菅野沖彦
ステレオサウンド 46号(1978年3月発行)
特集・「世界のモニタースピーカー そのサウンドと特質をさぐる」より
JBLの4331Aは、いわゆるスタジオモニターの標準的なモデルで、38センチ・ウーファーに、ホーン・トゥイーターを800Hz以上に使った、2ウェイシステムである。このエンクロージュアは、大きさの点からもモニターとして最も手頃なもので、JBLのモニターシリーズ中のベイシックモデルといってよい。同じエンクロージュアに、3ウェイのユニットを構成を持たせたものが、これの上級機種として存在することからも、このエンクロージュアの存在の重要性が理解できるであろう。さすがに、モニターとしての性能は優秀で、このシステムのもつ音色に抵抗がない限り、きわめて正確なモニタリングの可能なシステムだと思う。高い能率と十分なパワーハンドリングで、堂々とした大音量再生も可能だし、音の解像力はきわめて高い。定位もよく判別できるし、位相差の判別も容易である。バランスもよくとれていて、最高域はややだら下りだが、モニターとしても帯域の狭さは感じさせない。音楽的な表現がよく生きて、各楽器の持つ質感をよく伝えるので、鑑賞用としても全く問題ない。むしろ、この音の魅力に強く惹かれるファンも多勢いることだろう。レコードのミクシングの細かな点もよくわかるし、オリジナルテープの再生でも立派にその役目を果してくれた。
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