Category Archives: JBL - Page 12

JBL 4320

瀬川冬樹

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 同じJBLでもパラゴンと4320は別ものといえるくらい音質が違う。プロ用、家庭用という意味でなく、明らかに新しいジェネレーションの透徹したクールな鳴り方で、プロ用としての無駄のない構成、少しザラザラしたグレイの塗装と黒いネットのコントラスト、あらゆる面で現代のスピーカーである。アルテック612A、三菱の2S305、フィリップスのモニター等にも、機能に徹した美しさがみられるが、4320は抜群だ。

JBL D44000 Paragon

瀬川冬樹

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 3ウェイのオールホーンを、しかもステレオでこれほど見事に造形化したスピーカーはほかにない。低音ホーンを形成する前面の大きな湾曲はステレオの音像定位の面でも理にかなっているが、音質そのものは、必ずしも現代風の高忠実度ではなくことに低音にホーン独特の共鳴もわずかに出る。がそうした評価より、この形の似合うインテリアというものを想定することから逆にパラゴンの風格と洗練と魅力を説明することができる。

JBL LE85 + HL91

岩崎千明

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 JBLユニットで傑作中の傑作はホーン型ラジェターにあると思うが、そのオリジナル175の強力型が275でその現代版がLE85だ。ひとまわり大きく強力な中音専用375にくらべ、この組合せは2ウェイ用として存在する点に意義がある。175との対比をしばしば問われるが、圧倒的な差は高域になるほど強くなる最強エネルギーの違いであり、それがハイエンドの力と冴えとなり、その点こそLE85でなければならぬ理由だ。

JBL D130

岩崎千明

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 またD130か、といわれてしまいそうだが、ジャズを愛するならその真髄を、そのソロを、このスピーカーほどリアルなエネルギーで輝かしく再生するユニットは、おそらく価格の制限を外してもそうざらにはない。たしかに今日の水準からは高域のレンジはかなり狭く、レベルも低いがそれはアンプのトーンコントロールでハイを上げて補えば、2ウェイにするまでもなくジャズは他のユニットにない生々しい再生をやってのける。

JBL L25 Prima

岩崎千明

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 ブックシェルフ型というイメージを一掃し、カラフルなユニット風のシステムは実用性の高い未来志向を強く持ち合わせ大きな魅力。
 サウンドは定評のL26と同形で低域の自然さは一歩ゆずってもバランス良い聞きやすさは、プリマの大きなプラスだ。
 多くを語るより、「まあ使ってみて」といおう。良さは音だけでなく、オーディオとして以上のより多くを君に感じさせるに違いないから。

JBL Sovereign I

岩崎千明

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

「ヴェロナ」がカタログから消えてしまって、今やJBLのフロア型もクラシックなスタイルで豪華なたたずまいの製品はこの「サブリン」だけになってしまった。だから「ヴェロナ」に対する愛着と願望とが「サブリン」に妥協した、といってもよい。フロア型に対する望みがブックシェルフ型と根本的に違うのは、室内調度品としての価値をもその中に見出したい点にあるが、それがサブリンに凝縮したともいえる。

JBL L88P

瀬川冬樹

ステレオサウンド 29号(1973年12月発行)
特集・「最新ブックシェルフスピーカーのすべて(下)」より

 L88NOVAとくらべるとかなり大幅に音質が改善されている。ノヴァを最初に聴いたのは本誌16号で、そのときは、ブックシェルフに珍しくのびのびと豊かに鳴るその響きの良さに私は最高点を入れた記憶がある。ことに中音以下──というよりウーファーの受け持ち範囲──の音質の良さは抜群で、緻密で充実して音楽をしっかり支えている。その良さはL88Pでも全く変らず受けつがれている。そしてノヴァの弱点であったトゥイーターが、全然別のモデルに変って、L26(本誌28号)で指摘したような、高域のやや冷たい鋭い鳴り方も抑えられて、よくこなれた滑らかな音を聴かせる。クラシックの弦合奏もこれなら十分にこなせる。むしろジャズの場合に、L26の弱点と背中合わせのシャープな鳴り方が魅力だという人があるかもしれないほどだ。ともかく安定なおとなしい音、それでいて力もあり緻密さ、充実感も十分持っているが、ヨーロッパ系の音とくらべると本質的には乾いた傾向があるから、かなり表情の豊かでクォリティの高いカートリッジやアンプを組み合わせたときに88Pの良さが発揮される。私見だが、このままスコーカーを加えずに鳴らす方がトータル・バランスが良いと思う。

