菅野沖彦
ステレオサウンド 10号(1969年3月発行)
特集・「スピーカーシステムブラインド試聴」より
全体にまず感じられたのは、にぎやかな音という印象だ。中高域に汚れがあってどぎつさが耳につく。それでいて、ジャズの再現には中域の腰の強さとねばりが足らず、ガッツが不足する。高域の華麗さは少々化粧が濃すぎる感じで、もう少しおさえて自然なバランスでありたい。オケのテュッティが濁るので騒々しいわりに迫力がないし、ヴォーカルではざらついて暖かさがない。ジャズのシンバルのスティック・ワークだけがリアルに聴こえた。
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