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アルテック BF419 Malaga

菅野沖彦

スイングジャーナル 3月号(1970年2月発行)
「SJ選定 ベスト・バイ・ステレオ」より

 今月は、ジャズの本場アメリカで生れて育ったスピーカーがベスト・バイとして取り上げられることになった。
スピーカー・メーカーの名門アルテックの419Aと3000Hの2ウェイ・システムである。
 アルテックの419Aは30cm口径の全帯域型スピーカーとして、既に本誌でも新製品として紹介したが、これを組み込んだものが、通称マラガという名前のシステムである。そして、この〝マラガ〟は、後日、3000Hトゥイーターを附加して2ウェイに出来るようになっているのだが、なんといっても、30cm口径の全帯域では高域はやや不満で、システムとしては3000Hがついて完成の域に達するといってよい。
 アルテックのスピーカーの全体的傾向といってもよいが、このシステムの中音域の充実と、高能率による明るく抜け切ったサウンドの魅力は他のいかなるスピーカーからも味わえない圧倒的な迫力で、これほどジャズの再生に適したものも少なかろう。デンシティの高い音は、楽器のイメージをきわめてリアルに再現するのである。
 マラガについて少し具体的な説明を加えると、エンクロージュアは、ブック・シェルフ・タイプで、パイプ・ダクト・タイプのテユーニング・ポートをもった位相反転型の変形である。これは、419Aを極力コンパクトにまとめるべく設計されたもので、輸入元のエレクトリが完成した。419Aは中央にドーム・ラジエーターをもち、頂角の異った二重コーンをもった特殊構造のスピーカー・ユニットで1kHz以下を外側のコーン、それ以上を内側のコーンでラジエートするようになっている。アルテックではこれをバイ・フレックスと呼んでる。3000Hはアルテック唯一のトゥイーターで、本来2ウェイを主力にしている同社の大型システムの中高域ドライバー・ホーンは高域まで十分にカヴァーするので、このトゥイーターはあまり使われないが、この全帯域用と組み合わせると大変うまくマッチして、419Aの音のスケールと品位を一段と高めるのである。このトゥイーターは繊細で柔い、しなやかな高音を持ち、これが、ダイレクト・ラジエーションのコーン・スピーカーの中高音域のキャラクターと自然に連るのである。419Aのもつソリッドな中高域にのって、美しいハーモニックスを再現し、ジャンジャン、シンバルの金のアタックと余韻にふるえるハーモニックスが生き生きと響く。そして、とかく、もぐり勝ちなスネアーやトムトムの張りのある音の鳴りも抜群である。欲をいうと、内容積が小さいので、低域ののびがもう一息といったところだが、アンプのほうで少しブーストしてやればよいだろう。
 私は、このシステムに準じたものを可搬型のモニターとして使っているが、あまり音がよいので、録音時のアラさがしがまどわされるぐらいである。しかし、これで、プレイバックした音には、今までセッションにつき合った多くのジャズ・メンが満足の意を表してくれた。アルテックのもつ血の通った、生命力溢れる音には、製作者も意識しない、血と伝統、風土が生きていると思う。この強い訴えをもった音は、プレイヤーの感情の起伏をあり
ありと伝えてくれるのである。日本のジャズメンでは渡辺貞夫が、このシステムを愛用しているし、ジョージ大塚もお気に入りだ。また、近々新宿のピットインの二階の試聴室にも入るようだから機会があったら聞かれることをおすすめする。ジャズ向きのスピーカーというのがあるかないか? などとよくいわれるが、あるとすれば、このシステムなどはもっともジャズ向きといってよいのではなかろうか。それは、このシステムが全帯域のバランスというよりは、音そのもののガッツの豊かさに特長があるからである。

YL音響 331A

YL音響のスピーカーユニット331Aの広告
(スイングジャーナル 1970年3月号掲載)

YL

トリオ KL-5060, KA-2600, KT-3000, PC-250, TT-10

トリオのスピーカーシステムKL5060、プリメインアンプKA2600、チューナーKT3000、アナログプレーヤーPC250、オープンリールデッキTT10の広告
(スイングジャーナル 1970年3月号掲載)

Trio

パイオニア CS-700, SX-85, PL-30, T-6000

パイオニアのスピーカーシステムCS700、レシーバーSX85、アナログプレーヤーPL30、オープンリールデッキT6000の広告
(スイングジャーナル 1970年3月号掲載)

Pioneer

スタックス SR-3

スタックスのヘッドフォンSR3の広告
(ステレオ 1970年3月号掲載)

SR3

パイオニア CS-300, CS-500, CS-700, CS-505

パイオニアのスピーカーシステムCS300、CS500、CS700、CS505の広告
(ステレオ 1970年3月号掲載)

CS500

オンキョー E-83A MKII

オンキョーのスピーカーシステムE83A MKIIの広告
(ステレオ 1970年3月号掲載)

E83

トリオ KL-4060, KL-5060, KL-7060

トリオのスピーカーシステムKL4060、KL5060、KL7060の広告
(ステレオ 1970年3月号掲載)

KL4060

JBL LE175DLH

JBLのスピーカーユニットLE175DLHの広告(輸入元:山水電気)
(ステレオ 1970年3月号掲載)

JBL-Segawa

ダイヤトーン DS-22B, DA-33U

ダイヤトーンのスピーカーシステムDS22B、プリメインアンプDA33Uの広告
(ステレオ 1970年3月号掲載)

DS22B

ソニー SS-1800, TA-1000, ST-5500, PS-1000

ソニーのスピーカーシステムSS1800、プリメインアンプTA1000、チューナーST5500、アナログプレーヤーPS1000の広告
(ステレオ 1970年3月号掲載)