周波数レンジ:☆☆☆☆
質感:☆☆☆☆☆
ダイナミックレンジ:☆☆☆☆☆
解像力:☆☆☆☆
余韻:☆☆☆
プレゼンス:☆☆☆☆
魅力:☆☆☆☆

総合評価:☆☆☆☆

サンスイ SP-707J, SP-505J

岩崎千明

スイングジャーナル別冊「モダン・ジャズ読本 ’74」(1973年10月発行)
「SP707J/SP505J SYSTEM-UP教室」より

 ジェイムス・B・ランシングが1947年米国でハイファイ・スピーカーの専門メーカーとして独立し、いわゆるJBLジェイムス・B・ランシング・サウンド会社としてスタートした時、その主力製品としてデビューしたのが38センチ・フルレンジスピーカーの最高傑作といわれるD130です。
 さらに、D130を基に低音専用(ウーファー)としたのが130Aで、これと組合せるべく作った高音専用ユニットがLE175DLHです。
 つまり、D130こそJBLのスピーカーの基本となった、いうなればオリジナル中のオリジナル製品なのです。
 こうして20有余年経った今日でも、なおこのD130のけたはずれの優れた性能は多くのスピーカーの中でひときわ光に輝いて、ますます高い評価を得ています。今日のように電子技術が音楽演奏にまで参加することが定着してきて、その範囲が純音楽からジャズ、ポピュラーの広い領域にまたがるほどになりました。マイクや電子信号の組合せで創られる波形が音に変換されるとき、必ず、といってよいほどこのJBLのスピーカー、とくにD130が指定されます。つまり、他の楽器に互して演奏する時のスピーカーとしてこのD130を中心としたJBLスピーカーに優るものはないのです。
 それというのは、JBLのあらゆるスピーカーが、音楽を創り出す楽器のサウンドを、よく知り抜いて作られているからにほかなりません。JBLのクラフトマンシップは、長い年月の音響技術の積み重ねから生み出され、「音」を追究するために決して妥協を許さないのです。それは、非能率といわれるかもしれませんし、ぜいたく過ぎるのも確かです。しかし、本当に優れた「音」で音楽を再現するために、さらに優れた品質を得るためには、良いと確信したことを頑固に守り続ける現れでしよう。
 5.4kgのマグネット回路、アルミリボンによる10.2cm径のボイスコイルなど、その端的なあらわれがD130だといえます。
 あらゆるスピーカーユニットがそうですが、このD130もその優秀な真価を発揮するには十分に検討された箱、エンクロージャーが必要です。とくに重低音を、それも歯切れよく鳴らそうというとホーン・ロードのものが最高です。(72年まではJBLに、こうした38cmスピーカーのためのバックロード・ホーン型の箱が、非常に高価でしたが用意されていました。)
 そこで、JBL日本総代理店である山水がJBLに代ってバックロード・ホーンの箱を作り、D130を組込んでSP707Jが出来上ったのです。
 つまり、SP707JはD130の優れた力強い低音を、より以上の迫力で歯切れよく再生するための理想のシステムと断言できるのです。
 あらゆる音楽の、豊かな低域の厚さに加えて、中域音のこの上なく充実した再生ぶりが魅力です。
 刺激のない高音域はおとなしく、打楽器などの生々しい迫力を求めるときはアンプで高音を補うのがコツです。
 SP505JはJBLのスピーカー・ユニットとして、日本では有名なLE8T 20センチフルレンジ型の兄貴分であり先輩として存在するD123 30センチフルレンジを用いたシステムです。
 D123は30センチ型ですが、38センチ級に劣らぬ豊かな低音と、20センチ級にも優る高音の輝きがなによりも魅力です。つまり、D130よりもひとまわり小さいが、それにも負けないゆったりした低音、さらにD130以上に伸びた高域の優れたバランスで、単一スピーカーとして完成度の一段と高い製品なのです。
 D123のこうした優れた広帯域再生ぶりを十分生かして、家庭用高級スピーカー・システムとしてバスレフレックス型の箱に収め、完成したのがSP505Jです。
 ブックシェルフ型よりも大きいが、比較的小さなフロア型のこの箱はD123の最も優れた低音を十分に鳴らすように厳密に設計されて作られており、この大きさを信じられないぐらいにスケールの大きな低域を再生します。
 このSP505Jも、SP707Jも箱は北欧製樺桜材合板による手作りで、手を抜かない精密工作など、あらゆる意味で完全なエンクロージャーといえます。
 JBLスピーカー・ユニットの中で、フルレンジ用として最も優秀な性能と限りない音楽性とを併せ備えた名作がこのLE8T 20センチ・フルレンジ型です。
 この名作スピーカーを、理想的なブックシェルフ型の箱に収めたものがSP-LE8Tです。かって、米国においてJBLのオリジナルとして、ランサー33(現在廃止)という製品がありましたが、そのサランネットを組格子に変えた豪華型こそSP-LE8Tです。
 シングルスピーカーのためステレオの定位は他に類のないほど明確です。高級家庭用として、また小型モニター用として、これ以上手軽で優れたシステムはありません。

個性あるSP707J・505Jへのグレードアップ
より完璧なHi-Fiの世界を創るチャート例

075の追加
 D130と075の組合せはJBLの030システムとして指定されており、オリジナル2ウェイが出来上ります。ただオリジナルではN2400ネットワークにより、2500Hzをクロスオーバーとしますが、実際に試聴してみると、N7000による7000Hzクロスの方がバランスもよく、楽器の生々しいサウンドが得られます。シンバルの響きは、鮮明さを増すとともに、高域の指向性が抜群で、定位と音像の大きさも明確になります。さらに、高域の改善はそのまま中域から低域までも音の深みを加える好結果を生みます。

LE175DLHの追加
 D130と並びJBLの最高傑作であるこのLE175DLHの優秀性を組合せた2ウェイは、D130の中音から低音までをすっかり生き返らせて、現代的なパーカッシブ・サウンドをみなぎらせます。鮮烈、華麗にして、しかも品位の高い迫力をもって、あらゆる楽器のサウンドを再現します。
 オーケストラの楽器もガラスをちりばめたように、楽器のひとつひとつをくっきりと浮び出させるのです。空気のかすかなふるえから床の鳴りひびきまで、音楽の現場をそのまま再現する理想のシステムといえます。

