マイクロのターンテーブルMB300、カートリッジMC4100、トーンアームMA77 MKIIの広告
(スイングジャーナル 1971年2月号掲載)
アルテック 211, アムクロン DC-300
ラックス CL35, MQ60
トリオ KA-7002, KA-5002
ソニー TC-2200
フィデリティ・リサーチ FR-5, FR-5E
パイオニア T-6600
ソニー SD-3800W, SD-3000W, SD-1200M, SD-5000M, SD-6000T
エレクトロ・アクースティック Miracord 50H
マイクロ MR-411
アコースティックリサーチ AR-2ax
オーディオテクニカ AT-VM35
シュバイツアー Record Cleaner
パイオニア SA-60, SA-80, SA-100, TX-60, TX-80, TX-100, SD-100
オンキョー Integra 725, Integra 423
サンスイ SP-10, BA-60, QS-1
スコッチ No.202, No.203
ビクター TD-664
デュアル 1219
岩崎千明
スイングジャーナル 2月号(1971年1月発行)
「supreme equipment 世界の名器を探る」より
コンポーネント・ステレオが、セパレートに代って高級ステレオの代名詞となってきつつあるこの頃、レコード・プレイヤーの地位がますます高まっている。「音の入口には、できるだけ高級品を選ぶ」というのが、コンポーネント・ステレオのひとつの条件とさえなっているのはご存知の通り。
音の品位を入口において損こなってはいくらよいアンプでも、スピーカーでも音を良くすることはできないし、レコードの寿命という点についてもレコード・プレイヤーの良否が決定してしまう。そこで高級レコード・プレイヤーとしてはオートチェンジャーは永い間敬遠されてきた。
しかし、このデュアルの高品質チェンジャーが、この迷信をくつがえした。
ステレオの台頭とともに軽針圧カートリッジが出現して以来、その2グラム前後という軽い針圧では、英国製のチェンジャーはどうも満足な動作を必らずしも完了してはくれず、チェンジャーに対する信頼が極端に低くなってしまったのである。そのため米国オーディオ界ではステレオの興隆とともにAR社のプレイヤーがそれまで普及していたオートチェンジャーにとって代って普及しつつあった。
この米国内のプレイヤーの異変ともいえるチェンジャーの没落を一気に盛り返し、再びオートチェンジャーの主導権をヨーロッパにもたらしたのがこの西独デュアルの前製品1019であり、1012であった。このデュアルの傑作、1219は、70年代になってさらにメカ部を一歩前進させて、アンチスケーティング機構(インサイド・フォース・キャンセラー)と、連続演奏時にも針先とレコード面の角度ヴァーチカル・アングルが正しくセットされるようモード・セレクターがついて一枚演奏と連続演奏を切換えるように工夫された。また外観上も、アームはさらに細くいかにも軽針圧用としてデサインされ、アーム支持部もジャイロが大型になってより精度を高めたことも特筆できる。
このデュアルのチェンジャーの最大のメリットは、針圧がスプリングによるいわゆるダイナミック・バランス型といわれている機構である点である。量産上バラツキの点で軽針圧ではむづかしいといわれるダイナミック・バランス式はオルトフォンの大型アームなどプロ用に僅か使われているにすぎないメカニカルであり、これはそったり偏心したレコードの軽針圧トレースが完全にできる利点がある。また一見なんの変哲もないこのアームは、あらゆる点でプロ用アーム並みの高性能機構と性能をそなえている点が注目すべきだ。
ターンテーブルも3・1kgというヘヴィーウエイトのもので、完全ダイナミック・バランス調整されている高級品だ。
このデュアルのプレイヤーに代表される小型ながらメカニカルで充実した内容のズッシリと重い機構は、大型でぎょうぎょうしいプレイヤーにみなれた眼からはなにか物足りないくらいだがいかにもドイツ製品にふさわしい。このデザインの原型はプロ用ノイマンのプレイヤーにオリジナルがみられることを付言しておこう。
パイオニア CS-E900
