マッキントッシュ C32 + MC2205

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 C28やMC2105までの製品とくらべると、デザイン上からもツマミやメーターまわりに太いふちどりがアクセントとして加わったことが、音質の傾向をも象徴している。たとえばマークレビンソンなら、面相(毛筆)か細書きのペンで慎重に繊細に描写するであろうところも、マッキントッシュの手にかかると、もっと大胆に、いくぶん荒々しく大掴みに、太い線でこってりと描き出す。従前のシリーズよりはディテールもはるかによく浮き彫りする解像力が加わったが、その描線はコンテかパステルの質感のようで、味わいも濃いが反面どこまで細部を描き込んで行っても、輪郭がどこかケバ立ってペン書きのような繊細さには至らない。だが色彩感はこちらの方がはるかに豊かだ。この豊かさは旧型以来のマッキントッシュの伝統だが、新型ではそこにいっそうの輝きと鮮度の高さ、そして華麗で豪華な味わいが増してきた。この濃い味を毎日の食卓で飽食しないなら、かなり器の大きな人というべきだろう。

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