LE85+HL91
 LE175DLHにくらべ、さらに音の緻密さが増し、音の粒のひとつひとつがよりくっきりと明確さを加えて浮んでくるようです。LE175DLHにくらべて価格の上で20%も上るのですがそれでも差は、音の上でも歴然です。
 もし、ゆとりさえあれば、ぜひこのLE85を狙うことを推めたいのです。LE175DLHでももはや理想に達するので、LE85となるとぜいたくの部類です。しかし、それでもなおこの高級な組合せのよさはオーディオの限りない可能性を知らされ、さらにそれを拡げたくなります。魅力の塊りです。

HL91
 D130単体のSP707Jはこのままではなく、最終的にぜひ以上のような高音ユニット3種のうちのどれかひとつを加えた2ウェイとして使うことを推めたいのです。2ウェイにグレードアップしてSP707Jの魅力の真価がわかる、といってよいでしよう。
 D130だけにくらべ、そのサウンドは一段と向上いたします。いや、一段とではなく、格段と、です。
 2ウェイになることによってSP707Jはまぎれもなく「世界最高のシステム」として完成するのです。

LE20を加える場合
 D123のみにくらべ俄然繊細感が加わり、クリアーな再生ぶりは2ウェイへの向上をはっきりと知らせてくれます。ソフトな品の良い迫力は、クラシックのチェンバロのタッチから弦のハーモニーまで、ニュアンス豊かに再現
します
 しかも、JBLサウンドの結集で、使う者の好みの音を自由に出して、ジャズの力強いソロも際立つ新鮮さで、みごとに再生します。全体によくバランスがとれ、改善された超高域の指向性特は音像の自然感をより生々しく伝えるのに大きくプラスしているのを知らされます。

075を加える場合
 LE20にくらべてはるかに高能率の075はネットワークのレベル調整を十分にしぼっておきませんと、高音だけ遊離して響き過ぎてしまいます。D123の深々とした低音にバランスするには高音は控え目に鳴らすべきです。
 ピアノとかシンバルなどの楽器のサウンドを真近かに聴くような再生は得意でも、弦のニュアンスに富んだ気品の高い響きは少々鳴りすぎるようです。

LE175DLHを加える
 LE175DLHも075も同じホーン型だが、指向性のより優れたLE175DLHの方がはるかに好ましい結果が得られ中音域の全てがくっきりと引き締って冴えた迫力を加えます。楽器のハーモニーの豊かさも一段と加わり、中音の厚さを増し、しかもさわやかに響きます。
 075のときよりもシンバルのプレゼンスはぐんと良くなって、余韻の響きまで、生々しさをプラスします。
 クロスオーバーが1500Hzだから、中音まで変るのは当り前だが、中音の立ち上りの良さとともにぐんと密度が充実して見違えるほどです。

D123をLE14Aに
 高音用を加えて2ウェイにしたあとさらに高級化を狙って、D123フルレンジを低音専用に換えるというのが、このシステムです。LE14Aはひとまわり大きく、低音の豊かな迫力は一段と増し、小型ながら数倍のパワーフルなシステムをて完成します。

プロ用の厳しい性能を居間に響かせる
新しい音響芸術の再生をめざすマニアへ

プロフェッショナル・シリーズについて
 いよいよJBLのプロ用シリーズが一般に山水から発売されます。プロ用は本来の業務用としてギャランティされる性能が厳しく定められており、コンシューマー用製品と相当製品を選んで使えば、超高級品として、とくに優れたシステムになります。
 例えばD130と2135、130Aと2220A、075と2405、LE175DLHと2410ユニット+2305ホーンで、それぞれ互換性があります。
 しかし、一般用としてではなくプロ用シリーズのみにあるユニットもありそれを用いることは、まさにプロ用製品の特長と優秀性を最大に発揮することになります。

高音用ラジアル・ホーン2345と2350
 ラジアル・ホーンは音響レンズや拡散器を使うことなしに、指向性の優れた高音輻射が得られるように設計され、ずばぬけた高能率を狙ったJBL最新の高音用です。
 ホーンとプレッシュア・ユニットとを組合せて高音用ユニットとして用います。プレッシュア・ユニットにはLE175相当の2410、LE85相当の2420があり、さらに加えて一般用として有名な中音ユニット375に相当するプロ用として2440が存在します。
 2410または2420をユニットとしラジアル・ホーン2345を組合せた高音用は、従来のいかなるものよりも強力な迫力が得られ、とくに大きい音響エネルギーを狙う場合、例えばジャズやロックなどを力いっぱい再現しようという時に、その優れた能力は驚異的ですらあります。
 ラジアル・ホーン2350は、2390と同様に500Hz以上の音域に使用すべきホーンで、音響レンズつきの2390に匹敵する優れた指向特性と、より以上の高能率を誇ります。
 本来、中音用ですが、2327、2328アダプターを付加すれば、高音用ホーンとして使えます。
 この場合は、LE85相当の2420と組合せてカットオフ500Hz以上に使えるのです。拡がりの良い、優れた中音域を充実したパワーフルな響きで再現でき、従来のJBLサウンドにも優る再生を2ウェイで実現できるのです。
 2350または2390+2327(2328)アダプター+2420ユニットというこの組合せの高音用はJBLプロ用システムの中に、小ホール用として実際に存在しています。
 この場合の低音用はSP707Jと全く同じ構造のバックロード・ホーンに130Aウーファー相当の2220Aが使用されネットワークはN500相当の3152です。

2205ウーファーに換える場合
 プロ用シリーズ特有のパワーフルな低音用ユニットが、この2205で、一般用にLE15Aの低音から中音域を改良したこのウーファーは150W入力と強力型です。
 プロ用ユニットを中高音用として用いた場合の低音専用ユニットとして2205は注目すべきです。SP707JのユニットD130を2205に換えたいという欲望はオーディオマニアなら誰しも持つのも無理ありません。
 2205によって低音はより深々とした豊かさを増し、中域の素直さは格別です。とくに気品のある再生は、現代JBLサウンドの結晶たる面目を十分に果しましよう

2220と2215ウーファー
 SP707JのD130はフルレンジですが、プロ用シリーズの38センチウーファーとして2220があり、130A相当です。100Wの入力に耐える強力型で、130Aに換えるのなら、ぜひこの2220を見逃すわけにはいきません。またLE15Aのプロ用として2215があります。
 以上2205と2220ウーファーは、末尾のAは8Ω、Bは16Ω、Cは32Ωのインピーやンスを表します。2215Aは8Ω、Bは16Ωです。
 プロ用の高音ユニットは全て16Ωなのでもし正確を期すのでしたら、ウーファーも16Ωを指定し、プロ用の16Ω用ネットワークを使うべきです。

JBL Lancer 55

JBLのスピーカーシステムLancer 55の広告(輸入元:山水電気)
(スイングジャーナル 1972年11月号掲載)

JBL L88 Nova

菅野沖彦

スイングジャーナル 10月号(1972年9月発行)
「SJ選定 ベスト・バイ・ステレオ」より

 先月号の選定新製品で書いたJBLのL45に続いて今月のべスト・バイは同じJBLのノヴァ88である。JBLと僕との結びつきは、自分でもJBLを常用しているのだからしかたがないが、こう続くとやや食傷気味で、JBLしかこの世にスピーカーはないように思われそうだ。しかし、あえて、この原稿依頼を拒絶しなかったところに
僕のJBLへの傾倒の強力さがあるわけだ。
 ノヴァ88はJBLのブックシェルフ型システムとしてはランサー44、ランサー77の延長線上に位置するもので、
0cmウーハーとダイレクト・ラジェーターの2ウェイ・システムというきわめてオーソドックスなコーン・スピーカー・システムである。ウーハーは例の白い塗料をぬったコーンだが、従来のものとはちがって、コルゲーションの多い新開発のコーン、エッジ、ダンパーという振動系をもっていて、決して最近流行のハイ・コンプライアンス、ロング・ストロークのフラフラ型のものではない。どちらかというと、一時代前のスピーカーを思わせる張りのあるサスペンションをもち、クロスオーバーを2kHzにとって5cn径のコーン・トゥイーターと組み合せている。これと同じユニットを使いデザインだけがちがうコルティナ88−1というモデルもあるが、デザインとしてはノヴァ88のほうがユニークで美しい。サランと木目を2分割し、ウーハーと同径の丸い穴を積極的に生かしたモダニズム溢れるフェイスはいかにもJBLらしい感覚の冴えといいたい。デンシティの高いがっしりとしたエンクロージュアは表見からは想像もできないほど頑丈で重さは21kg。許容入力50ワットの強烈な低音にもおかしな箱鳴きによる不明瞭なノートはでてこない。音質は腰のしっかりした安定感のあるもので豊かな低音感には血の通った生命感すら感じる。低音感といったのには意味があって、最近のスピーカーの中にはたしかに低い周波数までのびていても、実際に楽器のもつ弾力性にとんだ低音が出ないものが多い。このスピーカーの低音は、コントラバスのブーミーな低弦と胴の共鳴が生き生きと響くし、それでいて音程が明瞭に聞きわけられるのである。ピアノの巻線の響きも魅力的である。音のツプ立ちは極めて明解で、二つのスピーカーの間にかもし出される音の面は豊かな拡りと奥行をもって大きく迫ってくるのである。高音域はやや歪感のあるのが欠点ではあるが、へんなドーム型やホーン型のトゥイーターと組合わされたシステムのもつ木に竹をついだような違和感がまったくないほうをむしろ長所として評価したい。見たところはやや頼りのないコーン・トゥイーターのLE20系にJBLが固執しているのは何んらかの考えがあってのことだと思う。トゥイーター単体でこれ以上のものを作ることはさほど難しいことではないと思われるがシステムの全体のバランスを考えた時に、このトゥイーターの長所は捨て難いものをもっているといえるだろう。
 私がよくいうことだが、スピーカーというものは、そもそも大ざっばな考え方から電気機械変換器として作られたところ意外に複雑な波形を再現し、いい音を出してくれたものらしい。誰が紙をゆすってあんな音を出すことを事前に想像しただろうか。その後のスピーカーの改善はでき上ったものの動作理論の解析によったのだが、それによってスピーカーは大きく進歩したことも事実だが、ある部分の改善により偶然得られていたよさがなくなった部分もないといえない製品も多い。そうした中にあって、新しいスピーカー理論と設計が、いい音で鳴るというロマンティックな心情と結びついて作られているのが現状における優れたスピーカー・システムであって、JBLの製品はその代表格といってよいだろう。

JBL L100 Century, L200

JBLのスピーカーシステムL100 Century、L200の広告(輸入元:山水電気)
(スイングジャーナル 1972年7月号掲載)

