井上卓也
ステレオサウンド 73号(1984年12月発行)
特集・「ジャンル別価格別ベストバイ・435選コンポーネント」より
コンプリートなシステムが優先する時代となり、トーンアームも製品数が少なくなり、やや淋しい印象を受ける昨今である。
10万円未満。本来はこの価格帯に充分性能が高いモデルがあるべきところだが、機械加工による製品だけに、高価格は仕方ないことであろう。ベストバイは、超ロングセラーを誇るシンプルなオーディオテクニカAT1503IIIだ。適度にクォリティが高く、明るく、活発な音が魅力。SME3009/SIII、3010Rも、カートリッジにより使い分ければ、デザインともども、やはり非常に素晴らしい製品だ。
10万円以上では、独自のメカニカルなダンピング方式を採用したデンオンDA1000の活き活きとした音の魅力が際立つ存在。SME3012R、3012R PROも、現時点での高級アームとして充分以上の実力をもつ。オーディオクラフトAC3300は、使いやすく、音も見事だ。
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