ダイヤトーン DS-A3

井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 DS−Aシリーズは、従来までの同社のブックシェルフ型やフロアー型システムとはひと味違ったエンクロージュアづくりを最大の特徴とした、大変に興味深いシリーズである。
 DS−A3は、2S3003系の両サイド・ラウンド形状バスレフ型エンクロージュアを採用。コーン型の振動板として、高域・低域ともにアラミド(ケヴラー)を使用し、物理値的な等音速の利点を活かして音色的な統一性を狙った、ハイクォリティな小型システムだ。バスレフ開口部は楕円型で断面積が大きく、最低音がいかにも開口部から放射されるような、つまりバスレフ開口部が第三のユニット的に動作しているのがわかるような、弾力的で、明るく伸びやかな低音が、このシステムの最大の魅力であろう。

ユニゾンリサーチ Simply Phono

井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 SIMPLY−PHONOは、入力部に47kΩ、100Ω、50Ω、22Ω/100pFのインピーダンス切替が可能。回路構成は、初段がグリッドリークバイアスの3極管1段増幅、2段目との段間にCR型フォノイコライザー素子が組み込まれており、2段目はセルフバイアスの3極管増幅、それに続いてカソードフォロワーの出力段が設けられている。

スタントン W.O.S.100, 681EEE MKIII, Trackmaster-EL

井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 ステレオ初期に、一点支持型トーンアームの先端にカートリッジを固定した、非常に未来志向型のステレオユニポイズを発表したピカリング社は、モノーラルLP時代からカートリッジの名門として高い評価が与えられた専門メーカーだ。そしてステレオLP時代となった’61年に、当時のピカリング社の社長であったW・O・スタントン氏が、同社のトップランクモデルに特別にスタントンのブランドを与えたことが、そもそものスタントン・ブランドの誕生である。同社カートリッジの発電方式は、MM型を中心にIM型も加えた、まさに適材適所の自由な設計が特徴だ。
 スタントンの評価を最初に高めたモデルが、’69年発売のIM型681EEで、その暖かみがありシャープな音は記憶に新しい。後に500、600シリーズが加わる。また、ディスクにブラシを接触させ、振動系の安定度を向上させるダスタマティックも注目された。
 ’80年になると、MM型のコイルを極限まで減らしたローインピーダンス(3Ω)の製品980LZSを発表した。このタイプは、すでに業務用としてはグレース、オーディオテクニカで製品化されていたが、基本的にはヘッドアンプ専用でトランスにはマッチしない。これ以後は針先形状が問題とされた時代で、同社ではステレオヒドロンが、その回答だ。
 WOS100は、チタンコートのボディに設計者W・O・スタントンのシグネチュアを刻んだ同社技術の集大成モデル。ブラシ付3・3mV出力のエネルギッシュで力強く、繊細さも見事なモデルだ。
 681EEE MKIIIは、681系の最新版。チタンコートボディ、サファイアコート・カンチレバーに菱形形状チップを採用している。
 トラックマスターELは、逆回転の頭出しにも耐える振動系とスタイラスに蛍光塗料コート・ヘッドシェル一体型だ。

ユニゾンリサーチ Mistero

井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 MISTEROは、今年同社のラインナップに加わったライン入力専用のプリアンプである。ローレベル入力を扱うプリアンプでは電源の整流回路に半導体を使用するとスイッチングノイズの影響を受けやすいが、このMISTEROでは整流管を使い、チョークインプット型の整流回路を採用していることに注目されたい。
 入力部には、窒素ガス封入型接点使用のリレーによる入力セレクターがあり、ダイレクトにECC82/12AU7のSRPP増幅段に信号が加えられ、この出力部にボリュウムコントロール、続く出力段が、ECC83/12AX7の片側を使うカソードフォロワーになっている。初段のバイアスにはリチウム電池を使った固定バイアスが採用され、常に安定したバイアス最適値が、高いリニアリティとSN比の向上に寄与している。信号kは純A級動作のノンNF設計で、オプションでSIMPLYと共通のMM型フォノカートリッジ用SIMPLY−PHONOイコライザーアンプを使うための、電源供給用DIN端子を具えている。

