Category Archives: スピーカー関係 - Page 13

ソニー SS-G333ES

菅野沖彦

ステレオサウンド 89号(1988年12月発行)
特集・「ジャンル別価格帯別 ザ・ベストバイ・コンポーネント436選」より

高分子繊維によるウーファーとスコーカーながら、あまり無機的な音を感じない。トゥイーターはファインセラミックでやや硬質だが、3ウェイのバランスはよくとれている。しかし、柔軟でしなやかとはいかない。
★★

JBL Control 5

菅野沖彦

ステレオサウンド 89号(1988年12月発行)
特集・「ジャンル別価格帯別 ザ・ベストバイ・コンポーネント436選」より

ヤング志向のモダンなシステムで、コントロールシリーズ共通の明るく鮮やかな音が特徴。JBLらしい質感は備えているのが立派であるが、やや軽い印象は免れない。現代感覚がよくもあしくも横溢した製品。
★★

ダイヤトーン DS-500

井上卓也

ステレオサウンド 89号(1988年12月発行)
特集・「ジャンル別価格帯別 ザ・ベストバイ・コンポーネント436選」より

点音源に近い小型2ウェイならではの優れた音場感の拡がり、音像定位のシャープさを活かすための新素材が、低域と高域ともに採用された液晶ポリマーだ。同じ音色、同じ物理的特性を基盤に完成度の高さは一聴に値する。
★★★

BOSE Model 6.2

菅野沖彦

ステレオサウンド 89号(1988年12月発行)
特集・「ジャンル別価格帯別 ザ・ベストバイ・コンポーネント436選」より

見た目には少々ものたりなく、国産ならこの半値といった感じだが、音のほうは別次元といってよい美しさと表現力をもっている。楽音の特質がよく再現され、動的な音楽表現が活き活きと鳴る。万人に推められるものだ。
★★★

BOSE Model 6.2

井上卓也

ステレオサウンド 89号(1988年12月発行)
特集・「ジャンル別価格帯別 ザ・ベストバイ・コンポーネント436選」より

従来の簡潔で機能優先のデザインから装いを変えた、モダーンな雰囲気の新しいボーズの顔は、なかなか魅力的である。独自の理論に基づく広いサービスエリアとのびやかさで、明るく現代的なシャープさのある音だ。
★★

パイオニア S-55 TwinSD

菅野沖彦

ステレオサウンド 89号(1988年12月発行)
特集・「ジャンル別価格帯別 ザ・ベストバイ・コンポーネント436選」より

S77の弟分で、基本構成は同じく、トゥイーターを2つのウーファーで挟んだトールボーイ。このシリーズの姿態は、家庭用のシステムとして美しく部屋に適応し、かつ音の点からもブックシェルフのような難しさがない。
★★

パイオニア S-55 TwinSD

井上卓也

ステレオサウンド 89号(1988年12月発行)
特集・「ジャンル別価格帯別 ザ・ベストバイ・コンポーネント436選」より

パイオニアの新しいコンセプトになったバーチカルツイン方式のトップバッターとなったモデルの改良版である。キリッと引き締まった音像定位のシャープさとスムーズな音は、小型システムの中の一種の才能選手だ。
★★

テクニクス SB-RX70

菅野沖彦

ステレオサウンド 89号(1988年12月発行)
特集・「ジャンル別価格帯別 ザ・ベストバイ・コンポーネント436選」より

平面コアキシャル型ユニットに執念を燃やすテクニクスの力作。マイカを素材とした振動板の採用で、音には一段と緻密さが増した。ケミカル系の素材のような無機的な音はしないし、他に類例のない独創性を高く買う。
★★

パイオニア S-77 Twin

菅野沖彦

ステレオサウンド 89号(1988年12月発行)
特集・「ジャンル別価格帯別 ザ・ベストバイ・コンポーネント436選」より

トゥイーターを中央に2つのウーファーで挟んだ仮想コアキシャル的ユニット配置と、今、欧米で流行のトールボーイ型エンクロージュアをもつ。作りの美しい、センスある商品。音は豊かであるが、やや大味な感じだ。
★★

パイオニア S-77 Twin

井上卓也

ステレオサウンド 89号(1988年12月発行)
特集・「ジャンル別価格帯別 ザ・ベストバイ・コンポーネント436選」より

外形寸法はS99Tにほぼ等しいが口径が1サイズ小さく、エンクロージュアの内容積が大きい特徴を活かし、反応が早く、のびのびした明るい音は、こだわりなく音楽を楽しむために、これぞベストバイだ。
★★