PS1000

サンスイ SL-5, SL-7

サンスイのスピーカーシステムSL5、SL7の広告
(ステレオ 1970年3月号掲載)

SL7

アコースティックリサーチ AR-4x

アコースティックリサーチのスピーカーシステムAR4xの広告(輸入元:今井商事)
(ステレオ 1970年3月号掲載)

AR

ティアック LS-30, LS-80

ティアックのスピーカーシステムLS30、LS80の広告
(ステレオ 1970年3月号掲載)

LS80

コーラル FLAT-5S, FLAT-6S

コーラルのスピーカーシステムFLAT5S、FLAT6Sの広告
(ステレオ 1970年3月号掲載)

FLAT5

フォスター G-11, G-33, G-44, G-55, G-66

フォスターのスピーカーシステムG11、G33、G44、G55、G66の広告
(ステレオ 1970年3月号掲載)

G33

JBL D130

岩崎千明

スイングジャーナル 2月号(1970年1月発行)
「私とジムラン」(サンスイ広告)より

 私はその部屋に入るなり思わず立ち尽くした。目もくらむような鮮かなフル・コンサートの音でその部屋は満たされていた。
 何分たったろうか、視線をめぐらしてスピーカーの存在を確かめるまで、それが再生された音であるとは信じられないぐらい鮮烈であった。
 私とJBLの最初の出合いは、その音と共に強烈な印象を脳裏に刻み込まれたのである。
 なんと幸運にも、その音を出していたJBL・D130はこの直後、私の部屋のメイン・スピーカーとなって、鮮かな音で再生音楽に息吹を与えることとなったのだ。13年も前のことである。

 JBLという名が米本国のハイファイ業界において大きく伸び、広い層に知られるようになったのは、前大統領リンドン・B・ジョンソンの時期であったといわれる。ジョンソンのイニシアルであるLBJにひっかけて、JBLという呼称で、最高級ハイファイ・スピーカーのイメージを広く一般層にアピールした作戦があたったためであろう。

 私がJBLを使い出した頃、米国マニアの一般の通例として、ランシング・スピーカーといういい方で知られていたが、すでに最高級マニアのみが使い得る最高価格のスピーカーとしての定評は、米本国内では確固たるものであった。
 ランシング・スピーカーと呼ばれる商品はJBLのほかにアルテックの製品があるが、アルテックが業務用ということで知られていることをはっきり狙った製品だ。業務用が信頼性と安定性をなによたも重要視するのにくらべて、ハイファイ用はまず、音楽の再生能力そのものを意識する。
 JBLが独立した戦後間もない初期の製品は、アルテックのそれと外観、機構ともよく似ている。しかし音自体はかなり差があって、JBLの方がより鮮明度が高い、ということができた。このことは現在でも少しも変らずにJBLの音に対する伝統となっている。

 D130が1本しかなかったため、私はステレオに踏み切るのがかなり遅かったが、他のスピーカーによるステレオ以上に、D130のモノーラルの方がずっと楽器そのものを再生した。よく、どぎつい音がするとか、派手な音がするとかいわれたが、装置の他の部分、例えばアンプとか、カートリッジとかがよくなればよくなるほど、私のD130はますます冴えて、本物の楽器のエネルギーを再現してくれた。
 私は最近、ジャズをよく聴くが、アドリブを重視するジャズにおいては、一瞬一瞬の情報量という点で、ジャズほど情報量の多いものはない。一瞬の波形そのものが音楽性を意味し、その一瞬をくまなく再生することこそが、ジャズの再生の決め手となってくる。
 音色、バランス、クオリティー、パターン、いろいろ呼び方の音の再生能力の中で、ジャズでは音の変化の追随性というか、過度特性という点が、もっとも重要なファクターであるといえる。
 その点でJBLのスピーカーは、最も優れた能力を秘めていると思える。長い間、私はいろいろなスピーカーを使ったが、結局、最近はJBLを最も多く聴くようになってしまった。

 いま私の部屋にはレコード試聴用のSP-LE8Tとは別に、C40リアー・ホーン・ロード・バッフルに収められたD130が2本、それにオリジナル175DLHのクロスオーバーを下げた強力型のLE85が2ウェイを構成し、ステレオ用としてのメイン・システムとなっている。

 時代が変っても、社会の急速な進歩と共に、再生芸術の狙いも変ってくる。毎月聴いている新譜も、鮮かな音のもが増えているが、JBLのスピーカーはますます冴えて、その限りない真価を深めつつある。

JBL D130

JBLのスピーカーユニットD130の広告(輸入元:山水電気)
(スイングジャーナル 1970年2月号掲載)

JBL1

サンスイ SP-2002

サンスイのスピーカーシステムSP2002の広告
(スイングジャーナル 1970年2月号掲載)

SP2002

フォスター G-55, G-66

フォスターのスピーカーシステムG55、G66の広告
(スイングジャーナル 1970年2月号掲載)

foster

パイオニア CS-5, SX-45, PL-11

パイオニアのスピーカーシステムCS5、レシーバーSX45、アナログプレーヤーPL11の広告
(スイングジャーナル 1970年2月号掲載)

Pioneer

トリオ KL-63, KR-33, MX-1000

トリオのスピーカーシステムKL63、レシーバーKR33、パワーアンプMX1000の広告
(スイングジャーナル 1970年2月号掲載)

Trio

ティアック LS-80

ティアックのスピーカーシステムLS80の広告
(スイングジャーナル 1970年2月号掲載)

Teac

パイオニア CS-05

パイオニアのスピーカーシステムCS05の広告
(スイングジャーナル 1970年2月号掲載)

CS05

パイオニア CS-500, CS-700

パイオニアのスピーカーシステムCS500、CS700の広告
(スイングジャーナル 1970年2月号掲載)

CS700