JBL

JBL Lancer 55

JBLのスピーカーシステムLancer 55の広告(輸入元:山水電気)
(スイングジャーナル 1972年6月号掲載)

JBL

JBL L71 Verona, L45 Flair, L55 Lancer, L200

JBLのスピーカーシステムL71 Verona、L45 Flair、L55 Lancer、L200の広告(輸入元:山水電気)
(スイングジャーナル 1972年5月号掲載)

JBL

JBL L100 Century

岩崎千明

スイングジャーナル 1月号(1971年12月発行)
「SJ推選ベスト・バイ・ステレオ」より

 ここで今さら、JBLセンチュリーのよさをうんぬんするまでもなく、すでにオーディオ誌やレコード雑誌において、多くの評論家諸氏の圧倒的な賛辞を一身にあつめたこのスピーカー・システムは、JBLの傑作である。
 JBLのシステムを大別するとランサー・シリーズと呼ばれる系統の製品と、従来からのユニットを主力とした組合せシステムの2系統がある。
 ランサー・シリーズは、いわゆるLEシリーズのユニットを中心として組み合わせたものをもってスタートしたが、ジム・ランシングという創始者の名をもじったランサーというこの名称からも分る通り、JBLの家庭用システムの主力を形成している。これに対して従来からの高能率型ユニットを組み合わせたシステムは業務用および高級マニア向けともいえよう。ランサー・シリーズによってJBLはメーカーの姿勢とその狙う需要層とを大きくかえたともいえる。
 つまり業務用にも準じる超高級システムを少量生産するメーカーから、大きく基模を拡大して、家庭用音楽システムのメーカーと変革をとげたのであった。その尖兵として、いみじくも槍騎兵ランサーと名付けたシステムが登場したわけである。
 このランサー・シリーズには、すでに傑作中の傑作といわれたランサー77を始め、ローコスト型44、さらに現在の米国の市場で驚異的な売行きをみせているランサー99があり、その最高ランクが例の101である。ランサー・シリーズの成功が、JBLをしてこの延長上の製品をつぎつぎと発売させるきっかけとなったのはいうまでもない。
 このセンチュリーも、新時代のスピーカー・システムとして、指向性の一段の改善ということを加えた新型のランサー系のシステムである。センチュリーを含めランサー系のシステムのもっとも大きな特長は、このシリーズ独特ともいい得る、まるでそよ風を思わせる超低音の豊かな息づかいである。この超低音は、ブックシェルフ型といわれる寸法的な極端な制限を受ける現代の家庭用システムとしては、まったく信じられぬくらいの低域に達する低音限界レンジのためである。このfレンジは、さすがのARのオリジナル・システムさえもしのぐほどで、これがJBLランサー・シリーズの華麗なサウンドの大きな根底ともなっているわけだ。
 もっともこの超低音とよくバランスする高音のすばらしい伸び、ずばぬけた指向特性は、豊かな低音エネルギーをよりひきたたせているし、さらにJBLの従来からの音楽に対する良識の現われともいうべき中音部の豊かさも失われることなく、ランサーの大きな魅力となっているのはいうまでもない。このように豊かな音響エネルギーに加えて広いfレンジとがJBLの現代的志向であるのは当然で、その成果のひとつの頂点として、ここにあげるセンチュリーの存在の意義とそれに対する賛辞の集中とがあるのである。
 指向性の改善に登場したフォーム・ラバー・ネットは、このセンチュリーの外観的な最大の特長で、カラーがチョコレート、オレンジ、ライト・ブルーとあり、サウンドともどもその風格に現代性をガッチリと植えつけて、モダンなスタイルを作る。
 最近、私はこのセンチュリーを愛用のエレクトロボイス社エアリーズと並べ、比較使用したがJBLセンチュリーの一段と解像力を上まわるのを知らされ豊かさにおいてひけをとらぬエアリーズより、現代的サウンドをJBLセンチュリーから感じとった。
 このJBLシステムをより以上生かすのには、手元にあった8万円台の国産アンプが好適であった。それはラックス507Xでありトリオ7002で、これに準じた高出力のトランジスター・アンプが欲しい。ただ、案に相違して手元の管球アンプよりこれらの石のアンプが優れていたのが興味ぶかかった。

JBL D44000 Paragon

JBLのスピーカーシステムD44000 Paragonの広告(輸入元:山水電気)
(スイングジャーナル 1971年12月号掲載)

