黒田恭一
ステレオサウンド 48号(1978年9月発行)
特集・「音の良いプレーヤーシステムは何か クォーツロック・DDターンテーブル18機種をテストする」より
個々のカートリッジに対してよく順応する。ということは、それぞれのカートリッジのよさをひきだす場合もあれば、逆にそれぞれのカートリッジの弱点を露呈することもあるということだ。しかし、いずれの方角をむいているプレーヤーシステムかということになれば、これはあきらかに、すっきりしたひびきをもたらす方角をむいていると考えるべきだ。
デンオンDL103Sでの結果が、もっともこのましかった。弦楽器のひびきが幾分浅くなるが、ここできけるすっきりしたひびきは、このプレーヤーシステムのよさを示したものといえる。ただ、そこに力強さとか、濃厚なひびきとかを求めることはできない。
オルトフォンMC20は、おそらく、このプレーヤーシステムがむかう方向とは逆の方向にむかおうとしているカートリッジで、そのために、結果は、思わしくなかった。すっきり、ことさらのこだわりなくきこうとするならシュアーV15タイプIV、少しつっこんできこうとするならデンオンDL103Sということになるのではないか。嫌味のない音をきかせるプレーヤーシステムだった。
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