井上卓也
ステレオサウンド 49号(1978年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より
AU−D907で初めて採用されたサンスイ独自の開発によるダイヤモンド差動回路と2ポール位相補正回路を使う、低TIM設計の第2弾製品である。
回路構成面では、MCヘッドアンプ、10石構成のDCイコライザー段、8石構成のDCフラットアンプ段、ダイヤモンド差動回路とノンマグネチックトランジスターを出力段に使うDCパワーアンプの構成である。電源部は、2個の左右独立型パワートランスと12、000μF×4の強力な電解コンデンサーのペアだ。
AU607が独特のステレオフォニックな音場感の拡がりを聴かせる音であったことに比較して、このAU−D607は、クォリティ面で1ランク以上向上した緻密で、しかも反応の早い見事な音を聴かせる。とくに、中域から中高域の解像力は非常にシャープであり聴き手に一種の緊張感を感じさせるリアルさだ。
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