている。初段のバイアスにはリチウム電池を使った固定バイアスが採用され、常に安定したバイアス最適値が、高いリニアリティとSN比の向上に寄与している。信号kは純A級動作のノンNF設計で、オプションでSIMPLYと共通のMM型フォノカートリッジ用SIMPLY−PHONOイコライザーアンプを使うための、電源供給用DIN端子を具えている。
井上卓也
ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より
SIMPLY FOURは、出力段がEL34/6CA7の並列接続シングル純A級動作のプリメインアンプだが、前段用の双3極管12AU7が3本となり、このモデル独自の設計が施されている。パワーは14W+14Wに抑えられているように受けとれるが、この値のほうがむしろオーソドックスな定格だ。
回路構成は、2段目がSRPP回路、終段は並列接続で、出力トランスのタップを使ってNFをかけるUL接続、電源部はSIMPLY TWOの2倍の容量の平滑コンデンサーが採用され、並列接続での電流増加に対処した設計だ。なお、出力段はセルフバイアスだが、バイアスは深く、前段のドライブ能力が強化されたことと相まってオーバーロード時には強く、かなりのパワーマージンを備えた設計である。
井上卓也
ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より
SIMPLY TWOは、そのモデルナンバーが示すように、単純なEL34/6CA7の純A級シングル動作のプリメインアンプである。基本型は、入力部に入力セレクターとボリュウムコントロール機能を持たせたパワーアンプで、フィードバック切替スイッチが付属しており、一種のキャラクターコントロールとして使用可能だ。また、別売のフォノEQ用の電源供給ソケットが付いている。定格出力は12W+12Wと必要最小限のレベルであるが、小口径フルレンジユニットや感度90dB以上の2ウェイシステムと組み合わせれば、一般の家庭用再生レベルなら実用上での問題は皆無に等しいであろう。いわゆる5極管的な、古くはペントード的な音といわれた傾向は見事に抑えられており、常に手元に置いておきたい印象のモデルである。
井上卓也
ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より
Smart845はモノーラルパワーアンプで、大型直熱型3極管として最高の音質をもつと古くから言われてきた845の、純A級シングル動作で16Wの定格を得ている。デザイン的に目をひくのは、出力管の保護用と放熱効果を上げ、筐体温度の上昇を防ぐためのセラミックガードと、それを取り巻く筐体に独特の弧を描く美しいラインでデザインされたムクのイタリアンチェリー材との絶妙なコンビネーションだ。トリエーテッドタングステンの穏やかな明かりととも見事にマッチし、眺めるだけでも楽しい、この雰囲気は実に素晴らしい。
A級シングル動作の845から受ける、純度が高く、透明感のある柔らかい音という印象とはかなり異なった、ナチュラルで心暖まるような、程よく豊かで力感のある音が、聴いてみて再び楽しくなる、このモデルならではの、かけがえのない魅力であろう。
入力感度は0・165Vと、真空管アンプとしては異例に高く、パッシヴ型アッテネーターを介してのダイレクトドライブ使用にも全く支障はない。
井上卓也
ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より
845ABSOLUTEは、同社を代表するW800×H290×D600mmの巨大サイズの真空管プリメインアンプである。興味深いことは、発表当初は前段にGTタイプの双3極管6SN7が使われ、終段の845は、純A級プッシュプル動作の製品も本国ではあるようだが、現在輸入されているモデルは、電圧増幅段が12AX7、12AU7に変更され、終段も845パラレルプッシュプル動作になっていることだ。
ムクのイタリアンナッツ材や銅版を組み合わせた筐体構造は、非常にユニークではあるが見事なまとまりを見せており、真空管パワーアンプでの重要なキーポイントである出力トランスは、リッツ線を巻線に使った自社開発によるということで、また驚かされる。純A級パラシングル動作で39W+39Wの性能は、特に低感度スピーカーでなければ、家庭用として十分に満足できる定格値だ。別売オプションとしてPHONO−ONEフォノEQアンプも用意されている。
井上卓也
ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より
今秋、従来のシリーズには隔絶したような超高級機がボルダーから登場。これは驚異的だ。
