Category Archives: パワーアンプ - Page 22

オーレックス SY-C15, SC-M15

井上卓也

ステレオサウンド 48号(1978年9月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 最近のオーディオの話題となる新しいジャンルの製品に、超小型のコントロールアンプ、パワーアンプ、それに、チューナーをベースとした、いわゆるマイクロコンポーネントシステムがある。すでに、このクォータリー欄でも、テクニクス、ダイヤトーンの超小型コンポーネントを取上げたが、今回紹介するオーレックスの製品は、この種のものではもっとも早く発表された製品である。
 オーレックスのマイクロコンポーネントは、ステレオシステムにその名称をもつように、超小型で横幅が257mmに統一されたコントロールアンプSY−C15、パワーアンプSC−M15、AM・FMステレオチューナーST−F15を中心として、カセットデッキPC−D15、小型スピーカーシステムSS−S12W、さらに、スーパーウーファーで45Wパワーアンプを内蔵のSS−W51Sでシリーズを構成する、独立したコンポーネントシステムである。このなかで今回試聴できたのは、ベースとなるアンプとチューナーである。
 SY−C15は、超小型ながらコントロールアンプと呼ぶにふさわしい機能をもった製品である。機能面では、2系統のフォノ入力とコントロールアンプ出力を備え、高音と低音のトーンコントロール、サブソニックフィルター、ミューティング時にはイコライザー出力が直接コントロールアンプ出力となる特殊なミューティングスイッチをもつ。各ユニットアンプは、すべてA級動作の全段直結DC構成で、イコライザー許容入力は300mVである。
 SC−M15は、定格出力が45W+45Wで、BTL接続により90Wのモノーラルパワーアンプとしても使用できるDC構成のパワーアンプである。超小型パワーアンプのポイントである放熱効果を解決する目的で、いわゆるケース部分にアルミ合金を一体成型した接合部分のないアルミダイキャスト・モノコックボディを採用し、両側には羽根型の放熱フィンを一体化している。このボディのスペースファクターの良さを活かし、大型の電源用電解コンデンサーや増幅段用のタテ型フィルムコンデンサー、さらに厚さ70ミクロンのプリント基板などの大型部品の高密度実装を実現している。
 SY−C15、SC−M15のペアは、平均的な聴取レベルではまったく不満のないパワー感をもち、一連のオーレックスコンポーネントシリーズに共通する細やかさと滑らかさがあり、ニュートラルな色付けの少ない音をもっている。

トリオ L-07CII, L-07MII

井上卓也

ステレオサウンド 48号(1978年9月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 セパレート型アンプに限らず、プリメインアンプを含めてアンプの分野では技術革新の店舗が非常に急速であることに特長がある。トリオのセパレート型アンプは、トップエンドにサプリームシリーズを置いているが、最新の技術が投入され話題を提供しているのはLシリーズの製品である。
 今回のL07CII/MIIは、アンプの高速応答性を改善することにより高域における動的歪を減少させたハイスピードパワーアンプL05Mの設計思想を受継ぎ、数多くのアンプ作りのノウハウを投入して開発された第2弾のハイスピードアンプだ。パワーアンプL07MIIはもちろんのことコントロールアンプL07CIIにもハイスピードアンプの思想が盛込まれている。
 ちなみに、トリオでいうハイスピードアンプの条件とは、スルーレートが100V/μs以上、ライズタイムが1μs未満、信号の正負のレスポンスが出力の大小にかかわらず同値であり、かつリンギングなどの波形の乱れがないことである。
 L07CIIコントロールアンプは、パネルデザインが大幅に変更され、より現代的な印象となっている。回路構成上の特長は、フォノ入力のイコライザー段がMC専用とMM専用が独立した2系統になっていること、内部構造が左右独立した配置であること、出力インピーダンスが10Ω以下と超低インピーダンスであることがあげられる。
 L07MIIモノーラルパワーアンプは、パワー段に高域特性が優れたEBTを採用し、特殊単一金属の高精度被膜抵抗、積層スチロールコンデンサー、低歪率特殊高性能電解コンデンサーなどを厳選し、高域特性が優れた前段設計とともにスルーレート170V/μs、ライズタイム0・55μsを得ている。定格出力は、10Hz〜100kHz/0・008%の歪率で、150ダブ区(8Ω)。
 L07CII/MII×2の組合せは、2台のパワーアンプをスピーカーシステムに近接した位置に置き、コードの影響を減らし、コントロールアンプからパワーアンプ間を専用シールド線で結合するという、業務用機器的使用法が標準である。この組合せは、ナチュラルに伸びたfレンジをもち伸びやかでスッキリとしたクォリティの高い音を聴かせる。音色は、ほぼニュートラルで、さしてスピーカーを選ばず、それぞれの個性を引出すのが魅力だ。

アムクロン DC300A, D75

アムクロンのパワーアンプDC300A、DC75の広告(輸入元:ヒビノ電気音響)
(スイングジャーナル 1978年8月号掲載)

Amcron

ラックス 5C50, 5M21, 5T50, CL36, M-4000, T-110

ラックスのコントロールアンプ5C50、CL36、パワーアンプ5M21、M4000、チューナー5T50、T110の広告
(スイングジャーナル 1978年8月号掲載)

