AGI Model 511b

井上卓也

ステレオサウンド 60号(1981年9月発行)
「Pick Up 注目の新製品ピックアップ」より

 AGI511コントロールアンプは、数年前の登場以来、シンプルで簡潔なデザイン、精密感があり加工精度が高い筐体構造、優れた性能が直接音質に結びついた印象のダイレクトでフレッシュなサウンドなどこの種の製品に要求される要素が巧みに盛り込まれているオーディオ製品としての完成度の高さにより、一躍注目され、多くのファンを獲得してきたが、今回ラインアンプのICを変更し、新しくbタイプに発展した。
 詳細は不明だが、511のラインアンプは、最初期のタイプが初段差動アンプがバイポーラトランジスター構成のIC、その後FET差動のICに変更されている様子であり、これがAGI511aとして知られているタイプである。今回新採用のICは、米国NASA系の技術を受け継いだ半導体メーカー、BURR−BROWN社製の最新型で、これの採用により特性面での改善は大変に大きい。
 新ICによりラインアンプのスルーレイトは、従来の50V/μsからフォノイコライザーと同じ250V/μsと高まり、THDは、20Hzから100kHzの超高城まで変化をしないといわれる。なお、bタイプのイニシアルは改良のプロセスを示すが、国内市場では、いわゆるaタイプはパネル面に表示されていなかったために、新採用のBURR−BROWN社製ICの頭文字Bの意味をとってbと名付けられたようである。また、bタイプになっての変更はICのみで、使用部品関係は従来どおりの高精度部品を採用している特長を受け継いでいる。なお、輸入元のRFエンタープライゼスでは、従来機のbタイプへの改良を実費(55、000円)で引受けるという。
 bタイプは、511初期のクッキリとコントラストをつけた音から、次第にワイドレンジ傾向をFET差動IC採用で強めてきた、従来の発展プロセスの延長線上の音である。聴感上の帯域が素直に伸びている点は従来機と大差はないが、内容的には一段と情報量が多くなり、分解能の高さは明瞭に聴きとれるだけの充分な変化がある。音色は明るく、のびやかな再生能力があり、大きなカラーレーションを持たないため、組み合わせるパワーアンプにはかなりフレキシブルに反応をする。内外を含め最近のコントロールアンプとしては最注目の製品だ。

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