ヤマハ NS-1 Classics

菅野沖彦

ステレオサウンド 89号(1988年12月発行)
特集・「ジャンル別価格帯別 ザ・ベストバイ・コンポーネント436選」より

新素材合戦に疲れた本家帰り的オーソドックスなスピーカーシステム。しかし音楽を聴くなら、こっちが近道。古き良きものを捨て前進するハイテク一辺倒の姿勢はスピーカーにとって実りが多いとはいえない。
★★

ヤマハ NS-1 Classics

井上卓也

ステレオサウンド 89号(1988年12月発行)
特集・「ジャンル別価格帯別 ザ・ベストバイ・コンポーネント436選」より

もっとも小型でクォリティの高いスピーカーを探せば、国内製品では、このNS1以外にないというのが現状である。材料を吟味した専用スタンドと組み合わせ、良質なアンプでキュートな音を楽しみたいものである。
★★

ビクター SX-500

菅野沖彦

ステレオサウンド 89号(1988年12月発行)
特集・「ジャンル別価格帯別 ザ・ベストバイ・コンポーネント436選」より

きわめてバランスのよい2ウェイシステム。かつてのSX3をイメージする音。振動板にパルプのコーンを使い、アルニコ磁気回路採用。ソフトドームトゥイーターとともに自然な質感も高く評価した。正統派だ。
★★

ビクター SX-500

井上卓也

ステレオサウンド 89号(1988年12月発行)
特集・「ジャンル別価格帯別 ザ・ベストバイ・コンポーネント436選」より

SX311、211と続く、ビクターの小型2ウェイシリーズの第3弾製品であり、トップモデルだ。充分な物量の投入と凝縮されたノウハウにより小さな高級機とも入れるレベルに達した、この音はひじょうに魅力的だ。
★★★

ダイヤトーン DS-77HRX

菅野沖彦

ステレオサウンド 89号(1988年12月発行)
特集・「ジャンル別価格帯別 ザ・ベストバイ・コンポーネント436選」より

3ウェイ・ブックシェルフという現在国産ハイファイスピーカーのベーシックモデルといえるスタイルだが、新素材や物理特性の追求のテストモデル的意味合いをもつ。整ったバランスと端正な音は一家を成す。
★★

ダイヤトーン DS-77HRX

井上卓也

ステレオサウンド 89号(1988年12月発行)
特集・「ジャンル別価格帯別 ザ・ベストバイ・コンポーネント436選」より

新鮮な感覚の小型2ウェイシステムの魅力も捨てがたいが、やはりスピーカーは重厚長大に限る、という向きには安心して使えるナンバーワンのシステムである。完成度は高く、よい音を出すにはよい腕が必要だ。
★★★

BOSE Model 501Z

菅野沖彦

ステレオサウンド 89号(1988年12月発行)
特集・「ジャンル別価格帯別 ザ・ベストバイ・コンポーネント436選」より

501シリーズの完成度がこの製品でピークに達したといえるであろう。シャドーベースボックスが成形で美しい仕上げと形にまとまり、一層魅力を増した。ユーティリティの高い独創的な製品として高く評価できるもの。
★★★

BOSE Model 501Z

井上卓也

ステレオサウンド 89号(1988年12月発行)
特集・「ジャンル別価格帯別 ザ・ベストバイ・コンポーネント436選」より

視覚的には、二段重ねの超小型システムであるが、驚異の重低音が楽しめるのは、ボーズ独自のアクースティマス理論ならではの成果である。ステレオイメージをピタリと合わすためには、低音はセンター位置がベスト。
★★

BOSE 301AVM

菅野沖彦

ステレオサウンド 89号(1988年12月発行)
特集・「ジャンル別価格帯別 ザ・ベストバイ・コンポーネント436選」より

301シリーズの最新モデルでコーナーラウンド成形キャビネットが一段と美しいものになった。音は、ボーズ特有の明解なエッジをもった深い響きであり、うまい音作りと音場再現の豊かさ、パワーの余裕が出色。
★★★