ユニゾンリサーチ Simply Four

井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 SIMPLY FOURは、出力段がEL34/6CA7の並列接続シングル純A級動作のプリメインアンプだが、前段用の双3極管12AU7が3本となり、このモデル独自の設計が施されている。パワーは14W+14Wに抑えられているように受けとれるが、この値のほうがむしろオーソドックスな定格だ。
 回路構成は、2段目がSRPP回路、終段は並列接続で、出力トランスのタップを使ってNFをかけるUL接続、電源部はSIMPLY TWOの2倍の容量の平滑コンデンサーが採用され、並列接続での電流増加に対処した設計だ。なお、出力段はセルフバイアスだが、バイアスは深く、前段のドライブ能力が強化されたことと相まってオーバーロード時には強く、かなりのパワーマージンを備えた設計である。

ピカリング 625E-S2, 625DJ, 150DJ

井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 ピカリングは、1946年にニューヨークでノーマン・ピカリング氏が創立したカートリッジメーカーで、独自のマグネティック型発電方式で注目された。’58年にはそのステレオ版を発表し、その後、ダスタマティック・ブラシとアース付スタイラスアッセンブリーを開発。そしてMM型、MI型(可動鉄芯・マグネティック型)を加え、’73年には超高域再生特性が要求されるCD4用4チャンネルカートリッジを海外ではじめて発売するだけの、高度な針先形状と振動系などの技術を備えていたことで注目集めた。
 この成果により、針先形状の研究と振動系の軽量化、発電方式の新構造化が一段と図られ、以後の広帯域型への発展のベースとなった。
 注目したいことは、ターンテーブルの軸受部にドーナッツ型磁石を設け、この反発作用でターンテーブルをフローティングするジャイロポイズ方式の開発だ。これが’76年発売のプレーヤーシステムFA145Jに採用された。この発展型が国産のマグネフロートである。
 トーンアーム関係では、アーム支持部に水平回転軸のみを設け、先端部に上下方向にスイングするカートリッジ取付け部をもつユニークなタイプを開発。これはピカリング型と呼ばれ、LP時代にはオイルダンプ型と人気を二分する存在であったことを懐かしく思い出されるファンも少なくないだろう。独自のMI型ともども、国内にコピー・ピカリングが出現したことを考えても、同社技術の影響力は大きい。
 625E−S2は、同社の伝統を最も色濃く継承するMI型で、S2はヘッドシェル付。滑らかでウォームなサウンドはアメリカンポップスなどに最適。
 625DJは、デリケートな扱いが要求されるカートリッジを、強く逞しく、ノンブレーカブルに変身させた個性派。重針圧、耐逆回転性、蛍光ポイント付針先、針先保護Vガードと装備は抜群。
 150DJは出力8mV、円錐針、2〜4gの重針圧、信頼性と経済性の両面から、DJから最も信頼されている定番モデル。ジュークボックスでの成果の反映か。

ユニゾンリサーチ Simply Two

井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 SIMPLY TWOは、そのモデルナンバーが示すように、単純なEL34/6CA7の純A級シングル動作のプリメインアンプである。基本型は、入力部に入力セレクターとボリュウムコントロール機能を持たせたパワーアンプで、フィードバック切替スイッチが付属しており、一種のキャラクターコントロールとして使用可能だ。また、別売のフォノEQ用の電源供給ソケットが付いている。定格出力は12W+12Wと必要最小限のレベルであるが、小口径フルレンジユニットや感度90dB以上の2ウェイシステムと組み合わせれば、一般の家庭用再生レベルなら実用上での問題は皆無に等しいであろう。いわゆる5極管的な、古くはペントード的な音といわれた傾向は見事に抑えられており、常に手元に置いておきたい印象のモデルである。