菅野沖彦
スイングジャーナル 2月号(1971年1月発行)
「SJ選定新製品試聴記」より
今月の選定新製品として選んだ、CS−E900は、同社がクリアー・サウンドというキャッチ・フレーズで売り出し中の一連の音のキャンペーンに連る。
スピーカーというものは難しいものだ。これほど、再生装置を構成するパーツの中で、全体の音を左右するものはない。つまり、すべてのスピーカーは、ある技術的な理想に向ってつくられているはずなのに、その音は千差万別、それぞれ極めて個性的なのである。カートリッジについても、アンプについてすらも言えることだが、スピーカーほど独自の性格をもつものはないのである。スピーカーは電気音響の粋といってよくその動作の電気的特性から類推するという管理ではとても追いつかない。着実なデータの集積と長い経験鋭い感覚から生れるスピーカーづくりのノーハウは、それぞれのメーカー独特の手法として存在し、そのメーカーの体質となり血となってほしいものだ。
褐色に着色したコーン(FBコーンと同社は称している)を使用したウーハー、スコーカー、そしてマルチ・セルラー・ホーンのトゥイーターを使い、バッフルは仕上げの高い木肌の魅力をもった完成度の高いシステムである。これほどCS700、500など一連のシリーズの経験を生かしたシステムとして高く評価できるものだ。マルチ・セルラー・ホーン・トゥイーターのデュフィーザーは廻転式で、システムを縦位置においても横位置においても、これを90°回転をさせて水平方向への指向性を改善できる。もっとも、これはデュフィーザーの設計で、そのままで水平垂直方向へ拡散させるものをつくればよりよいわけだ。中音は12cmコーン、ウーハーは30cmコーンである。最近のほとんどの製品がそうであるように、インプット端子はネットワークを介したフル・レンジ用と、3つのユニットにダイレクトに接続されるもの、そして、トゥイーター、スコーカーはネットワークを用いる2ウェイ式の切換スイッチ及びターミナルをもつ。アッテネーターは前面バッフルに±3dbの範囲で調整できるものが装備され高域、中域のレベルを独立してコントロール出来る。エンクロージュアは完全密閉型で、かつての優秀製品CS10やCS8の流れをくむものだ。クロスオーバーは400Hzと4kHzの2点。
試聴感は、全体にさわやかな透明感が感じられ、音の傾向としては華麗である。重厚味やマッシヴな力感という面はあまり感じられない。したがって、どちらかというと黒っぽいジャズの再現には少々線が細く、よりソフィステイケイトされた音楽のほうがしっくりいく。高域の輝やかしい音色は魅力的だが、中域にやや腰くだけのようなあいまいさが残るのが玉に傷だ。もっとも傷のないスピーカー・システムなど、今だにお目にかかったことはなく、その他に良い面が強くあって、アバタもエクボとなるようならよしとしなければならないのが実状である。このシステムのまとまったバランスド・サウンドは、緻密な仕上げのエンクロージュアや外装デザインと共に整然とした完成度の高いものだ。あまりにも端整なのが、よきにつけ、あしきにつけ、このシステムの特長であろう。前面サランネットをつけた本機のたたずまいは、きわめて洗練されたもので、最近のパイオニア製品共通のセンスを感じる。それは、テープレコーダーにもステレオレシーバーにも散見できるセンスのひらめきであり、オーディオ機器が嗜好品としての性格を持つという本質をよく理解した製品づくりの誠意が感じられて好ましい。
スピーカーの音は、一朝一夕に出来るものでもないし、作ろうとして作ったものは根底から人の心を動かすことは出来ない。エネルギー変換器としてのスピーカーの物理特性とまともに取り組むことから滲みでてくるのが本当の個性である。人が技術を通して滲み出る。これが本物だ。したがって、スピーカー技術者が、そしてメーカーが、まず人として魅力あるパーソナリティをもち、普楽の心を抱いていなければならない。技術は技術、人は人で音作りをしたような製品ではこれからのオーディオ界には通用しないのだと思う。























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