BOSE 301AVM

井上卓也

ステレオサウンド 89号(1988年12月発行)
特集・「ジャンル別価格帯別 ザ・ベストバイ・コンポーネント436選」より

モデル6.2に続く、新しいデザイン路線線にもとづく301系の最新モデルだ。従来の力強さ、明快さを特徴とした音から、質的に1ランク向上し、現代的なシャープで洗練された印象の音になったのが楽しい。
★★★

インフィニティ IRS Beta

井上卓也

ステレオサウンド 88号(1988年9月発行)

「BEST PRODUCTS」より

 米国スピーカーメーカーとしては、インフィニティは、オリジナリティの豊かなユニット設計と、軽く、圧倒的な豊かな低域に支えられたディフィニションの優れた音の魅力で、国内市場でも、次第に注目度を高めている。今までの中心機種であったカッパシリーズに続き、同社のトップランクのシリーズであるIRS(インフィニティ・リファレンス・スタンダード)が、新しいラインナップに変わり、これを機会として、デノン・ラボより輸入販売されることになった。
 IRSシリーズは、驚異的に超高価格なIRS−V(1組、1200万円)と、完全に基本から新設計されたIRS−BETA、GAMMA、それにDELTAの4機種が、そのラインナップである。
 今回、試聴したIRS−BETAは、シリーズの中心に位置づけされるモデルだ。
 基本構成は、トールボーイ型のウーファー部と、4ウェイ・5スピーカー構成に、背面にラジエーション用の高域を含め6スピーカー方式の中・高域ユニット部からなる2ボックスシステムである。これにインフィニティ独自のサーボコントロールユニットを組み合わせ、バイアンプで駆動する、かなり大がかりなシステムだ。
 低域を受け持つ口径30cm級のウーファーは、ポリプロピレンにカーボングラファイトを混ぜて、射出成型により作られたコーンをもち、4個がトーンゾイレ的にタテ一線に配置されている。
 エンクロージュアは、密閉型で、内部は上下に2分割されているようだ。興味深い点は、上から2番目のウーファーのキャップ部分に、MFB用のセンサーが組み込まれており、サーボコントロールユニットを介して、スピーカーのコーンの動きそのものを電気的にコントロールして性能向上するMFB(モーショナル・フィードバック)が採用されていることだ。
 中・高域部は、ボトム部分にネットワークを収めた平面型バッフルである。
 100〜750Hzを受け持つ中低域には、カプトン振動板採用の新開発ユニットL−EMIM(Large Electro Magnetic Induction Midrange)2個使用である。750〜4500Hzを受け持つ中高域は、従来からのEMIT、4・5〜10kHzを受け持つEMITと、10〜45kHzのS−EMIT(Super Electro Magnetic Induction Tweeter)、裏側に横位置にセットされ独立した専用ネットワークをもつ約6kHz以上をカバーするEMITの組合せで、15Hz〜45kHz±2dBというスーパーワイドレスポンスを実現している。
 中・高域部で特徴的なことは、中高域以上のユニットが、最小限のバッフルを残し、両側をカットして取りつけてあることで、音場感再生上で理想に近い使い方である。
 インフィニティのEMI型は合成樹脂系のフィルムにボイスコイルを蒸着などの方法で形成させ、その両側にマグネットを置いてプッシュプル型に音を出すタイプだ。従って、静電型同様に音は両面に再生する。
 ネットワークは多素子を使う設計で、L−EMIMが上下とも18dBオクターブ型、EMIMとEMIT(表面)が上下とも12dBオクターブ型、S−EMITが18dBオクターブ型、EMIT(背面)が12dBオクターブ型で、表面のEMIM以上は連続可変のアッテネーターが付属する。
 サーボコントロールユニットは、低音部専用の60〜134Hz、5ステップのハイカットフィルター、中・高域ユニット部とのレベル調整を中心に、20Hzで±5dB変化する低音調整、40、30、22、15Hzとパスできるローカットフィルター、正・逆のアブソリュートフェイズ切り替えの他に、サーボゲイン切り替え、サーボ入力、正相出力と逆相出力端子などを備え、組み合わせた低域の調整機能は複雑多岐にわたる。
 中・高域部を標準的な位置に置き、低音部は、その外側の約30cm後に、カット・アンド・トライで決め、クロスオーバーが110Hz、ローカットが22HzのBETA指定とし、レベル調整から始める。
 柔らかく、しなやかで、豊潤とも思われる低音をベースに、すっきりと線が細く、繊細なイメージすらある中域以上がバランスする音だ。中・高域部の音像定位は前後方向の角度を微調整して聴取位置に合わせると、かなり音場感が見えてくる。とにかく質的には、軽く、柔らかい低音に特徴があるが、部屋の音響条件を忠実に低域レスポンスとして聴かせるのは凄い。まず、広く、床、壁がしっかりした部屋が絶対に要求される超弩級システムである。