JBL

JBL SG520, SE400S, SE460

岩崎千明

スイングジャーナル 11月号(1971年10月発行)
「supreme equipment 世界の名器を探る」より

 71年の看板商品だったアクエリアス・シリーズが評判の割に1型、4型を除き、宇宙的デザインの主要高級品2、3が本国で思わしくないとかの噂。世界のJBLも近頃はその威光にかげりが見えたとか、ささやかれている。
 これを吹き飛ばすかのようにプロフェショナル・シリーズが日本にもお目見えして、またまた話題を呼びそうだ。米本国のプロの分野で大手を振って幅をきかせているアルテックと並び、JBLが最近勢いを急進しているという。
 今やJBLはスピーカーだけでなくアンプを中心として音響設備に大々的に乗り出しているのである。
 JBLがアンプを作り出したのは、自社のスピーカーももっとも理想的に鳴らすという、はっきりした目的を持っている。当り前だがメーカーとしてこれほどはっきりした姿勢を、製品に持たせたことはそれまでにはなかった。JBLが「バラゴン」というステレオの3ウェイのホーン・ロード・システムを発売したときと同時に「エナージァイザ」という変った呼び方で発表したパワー・アンプが、パラゴンのドライブ用だ。スピーカー・システムの後側には、専用の格納スペースさえ設けられている。
 このアンプにつけられる名称通り、スピーカーの音響エネルギーの供給用という目的が、はっきりと出ているし、それがJBLの姿勢そのものなのである。この「エナージァイザ」にはパラゴン用とするときの低音上昇のための専用イコライザー・ボードが内蔵されていた。
 このエナージァイザはSE400として独立したステレオ用パワー・アンプの形で発売されたが、それと同時に発売されたのがSG520プリ・アンプでグラフィック・コントロ−ラーという名称をつけられた。スライド型のコントロールと、プッシュ・ボタンの切換という当時まったく新鮮なデザインに対して名づけられた。ステレオ・ブームの始まろうとする61年のことである。その翌年には早くもSG520は米国内西海岸のグッド・デザイン製品に選ばれ、品質、デザインとも、ずばぬけた高性能を認められたのは当然であった。
 この当時は真空管アンプで圧到的に他を圧していたハーマン・カードン社のサイテイション・シリーズがトランジスタ・ライズされた製品を発表し、今はなきアコーステック・ラボラトリのアコースティック・アンプが好評のもとにスタートした。しかし、現在、そのいずれもが数年前に姿を消し、ハーマン・カードン社もこのトランジスタ・アンプの失敗が原因で大きく後退を余儀なくされマイナーに引下ってしまった。トランジスタ・ライズに早くからふみ切って成功したのはJBLアンプだけなのである。これは実に偉大な技術的成果であり、メーカーの姿勢の正しさをも示すといえるであろう。
 かつて初期のSE400を実測してみたことがあった。ステレオ用として同時にフルパワーな出したとき、それはあらゆる周波数で60/60ワットを示した。規格の上ではなんと40/40ワットのアンプがである。現在はSE460としてさらに大きくパワーアップされている。
 この直後、私はSG520と、SE400を組み合せて手元におき、毎日のように愛用し、リスニング・ルームのメインとして活躍しているのはいうまでもない。
 永年使用してみてはっきり知らされたことは、61年に発表したSG520は10年を経た今日といえとも、これに匹敵する美しく華麗なステレオ・サウンドを持ったトランジスタ型のアンプを知らない。10年たった今においてまさに世界の名器といわれも大きな理由であろう。メーカーのすぢ金をこれほどはっきりと感じさせるアンプはめったにないであろうし、それは10年に渡って何ら変ってはいないのである。

サンスイ SP-LE8T, JBL L44, L77, L88 Nova, L100 Century, Lancer 101, Aquarius4, S99 Athena, Olympus S8R

サンスイのスピーカーシステムSP-LE8T、JBLのスピーカーシステムL44、L77、L88 Nova、L100 Century、Lancer 101、Aquarius4、S99 Athena、Olympus S8Rの広告(輸入元:山水電気)
(スイングジャーナル 1971年11月号掲載)

JBL

JBL L100 Century, S99 Athena

JBLのスピーカーシステムL100 Century、S99 Athenaの広告(輸入元:山水電気)
(スイングジャーナル 1971年6月号掲載)

