デンオン SC-104/II

井上卓也

ステレオサウンド 49号(1978年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 デンマーク・ピアレス杜のユニットを全面的に採用した最初のデンオンのスピーカーシステムSC104が登場して既に3年あまりの期間が経過したが、今回その内容を一段と充実してMKIIに発展した。ユニット構成面では、25cmウーファー、10cmコーン型スコーカー、それに3・2cmソフトドーム型トゥイーターの3ウェイ構成で、使用ユニットも従来と基本的に同じである。
 MKIIの主な変更点は、バッフル面のユニット配置が各ユニットを一直線に並べるインライン型から左右対称型になり、エンクロージュアデザインが両サイドにテーパーをもち、ヨーロッパから輸入したサランネットとアルミサッシュの付いたシャープな感覚のものになったことである。細部では、レベルコントロールがバッフル面に移され、トゥイーターのみ調整できるようになった。SCシリーズ共通の特長としては、低域の質感向上のためエンクロージュアのバッフル板、裏板を除く部分は両面にリアルウォルナット貼のパーチクルボード使用、各ユニットとバッフル板の間に緩衝効果の大きなブチル系パテ充填、完全密閉型のエンクロージュア採用などがある。
 MKIIの音は、従来からも優れた音をもつSC104をベースにし、一段と表現力が豊かとなり、音場感的な拡がり、定位のシャープさなどの面でもこのクラスでは注目すべき完成度の高さをもつ。

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