5C50

オーレックス SY-C15, SC-M15, ST-F15

オーレックスのコントロールアンプSY-C15、パワーアンプSC-M15、チューナーST-F15の広告
(スイングジャーナル 1978年8月号掲載)

Aurex-M15

SAE Mark 2200, Mark 2400L, Mark 2600

SAEのパワーアンプMark2200、Mark2400L、Mark2600の広告(輸入元:RFエンタープライゼス)
(スイングジャーナル 1978年8月号掲載)

SAE

アルテック A7-X, スレッショルド NS10 Custom, 400A Custom, CAS1 Custom, m1 Custom

アルテックのスピーカーシステムA7XスレッショルドのコントロールアンプNS10 Custom、パワーアンプ400A CustomCAS1 Custom、ヘッドアンプm1 Customの広告(輸入元:エレクトリ)
(スイングジャーナル 1978年8月号掲載)

ALTEC-A7

ルボックス A740, BX350, B750

ルボックスのパワーアンプA740、スピーカーシステムBX350、プリメインアンプB750の広告(輸入元:シュリロトレーディング)
(スイングジャーナル 1978年8月号掲載)

A740

QUAD 405

瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

最新型では入力感度切替がついて、音の魅力を生かしやすくなった。

ヤマハ B-4

瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

鮮度の高いよく磨かれた彫りの深い音はいままでのヤマハとは思えない。

マランツ Model P510M

瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

比較試聴の際に現代のひとつのスタンダードとして信頼できる優秀機。

パイオニア Exclusive M4

瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

素晴らしくナイーヴで繊細で、上品でウェットな音質はいまだに無類。

ダイヤトーン DA-A100

菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

新しい製品ではないがそれを超越した内容をもつ。

ビクター JM-S7

菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

ウォームで力強い立体的音響は自然なタッチの音を再現。

ラックス 5M20

菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

新しいテクノロジーとラックスの音への指向の接点を感じる製品。

トリオ L-07M

菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

ソリッドなサウンドはたくましく、そして豊かに響きわたる。

マッキントッシュ MC2205

菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

伝統の技術が新しいテクノロジーでリファインされた美しい製品。

スレッショルド 400A custom

菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

力感と質感が第一級の実力派パワーアンプ。

Lo-D HMA-9500

菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

オリジナリティをもつ回路による高性能な信頼性高い製品。

アキュフェーズ P-300S

菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

製品づくりの信念による充実した内容と安定性が立派。

マッキントッシュ MC2300

菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

大出力アンプの範となった王者的風格。

オンキョー Integra M-505

菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

特性のよさよりも音のよさが印象づけられる製品。

ヤマハ B-3

菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

ベーシックなアンプとしてよく練られた堅実な使いよいパワーアンプ。

30万円前後でセパレートアンプ組合せのベストバイ

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「読者の質問に沿って目的別のベストバイを選ぶ」より

 セパレート型アンプは本来、コントロールアンプとパワーアンプが独立した存在であり、数多くの組合せのなかから、自分の望む音、それにふさわしいデザイン的なマッチングを楽しむことに、プリメインアンプには求められない独特の魅力の世界がある。しかし、実際にはその組合せの総数は莫大であり、それを試聴する機会が得られず、幸運に機会があったとしても、試聴をして自らの求める音を判断し選択するためには、十分にオーディオと音楽を熟知し、数多くの経験をもつ場合にのみ好結果が得られやすいという制約がある。
 したがって、同一メーカーのペアとして発売されている製品の組合せがもっとも成功率が高く、次に、同一メーカーのランクの異なった組合せが好ましいというかなり常識的なことになってしまうわけである。
 他社間の組合せの場合には、現在のセパレート型アンプでは、コントロールアンプに際立った音をもつ製品が少なく、パワーアンプのほうが平均的に水準が高く、ほとんどの製品が優れた性能と音をもっていることが選択の前提条件である。つまり、優れたコントロールアンプを選択することがポイントであり、次に、それと組み合わせて自分の求める音が得られるパワーアンプを選出するアプローチが確率の高い方法である。
 価格的な制約が30万円前後と狭い範囲に絞られると、候補製品はかなり限定されてくる。
 コントロールアンプとして考えられるのは、価格的に15万円が上限となる。まず、国内製品では、デンオンPRA1003、サンスイCA2000、ソニーTA−E88、テクニクスSU9070II、ビクターP3030、ヤマハC2とC4であり、海外製品では、マランツ♯3250がある。少し枠をこすが、GAS・サリア、SAE・MARK2900は、個性派でできれば使いたいモデルだ。
 パワーアンプは、同様に15万円をリミットとすれば、国内製品はかなり多く選択が難しい。海外製品は、QUAD♯405とマランツ♯170DCのみで、ダイナコMARKIII×2やSAE・MARK2200が範囲をこすが魅力をもつモデルである。
 実際に組み合わせて使用した経験からは、ヤマハC2+QUAD♯405、マランツ♯3250+QUAD♯405が、このクラスでは好結果をもたらした例である。予想の範囲では、GAS・サリアやSAE・MARK2900ベースのダイヤトーンDA−A15DC、ビクターM3030、ヤマハB4のAクラスとBクラスがデザイン的にも興味深く、マランツ♯3250ベースのパイオニアM25、ヤマハB4も一度試みたい組合せである。

GAS Ampzilla II

菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

独特な粘りと力強さをもった立体的な音の魅力は他に得がたい製品。