ソニーのオープンリールテープSLHの広告
(スイングジャーナル 1969年10月号掲載)
Daily Archives: 1969年9月20日
ソニー SLH
アルテック Medina
富士フィルム S-150
アコースティックリサーチ AR-4a
岩崎千明
スイングジャーナル 10月号(1969年9月発行)
「SJ選定 ベスト・バイ・ステレオ」より
AR4は米国のAR社の製品中、もっともポピュラーな小型のブックシェルフ型スピーカーである。
AR社、詳しくはアコースティック・リサーチ社は50年代末期に米国ハイ・ファイ界にデビューしたまだ10年を経たぬ新進メーカーであるがそのユニークな技術に裏書をされた優れた製品は、すべて米国市場で空前といえるほどのベスト・セラーを続けている。おなじみの米国コンシューマー・レポート誌のテストにおいてAR社の製品はひとつ残らず、A BEST BUY つまり「絶対お買徳」と判定されてきた。コンシューマーキラーといわれるゆえんがこの辺にあるのだが、発売するすべての製品が、これほどにうけるのは、万事合理的、機能最高主義の米国人気質に徹底した技術と企画のうまさが物をいっているのであろう。
AR社は米国内ではAR2およびAR3の2種のスピーカー・システム、ARXAと呼ぶプレイヤーとが家庭用ステレオの独占的製品としてよく知られているのだが、日本市場ではスピーカー・システムのみが高級製品としてよく知られている。アコースティック・サスペンション方式の低エフ・ゼロ・スピーカーはブックシュルフ・システムの別名とまでなっているが、いずれも日本では10万を越す高級品で、AR2からグレード・アップした最近のAR5も12万以上と、すべて家庭用スピーカーとしては輸入品の中でもきわめて割高だ。
しかし、ユンシューマー・レポート誌のA BEST BUYに選ばれることからも判るとうり、コスト・パーフォーマンスの点で非常に優れているのがARの製品の特長であり、それがベストセラーとなる最大の理由なのである。つまりARの製品はすべてポピュラーな性格の製品なのであり、しかも高性能という点に価値が高いのである。さて、ARスピーカーの中でもひときわポピュラーなのがAR4aである。20センチの低音用と高音用スピーカーとの2ウェイ方式のこの小型のシステムは、ポピュラーな製品と狙って生れてきたわけではない。
このAR4の発売された67年の前年には、英国の代表的スピーカー・メーカー・グッドマン社が超小型システム「マキシム(米国名マキシマス)」を発売し、それは米国市場で大へんな人気を呼んだ。名とは逆にごくミニマム・サイズの「マキシム」は小さな体に似合わず、力強い低音とすばらしい中高の解明力で、なにごとも大きいものの好きな米国人の間でもかなり売れた製品であった。
小型車VWワーゲンに対すると同ように輸入品に対する対抗製品のトップ・バッターとして、それを作るにふさわしいベスト・セラー・メーカーAR社が、マキシムを意識して作ったのがこのAR4であった。
AR4はマキシムほど小さくはないが従来のARスピーカーのサイズよりはずっと小柄だ。しかし、その小柄に似合わず、大きな音を出した時にもびりつくことはなく、音にゆとりがある。小さく鳴らした時の澄んだ音は、大きく鳴らした時にも、少しも影りをみないのはさすが米国製品である。「能率の低い」という点はARスピーカーの大きな欠点でありまたその特長ともなっているが、AR4も能率はあまり良くない。しかし大きな電気入力を加えた時、つまり大型アンプで鳴らすAR4の素直な音はさすがハイ・ファイの本場米国のベストセラー製品とうなづけよう。特に、プログラムを選ばず、ヴォーカルもソロも、フルバンドも、ドラムもそしてピーターソンのピアノも素直な響きで鳴らす。
38、000円という価格は日本市場ではちょっと割高だが、このスピーカーもまた価値がある製品なのである。
オンキョー MC1500
パイオニア CS-7, CS-8
パイオニア CS-5, CS-7, CS-8, CS-A55, CS-A77, CS-A88, SX-45, SX-65, SX-85, PL-11, PL-A25, PL-30, T-4000, T-5000, T-6000, SE-30
ビクター AST-150TS
アカイ X-200D
ビクター MCA-104, MCT-104
ソニー TC-6635