ジョーダン・ワッツ Module Unit, JH1000, JH200

井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 英グッドマンのフルレンジユニットの名器AXIOM80や、超小型ブックシェルフ型2ウェイシステムとして世界的にショックを与えたマキシマなどの開発者E・J・ジョーダン氏と、同社の技術マネージャとして活躍していたレスリー・E・ワッツ氏の2人が理想の小型スピーカーの開発を目指し、1964年に創立したユニークなスピーカーメーカーが、ジョーダン・ワッツだ。
 同社の最大の傑作は、10cmアルミ合金コーン、ベリリウム銅線サスペンション、コーン径より大きい磁石を15cm角アルミダイキャストフレームに組み込み、フレームに音響負荷をかけたフルレンジ型のモジュール・ユニットだ。このユニットの全域型らしい、生き生きとした表現力豊かで反応のシャープな音は、非常に魅力的で、1個使用のA12、2個使用のA25、さらに4個使用のB50などで一躍注目を集めたことは記憶に新しく、その音が鮮明に想い出される。
 その後、超小型のジャンボ、一つのエンクロージュアでステレオ再生可能な8個使用のステレオラなどで一段と評価を高めながら、ユニークな陶器製花瓶型システムのフラゴンに至る。
 そして、トゥイーターを加えた2ウェイ型、ドロンコーン採用などのプロセスを経て、80年にはモジュール・ユニットMKIIIとなり現在に至っている。
 JH1000は、口径を12・5cmに拡大した、モジュール・ユニットと同構造の低域と、5・1cmメタルコーン型高域を、450Hz/6dB型で2ウェイ構成としたトールボーイのフロアー型で、現在の同社のトップモデルである。
 JH200は、新開発のダンパーレス特殊サスペンションの9cm全域型を、英国高級エンクロージュアメーカーとして定評の高いR・ホールダーが設計したエンクロージュアに収めた珠玉の小型システムともいえる新製品だ。本機は、全域型ならではの鮮度感が高く、爽やかで生き生きした音が印象的である。

ダイヤトーン DS-600ZX

井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 DS600ZXは、DS900EXを信頼感のある安定した兄貴分とすれば、のびのびと陽気で楽しい性格の弟分といった存在だ。基本のユニット構成は高域を除き相似しているが、エンクロージュアがバスレフ型であるため、反応が速く活気のある豊かな低音は、明らかな性格の違いである。27cm低域は、16cm径と比べて約2・8灰の振動板面積があり、空気を確実に捉えて駆動する低音の力強さ、豊かさ、迫力は、とても小口径型では味わえない、いかにも振動板面積の大きいウーファーならではのものだ。

ハーマンカードン Citation System 7000

井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 ハーマンカードンは、1952年創立のオーディオメーカーだが、’60年初頭に発売された同社のトップモデルで構成するサイテーション・シリーズで、一躍当時のステイタスモデルとして最高の評価が与えられ、国内でもマランツ、マッキントッシュに次ぐ高級機として評価された。この記念すべき製品が、サイテーション1/3プリアンプと2/4パワーアンプだ。当然、管球式の凝った設計の製品で、程よくソリッドで明解な音は、こだわりのないストレートさが魅力で、マランツにもマッキントッシュにもない独特の味わいだった。
 ソリッドステート時代になると、早くから半導体化が試みられ、サイテーションAプリアンプとBパワーアンプがソリッドステート時代の頂点に位置づけされるアンプとして開発され、後にキットフォーム化されたような記憶がある。
 その後、米国企業によくあるように経営面で紆余曲折があったが、’80年代初頭に動的歪みをテーマとして、過剰なNFは音質を害すると提唱したマッティ・オタラ氏が設計したパワーアンプ、サイテーションXXで高級市場に復活を果した。この製品の開発は、当時の新白砂電気で行なわれ、続いてXXP、XIIプリアンプ、XIパワーアンプがマッティ・オタラ氏の手を離れて発売された。
 超高級機ではないが、サイテーションの名は現在でも使われており、現在はホームTHX、ドルビー・プロロジックに加え、独自のAVサラウンドシステムを提唱している。これは、後方に独自のデュアルドライブ・ダイポール・サラウンド・スピーカーを設置し、これをサラウンドロジック・プロセッサーで制御することで、後方中央にファンタム・リアセンター・チャンネルを設け、後方/左/右の3チャンネルと、前方の3チャンネルの合計6本の音軸をもつ、ジム・フォスゲート氏が提唱する6音軸ステアリング方式を特徴とするシステムが、サイテーション7000である。

