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トーレンス TD125MKIIB

岩崎千明

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 ガラード301をトーレンスの124に替えてからずっとずっといつも私の傍で、常に回っていた。これ以外が回っているときは、デュアルのチェンジャーであった。125IIとなった今も124の隣りで回っているし、これからもずっと回るに違いない。DD万能の今日でもそれに劣らぬ高い信頼性と変わらぬクォリティ。やはりDDではなく125IIが私の回転メカに対する意外に古いセンスを満たしてくれるのか。

トリオ KT-8005

岩崎千明

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 今や高級チューナーとしてはもっともオーソドックスなテクニカルで固められているトリオの最高級機種だが、メカニカルフィルターをはじめとするそれらのすべてはトリオによって拓かれた技術である。真の意味でのオリジナルを具えるトリオのチューナーは、期待通りの高性能を保証する数少ないチューナー製品として、高く評価してよい。デザインのオリジナリティも付言してよいし、私はこのデザインゆえJBL520と併用中だ。

マッキントッシュ MR77

岩崎千明

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 特殊なフィーダーを用いたバランス検波回路というユニークな特許の検波回路がこの0・1%という驚くべき超低歪率をもたらしているが、そのためIFの最終段はなくパワー増幅段である。こうした77の優秀性の源となっている独特な技術がこのチューナーを入手したきっかけなのだが、実用するうちオーディオ回路の皆無なチューナーでさえ、マッキントッシュのサウンドポリシーを厳然と持ち合わせているのには敬服し尽くした。

ナカミチ Nakamichi 700

岩崎千明

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 あとでローウィのデザインと聞いて、やっぱりそうかと思い、半面少々ガッカリもした。日本人ばなれしたデザインは日本人ではなかったのだ。カセットというイメージ、いやテープデッキというイメージをこのデザインからはとうてい感じられない斬新で現代的なセンスだ。
 サウンドは、カセットにありがちな、力不足の不安のないガッツのあるダイナミックなサウンドがなによりも魅力だ。

デンオン DH-710

岩崎千明

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 オープンリールは、目下わが家には2トラがない。せめて1台ぐらいはないと、と考えていろいろ探し試聴してみると、海外製品に並んでこのデンオンの新製品がクローズアップされてきた。だから、これは手元において確かめたものではなく、手元において、よくみて使いたい。国産品といえども海外製品と並べてもおそらくその期待を裏切られない製品だと思う。デンオンの回転機器の確かさを日頃放送局のスタジオでみてるためか。

ヤマハ CR-400

岩崎千明

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 まあ国産品で、西欧的な意味でデザインの優れた製品というものがあるとすれば、車におけるルーチェのように、フロンテSSのように外人の手によるものだったが、そういう事実をくつがえすといえるおDお製品がいくつかあるのは嬉しい限りだ。CR400はその点で世界に誇れる秀逸な製品で、その点からいえばCA1000をも上まわろう。そして、その美しくも優雅な外観がサウンドまでも表わしているのだから。

ソニー TA-8650

岩崎千明

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 FETアンプの国産成功によってもたらされるのは、まちがいなく世界最高のアンプの栄光が実現したことだ。
 かつて1120によって日本のアンプを格段に飛躍させたソニーが、再び8650によって国際水準に引き上げたことは拍手をもって迎えるべきだろう。8650の音はなにしろ球のそれ以外の何物でもない。確かに石特有の超広帯域を合わせ持っていることは確かだが中声域での冷たい感じは、ここにない。

アンペックス AG440B

菅野沖彦

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 アンペックスのプロ用のマス・プロ・デッキ。特性的には不満がなくはない。しかし、この音の生気あふれる輝きは、一度とりこになったら離れられない。デッキのトランスポートも、エレクトロニクスもデザインも抜群。プロ用のテレコで、現役製品中随一のものだ。リレー・スイッチのボタンの色彩感、直線的でシンプルなモノトーン・イメージのパネル。ただし日本製のコンソールのデコラの色や仕上げは少々興ざめする。

オルトフォン SPU-G

菅野沖彦

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 こんな古い特性の悪いカートリッジは、いかに過去の最高級品とはいえ、技術的に見れば取り上げることにためらいを感じるのが当然だ。しかし、現在入手可能だということと、その音の味わいが、現在のハイ・コンプライアンス・カートリッジのもつ、音のボディの欠落の傾向への警鐘としても価値があると考え、あえて、ここに取り上げる。とにかく、この音は理屈には叶わなくてもいい、堂々とした充実感が大きな満足感を与えてくれる。