BOSE 301AVM

井上卓也

ステレオサウンド 88号(1988年9月発行)

「BEST PRODUCTS」より

 ボーズの301シリーズは、同社の製品群中でも中核をなす、優れた音質、優れた音楽性をもつシステムである。現行の301MMII/301VMに加えて、新しく301AVMがラインナップに加わった。
 まず、外観上の変化である。直線を基調としたシャープな印象が特徴の301MMIIに比べ、ラウンディッシュカーブと呼ばれる、全体に滑らかに円弧を描く柔らかなラインは、一種の新鮮な驚きでもある。
 またカラーバリエーションが豊かなことも、301AVMの特徴である。エンクロージュアの仕上げが、ブラック(301AVM)、シルバー(301AVMS)、ホワイ
ト(301AVMW)の3種。ホワイト仕上げには、レッド、グリーン、ブルー、それにホワイトの4種のグリルがある。なお、ブラックとシルバー仕上げには、同系統のカラーネットが組み合わされる。
 基本構造は、この方式は2個のトゥイーターを角度を変えてセットしたもので、ボーズ独自のプレゼンスを聴かせる。301MMII以来、すでに定評の高いバイ・ディレクショナル・ラディエーティング方式だ。
 低域は、20cm口径ウーファーによるバスレフ型であるが、ポート形状が、細長いスリット型のポートに変わり、エンクロージュア内部の雑音が放射されることを低減し、低域の音色もコントロールしている。なお、新モデルの各ユニットは、キャンセリングマグネットを使う低磁束漏洩型だ。
 外形寸法は、301MMIIシリーズより22mm広く、12mm高く、9mm奥深くなり、重量は、301MMII/301VMが6・5kg/7kgに対して、9・8kgと大幅に重くなり、許容人力も、70W(rms)から120W(rms)に向上し、事実上の301の上級機種とも考えられる、シリーズのトップモデルである。
 301シリーズの魅力のひとつでもある豊富なアクセサリー類は、重量増加による安全対策面から共用できず、201AVM専用アクセサリーが、ホワイトバージョン
用を含めて数多く用意されている。
 試聴室にある2、3種類のスピーカースタンドを使い、音の傾向を聴いてみる。
 基本的には、301シリーズの延長線上にある音ではあるが、デザインの変更に見られる視覚的な印象と同様に、301AVMの音も角がとれ、聴き上げられたようだ。やや線は太いが、開放感があり、屈託なくのびやかに鳴る301MMIIと比べ、かなり大人っぽい雰囲気が加わった音だ。
 低域の適度な粘りは、力感に裏づけされた新しい魅力であり、やや光沢を抑えた中高域の華やかさは、現代スピーカーならではの味わいとも受け取れるものだ。プログラムソースとの対応性もしなやかで、幅広い要求に応えられる注目のモデルだ。

ポークオーディオ RTA8t

井上卓也

ステレオサウンド 88号(1988年9月発行)

