オーレックス C-550M, C-404X

岩崎千明

ステレオサウンド 39号(1976年6月発行)
特集・「世界のカートリッジ123機種の総試聴記」より

 オーレックスのカートリッジは、現在エレクトレットコンデンサー型とムーヴィング・マグネット型の2系列の製品構成だ。特にエレクトレットコンデンサー型は世界でも珍しい存在といえる。
 大変真面目な姿勢で、音に立向っているのは大企業らしく、カートリッジのような、ちょっと考えるとこの企業規模から、想像できない小粒の製品に、これほどの力をそそぐのが不思議なほど。その大きな成果がエレクトレットコンデンサー・カートリッジであるのは瞭然だが、そのあとのMM型でも結構、小さな専門メーカーなみのきめのこまかさを感じる。
 やや、無機的な感じのそっ気ない音は、大へん高い水準だが、少々スッキリしすぎて、豊かさはまったく感じられず、骨だけですけすけなほどの、肉不足の傾向だ。広帯域、かつフラットレスポンスはよいが、楽しさを音楽の中から引出してくれない。MM型の550Mでも幾分、こうした冷たさがおさえられているとはいえ、基本的に同じような音の姿勢である。音像の定位は小レベルまでも大へん良い。

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