ユニゾンリサーチ Smart 845

井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 Smart845はモノーラルパワーアンプで、大型直熱型3極管として最高の音質をもつと古くから言われてきた845の、純A級シングル動作で16Wの定格を得ている。デザイン的に目をひくのは、出力管の保護用と放熱効果を上げ、筐体温度の上昇を防ぐためのセラミックガードと、それを取り巻く筐体に独特の弧を描く美しいラインでデザインされたムクのイタリアンチェリー材との絶妙なコンビネーションだ。トリエーテッドタングステンの穏やかな明かりととも見事にマッチし、眺めるだけでも楽しい、この雰囲気は実に素晴らしい。
 A級シングル動作の845から受ける、純度が高く、透明感のある柔らかい音という印象とはかなり異なった、ナチュラルで心暖まるような、程よく豊かで力感のある音が、聴いてみて再び楽しくなる、このモデルならではの、かけがえのない魅力であろう。
 入力感度は0・165Vと、真空管アンプとしては異例に高く、パッシヴ型アッテネーターを介してのダイレクトドライブ使用にも全く支障はない。

ダイヤトーン DS-900EX

井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 DS900EXは、DSシリーズ当初から中核を形成してきた30cm低域ベースの3ウェイブックシェルフ型の系譜を受け継ぐモデルだ。現在の小口径低域全盛時代にあって30cm低域はさすがに大口径だが、小口径型の低音感とは別次元の、本物の低音再生ができることが最大の魅力だ。ソリッドなモニター的性格は皆無に等しく、この程よい開放感と明るい音色は、幅広いプログラムソースに対応可能で大変に使いやすい。

トーレンス TD520RW/3012R, TD318MKIII

井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 ヘルマン・トーレンスがオルゴール製造のためにトーレンスSAを創立したのは1883年で、その後、蓄音器、ハーモニカ、電磁型ピックアップ、電気式レコードプレーヤー、トラッキングエラーレス・ピックアップ、ラジオから業務用円盤録音機、SP用オートチェンジャーなどを順次開発。60年代になるとEMTフランツ社と共同出資の形態をとるようになった。
 オーディオファンの間で一躍注目されるようになったのは、57年のTD124ベルト・アイドラー型フォノモーターの登場からだ。本機は、当時リファレンスとして評価の高かった英ガラード社の♯301アイドラードライブ型に比べ、圧倒的にワウ・フラッターが少なく、静かなターンテーブルとして究極のモデルといわれた。現在でも、現用モデルとして、愛用するファンは多いと思う。
 以後、TD124のオートチェンジャー版、ターンテーブルを非磁性体化したMK2と続くが、この当時が世界の王座に君臨していた栄光の時代であり、80年代のトーレンス・リファレンスが超弩級機としての頂点であろう。
 TD520RW/3012Rは、16極シンクロナスモーターを電子制御で使うダブルターンテーブル型ベルト駆動アームレスプレーヤーTD520RWに、ロングサイズのSMEの3012Rトーンアームを組み合わせたモデル。さすがにメカニズムの見事さは抜群で、要所を絶妙に押さえたトータルバランスの良さは感激ものだ。現代のリファレンス機として、アナログならではの音を楽しみたいときに、最も信頼性の高い素晴らしいシステムだ。セオリーどおりに微調整すれば、想像を超えた音が楽しめ、軽針圧型から重針圧型までのカートリッジとの対応性も穏やかである。
 TD318MKIIIは、同社の技術をベーシックモデルに結集した快心作。このところのアナログディスクの復活に的を絞った、素晴らしく良く出来た音の良い注目の新製品だ。

ダイヤトーン DS-1000ZX

井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 DS1000ZXは、磁気回路のプレート部でユニットを取り付けるダイレクトマウント方式の中・高域、磁気回路とフレームを強固に結合するDMM構造の低域というように、メカニズム的に従来のユニット構造を大幅に改善したユニットを採用し、’83年登場したDS1000系の最新モデルだ。同じユニット構成で改良に改良を加え、メカニズムとして十分な熟成期間を経ているだけに、一段と豊かさを増した印象だ。3ウェイならではの緻密さとエネルギー感のある中域を中心にした音のクォリティの高さが魅力。聴感上でのSN比も高く、音のディテールの優れた再生能力と奥深く見通しの良い音場感情報の豊かさは、このクラスとしては例外的なパフォーマンスを備えている。華やかさは少ないが、ダイヤトーンらしい信頼性が高いという印象は、まさにベストセラーモデル中のベストセラーと確信させられる。