L&G L-2600

岩崎千明

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 若いカップルが、フレッシュな思い出を創り上げるべき部屋に、この上なくぴったりのアンプがL&Gの全シリーズだ。
 これらのカラフルな、特にプリメインがそうしたセンス溢れるデザイン。ほほえましくて思わず購入してしまいたくなるようなフィーリングをたたえ、しかも内にはラックス直系のセンスフルなサウンドへのメカを秘める。オーディオ機器の商品として、これほど完成度の高いアンプが国産品に出てこようとは。

シュアー V15 TypeII

菅野沖彦

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 現在のシュアーの現役最高級品はタイプIIIである。しかし、私としてはどうしてもタイプIIが捨てられない。このカートリッジの安定性、つまり常にいかなるレコードに対しても安定なトレースを示してくれるという信頼感は抜群だ。そして美しくバランスのとれた音質はレコードの特長をよく出してくれる。全てのカートリッジに難はある。それは聴く人の個性とのぶつかり合いだといってもよい。V15IIはまるで君子のような製品なのだ。

グレース G-940

菅野沖彦

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 ワン・ポイント・サポート、オイルダンプのユニークなグレースらしい高級トーンアーム。この道一筋のグレースらしい筋の通った姿勢が製品に滲み出ていて、メカニズムとしても、趣味的な感覚の点からも、高度な水準にある精密な製品である。豊富な体験の集積により、アームとしての特性も、ユニバーサルという制約の中で、高く保たれており、姿体も美しい加工精度に満ちている。丹念に作り上げられた高級パーツの風格がある。

サンスイ AU-9500

岩崎千明

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 国産プリメインアンプは、この一年間出力と共に質的にも大きなジャンプを果したが、その数多い製品中、無類の力強さと無限なエネルギーを感じさせる9500はずばぬけた存在。その黒く巨大な特徴ある姿態は、限りない信頼に支えられたゴージャスなサウンドをも表わして魅力の源となっていよう。
 価格の向上が著しいこの世の常として、採算上このアンプが姿を消す日がいつかは来ようが一日でも遠いことを願う。

SME 3009/S2 Improved

菅野沖彦

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 SMEのアームは、なんといっても精度、信頼性、美しいデザインで世界の一級品だと思う。私の手許には旧型がもう10年も使いっぱなしになっているが、全くのノー・トラブル。オルトフォンのSPU−GTの様に自重の重いカートリッジから、細菌の軽いものまで不満は特にない。インプルーブドは、ハイ・コンプライアンス・カートリッジ用に設計を調整したもので、味わいは旧型に劣る。しかし、やはりこれは最高級の品位を持つ。

テクニクス SL-1200

菅野沖彦

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 ユニークなメカニズムとデザイン、これは世界的に通用するオリジナリティを高く評価したいプレーヤー・システムである。個人的にはアームのデザインがどうしても嫌で、気になることが、無条件で魅力ある製品に入れることにためらいを感じさせるが、性能のいいDDターンテーブル、ダイカストによるベースでユニット化された高性能実用機器として水準を超えた日本製品だと思う。大きさもコンパクトで好ましい。

EMT 930st

菅野沖彦

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 EMTはノイマン、スチューダーと並ぶヨーロッパのプロフェッショナル・エクイプメントメーカーである。このプレーヤーシステムも勿論プロ用。どこからみても信頼感に溢れた重厚そのものの造りとデザインだ。B&Oのベオグラム4000とは対照的な製品で、まさに、古きよきゲルマンを感じさせる。メルセデスやポルシェに相通じるこの風格は見てさわってみなければわかるまい。みるからにドイツのオーケストラの音がしそう。

B&O Beogram 4000

菅野沖彦

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 アンデルセンの国、スカンジナビアのデンマークが生んだ、もっとも美しいオーディオ製品。北欧の現代感覚溢れたデザインは、家具や照明などのインテリアでも定評があるが、このプレーヤーシステムには、その面目躍如たるものがある。機構も、徹底的なハイ・エンジニアリング、リニア・トラッキングのインテグラル・アームを備え、完全自動のシステムで、カートリッジは同社のSP15がつく。鳴らさなくてもいい。ほしい。

