瀬川冬樹
ステレオサウンド 37号(1975年12月発行)
特集・「スピーカーシステムのすべて(下)最新40機種のテスト」より
左右に思い切り広げて設置して、適度に壁から離し、ブロック1~2個程度の頑丈な台に乗せる。そして、両スピーカーから等距離の正しい聴取位置で聴くと、眼前に、幕を一枚取り除いたような空間の広がりと奥行きが展開する。こういうエフェクトを楽しく聴かせるのが、今回のSB5000と7000を含むテクニクスの新シリーズの共通の特徴だ。この感じは、最近のヨーロッパ系の優秀なスピーカーシステムが聴かせてくれるエフェクトと同質だがSB6000の場合、この価格、ということを考えに置くと、音質の方に2~3注文をつけたくなる。第一二、SB5000のところでも書いたが音を隈どる輪郭の質感に、なんとなくザラつく感じ、この価格としてはもうひとつ磨きが不足しているような感じが残ること。もうひとつ、小音量のときは良いがパワーを上げると、弦や声で中域に多少きつい感じが出てくることだ。むろん、それらは水準以上のスピーカーシステムであることを認めた上での注文だが。
採点:88点
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