スペックス SDT-77

井上卓也

ステレオサウンド 60号(1981年9月発行)
「MCカートリッジ用トランス/ヘッドアンプ総テスト──(下)」より

 スイッチ切替なしに2〜50Ωのカートリッジが使える昇圧トランスで、昇圧比は1対30。入出力が逆相の反転トランスである。
 帯域バランスは低域を抑え気味とし、やや硬質でコントラストをクッキリつける中高域、ハイエンドを抑えた高域が特徴である。
 MC20はクッキリとシャープな音で、明快さはあるがバランスが高いパートに偏り、音場感がナチュラルに拡がらず独特の中低域の豊かさが出難い。
 305は、やや硬質ではあるがバランスもスッキリとし、スケールはまだ小さいがロッシーニの軽快さ、華やかさを聴かせる。ドボルザークは予想よりもスケール感がなく小柄にまとまり、峰純子はリアリティは相当にあり音像もクリアーだが、プレゼンス不足だ。

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