JBL 4344

黒田恭一

ステレオサウンド 66号(1983年3月発行)
特集・「2つの試聴テストで探る’83 “NEW” スピーカーの魅力」より
4枚のレコードでの20のチェック・ポイント・試聴テスト

19世紀のウィーンのダンス名曲集II
ディトリッヒ/ウィン・ベラ・ムジカ合奏団
❸でのコントラバスがコントラバスならではのひびきの余裕を感じさせてこのましいが、いくぶん音像的にふくらみぎみである。そのことと関係してのことかどうか、❶から❷にかけては、ヴァイオリンより低い弦楽器の方がきわだってきこえる。総じて弦のアンサンブルによる演奏ならではの、しかもその点でのあじわいをうまくとらえた録音のよさをうまく示しえているとは、残念ながらいいにくい。

ギルティ
バーブラ・ストライザンド/バリー・ギブ
❶でのエレクトリック・ピアノの音が前の方でくっきり提示される点に特徴がある。❸ではギターよりベースの方がきわだつ。ギターの音はもう少しきめがこまかく、輝きがあってもよかったように思う。❺でのバックコーラスがいくぶん手前の方にせりだしぎみにきこえる。このスピーカーならではの積極性のあかしと考えるべきかもしれない。❷での声も輪郭をしっかり示して独自のなまなましさを示す。

ショート・ストーリーズ
ヴァンゲリス/ジョン・アンダーソン
迫力にとんだきこえ方である。さまざまな音の力感をよく示せているからである。❸での音の動き方などにしても効果的である。ただ、奥の方からきこえるべき音も前の方にせりだしがちなので、前後の音場感ということでは、多少ものたりなさがある。❷でのティンパニの音などは、もう少しきりっとまとまってもよかったのではないかと思う。いくぶん音像がふくれ気味になっただけ、鋭さに不足している。

第三の扉
エバーハルト・ウェーバー/ライル・メイズ
❶ではピアノの音よりベースの音の方に耳がひきつけられがちである。❷でのピアノのひろがり方はほどほどである。❺での管楽器が加わっての音色的対比は十全であり、さすがと思わせる。❸でのシンバルの音は、もう少し輝きがほしいと思わなくもないが、くっきり示す。ただ、ここでも、奥へのひきという点で、いま一歩と思わなくもなかった。このレコード特有の音色的な特徴は十全にあきらかにした。

Leave a Comment


NOTE - You can use these HTML tags and attributes:
<a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください