井上卓也
ステレオサウンド 39号(1976年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より
このシステムは、6万円台のスピーカーシステムとして代表的な存在であった、NS−690をベースとして改良が加えられた第2世代のスピーカーシステムである。
外見上では、レベルコントロールの下にヤマハのバッジが付いた以外には、あまり変化はないが、各ユニットは、全面的に変更してあり、結果としては、モデルナンバーこそ、NS−690を受継いではいるがまったくの新製品といってもよいシステムである。
ウーファーは、NS−1000系のマルチコルゲーション付コーンが採用してあるのが変った点である。サスペンションではエッジがウレタンロールエッジとなり、ダンパーの材質と含浸材が新タイプになった。また、ボイスコイルボビンは、220度の耐熱性をもつ米デュポン社製ノーメックスとなり、磁気回路では、低歪対策として、センターポールに銅キャップが付いた。
スコーカーは、トゥイーターともども、新しい振動板塗布剤が採用され、ボイスコイル接着剤の耐熱性が改善されている。トゥイーターでは、ボイスコイルに熱処理が施され、スコーカー同様に耐熱性が高くなっている。
エンクロージュアも、全面に高密度針葉樹系パーティクルボードを採用し、ウーファー背面にNS−10000同様の補強板を付けてあり、重量が単体で、NS−690にくらべ、36%重い、18・5kgになっている。
NS−690IIの音は、基本的には、NS−690を受継いでいるが、低域が充実して、安定感を増したために、全体に、音の密度が濃くなり、ユニットの改善で、音伸びがよくなったために、トータルのグレイドは、かなり向上している。
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