井上卓也
ステレオサウンド 66号(1983年3月発行)
特集・「コンポーネンツ・オブ・ザ・イヤー賞 第1回」より
オーディオアンプは、とかく、エレクトロニクスの技術に基づいた製品であるるだけに、回路技術的な新しさや、音質対策が施された部品選択などに注目する傾向が強い。
一方において、アンプの機械的な構造、つまり、シャシーやケースに代表される機構設計面は、管球アンプの昔から、音質を決定する重要なファクターとして検討はされていたものの、計測データに基づいた、音質との相関性を追求する技術は、いまだに未完成といわなければならぬ実状である。
この機構設計面でノウハウに基づいた成果を現実の製品に導入した点では、サンスイのアプローチは、時期的にも早く、その成果も非常に大きいと思われる。銅メッキシャシー、銅メッキネジ、真鍮板の構造材などはその例で、これらの手法はその後多くのメーカーが踏襲し、最近の機構設計の定石になっていることを評価すべきである。
B2301は、BA5000、3000以来、約10年ぶりにサンスイが開発したハイパワーアンプである。1・3kVAの超大型電源トランスに代表される伝統的な強力電源部をベースに、アルミブロックと銅板でサンドイッチ構造とするパワートランジスター取付部、140μ厚プリントパターン採用などに加えて、新開発ダイアモンドパワーステージとカスコード接続プッシュプルブリドライブ段の新採用のほかに、入力系がバランスと一般的なアンバランスと切替使用ができるのも本機の大きな特徴で、回路構成上のユニークさが、これからも類推されるだろう。
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