JBL

JBL L100 Century

菅野沖彦

スイングジャーナル 4月号(1971年3月発行)
「SJ選定新製品試聴記」より

 JBLの3文字は音の名門のステイタス・シンボルである。その3文字が彷ふつとさせる高い品位と信頼感は長年の技術的先進性に裏づけられた商品としての高度な完成度によって培われたものだ。日本では、音響製品に対する見方が二通りあって、一つは純粋に科学製品として無機的に眺め、物理特性をもって尺度の全てとする冷徹なもの。他は、いうまでもなく、これに対する眺め方で、音響機器に個性的感覚を見出して、科学製品として物理的特性の重要性を充分認めながら、人のつくったものとして人文的なバックグラウンドまでも含めてこれを眺める生きた暖かい立場である。私の見方はもちろん後者であって、JBLやアルテックの製品の魅力を表現するのに、アメリカのウエスト・コーストの特質をジャズやその風土に結びつけて反対派の槍玉にあげられたことがある。音響製品を大げさにいえば疑人化したような事をいってもったいぶるのは本質をはずれた見方であるということらしい。しかし、なんといわれようとも、私は人間の関与したものから人間を無視することは出来ないし、すべては人間が人間自身のためへの努力の賜物と思うから、人間中心に考えずして、ものの本質にふれることは出来ないと信じている。そして人間は自然に、自然は神に(仮にこうしておく)はぐくまれたものであることは無宗教の私の現状でも認めぎるを得ない現実である。人間自身はずい分、高度な科学や文明を築きあげてきたけれど、それは、人の叡知のなせる業であり、叡知とは深遠な道理を知ることのできるすぐれた知恵である。今かりに、音響機器を論ずるのに、物理特性だけをもってするという人がいるとすれば、その人は、人間のもつ叡知が、ようやく現段階で具象化することのできた尺度だけで、叡知そのもののすべてを計ろうとするようなもので、思い上りやトンチンカンも甚しい。私たちの勘や感覚というような私たち自身がもっている自然に与えられた鋭く、無気味なほどに力強い能力をもってつくられたものが銘器であって、それを、そこらの生半可な物理や電気の優等生に決めつけられてたまるものか! というのが私の本心だ。洋の東西、今昔を問わず、優れた機器というものはそうしたずっしりとした重味と犯し難い品位をもっているものであって、その立派さや恐ろしさを、その魅力の本質のわからない人ほど不幸な人はないようにさえ思えるのである。
 JBLは、創設者のJ・B・ランシングの天才的な能力の生みだしたスピーカーを発展の軸として、パラゴンやハーツフィールドの卓抜なアイディアと周倒な作品構築力と感覚を加え、数々の銘器を生みだした輝やかしい歴史をもつメーカーである。近年アメリカのこういう専業メーカーも独立自営が難しく、より大きい資本の傘下に入るのが珍しくないがJBLも、ジャーヴィス・カンパニーのディヴィジョンということになっている。しかし、専業メーカーとしての緻密な製品づくりの特質はよく生かきれるのがアメリカ社会のいいところで、アルテックと同様、そのメーカーとしての個性はそのまま現在まで受けつがれているといってよい。というものの、最近のアメリカ社会全般の変化や動きには巻き込まれぎるを得ず、JBL往年の風格を壊しむ気持がないといってはうそになる。JBLが近年発表したアクエリアス・シリーズは、たしかに時代の要求を反影し、しかも憎らしいほど巧みな商品づくりの腕前えは認めるが、さらば、それが飛びつき、抱きつきたくなるほどの魅力に溢れているとはいえない。間接放射、異位相成分によるプレゼンスの創造、指向性の改善など数々の積極的手段が使われているが、どれ一つとっても、それは決して全く新しい音響技術ではなく従来にもあった類である。JBLとしては本質的なクオリティの進歩と見ることが、私には出来ない。しかし、先にも述べたように、その商品化の腕の冴えは流石にJBLであって、そのスマートさは他製品のおよぶところではない。ここに取り上げたL100〝センチュリー〟は前面にユニークな材料(スカルプチャード・カドレックス)のグリルを使って指向性の改善を計っていて、その独特の魅力的な立体感が冴える。システム自体は30cmウーハー、10cmスコーカーにツィーターというオール・ダイレクト・ラジエーションのシステムで、抜群のリアリティと高品位の音質をもっている。実にオーソドックスな製品で、JBL健在なりという感が深い銘器とみた。アメリカでも圧倒的好評ときくが、私も好きだ。かなり高価だが、値打ちがある。いぶし銀のような重厚さと底力のある力感、前面に放出される豊かな表現力、JBLならではの緻密さ、鋭角な音像再現であった。

JBL Aquarius 1, Aquarius 4

JBLのスピーカーシステムAquarius 1、Aquarius 4の広告(輸入元:山水電気)
(スイングジャーナル 1971年3月号掲載)

JBL

JBL Lancer 101, Olympus S7R, サンスイ SP-3005

JBLのスピーカーシステムLancer 101、Olympus S7R、サンスイのスピーカーシステムSP3005の広告
(スイングジャーナル 1971年2月号掲載)

Sansui1

JBL Aquarius 2A, Aquarius 3

JBLのスピーカーシステムAquarius 2A、Aquarius 3の広告(輸入元:山水電気)
(スイングジャーナル 1971年1月号掲載)

JBL

JBL Olympus S8R

岩崎千明

スイングジャーナル 1月号(1970年12月発行)
「supreme equipment 世界の名器を探る」より

 ギリシャの神殿「オリンポス」をその名にとったスピーカー・システム、それが米国JBLサウンドの家庭用最高級システム「オリンパス」だ。
 その名の由来を彷彿させる厳しゅくなたたずまいと、優雅な響きは、まさに世界スピーカー・システムの中に厳然たるJBLサウンドを代表するにふさわしいシステムであろう。
 JBL社の代表的システムとして、あるいはオールホーンのレンジャ・パラゴンをたたえる識者や、さらに古くモノーラル時代の絶品ハーツフィールドを推すマニアもいるに違いない。
 そのいずれもが低音ホーンロードのエンクロージュアで、折返しホーンの前者、クリプッシュ・ホーンの後者のいずれもが価格的にオリンパスの倍にも近い豪華システムである。
 しかし、今日のステレオ時代、さらに4チャンネル・ステレオ時代を迎えんとする40年代における代表格としてあえてこの「オリンパス」こそ、それにふさわしいものと断じるのはいささかもためらいを要しないと思う。
 大型エンクロージュアでしか得ることのできなかった重低音は、その数分の1の容積のシステムでも楽々と再生され、ここにこそ常にトップを行くJBLサウンドの技術をまざまざと見ることができるからである。
「オリンパス」のデビューしたときにはそれはバスフレックス・エンクロージュアであった。しかし、現在の低音はJBLのオリジナル製品ともいいうるパッシブ・ラジエーターによって再生される。
 この方式がRCAのオルソン博士によって発表されたのは遠く戦前1936年のことだが、その直後に出たRCAの電蓄を除いては、今まで製品として市場に出たことはなかった。この方式の唯一の成功例がオリンパスであり、さらにそれに続いたランサー・シリーズのいくつかで、すべてのJBLのシステムなのは興味深い事実だ。
 このオリンパスの成功こそJBL社が、以後まっしぐらに家庭用システムでの多大の成果を得るきっかけとなったことからも、また今日のJBLの偉大な存在の布石となった点からも、JBLの代表ともいい得よう。
 オリンパスには2通りある。LE15A+パッシブ・ラジエーターの低音に、LE85+HL91を加えたS7と呼ぶ2ウェイ。
 LE15A+パッシブ・ラジエーターの低音に575ドライヴァー+HL93の中音、075の高音という3ウェイのS8R。
 むろん代表格は3ウェイのS8Rシステムだろう。