ユニゾンリサーチ 845 Absolute

井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 845ABSOLUTEは、同社を代表するW800×H290×D600mmの巨大サイズの真空管プリメインアンプである。興味深いことは、発表当初は前段にGTタイプの双3極管6SN7が使われ、終段の845は、純A級プッシュプル動作の製品も本国ではあるようだが、現在輸入されているモデルは、電圧増幅段が12AX7、12AU7に変更され、終段も845パラレルプッシュプル動作になっていることだ。
 ムクのイタリアンナッツ材や銅版を組み合わせた筐体構造は、非常にユニークではあるが見事なまとまりを見せており、真空管パワーアンプでの重要なキーポイントである出力トランスは、リッツ線を巻線に使った自社開発によるということで、また驚かされる。純A級パラシングル動作で39W+39Wの性能は、特に低感度スピーカーでなければ、家庭用として十分に満足できる定格値だ。別売オプションとしてPHONO−ONEフォノEQアンプも用意されている。

ボルダー 2010, 2020

井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 今秋、従来のシリーズには隔絶したような超高級機がボルダーから登場。これは驚異的だ。
 2000シリーズと名づけられたこの新シリーズは、プリアンプ2010とD/Aコンバーター2020の2モデルで、基本構想は、リモートコントロールの全面的採用、左右チャンネルの完全独立化とコントロール/表示系の独立、3系統の電源部を内蔵した別筐体電源部による相互干渉の低減である。表示部とコントローラーのあるフロントパネルには、LED表示が採用されている。筐体上部には、左右チャンネルが独立した強固なハウジングがあり、背面からアンプ、DACをプラグイン固定する構造だ。
 注目は、DACも左右独立に専用ハウジングに収納されていることだ。シャーシ電位的には同一筐体であるため各部は共通だが、究極の左右チャンネル間干渉を避ける設計、とボルダーでは自信をこめて言っている。詳細は省くが、とにかく物凄い構想の超高価格機である。

ボルダー 500M

井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 500Mは、基本となる500から左右独立レベル調整、出力表示インジケーターを外した、純オーディオ仕様の500AEの、外装デザインを大幅に変更した同社のトップモデルだ。
 150W+150W/8Ω、BTL接続時500W/8Ωの定格をもち、業務用での高信頼度を活かした保護回路が完備された点は、とかく故障発生率の高い海外パワーアンプとしては異例のスタビリティを誇っている。また簡潔な内部配置で素早い修復ができるようになっていることにも注目したい。
 スピーカー駆動能力は、定格パワー値から予想するよりも十分に強力なものがある。無理にfレンジを欲張らず、ダイナミックな再生能力が感じられる音は、このモデルならではのおおらかさがあり、独特の味わいである。
 Mシリーズになり、業務用機器的な性質が薄らぎ、ディテールの再生能力や、聴感上でのSN比が向上し、本質的な回路構成のメリットが音として聴かれるのが本機の魅力だ。

BOSE 901SS

井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 外観や仕上げに家具調を求めなければ、業務用901とでも表現できる901SSをおすすめしたい。これは、両サイドに独自の角度可変型ウィングを備えており、しかも8個のユニット側を前面として使うサルーン・スペクトラム方式と、逆向きにしたダイレクト/リフレクティング方式との使い分けも可能だ。ライヴネスは、ウィングの角度調整により、かなりの幅でコントロール可能という、901WBにはないユティリティの広さが特徴だ。また、強固なエンクロージュアによるソリッドに引き締まった、分解能の高いシャープな音は、これならではの魅力である。

ボルダー Ultimate 3, L3AE, L3AES

井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 プリアンプでは、業務用的構想で入力セレクター部、アンプ部、電源部など各ブロックを独立した筐体に収めた ULTIMATE3、コンシューマー用に新設計されたL3AE、フォノEQを除いたL3AESがある。2番と3番ピンの極性切替付のバランス入力とバランス出力を備え、多彩な暗譜と組合せ使用が可能なことは使いやすく、またナチュラルで色づけのない音は、信頼感があり好ましい。

