パイオニア S-933

瀬川冬樹

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 低・中・高、それぞれのユニットが、全く違った素材で個性されていて、質感や音色のバランスをとることは相当に難しいと思うが、かなりよくまとめあげた製品だと思う。中ではメタルドームの音域が、多少張っていて、リボントゥイーターのレヴェルもそれとバランスを採るためか、かなり張っているで、相対にいくぶん金属質の輝きのある音に仕上っている。その音にくらべると低音は少し重い。というようにこまかく言えば音のつながりに注文はあるにしても、中音域のレヴェルをほんのわずかおさえて使うと、設置や組合せにあまり神経質にならなくとも、ひととおりの音がして、一応の出来栄えといってよいだろう。パワーにも強い。高域がよく伸びているせいか、実況録音盤での音場のひろがりはよく出るほうだ。ただ、中〜高域の硬さと質感はクラシックには不満。ことにフォーレのソナタでは、ちょっと人工的な響きがありすぎて、フォーレの世界にはならないのはやむをえないのか。

総合採点:8

●9項目採点表
音域の広さ:8
バランス:7
質感:7
スケール感:7
ステレオエフェクト:8
耐入力・ダイナミックレンジ:7
音の魅力度:7
組合せ:普通
設置・調整:普通

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