JBL L88 Nova

瀬川冬樹

ステレオサウンド 16号(1970年9月発行)
特集・「スピーカーシステム最新53機種の試聴テスト」より

 このたっぷりと豊かで、のびのびとよく響く音全体の感じは、どう聴いてもブックシェルフのそれではなく、上質の大型スピーカー・システムの音質だ。これを一旦聴いてしまうと、あとの52機種はどれも大同小異。みんな、あの小さい箱から音をしぼり出しているようなうそ寒い気分にされてしまう。ともかく中音以下の質の良さは抜群で、本ものの重低音を確かに聴かせる。しかし残念ながらトゥイーターの質が落ちる。高域のレンジがやや不足だし、スクラッチ・ノイズなどに独特の音色がつきまとう。もっとも、中音以下の音が良すぎるからかえってそんなところが気になるので、総体的には実にうまくまとめた製品と言っていい。JBLの製品にしては高域がやわらかく、音の作り方が以前のものより変化しているらしく音に適度の奥行きとパースペクティヴが生じ、しかも充実している。

採点表
大編成:★★★★★
小編成:★★★★★
独奏:★★★★★
声楽:★★★★★
音の品位:★★★★★
音のバランス:★★★★★
音域の広さ:★★★★★
能率:★★★
デザイン:★★★★★
コストパフォーマンス:★★★★
(特選)

JBL Lancer 101

菅野沖彦

スイングジャーナル 5月号(1970年4月発行)
「SJ選定 ベスト・バイ・ステレオ」より

 JBLの三字を書けば、このスピーカーの名門についての説明は必要あるまい。ジェームス・ビー・ランシング・サウンド・インコーポレイションはアメリカ、カリフォルニア州、ロスアンジェルスにあるオーディオ・メーカーである。J・B・ランシング氏がその創設者だが、彼はもともとアルテック・ランシングのエンジニアであった。そしてアルテック・ランシングも同じカリフォルニア州、ロスアンジェルスの郊外にある。従って、アルテックのスピーカーとJBLのそれとは、もともと同じ技術の流れをくむものである上に、同じ風土で誕生したものだ。
 JBLのスピーカーはずいぶん多くの種類があるが、このランサー101というシステムは高級システムとしてもっともコンパクトなもので、その端正な容姿がそのまま音の印象につながるといってもよく、音と形が見事に調和した傑作だ。14インチ口径のLE14Aと音響レンズ付ホーン・ドライバーのLE175DLHをLX10ネットワークで、1、500Hzでクロスオーバーさせた2ウェイ・システムで、マーブル・トップ(大理石)の、きわめてリファインされたエンクロージュア一に収められている。
 LE14Aは小型エンクロージュアーで十分低域まで再生されるように設計されたQの小さなハイ・コンプライアンス・ウーハーであり、LE175DLHは、すばらしい特性をもつLE175ドライバーと音響レンズをもったホーン1217−1290とを組み合せたJBLのユニット中の代表的傑作であり、この2つの高級ユニットの組合せを見てもマニアならばぞくぞくするだろう。からっと晴れた青空のように明るく透明な、しかも力感溢れる締った音はJBLサウンドの面目躍如たるものがある。これは、私がよく感じることだし、いろいろな機会にしゃべったり書いたりすることであるが、JBLやアルテックの音を聴くと、その技術の優秀性はもちろんのこと、アメリカのウェスト・コーストに育った音という地理的な、あるいは人文的な環境を思わずにはいられない。イースト・コーストのボザークやARのスピーカーには重々しい音があって、それなりに大きな魅力を感じるものであるが、明らかにウェストの音とちがう。コンテンポラリー・レコードなどウェストの録音と、ヴァン・ゲルダー・サウンドのようなイーストの録音の質のちがいになぞらえては、あまりにもうがち過ぎであろうか……?
 ランサー101は、価格からして、決して一般に広くすすめられる製品ではないかもしれないが、もし経済的に多少の無理をしても、このシステムを所有されれば、世界の名器をもつ誇りと、見るからに魅力的なその雰囲気に支えちれて、レコードを聴く楽しみがより充実し、豊かになることは間違いない。そうした名器の中では、このシステムの価格は決して高いほうではないのである。参考までにつけ加えておくと、このLE14AとLE175DLHの2ウェイ・システム(JBLではこれをS1システムという)専用のC51アポロというエンクロージュアーがあって、これは、ランサー101よりぐんと大きく、音のスケールは一段と増す。もっともエンクロージュアーだけで、ブックシェルフ・システムのランサー77よりはるかに高いので一般的ではないが、特に関心のある方のためにつけ加えておく。ランサー101はバランスのとれた第一級の音だが、部屋によってはやや低音感が不足するかもしれないので、アンプでブース卜してやるとよいだろう。パワフルなドライヴには抜群のパーフォーマンスを示し、
しかもロー・レベルでの静的な再生にも気品のある繊細な味わいを再現するという数少ないシステムの一つであるこのランサー101、機会があれば是非一聴することをすすめたいし、お金があれば思い切って買っても絶対に後悔はしない価値がある。