瀬川冬樹
ステレオサウンド 36号(1975年9月発行)
特集・「スピーカーシステムのすべて(上)最新40機種のテスト」より
011とくらべると、第一に低音の迫力が増したために全体にスケールがひとまわり大きくなって聴こえる。第二に、011では中音域をややおさえすぎた感じで、聴感上では、プログラムによっては中域が少々不足の感じではあったのが、022ではその点がよく埋まってきた。この二点が、6千円アップのメリットである。反面、クラシック系のソースでは中~高域がキャンつく感じが強く、またトゥイーターから鳴ってくるスクラッチノイズを聴いても011より質が粗くやや耳ざわりの傾向があって、総じて音のとらえ方では011の方がすぐれているのではないかと思われる。製品の企画自体、本質的にポピュラー系の再生に焦点を合わせていると思われるが、そうしたプログラムについても、011とくらべて全面的にこちらがいいとは言いきれない。ペアで1万2千円の差は、このクラスでは無視できない価格差だが、それだけの値打があるか、と聞き直られれば、さあ、どうももう一息なのだが、と言いたい感じ。
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