ダイヤトーン DS-32B

井上卓也

ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 従来では、大口径ウーファー採用の2ウェイ構成システムで製品ラインアップを形成していた価格帯に、ダイヤトーンが初めて登場させた、3ウェイ構成かつ、エンクロージュアにバスレフ型を採用している点が特長の新製品である。
 25cmウーファーは、独自の NFリング採用の低歪磁気回路使用で、コーンはプレス圧を下げたノンプレス型に近く、ボイスコイルは特殊合成ゴムダンプリング付で、全体に内部損失を増加した設計。10cmコーン型スコーカーは、カテリーナカーブにコルゲーションを配した整合共振型とし、ドライブレス法で造ったコーンと横ゆれに強いV字型エッジ採用。4cmセミドーム型トゥイーターは、小口径コーン型に円錐型チタンセンタードーム採用である。エンクロージュアは、モーダル解析法により100Hz以下で振動発生が少ない木製ダクト付バスレフ型で、従来より奥行きを深くした新設計である
 ナチュラルな帯域バランスと明るく明快な、本来のダイヤトーンサウンドをもつ優れた製品だ。音の粒子は従来より滑らかで反応も速く、正統派の音。

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