「BEST PRODUCTS」より

 ポークオーディオは、米国ボルチモアに本拠を置くハイファイ専菜メーカーである。日本国内にはスピーカーシステムをメインに輸入されている。同社のスピーカーシステムで注目したいのは、ステレオ再生で臨場感を著しく損なうインターオーラルクロストークを効果的にキャンセルするSDA方式と呼ばれる特殊な再生を、通常の再生に加えて可能にしたSDAシリーズである。
 左チャンネルスピーカーの音が右耳に、右チャンネルスピーカーの音が左耳に伝わる成分が、このインターオーラルクロストークであり、左右スピーカーを専用の接続コードで結び、これをキャンセルするのがSDA方式である。
 今回試聴したRTA8tは、SDAシリーズとは異なるモニターシリーズ3モデル中の中間機種にあたる。トールボーイ型エンクロージュアと、16・5cm口径の低域を2個、2・5cm口径の高域を1個使う2ウェイ構成3スピーカーシステムである。
 低域ユニットは、コーン材料に特殊加工のポリマーをベースとした3層ラミネートの素材を使い、軽量、高剛性を狙った振動系に特徴がある。オリジナルは、15年前に開発された伝統的なユニットである。このユニットは、6500シリーズのミッド・ウーファトとボークオーディオが名づけているように、SDAシリーズの中域を受け持っている。つまり、フルレンジ的な性格が強く、軽く、反応の早い音に特徴があるとのことだ。高域を受け持つドーム型ユニットは、SL2000シルバーコイルドーム型と名づけられているように、ダイアフラムに軽いポリアミド材を使用し、ボイスコイルにシルバーコーティングワイヤーを使った振動系に特徴がある。なお、このユニットも、SDAシリーズをはじめ、ポークオーディオの全製品のトゥイ一ターとして採用されている実績を誇る。
 タワースタイルと名づけられたウォールナット仕上げのエンクロージュアは、バスレフ型で、上下2個のミッド・ウーファーの間にトゥイーターを配置したラインソース方式のレイアウトが特徴である。
 このタイプは、スペースファクターに優れ、部屋の床や天井の影響を受け難いメリットがあり、音像定位の優れていることも特徴であるとのことで、内外を問わず、このところ、見受けられるのが多くなったユニットレイアウトである。
 このシステムは、強調感が少ないナチュラルな音が聴きどころだろう。柔らかく、おだやかな低域は、それなりに応答性が高く、適度なメタリックさが効果的に働き、コントラストを保つトゥイーターの味つけが、巧みなバランスをつくっているようだ。特に個性的な音ではないが、使いこめば、手応えのありそうなシステムである。

JBL S119WX

井上卓也

ステレオサウンド 88号(1988年9月発行)

「BEST PRODUCTS」より

 JBLのスピーカーシステムといえば、伝統的に高い定評があるスタジオモニターなどの業務用システムが印象強いが、このところ、一般的なコンシュマー用の製品開発にも、かなりの力を注いでいるようだ。
 今年のコンシュマーエレクトロニクスショウに展示されていたという、14インチ・ウーファーをベースに、4インチ口径のメタルダイアフラムを使うハードドーム型ユニットを4個、1インチ口径ハードドーム型ユニットを組み合わせたトールボーイ型システムや、ピアノ仕上げ調のエンクロージュアを採用した一連のシステムなどが、その例である。今回、新製品として発表されたS119WXは、それらとは異なった音場再生型といわれるトールボーイ型のシステムである。
 JBLには、かつてアクエリアスシリーズという、ユニークな構成の音場再生型システムが、中級機から超高級機にわたる幅広いラインナップで展開されたことがある。いわば、それ以来のひさかたぶりの音場再生型システムの開発である。
 基本構成は、いわば定石どおりのオーソドックスな設計である。
 正方形断面の角柱型エンクロージュアは、約100cmの高さがあり、上部から20cmくらい下がった位置に全周にわたりスリットが設けられている。表面はパンチングメタルで覆われているが、ここが、このシステムの音の出口である。
 スリット下側部分には、20cm口径ウーファーがコーンを上にして取りつけてあり、4つのコーナー部分には、25mm口径のハードドーム型トゥイーターが4個、外側を向いて取りつけられている。システムとしては、4個のトゥイ一ターを使った、2ウェイ5スピーカー構成である。
 クロスオーバー周波数は、3kHzと発表されており、許容入力は100W、ピーク400W。各ユニットは、AVシステムやサラウンドシステムに最適な防磁設計であるとのことだ。
 このシステムは、周りに壁などの障害物がない自由空間に設置したときに、360度(水平)の音場再生ができるタイプである。そのため、試聴時の部屋の条件が、ダイレクトにシステムの音となり、一般的なシステムを聴くことを目的とした試聴室では、設置する場所選びが、第一の難関である。
 標準的スピーカーの位置より部屋の中央近く位置決めをして音を出す。おだやかながらも、柔らかく、ゆったりとした低域と、輝かしさがあり、シャープに音のエッジを聴かせる中高域に特徴がある音だ。高域のエネルギー分布は、システムを回転すれば、トゥイーターの位置が変わり調整可能である。基本的には、ライブネスがたっぷりとした部屋で、さりげなく音を楽しむために相応しいシステムであろう。

