菅野沖彦
ステレオサウンド 79号(1986年6月発行)
特集・「CDプレーヤー・ダイレクト接続で聴く最新パワーアンプ48機種の実力テスト」より
それほどスケールの大きさはないが、帯域内は実に緻密である。端正さはQUADらしい気品ともいえるもので、さらっとしていてドライではない。人の声の質感には適度なぬくもりを感じさえする。しなやかな弦楽器群、そして繊細なチェンバロのハーモニックスの響きも自然な美しさである。「幻想」のppの細やかさから、トゥッティの分解能の優秀さを示す力感は、ある枠内ではあるけれど十分な実力といえる。欲をいえば、ジャズのピアノにももう一つ粘りが欲しいが……。
音質:8.4
価格を考慮した魅力度:8.5
0 Comments.