2000シリーズと名づけられたこの新シリーズは、プリアンプ2010とD/Aコンバーター2020の2モデルで、基本構想は、リモートコントロールの全面的採用、左右チャンネルの完全独立化とコントロール/表示系の独立、3系統の電源部を内蔵した別筐体電源部による相互干渉の低減である。表示部とコントローラーのあるフロントパネルには、LED表示が採用されている。筐体上部には、左右チャンネルが独立した強固なハウジングがあり、背面からアンプ、DACをプラグイン固定する構造だ。
注目は、DACも左右独立に専用ハウジングに収納されていることだ。シャーシ電位的には同一筐体であるため各部は共通だが、究極の左右チャンネル間干渉を避ける設計、とボルダーでは自信をこめて言っている。詳細は省くが、とにかく物凄い構想の超高価格機である。
井上卓也
ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より
500Mは、基本となる500から左右独立レベル調整、出力表示インジケーターを外した、純オーディオ仕様の500AEの、外装デザインを大幅に変更した同社のトップモデルだ。
150W+150W/8Ω、BTL接続時500W/8Ωの定格をもち、業務用での高信頼度を活かした保護回路が完備された点は、とかく故障発生率の高い海外パワーアンプとしては異例のスタビリティを誇っている。また簡潔な内部配置で素早い修復ができるようになっていることにも注目したい。
スピーカー駆動能力は、定格パワー値から予想するよりも十分に強力なものがある。無理にfレンジを欲張らず、ダイナミックな再生能力が感じられる音は、このモデルならではのおおらかさがあり、独特の味わいである。
Mシリーズになり、業務用機器的な性質が薄らぎ、ディテールの再生能力や、聴感上でのSN比が向上し、本質的な回路構成のメリットが音として聴かれるのが本機の魅力だ。
井上卓也
ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より
プリアンプでは、業務用的構想で入力セレクター部、アンプ部、電源部など各ブロックを独立した筐体に収めた ULTIMATE3、コンシューマー用に新設計されたL3AE、フォノEQを除いたL3AESがある。2番と3番ピンの極性切替付のバランス入力とバランス出力を備え、多彩な暗譜と組合せ使用が可能なことは使いやすく、またナチュラルで色づけのない音は、信頼感があり好ましい。
井上卓也
ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より
500AEは、500Mのベースとなったモデルで、外装が異なるように、定格値は同じだが傾向はよりネイティヴで業務用機器的な、こだわりがなく伸び伸びと音楽を鳴らす歌い方では、このモデルの方が魅力的だ。
井上卓也
ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より
SC23プリアンプとMA23モノーラルパワーアンプは、DAC1でスタートした他に類例の少ない小型・高密度のモデルで、シリーズ化された同社独自のミュージックリンク・シリーズのモデルである。SC23は、パッシヴアッテネーターSL1の筐体に本格派プリアンプを組み込んだライン入力専用機で、出力段にはフィリップスLHH2000で初採用されたNF専用巻線付のバランス型出力トランスを備えたモデルだ。MA23は、AB級50W定格の超小型パワーアンプ。シリーズ製品には、SPレコード用の3種類のEQを備えた、MC昇圧トランス内蔵、NF−CR型フォノEQのPH1、トップローディングの小型高級CDプレーヤーCD23D LTDがあり、さり気なく高いクォリティの音を楽しむには好適なラインナップだ。
シリーズ共通の音の特徴は、あまりにオーディオ、オーディオせずに安心して音楽が楽しめるだけのコントロールされたfレンジと、伝統的に電源を重視するマランツらしく、十分に広いダイナミックレンジをもち、質感に優れたサウンドが、大人のテイストを感じさせる。
井上卓也
ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より
AR303aは、AR3aの現代版。平均的な密閉箱となり低域は明るく、独特なソフトドーム型ならではの中・高域は素直。AR218Vは小型2ウェイ型で、フレッシュな鳴り方が魅力。AR338は、20cm3ウェイ型で非常に魅力的な好製品だ。スペクトラルEQのモデル6は、マーク・レビンソン氏が参加した開発だけに調整能力は非常に高く、任意にサウンドコントロールできるEQとして特筆に値するモデルだ。
井上卓也
ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より
プリアンプのモデル2、パワーアンプのモデル200も、リミテッド・シリーズの製品。素直な音のアンプで個性的な面が少ないが、内容は十分に濃く、安心して使えるスタビリティの高さと高級機ならではの陥落が音として聴かれるのは、さすがである。
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