ボルダー 102AE

井上卓也
ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より
 102AEパワーアンプは、同社発の薄型筐体採用のステレオ専用機で、102Mの原型モデルである。100W+100W/8Ωの定格ではあるが、スピーカー駆動能力は十分に高く、業務用としての利用は多いようだ。

ボルダー 500AE

井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 500AEは、500Mのベースとなったモデルで、外装が異なるように、定格値は同じだが傾向はよりネイティヴで業務用機器的な、こだわりがなく伸び伸びと音楽を鳴らす歌い方では、このモデルの方が魅力的だ。

マランツ CD-23D LTD

井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 CD23D LTDは、CDM9PROの生産中止に伴う200台限定モデルで、CD23のチューンナップ機として発売される。
 もともとCD23はミュージックリンク・システムのために開発されたCDプレーヤーではあるが、キュービックでオリジナリティ豊かなユニークなデザインをもつ高級機である。最近のように管球式アンプが増えてくると、平均的なコンポーネント型CDプレーヤーではデザイン的に違和感があり、音質的にもナチュラルな帯域バランスとアナログライクな音の魅力が活きてくる。
 このLTDモデルは、筐体正面のメーター部の照明色が、濃いブルー系からかなり淡いブルー系に変更され、トップカバーの色調も濃くなった。機能的には、ディジタル入力部が新しく設けられ、汎用性が高められている。従来のCD23と比べて、サラッとした感覚のリファインされた音に変った印象を受けるが、現時点ではまだ最終仕様の状態ではなく、さらに一段と追い込まれることになるだろう。

ダイヤトーン DS-205

井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 DS205は、当初Aシリーズの高級機と聞いていたが、型名は伝統的な放送用モニターに準じたものに変った。側面は大きく弧を描く積層合板製で、これをバッフルと裏板で結合し、これに天板と底板を嵌めこむ構造は、簡潔だがかなり高度な木工技術の成果であろう。20cmアラミドコーン型ウーファーは、DS−A3系の振動板とアルニコ・ツボ型磁気回路を採用したもので、明快なサウンドを志向した低域として同社初の設計だ。高域は2S3003系のDS8000出使われた5cmB4Cコーン型。2S3003系を、より豊かに柔らかくパワフルにした印象の音は、清澄な印象もあり、非常に興味深い意欲作だ。

BOSE 901WB

井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 現在の901WBは、ウェストボロウ・シリーズの表面仕上げと細部のデザインのマイナーチェンジが施されたモデルで、専用スタンドPS9が別売で用意される。エンクロージュアは、比重が大きく硬度の高いMDF材が新しく採用され、響きが明るく、音の分解能が向上して、全域型独自の生き生きとした表現力豊かな音が楽しめるようになった。外形上は小型なシステムであるが、11・5cmユニット9個の振動板面積の合計は、34・5cm全域型ユニット1個分相当になり、想像以上の空気駆動能力を備えていることがわかるであろう。
 901に好適なリスニングルームは、程よくライヴで響きの美しい部屋が好ましい。そして聴取位置に対しての角度調整や、床からの高さ、両方のスピーカーの間隔などを調整し、最も響きが自然になる設置位置を決めてから、アクティヴEQをプリアンプのテープ系か、外部アクセサリー端子に入れて、サウンドバランスを調整すればよい。セパレート型アンプを使用する場合は、プリアンプとパワーアンプ間に入れる使用方法と聴き比べてみるとよいだろう。
 901WBの発展した使用方法として、小型高密度な特徴を活かして2段重ねにスタック設置にして使うと、一段と豊かなプレゼンスを余裕タップリに楽しむことができるだろう。

マランツ CD-16SE

井上卓也

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオブランド172」(1996年11月発行)より

 CD16SEは、CD16のスペシャルエディションで、CD15ほどの重厚さ、密度感はないが、広帯域型のfレンジと、粒立ちがよくシャープに反応するスピード感は、このモデル独自の魅力。また、本機に採用のCDM4MDをはじめ、CDM9PROなどメカニズムが製造中止になり、独自のスイングアーム方式1ビーム・メカニズムの在庫分も残り少なく、次第にCDM12/14などリニアトラッキング方式3ビーム型に移行されようとしている。その意味でも貴重なモデルだ。