ソニー TC-2850SD

菅野沖彦

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 カセットのポータブル型として登場した一号機で、欲をいえば、さらに安定性、小型化、デザイン・センスなどに不満があるが、現在の段階ではやはり魅力のある製品だ。私は昔から、35ミリ高級カメラと同じような精密機械としてのポータブル・カセットの出現を待ち望んでいる。材質、加工精度、信頼性などで、ライカ級のカセット・デッキが出たらどんなに素晴らしいだろう。その可能性を予知させてくれたのがこの機械だと思う。

アカイ GX-400Dpro.

菅野沖彦

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 アカイが初めて出した2トラック38cmのテープデッキ。メカメカしたマニア・ライクなデザインは、決してセンスのいいものとはいい難い。しかし、私にとって野暮さは気になっても嫌らしさとして映らない。それより、この機械のスムースな動作、豊富な機能、よく練られた操作性、そして、一種独特のクリアネスと甘美さを感じさせるなめらかな音は魅力である。もう一つ無駄を排してスッキリしたら一段と魅力的だろう。

オーディオリサーチ Dual75

岩崎千明

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 オーディオリサーチははたして新進メーカーなのか、音を聴いていつもそう思う。このサウンドは技術のみで到達できるものではないし、音楽のキャリアの裏づけがおそらくこのアンプの優秀高質を支えていよう。実効出力はマッキントッシュ275とほとんど同じはずだが、サウンドの力強さと充実感において上回り、技術上の新しさを感じさせるのはさすがだ。個性的で米国系らしいプリとともに特異な存在が魅力なのか。

デンオン DH-710

菅野沖彦

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 デンオンが業務用のテープデッキの技術をよく生かして民生用の2トラ38cmに置きかえたデッキ。デュアル・キャプスタン、サーボ・コントロールのトランスポートは大変スムースで安定。キメの細かい滑らかな音質は、よい意味での日本的繊細さを感じさせる。可搬型はトランスポートとエレクトロニクスが分かれてキャリング・ケースに収まるが、ケースに少々寸法の狂いがあったりして私の信頼感を傷つけた。木製のキャビネット入り。

ダイナコ Stereo 400

岩崎千明

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 ステレオ400を登場させるのは、そのサウンドが米国オーディオにおけるひとつの良識、良心を感じさせるからだ。コストパフォーマンスといういい方は気に喰わないがそうした観点からでも、400の優秀性は説明できるが、ダイナコというもっともポピュラーで評判の高い経験充分のメーカーのサウンドに対するセンス、しいてはアメリカの平均的オーディオ感の集約という点で特に注目すべき秀作だろう。

ナグラ IVSD

菅野沖彦

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 最高級のポータブル・テープレコーダーである。メーカーはスイスのクデルスキーSA。最高の技術水準をもった高性能機器で、重量は6・4kgながら、50kgの大型コンソールにも匹敵するする性能をもつ。テープ・スピードは、9・5cm、19cm、そして38cmでも回せる。勿論1/4インチ幅の標準テープに2トラックで録音する。アダプターを使えば10号リールも使用可能。とにかく、高品質の材料と精密加工のもつ美しさと確かさに溢れた魅力は抜群だ。

ヤマハ CR-1000

菅野沖彦

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 これは同社のプリメインアンプCA1000をオーディオアンプとしたステレオ・レシーバーである。私としてはステレオ・マスターと呼びたいオール・イン・ワンの総合アンプで、これ一台で、高度なFM受信、レコード再生を可能にしてくれる。デザインは他の一連のヤマハは製品に共通のモダニズムの溢れた美しいものだが、中でも、これは傑作と呼びたい。スイッチ類の独特なタッチは他に類のないもので、超高級レシーバーだ。

アキュフェーズ P-300

菅野沖彦

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 このアンプの実力は世界の一流品だ。魅力ある製品として取り上げた事を前提としてケチをつければ、デザインがモダンでもクラシックでも、オーソドックスでも前衛的でもないし、趣味としても高い品位には至っていないのが玉にキズといったところ。片チャンネルで150ワットのハイパワーながら、ローレベルでのリニアリティのよさが、きわめて高級品の音質を実現していて、使って大満足のアンプの一つである。