サンスイ SAX-150, SAX-250
オーディオテクニカ AT-1005
パイオニア TX-70
マイクロ MR-411, MSB-1
ティアック A-2010, A-2050
オンキョー Integra 613, Integra 401
CEC BD-202, BD-515, STP-65, STP-69, STP-92A, FR-250A
テクニクス SU-2010 (Technics 50A)
ヤマハ AA-70, YP-70
パイオニア SA-70, TX-70
YL音響 YL-11
サンスイ AU-777D
サンスイ AU-777D
フィリップス EL3312A
菅野沖彦
スイングジャーナル 10月号(1969年9月発行)
「SJ選定 ベスト・バイ・ステレオ」より
カセット・テープの普及がとやかくいわれながら、まだ我国では、その歩みがもどかしい。アメリカでは8トラック・カートリッジとこのカセットとの比較の点では、明らかにカセットが優位に立とうとしているのであるが、これは、その大半を占める用途であるカー・ステレオのカセット化の波によるものらしい。しかし、今年のニューヨークのCESにおいても、ホーム・ユースのカセットも注目に価いする活況を呈していたことを思えば、カセットの今後は日本でもかなりの期待が持てそうである。日本の現状では、カセットはメモコーダーとして延びてはいるが、音楽録音再生用としてのステレオ・カセットはまだまだかったるいのが実状であろう。その最大の理由は、やはり音質の点にあると思われる。扱いの点では、カセットの抜群なイージー・ハンドリングは万人の認めるところであるから、これで、満足できるハイ・ファイ音が得られれば、もっと急激な伸長を遂げるだろう。ところで、最高の状態でのカセット式はどんな音かを聞いたことのある人は何人いるだろうか。これを知ればもっと多くの人がカセットに注目するにちがいないと思うほど、現在では、カセット・ステレオの可能性は高い。最高のカセット・ステレオ・デッキを使って、細心の注意と技術をもって録音再生すれば、これがカセット? と思うほどのハイ・ファイ音が聞ける。つまり、カセットの可能性の証明である。
これに必要なのが、フィリップス社製のEL3312Aというカセット式ステレオ録音再生デッキであるが正直なところ、このフィリップスのデッキでないと、その可能性の限界は確認できない。もっとも、フィリップスはカセット・システムの本家であるから当然かもしれないが、そ
れにしても他の製品がもう少し良くなってもらわないと、カセットの普及上困るのである。では、どこが、どう良いかというと、ワウ・フラの少いことなどのメカニズムの特性は勿論、その音質のまとまりにはまったく脱帽せざるを得ないのである。電気的特性ではカセットの現状ではまだ制約はあるが、その制約の中で聴感上もっとも快よいバランスをつくっているのが見事なのである。
このEL3312Aはカセット・デッキとしてはやや大型だが、ピアノ式の操作機構は扱いやすく確実で、マイク入力端子回路がついていて、附属のステレオ・ユニット・マイクで簡単にステレオ録音ができるし、パワー・アンプの小さいものもそなえているし、ライン・アウトもとれるという万能型である。手持の装置につないで置くには、5ピンのDINコネクターを使って録音再生が可能である。
私は職業柄、マスター・テープをこのデッキでカセットにコピーして聴くことがあるが、客にこれを聴かせると大抵驚いて、カセットの可能性を再認識すると同時に、市販のミュージック・カセット・テープのプリントの悪さに疑問を持つ。したがって、現状ではこのデッキを購入されて、自分で、FMやレコードからプリントして使われてみることをまずお推めしたい。その便利さ、音の良さには一驚されるであろう。
カセットこそは、現代の若者にピッタリのサウンドマシーンである。そして、テープは録音再生ができるというのが本質的な特徴なのであるから、こうした録再デッキを買ってアイデア豊かな音楽の楽しみ方を研究するがよい。SJ編集部のF君などは、愛車のクーパーにカセット・ステレオを持込んで大いにハッスルしている。そのプログラムソースはすべて、このEL3312Aでレコードからコピーしたもの。金がかふらず、楽しみが増えて何よりである。
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