デンオン SC-2000

井上卓也

ステレオサウンド 81号(1986年12月発行)
「BEST PRODUCTS WINTER ’87 話題の新製品を徹底解剖する」より

 デンオンが、米国CETEC GAUSS社の協力を得て、トップランクのスピーカーシステムSC2000の開発をはじめてから、すでにかなりの歳月が経過している。
 SC2000の開発にあたっては、ユニット製造メーカーであり、システムの開発を手がけていなかったガウス社に、サンプル的なシステム開発を依頼し、同軸2ウェイ方式、3ウェイ方式について試作をしたという。これらを充分に時間をかけてデンオンで試聴を行ない、ガウスのユニットの特徴を把握した後に、同軸2ウェイ方式に的を絞り、デンオンのスピーカーシステムとして開発をするという、約2年間にわたる部分的な検討の積重ねにより製品化された、デジタルプログラムソース時代に相応しいスピーカーシステムである。
 コンピューターデザインにより設計された、独特のカーブにつくられたハイフレケンシーユニット用のホーンは、低域ユニットの取付部であるフレームからかなり前方に突出しており、同じ同軸2ウェイユニットのタンノイはもとより、アルテックのユニットと比較しても、かなり異なった印象を受ける。
 ダイアフラム口径は、50mm(約2インチ)で、アルテック系やJBL系の口径45mm(1・75インチ)より1サイズ大きな、現行のプレッシャードライバーとしては特殊サイズである。一時期にはデンオンが開発したαボロンのダイアフラムも検討されたようであるが、現在は、ガウス・オリジナルのアルミ系軽合金製に戻っている。
 ウーファーは、特殊処理を施したマルチコルゲーション入りのペーパーコーンを使い、エッジワイズ・ボイスコイル、コルゲーションエッジのほか、サスペンション系が、ガウス独自のダブルスパイダーサスペンション方式であり、コーンの裏面は、白色のダンピング材で処理されている。
 磁気回路のマグネットは、ウーファーがφ190mm・t19m、トゥイーターにφ155m・t19mmの大型ストロンチュウム・フェライト磁石採用である。
 エンクロージュアは、長方形の木製パイプダクトをもったバスレフ型で、ポート形状は、ガウスのサジェッションによるもののようである。数多くの試聴と計測データーから選出されたエンクロージュアは、ユニットの突出したホーンによる制約が大きいようで、バッフルボードは、側板から一段奥に引っ込んだ位置にあり、周囲を額縁状のエッジで囲んだクラシカルな設計だ。
 エンクロージュアは、バッフル板と、裏板に15mm厚の高密度パーティクルボードを2枚貼合わせ構造とした材料を使い、天板、底板と側板には、デンオン・エンクロージュアの伝統的手法ともいえる、両面にウォールナット柾目つき板貼りの31mm厚高密度パーティクルボードが採用された約160ℓの内部容積をもつバスレフ型である。なお、エンクロージュアのフロントバッフル面に、連続可変型アッテネーターをもつネットワークは、デンオンで設計・開発を行なった、伝達特性を重視したタイプである。
 SC2000は、デンオンの試聴室は金属製の市販のスピーカースタンドが使用されていたが、今回の試聴では、ユニットの中心を耳の高さに合わせる目的で、オンキョーのAS5001スタンドを併用した。
 まずは、一般的に通例となっているサランネットを外し、ヤマハCDX1000ダイレクト接続のカウンターポイントSA4で音を出す。帯域バランスは、厚みのある穏やかな低域をベースにした安定度のあるナチュラルなバランスで、ハイエンドはスローダウンしたタイプだ。ガウス・オリジナルシステムの印象よりは、ガウスらしいボッテリとしたエネルギッシュな独特のキャラクターがほとんど姿を消し、音の粒子も細かくなり、スムーズで、かなりデンオンのシステムらしいイメージに調整してあるようだ。
 同軸ユニットの特徴である定位のクリアーさはさすがに見事で、ワンポイント録音の、インパルのマーラー第4番の第4楽章の冒頭で、ソプラノが歌いながら首を振るところが、目で見るように明瞭に聴き取れる。音像はかなり立体的に小さくまとまり、音場感は素直にサラッと拡がる。
 プログラムソースとの対応はおだやかで、各種の音楽を聴いても安心して聴けるフトコロの探さは、同時に聴いた国内製品のCOTY選定モデルの何れにもない独特の味わいである。ドライブアンプを変えてみると、穏やかだが、適確にキャラクターの違いを音にして聴かせる。さすがに、モニターの血はかくせないものだ。サランネットをつけると少し甘い音になるが、アッテネーターで調整可能な範囲である。